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リハニュース No.28

2006年1月15日

  1. 特集:介護保険制度・障害者自立支援法 ― こう変わった・こう変わる

    介護保険制度改革の全体像・・・近藤 克則

    障害者自立支援法 ― こう変わった・こう変わる・・・樫本 修

  2. 第43回日本リハビリテーション医学会学術集会 (6.1-3開催):-リハビリテーション医学の進歩と実践 -・・・宮野 佐年

  3. INFORMATION

    千野直一前理事長が米国リハビリテーション医学会 Distinguished Member Award に選出されました

    評価・用語委員会

    社会保険等委員会

    編集委員会

    国際委員会

    北陸地方会

    東北地方会

  4. 医局だより:鹿児島大学医学部リハビリテーション科

  5. REPORT

    第17回リハ・カレントトピックス&レクチャー(日本リハ医学専門医会学術集会)・・・藤原 俊之

    第32回国際福祉機器展報告・・・赤星和人

    第40回日本脊髄障害医学会・・・田中 尚文

    第35回日本臨床神経生理学会学術大会・・・小林由紀子

  6. 医学生リハビリテーションセミナー

    2006年医学生リハセミナーにご協力いただける施設

    2006年医学生リハビリテーション セミナー開催の準備状況

    2005年セミナー参加者の感想

  7. 事務局だより

  8. 広報委員会より

  9. 訃報

特集:介護保険制度・障害者自立支援法 ― こう変わった・こう変わる

介護保険制度改革の全体像

日本リハビリテーション医学会 障害保健福祉委員会  近藤 克則

 厚生労働省の介護制度改革本部の「介護保険制度改革の全体像-持続可能な介護保険制度の構築」と題する資料にもとづき、全体像の概要と日本リハビリテーション医学会の会員に関心の高いであろう内容を主に紹介する。
 介護保険制度については、制度の基本理念である、高齢者の「自立支援」「尊厳の保持」を基本としつつ、制度の持続可能性を高めていくため、以下の改革が行われる(施設給付の見直しは、2005年10月から実施済み)。

介護保険制度の改革の全体像 

1.予防重視型システムへの転換
 「明るく活力ある超高齢社会」を目指し、市町村を責任主体とし、一貫性・連続性のある「総合的な介護予防システム」を確立する。⇒新予防給付の創設、地域支援事業の創設

2.施設給付の見直し
 介護保険と年金給付の重複の是正、在宅と施設の利用者負担の公平性の観点から、介護保険施設に係る給付の在り方を見直す。⇒居住費用・食費の見直し、低所得者等に対する措置

3.新たなサービス体系の確立
 痴呆ケアや地域ケアを推進するため、身近な地域で地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供を可能とする体系の確立を目指す。⇒地域密着型サービス・地域包括支援センター(仮称)の創設、医療と介護の連携の強化

4.サービスの質の向上
 サービスの質の向上を図るため、情報開示の徹底、事業者規制の見直し等を行う。⇒情報開示の標準化、事業者規制の見直し、ケアマネジメントの見直し

5.負担の在り方・制度運 営の見直し
 低所得者に配慮した保険料設定を可能とするとともに、市町村の保険者機能の強化等を図る。

各改革の概要 

1.予防重視型システムへの転換 〈平成18年4月施行〉(図1参照)
(1) 新予防給付の創設:軽度者を対象とする新たな予防給付を創設する。マネジメントは市町村が責任主体となり、地域包括支援センター(仮称)等において実施。新予防給付のサービス内容については、 既存サービスを評価・検証し、有効なものをメニューに位置付け。運動器の機能向上や栄養改善など効果の明らかなサービスについては、市町村モデル事業の評価等を踏まえ位置付けを決定。現在の要介護1を、新予防給付が適切か否かで、要支援2と要介護1とに区分する。要支援1・2が新予防給付の給付対象者となる。
(2) 地域支援事業の創設:要支援、要介護になるおそれのある高齢者(高齢者人口の5%程度)を対象とした効果的な介護予防事業を介護保険制度に位置付ける。事業実施の責任主体は市町村とする。  

図1 予防重視型システムへの転換(全体概要)
厚生労働省老健局:介護保険制度改革関連法案 参考資料より

2.施設給付の見直し 〈平成17年10月施行〉
(1) 居住費用・食費の見直し:介護保険と年金給付の重複の是正、在宅と施設の利用者負担の公平性の観点から、介護保険3施設(ショートステイを含む)の居住費用や食費について、保険給付の対象外とする。
 但し、低所得者については、負担軽減を図る観点から新たな補足的給付を創設する。
 通所系サービスの食費についても保険給付の対象外とする。詳しくは、厚生労働省:介護保険制度改正パンフレット―平成17年10月から介護保険施設などの利用料が変わる―http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/topics/0508/index.htmlなどを参照のこと。
(2) 低所得者等に対する措置
1)高額介護サービス費の見直し:保険料段階の「新第2段階」(年金収入が概ね基礎年金[=約80万円/年]以下など)については、現行の月額上限を引下げ。月額上限 2.5万円→1.5万円  

