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リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査

(リハ医学 1999;36(9)553-555)

委員:住田 幹男,園 田  茂,大橋 正洋,小林 一成,近藤 和泉,首 藤  貴,千田 富義,豊 倉  穣,正門 由久,大川 弥生,眞野 行生(担当理事)

はじめに

日本リハビリテーション(以下,リハ)医学会評価用語委員会(1988年度までの評価基準委員会)は評価に関する検討を最重要課題として検討してきた.評価用語委員会はこれまで「日本リハ医学会ADLチェック表(案)」1)に代表されるように評価そのものを作成する役割も果たしてきた.さらに日本リハ医学会会員のよく使うADL評価法のアンケートを行い,頻用される評価法がBarthel IndexとFunctional Independence Measure(FIM)であるため,学会発表などでこれらを用いることが会員相互の共通理解のために望ましいと提唱した2).評価法使用に際して頻用されているものを検索することを目的に,1998年に発行されたリハ関連雑誌の評価法を調査したので報告する.

対象と方法

リハ関連雑誌としてArch Phys Med Rehabil, Am J Phys Med Rehabil, Scand J Rehabil Med, Disabil Rehabil,リハ医学,総合リハ,臨床リハを選び,1998年の記事のうち原著論文を対象に評価法の抽出を行った.

評価法の定義は,身体機能や生活活動・社会活動を何らかの規準に当てはめて判断する方法とし,血液検査やROMなど単に数値を測る「測定」は除外した.図1のような入力画面を持つデータベースをファイルメーカーPro(ファイルメーカー社)で作成し,委員が分担して入力した.1つの論文に複数の評価法が用いられている場合,複数のデータレコードとして扱った.

同じ評価表名の異なった表記を統一した後,複数の論文に使われている評価法を抽出した.また,疾患名で多かった脳卒中と脊髄損傷における頻出評価法および,障害名のうちADLと痴呆における頻出評価法を調べた.

結果

対象とした論文は,合計383論文であり,和文95論文,英文288論文であった.全体で5件以上の論文に使われた評価法を表1に示す.脳卒中と脊髄損傷を疾患キーワードとする論文における頻用評価法を表2に示す.例としてADLと痴呆に関する頻用評価法を表3に示す.

考察

今回は作成した評価法データベースから,一部の結果を抽出して表として記載した.脳卒中やADLでは少数の評価法が頻用される傾向が見てとれた.最近はMedlineを使った文献検索も容易となっているものの,評価表名の統一は図られていないなどのため,横断的に評価表を調べることは難しい.従って今回のような調査研究が必要と思われる.

さらに,このデータベースをパソコン上で活用すれば,例えば脳卒中と痴呆という2つのキーワードの両方に該当する評価法も調べられる.このようなデーターベースは経年的にデータを蓄積すればリハ医学における有用な資料となるであろう.

※詳細は リハ医学 1999;36(9):553-555 参照