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インタビュー

第1回 岡山大学病院総合リハビリテーション部 部長 千田 益生 教授

ごあいさつ

岡山大学病院総合リハビリテーション部部長の千田益生です。よろしくお願い申し上げます。

リハビリテーション医学はチーム医療であり、それぞれ専門職が協力して治療を行います。岡山大学病院総合リハビリテーション(リハ)部のスタッフは、医師は4名(教授1、助教1、医員1、大学院生1)、理学療法士(PT)22名、作業療法士(OT)7名、言語聴覚士(ST)4名、看護師1名です。国立大学病院の中では充実しており、高度な医療に対応し年間10万件以上施行しています。

岡山大学病院は全国屈指の高度先進医療を行う病院であり、肺移植をはじめとした移植医療、難病や悪性腫瘍といった非常に難しい病気を治療しております。従ってリハビリテーションに関しましても、高度先進医療に対応して行わなければなりません。それには病院各部署と緊密に連携を取る必要があります。病院内の各部署、またリハビリテーション部内におきましても、いつでも、どこでも話ができるような環境が大切であると思っています。「仲良く楽しいリハビリテーション」ということをモットーにしています。

研究では、人工筋肉を用いた研究、転倒予防に関する研究、重心動揺を用いた研究、筋電図の解析研究、SF-36によるQOL評価、STEF・DASHを用いた上肢機能評価などを行っています。人工筋では、麻痺手に装着して把持動作を支援するシステムや立てない患者さんへの立位・歩行をサポートするシステムの研究を行っており、実用化を目指しています。

教育という面では、医学部、歯学部、保健学科の授業・実習をはじめ、23校からの実習生を受け入れています。教育を充実させるためにはもう少しマンパワーが必要であると痛感します。皆様といっしょにより良いリハビリテーションを実践していこうと考えております。

千田 益生 教授にインタビュー

【質問1】 先生のご専門分野を教えてください。その分野を専門に選んだ理由を教えてください。

リハビリテーション医学:手術も楽しいですが、保存的治療の方が魅力的であると考えてリハビリテーション医学の道に入りました。

整形外科学:最初はサッカーをしていまして、スポーツ医学に興味があり、整形外科医になりました。

【質問2】 リハビリテーション科医を専門にされた理由について教えてください。

整形外科医として、筋肉・神経を勉強しておりましたが、その分野における専門性は整形外科よりリハビリテーション科医に特徴的ですので、リハビリテーション科医を専門にしました。

【質問3】素養や特性が、リハビリテーション科医にとって必要ですか?

特に必要はないと思います。やる気さえあれば大丈夫です。

【質問4】ほかの専門医と比べて、リハビリテーション科医にはどんな特徴がありますか?

1) 幅広い知識と技術があります。いろいろな科のことをある程度知らなければ処方できません。

2) 基本的に患者さんは良くなっていく方向にあります。喜ばしい医師だと思います。

3) 急患や夜中に起こされることは少ないと思います。医者のQOLは高いと思います。

【質問5】若き日の「忘れられない患者さんとの思い出やエピソード」を教えてください。

1) JRAでずっとと歩けなかった15才の女の子が、手術をし歩けるようになった。その子は、東京に行って、外資系の会社に就職し、結婚し、子供さんもできたそうです。

2) 両手、両足のない患者さんに義足を作り、歩けるようになり、両手にも義手を作ろうと努力しましたが、結局、彼は手のない前腕で鶴を折ることができるまでになりました。

3) 骨肉腫で余命いくばくもない若い男の子が手術場に行くときに「先生、帰ってきたら思いっきりすし食わせてくれる?」といわれて「なんぼでも食わせたるから、絶対帰ってこいよ!」といって送り出しましたが、亡くなってしまいました。

メッセージ

研修医や医学生の皆さんへメッセージをお願いします。

一生懸命頑張れば、どこの科に行っても楽しいと思いますが、リハビリテーション医学は、専門医が必要とされている人数より全く少ない医学で、活躍の場は非常に多いと思います。

ぜひ仲間になってこれからのリハビリテーション医学をささえてくれませんか。