3.新たなサービス体系の確立 〈平成18年4月施行〉
(1) 地域密着型サービスの創設:身近な地域で、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供が可能となるよう、「地域密着型サービス」を創設する。地域密着型サービスの例は図2参照。
(2) 地域包括支援センターの創設:地域における総合的なマネジメントを担う中核機関として、1) 総合的な相談窓口機能、 2)介護予防マネジメント、 3)包括的・継続的マネジメントの支援の機能を持つ「地域包括支援センター」を創設する。
(3) 医療と介護の連携の強化:医療と介護の連携を強化する観点から、介護予防における医療との連携、介護施設やグループホームにおける医療機能の強化を図る。 

図2 地域密着型サービスの創設
厚生労働省介護制度改革本部「介護保険制度の見直しについて」より

4. サービスの質の向上 〈平成18年4月施行〉
 (1) 情報開示の標準化、(2) 事業者規制の見直しと並び、(3) ケアマネジメントの見直しとして、 1)包括的・継続的マネジメントの強化(地域包括支援センターの創設)、 2)ケアマネジャーの資質の向上(資格の更新制の導入等)、 3)独立性・中立性の確保(1人当たり標準担当件数の見直し等)などを行う。(4) 人材育成に関しては、介護職員については、将来的には「介護福祉士」を基本とする。 

 これらの改革により、日本リハ医学会の会員には、従来から担ってきた役割に加え新たに介護予防分野での活動への期待が高まると思われる。

障害者自立支援法 ― こう変わった・こう変わる

日本リハビリテーション医学会 障害保健福祉委員会  樫本 修

 身体・知的・精神の障害がある方にとって共通な制度で共通のサービスが利用でき、障害者の自立を促進させることを目的とした「障害者自立支援法」が平成18年4月から施行される。この法律は、国がノーマライゼーションの理念の下に推し進めてきた障害者福祉施策の流れとして、平成12年の「社会福祉基礎構造改革」、平成15年4月から施行された「支援費制度」に続き、平成16年10月に打ち出された「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を実現するものである。障害者に関わることが多いリハ医としても注目すべき法律なので、ここではこの新しい制度で何が変わるのかを解説する。

障害者自立支援法の特色 

1. 障害者施策を3障害一元化
 これまで支援費制度の対象にならなかった精神障害者も対象となることが特徴である。制度格差がみられた身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法を統一し、障害の種類にかかわらず共通制度で共通サービスが受けられるように障害者福祉サービスが一元化される(図3)。また、サービスの実施主体も市町村に一元化され、都道府県は市町村をバックアップし、発達障害者や高次脳機能障害者への支援、障害者の就業支援などに広域的・専門的に関わる役割を担う。

2. 障害者施設を利用者本位のサービス体系に再編
 33種類もあった障害者施設体系を見直し、概ね5年をかけて段階的に新体系に移行される。既存の施設を「日中活動の場」と「住まいの場」に分け、前者は療養介護(医療型)、生活介護(福祉型)、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援、地域活動支援センターの機能に応じた6つの事業として再編される。また、社会資源の少ない地域が地域の限られた社会資源を活用するために運営基準や施設基準が規制緩和され、社会福祉法人の他、NPO法人等でも運営が可能となり、既存の空き教室や民家などの社会資源が活用される。さらに、支援費制度でも措置が残っていた障害児施設が利用契約に移行する。 

3. 就労支援の抜本的強化
 養護学校卒業者の55%が福祉施設の利用となり、就職を理由に福祉施設を退所するのは年間1%に過ぎないのが現状である。働きたくても就労できない障害者の就労支援体制が強化され、福祉的就労から一般就労への移行を進めるため「就労移行支援事業」が創設される。福祉と雇用の連携を強化し障害者がその適性に応じて働けるようにする。また、精神障害者への雇用率適用などこれまで以上に障害者雇用が押し進められる。 

4. 支給決定の透明化、明確化
 支援の必要度に関する客観的な尺度(新障害程度区分)を導入し、市町村が認定審査会を設けて支給決定プロセスを透明化する。また、介護給付を希望する場合は医師の意見書が必要となる。支給決定に不服がある場合は都道府県が設ける不服審査会に申し立てができるようになる。 

5. 安定的な財源の確保
 国の費用負担の責任を強化(費用の1/2を負担)し、利用者も応分の費用を負担し、皆で支える仕組みとなる。例えば、自立支援給付として、介護給付、訓練等給付、自立支援医療費(精神通院公費、更生医療、育成医療)の支給、補装具費の支給等 が受けたサービス量に応じて(応益負担)1割の自己負担となる。また、在宅生活障害者との公平性を保つために施設入所者や自立支援医療(更生医療、育成医療)における入院にかかる食費や光熱水費、日用品費が実費自己負担となる。ただし、所得に応じた一定の上限額が定められ、負担能力の乏しい方については経過措置も含め負担軽減措置が講じられる。自立支援医療の対象者の範囲、医療の内容や支給認定の実施主体(精神、育成は都道府県、更生は市町村)は現行どおりである。 

補装具に関する変更点 

 補装具関連の変更は平成18年10月から施行される予定である。補装具等の見直しに関する検討委員会(伊藤利之座長)で現在、補装具の範囲を見直す公平なルール作りなどを検討中で、主な変更点は次のとおり。 

1. 定義の変更
 補装具・日常生活用具の定義を明確化し、範囲の見直しを行う。新しい補装具の定義は次のとおり。
(1) 身体の欠損または損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害個別に対応して設計・加工されたもの
(2) 身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一製品を継続して使用するもの
(3) 給付に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)を要するもの
 この中で、就学とは義務教育のみならず療育等を含めたもの、就労とは企業での雇用に限るものではなく多様な働き方を意味する。

図3 障害者施策の一元化

2. 給付システム
 身体障害者更生相談所の機能強化、処方の最初から適合、使用状況まで確認する仕組みなど適正な給付システムを検討中である。 

3. 補装具種目の変更
 定義に基づいた見直しや、見直しに関する透明性、公平なルール作りを進めていく。 

4. 給付方法
 これまでは現物給付という姿勢であったが補装具費の支給となり、助成的な意味合いが濃くなる。 

5. 費用負担
 補装具費の自己負担額はこれまで世帯の所得に応じた月額徴収基準額が自己負担として求められていた(応能負担)。障害者自立支援法では費用負担は次のように変わる。
(1) 一定未満の所得の世帯に属する場合に支給の対象となる。
 定率(1割)負担となるが税額に応じた区分による一定の負担額や上限がある。原則的には償還払いだが、一時的にでも高額な負担が困難な方のために市町村の代理受領が可能となる。
(2) 一定以上の所得がある世帯に属する場合には支給の対象外となり、全額自己負担となる。
一定の所得の詳細については現在検討中である。
 ただし、所得税課税世帯の考え方が変わる。これまでは障害当事者と同一住民票に属する者全員の所得税を加算した額が納付する自己負担額の算定対象となった。自立支援法では基本的にはこれまでと同様に住民基本台帳上の所得で算定するが、障害当事者が同一の世帯に属する親、兄弟、子ども等から扶養控除の対象になっていないこと、かつ健康保険制度において被扶養者となっていないことを満たす場合は実体上生計を一にしていないと判断され、障害者本人とその配偶者の所得に基づいて算定することも選択できるようになる。
 3障害が公平に同一の制度でサービスを受けられるようになるのが本法の特徴である。自立支援医療や補装具作製、新障害程度区分の医師意見書の作成などにリハ医が関わる部分がある。「補装具」や「医師の意見書」に関するに情報については今後もリハニュースで紹介していく予定である。 

第43回日本リハビリテーション医学会学術集会 <6.1-3>
― リハビリテーション医学の進歩と実践 ―

第43回学術集会会長  宮野 佐年 

新年明けましておめでとうございます 

 今年の冬は暖冬との気象庁の長期予報がはずれ、大雪と厳寒の冬となっておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。現在、会長はじめ医局員は鋭意学会準備を進めております。

 本年の学会は6月1日(木)~3日(土)の3日間、東京都港区にある平成17年4月に竣工・開業した東京プリンスホテルパークタワーを学会場に開催いたします。パークタワーは各会場が全てワンフロアにあり移動は容易ですし、広い機器展示のスペースも用意いたしました。また、学会場の東京プリンスホテルパークタワーは各種交通機関に近く、極めて利便性のよい場所にあります。

 日立の小泉先生の特別講演、外国からの招待講演は4企画、シンポジウム・パネルディスカッションは9企画、教育講演は10企画が演者からの承諾が得られ、ほぼ決定いたしました。この場を借りて快く承諾していただいた先生方に感謝いたします。また、昼食時には多くのランチョンセミナーを開催する予定です。これらの企画は学会ホームページ(http://www2.convention.co.jp/jrma2006/)に随時掲載・更新いたしますので、是非ご覧ください。招待講演・教育講演受講により、日本リハビリテーション医学会の専門医・認定臨床医、日本整形外科学会専門医の資格維持のための単位取得が可能です。

 一般演題の募集は12月1日から開始し、皆様より多くの演題登録をいただいております。1月18日の締切が近くなっております。まだ登録されていない方は是非、締切日までによろしくお願いいたします。

 学会場の近辺には東京タワー、増上寺があり、お台場・六本木・赤坂・銀座などにも至近距離で、観光・飲食にも好都合であります。皆様の多数のご参加をお願い申し上げます。

演題募集締切:1月18日 

(第43回学術集会会長 宮野佐年)

INFORMATION

千野直一前理事長が米国リハビリテーション医学会 Distinguished Member Award に選出されました

 2005年10月24日から米国フィラデルフィアで開催された第66回米国リハビリテーション医学会(American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation : AAPM&R)において、千野直一前理事長が、Distinguished Member Award 2005 として選出され、授賞式が遂行されました。これは千野氏の日本国内のみならず、国際リハビリテーション医学会(International Society of Physical and Rehabilitation Medicine : ISPRM)事務局長等の役職で果たされた世界的に偉大な功績が評価されたものです。

評価・用語委員会

  「リハビリテーション医学用語集」は、1974年度より作成が開始され、1992年に初めて小冊子となり、学術用語と現場で働いている人が理解できる慣用的・実用的語としての専門用語をバランスよく収録することを編集方針としてまいりました。2002年度版では、用語源として1997年度版の用語集、リハ医学会関連機器用語、リハ医学会誌キーワード、米国リハ医学教科書の索引語、リハ商業誌の索引語などから約5,500語を準備しDelphi法に基づいて評価・用語委員の投票結果を計数化し、用語の選択を行い、日本語1,340、洋語1,310を収録いたしました。

 近年のリハビリテーション領域における基礎研究の進歩や、多くの 新しい治療方法の開発などにより、新たに収載すべき用語が生じてきており、2007年に改訂を予定しております。前回改訂時のアンケートでも語数を増やしてほしいとの要望が出されており、評価・用語委員会、同用語特別委員会、同用語小委員会の意見を踏まえて、新しい時代のリハ医学用語集を作成すべく出版社の用語集作成のノウハウも取り入れ、用語集は書籍として販売し、約10,000語の収載を目標にすることになりました。用語のホームページ掲載については利用者の要望もあり、続ける方針といたしました。2006年3月末日までに本医学会ホームページより用語に関するご要望およびご意見をお寄せいただきたくお願い申し上げます。

(委員長 朝貝芳美)

社会保険等委員会

 昨年10月12日の中央社会保険医療協議会では「リハビリテーションに対する評価について」の論点として、疾病の特性等を踏まえた体系の見直しにおいて、(1)施設基準を見直し、疾病や障害の特性に応じた評価、(2)広大な訓練室でなく、手厚い人員配置による質の高いリハの提供を評価、(3)急性期リハの充実のために、患者1人・1日あたりの算定単位数上限の緩和、(4)疾病の特性や治療の現状を踏まえた算定日数の上限の設定、(5)リハ従事者1人・1日あたりの実施単位数の上限のあり方の検討、が提案されました。また(6)回復期リハ病棟に関し、更なる普及のために算定対象疾患の拡大や疾患ごとの算定日数上限の短縮、(7)訪問リハに関し、入院から在宅における療養への円滑な移行を促進するために退院後早期の患者に対して重点化、以上、合計7項目が提案され、これに沿った形で平成18年診療報酬改定におけるリハビリテーション料の見直しが議論されてゆくと思われます。一方、12月中旬の段階でも、リハビリテーション料に関して上記以外のことは何も決まっていないにもかかわらず、運動器リハの研修会が診療報酬改定と関連するかのような誤った広報がなされたために、日本リハ医学会理事会からその当事者団体に対して適切な抗議が行われたことは12月9日のリハニュース臨時号で報告されたとおりです。

 12月1日に厚生労働省保険局医療課から当医学会に、医療技術評価に係る希望書において引き続き検討することが適当とされた技術は、「リハビリテーション処方料」および「埋め込み型ポンプによる髄腔内バクロフェン投与による重症痙性麻痺治療関連の項目」と連絡されて来ました。

(委員長 田中宏太佳)

編集委員会

1.科学技術振興機構 (JST) が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE) への参加についてリハ医学誌は、平成13年国立情報学研究所の電子図書館およびメディカルオンラインとの契約による雑誌全体の電子化、リハ医学関係誌の国際的データベースであるCIRRIEへの書誌情報の提供などにより、広く閲覧されるように努めてまいりました。J-STAGEは,学術論文の研究成果を国内外に発信することを目的とし,他サイト上の引用文献とのリンクを実現し,さらにCrossRef, PubMedなどの電子ジャーナル間のリンクを可能とするシステムと相互リンクするサイトです。論文単位の公開ができ、今後当学会ホームページからリンクをはり、論文がダウンロードでき、abstractなどについては海外からのアクセスも期待できると考えられます。今回理事会にて、平成18年4月公開予定でJ-STAGEへの参加が承認され、編集委員会として、公開に向けて努力していきたいと考えております。 

2.投稿規定の改定について投稿規定に,新たに独立し「倫理規定」の項目を設け、平成17年1月より試行した「電子投稿」についても正式にその規定を設けました。さらには上述のJ-STAGEへの参加のため、参考文献の書き方などに若干の変更を行いました。詳細はリハ医学誌43巻1号巻末の投稿規定をご参照ください。 

(委員長 正門由久)

国際委員会

 すでに昨年6月16日の第42回学術集会総会で発表されましたように、平成17年度海外研修助成は、黒澤 一氏(東北大リハ)、峠 康氏(和歌山県立医大リハ)、横山道夫氏(藤田保健衛生大リハ)の3名が理事会で選出されました。また、平成17年度外国人リハ医交流助成プログラムについてはPidcock FS (Assoc Professor, Dept of PMR, Johns Hopkins Univ)、Dykstra D (Assoc Professor & Chairman, Dept of PMR, Minnesota Univ)、Kwon HY(Assistant Professor, Hong Kong Univ), Wang Q (Assistant Professor, Chintao Univ)の4名が選出されました。

 すでに平成18年度海外研修助成と外国人リハ医交流プログラムについて募集が行われております。しかし、残念なことに、平成17年11月末時点で、双方の募集にまだ一件も応募がございません。そこで、国際委員会で協議の結果、緊急に海外研修助成締切を平成17年12月末日から平成18年2月15日必着まで延長し、応募を呼びかけることといたしました。日本リハ医学会ホームページの「会員のページ」から、「委員会」そして、「国際委員会」と進みますと、応募要項が記載されていますので、ご参照の上、ご応募いただけますようお願い申し上げます。

 また、平成19年に神戸で開催予定の第44回学術集会では神戸市などの支援も受け、アジア各国からリハ医の招待が企画されています。詳細のお問合せは第44回学術集会事務局(jarm2007@congre.co.jp)へお願い申し上げます。
 最後に日韓合同リハビリテーションカンファレンスについて重要なお知らせをいたします。2006年は韓国で開催される予定となっておりましたが、ご存じのように2007年に第4回国際リハビリテーション会議大会(ISPRM2007)が韓国で開催されることとなりました。そのため、2006年の日韓合同リハカンファレンスは開催されないこととなりました。その後の予定についてはまだ結論が出ておりませんので、決定次第ご報告いたします。ISPRM2007会長のDr. Park からは日本リハ医学会会員の先生方の多数のご参加をお願いいたしますとメッセージが届いております。

 ご報告とお願いは以上の通りですが、本委員会活動の大きな柱として、Honorary & Corresponding Member選出があります。日本リハ医学会はISPRMの影響力もかりて、アジア地域のリハを啓発していかなければならないと考えております。しかし、韓国以外のアジア地域のMemberがいません。そこで、ISPRMで活躍されているアジア地域のリハリーダーについて情報をお持ちの先生方には是非、国際委員会まで情報をお寄せいただきたくよろしくお願いいたします。

(委員長 田島文博)

北陸地方会

 北陸地方会は年2回開催しており、生涯教育研修講演は毎回2名の講師の先生にお願いしています。講演の選定方法は、4名の研修担当委員から推薦される講師の中から代表幹事が講演の分野に偏りのないよう検討し、依頼をするという形をとっています。北陸地方会では、以前リハ医学会より小児発達分野と神経筋疾患分野の講演が少ないとの指摘を受けましたので、平成17年度にそれぞれの分野の講演を設定いたしました。平成18年度は気持ちを新たに、話題性のあるトピックスを取り上げる予定にしています。会員の先生方でご依頼したい講師、分野がございましたら、遠慮なく事務局までご一報ください。◆さて、金沢での第42回学術集会では、北陸地方会会員の先生方の手厚いご支援をいただき、この場を借りてお礼申し上げます。直前の座長変更にも快く応じていただき、心より感謝申し上げます。運営面におきまして各方面から大変好評をいただいており、決算も余裕をもって済ませることができました。このような大きな学術集会の後での地方会でしたので、前回の第18回地方会は参加者数においてやや寂しい感じがしましたが、また、皆様に一般演題も含めて意欲的に参加していただけるような会を企画していきたいと考えております。

(事務局担当幹事:染矢富士子)

東北地方会

 昨年11月12日(土)に、第18回東北地方会ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会(主催責任者:秋田県立リハビリテーション・精神医療センターリハ科 佐山一郎先生)が秋田市、秋田県総合保健センターにおいて開催されました。一般演題16題が発表され、活発な討議が行われました。同日に開催された幹事会では、上月正博代表幹事より、東北地方会ホームページを準備中であることが発表されました。◆次回の第19回東北地方会・生涯教育研修会(主催責任者:山形大学整形外科 荻野利彦先生)は3月25日(土)に山形市・(財)山形県生涯学習センター・遊学館で開催されます。教育研修講演には、新潟県立瀬波病院リウマチセンター院長 村澤章先生「関節リウマチのケアとリハビリテーション」、山形大学医学部情報構造統御学・形態構造医学分野教授 内藤 輝先生「上肢筋反射回路の研究法」を予定しています。

(事務局担当幹事:金澤雅之)

医局だより:鹿児島大学医学部リハビリテーション科

鹿児島大学医学部リハビリテーション科

 当教室は1988年に国立大学初のリハ医学講座、リハ科として開設され、研究施設を鹿児島市の桜ヶ丘キャンパスに、臨床施設を霧島リハセンターに置くという形をとっている。2003年の大学院大学への改組により、教室名称が運動機能修復学講座 機能再建医学となった。初代教授の田中信行先生が当教室の礎を築かれ、2005年6月に川平和美が第二代教授に就任した。開講17年が経過し、これまでに日本リハ医学会認定リハ科専門医35名を輩出し、着実にその臨床、研究、教育における実力を高めつつある。

 霧島リハセンターの外来は地域の病院として生活習慣病や一般内科診療も行い、患者数は年間延べ1万名を越える。病床は50床で年間約360名の入院患者があり(稼働率約95%)、中枢神経疾患が全体の6割以上を占める。2005年4月に訓練室の拡張とセラピストの増員が図られ(現在、PT 5名、OT 3名、ST 1名)、リハ総合承認施設となった。これまでに多くの新たな治療法として、促通反復療法(川平法、他)、機能的振動刺激法、外眼筋麻痺への迷路性眼球反射を用いた促通法、機能的経頭蓋磁気刺激法、コンピューターと連動した自動訓練装置(鹿児島大学工学部との共同開発)、蛋白同化ホルモンの応用等も提唱してきた。また、運動浴やサウナの利用など温泉(温熱)利用の治療と研究も積極的に行っている。教育面では講義の他、医学部5年生の臨床実習は各グループ2週間ずつ霧島リハセンターで行っている。

 大学病院本院リハ室では、入院患者を中心にほぼ全ての診療科から年間約1,000名の新患紹介があり、需要は増える一方だが、セラピストの配置が5名しかないためマンパワー不足が問題である。本院研究室では、筋力増強の分子生物学的研究として筋特異的転写因子のmRNA発現の研究や、筋成長因子のMGFmRNAなどの測定、さらにラット脳梗塞片麻痺モデルを用いて、リハアプローチによる麻痺の改善や神経栄養因子発現の基礎的検討を行っている。また、膀胱の筋収縮標本を用いた薬理学的研究やラット脊髄損傷モデルで膀胱内圧を測定し、薬剤の膀胱平滑筋への作用を解析して神経因性膀胱治療への応用も模索している。

 新体制のもと、さらなるリハ医学の発展を教室員一丸となって進める所存である。

 

(下堂薗 恵、川平 和美)

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
運動機能修復学講座 機能再建医学
〒890-8320 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1
TEL 099-275-5339、FAX 099-275-1273
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院
霧島リハビリテーションセンター
〒899-6603 霧島市牧園町高千穂3930-7
TEL 0995-78-2538、FAX 0995-78-8390

REPORT

第17回リハ・カレントトピックス&レクチャー(日本リハ医学専門医会学術集会)

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室  藤原 俊之 

 2005 年10 月22 日~ 23 日に松本茂男大会長(青森県立中央病院)(写真右) のもとに、カレントトピックス&レクチャー(日本リハビリテーション医学専門医会学術集会)が青森にて開催された。これまでの専門医会が日本リハビリテーション医学会の中の新たな専門医会として発足するにあたり、長年専門医会の学術集会として行われてきた本学会もこれが最後となった。その区切りの大会として内容も充実しており、日本のリハをリードするリハ専門医の集いにふさわしいものであった。

 専門医の使命にはリハの科学性の追求と専門医の養成、教育がある。専門医会もこの2 つの大きな使命を柱として構成されている。本大会においても、1 日目のパネルディスカッションにおいて、「臨床研修必修時代におけるリハビリテーション科専門医養成システムについて」と題し活発な討議がなされた。さらに2 日目の教育講演においては、東京慈恵医大の宮野先生が「リハビリテーション科専門医のIdentityと求められる専門医像」と題して、我々専門医の成すべきことを示された。ともに我々専門医の重要な使命である専門医の育成、教育について考えさせる内容であった。もう1 つの使命である科学性の追求に対しても「嚥下障害のリハビリテーション」と題して、嚥下リハの第一線で活躍されている先生方による講演があり、またこれもリハ専門医に必要不可欠な電気診断学について、弘前大学神経内科の馬場先生の特別講演があった。一般演題は5 題と演題数は少なかったものの、内容は興味深いものが多く、質疑応答も盛んなものであった。

 さらに2 日目には「脳卒中リハの動向―早期リハを中心に―」と題して石神先生が熱く脳卒中リハのあり方と専門医としての取り組みを語られた。特に「急性期のリハは、「安静臥床による廃用症候群」の予防のみを目的とすることだけではない」という言葉には、リハ科専門医のあるべき姿が込められており、日常の臨床を反省する良い機会となった。いつもながら、本学会の参加後には、リハ科専門医としての責任を痛感する次第である。

第32回国際福祉機器展報告

広報委員会  赤星和人

 第32回国際福祉機器展が2005年9月27日から3日間、東京ビッグサイトで開催されました。日本リハビリテーション医学会は、広報活動の一環として、2年前より展示ブースを出展しておりますが、今回は展示スペースを2ブースに拡大して、リハビリテーション科専門医の存在を一般の方々に広く知っていただくとともに、福祉機器業界に関わる方々にも、リハ科専門医がその開発に深く関わっていることをアピールすることを目的として企画、展示を行ってまいりました。

 主な展示内容としては、まず、一昨年好評を得たリーフレット「リハビリテーション科医って何ですか」(詳しくはリハニュース24号をご覧ください。ホームページ上でご覧になれます)、「リハ科専門医の都道府県別名簿」、また、会員のみなさまからご応募いただいた「リハ科医が関わる福祉機器開発」一覧表を配布いたしました。この福祉機器開発に関しましては、みなさまから23件もの情報をいただき、今回はそのうち義肢や言語訓練機器など数点の実物展示もさせていただき、大いに好評を得ました。また、展示パネルも倍増し、学会ホームページ「市民の皆様へ」に掲載しております「各疾患のリハビリテーション」や「福祉機器とリハビリテーション科医のかかわり」「リハビリテーション研修施設一覧」などの展示を行いました。なかでも「研修施設一覧」は配布資料の「リハ科専門医の都道府県別名簿」とあわせて一般の方々の関心が高く、リハ医療に対するニーズの大きさをあらためて感じさせられ、今年の福祉機器展や今後の広報活動における重要課題であることを強く再認識させられました。

※国際福祉機器展に関する詳しい情報は、国際福祉機器展のweb site : http://www.hcr.or.jp/でご覧ください。 

※展示会にご協力いただいた会員の先生方に御礼申し上げます。
鈴木亨先生(藤田保健衛生大学七栗サナトリウム)、阿部玲音先生(小田原市立病院)、清水康裕先生(藤田保健衛生大学リハ医学講座)、殷祥洙先生(東京慈恵会医科大学リハ医学講座)、野々垣学先生(茅ヶ崎市立病院) 

 

第40回日本脊髄障害医学会

国立病院機構村山医療センターリハビリテーション科  田中 尚文

 本学会は、昨年11 月11 日( 金) ~12 日( 土)、笹川記念会館にて、国立病院機構村山医療センターの柴崎啓一名誉院長(写真右) が学会長を務められ、脊髄再生医療と脊髄損傷の排尿管理を2 つの大きなテーマとして、シンポジウムや特別講演が企画された。現在、日本脊髄障害医学会の会員数は約1,300 名であるが、本学会には医師約300 名、コメディカル約40 名が参加し、一般演題の140 題を加えて、計164 題の演題発表が行われた。

脊髄再生医療に関して
 シンポジウム「脊髄損傷研究に関する最新知見」では、シンポジストより、骨髄間質由来細胞、神経幹細胞あるいは内在性神経前駆細胞を用いた細胞移植、顆粒球コロニー刺激因子や遺伝子導入など脊髄再生医療に関する研究が発表され、討論では、まず脊髄損傷研究において実験モデルや評価を統一する必要があることが指摘され、移植方法と移植に適した時期などについて活発な討論が行われた。ランチョンセミナー「Stem Cells for the Treatment of Myelin Loss」では、米国 Reeve-Irvine Research Center の Hans S. Keirstead 先生が脊髄損傷に対する幹細胞移植療法について講演された。特別講演「中枢神経系の再生医学」では、慶應義塾大学生理学教室の岡野栄之教授が、ヒトと同じ霊長類であるサルにおいて移植された細胞はNeuron やOligodendrocyte に分化し、損傷された脊髄内でその機能回復を担っていると講演された。 

脊髄損傷の排尿管理に関して
 特別講演「脊髄障害者の健康とQOLを高めた自己導尿法の世紀」では、北九州古賀病院の岩坪暎二先生が、自己導尿の優位性について、豊富な自験例を示しながら、選択的くも膜下腔腰神経ブロック法や陰茎プロステーシス手術などの併用の有用性とともに講演された。シンポジウム「自己導尿法に関わる諸問題」では、脊髄損傷急性期・慢性期に加えて二分脊椎症における間欠導尿法の問題点についても討議された。  

脊髄損傷のリハビリテーションに関して
 シンポジウム「脊髄損傷のリハビリテーション:機能改善に向けての挑戦」では、脊髄損傷の機能障害を上肢機能障害、下肢機能障害、歩行障害、痙縮および呼吸機能障害の5 つのテーマに分けて発表がなされた。発表では、不全頸髄損傷の上肢機能障害に対して残存機能に適した装具療法などの治療手段の選定が重要であること、歩行再建では歩行支援ロボット、装具とFES または動力源を組み合わせたシステムなど、痙縮に対する治療ではバクロフェン髄腔内投与療法が紹介され、呼吸機能障害に対しては呼吸補助筋の筋力訓練に加えてアンビューバックを用いたair stacking 訓練が有用である可能性が報告された。  

第35回日本臨床神経生理学会学術大会

市川市リハビリテーション病院  小林由紀子

 第35 回日本臨床神経生理学会学術大会が、満留明久大会長(福岡大学医学部小児科学教室主任教授)のもと、2005 年11 月30 日~ 12 月2 日の3日間にわたって福岡国際会議場で開催されました。

 本学会は、2000 年に「日本脳波・筋電図学会」から「日本臨床神経生理学会」に名称が変わりました。今回の学術大会においても、脳波、筋電図に加え、磁気刺激、脳機能イメージング、認知機能についての神経生理学的研究など、発表領域は多岐にわたりました。プログラムは非常に内容の濃い構成であり、会場は予定表を片手に移動する多くの参加者で賑わいました。

 12 題の教育講演や11 のシンポジウムでは、基礎的な事柄から最近の話題まで、幅広い内容が扱われ、ワークショップやハンズオンセミナーでは、臨床に即した、実際の検査手技についての講習や症例検討が行われました。特別講演では、Peter Brown 先生(UCL)がパーキンソン病におけるbasal ganglia-cortical loop についてβ バンド活動の同期を中心に、長谷川寿一先生( 東京大学) が進化心理学と臨床神経生理学の連携について、Guillermo Paradiso 先生(Toronto Western Hospital)が腰仙髄の術中神経生理学的モニタリングについて、それぞれ貴重な講演をしてくださいました。

 一般演題では、ポスター発表、口演とも、基礎・臨床医学両面において多くの興味深い発表がなされ、活発な討論が繰り広げられました。中には、香りや音楽、飲酒、足湯など、日常的な事柄が生体に及ぼす影響を神経生理学的に分析したユニークな発表もありました。討論の中では、鋭い質疑応答のみならず、今後の研究発展に寄与するコメントも多く交わされ、当学会やそれぞれの専門領域を盛り上げていこうという機運が感じられました。

 次回の第36 回学術大会は、2006年11 月29 日から12 月1 日まで、神奈川県のパシフィコ横浜で開催される予定です。神経生理学はリハビリテーション医学において、生体機能や障害の機序を明らかにする研究はもちろんのこと、機能障害の評価、治療効果判定などの客観的指標として、非常に重要な分野です。また、今回の大会でも周知されたように、2006 年より当学会による認定医・認定技術師の移行措置による認定が開始され、より一層の発展が期待されます。次回も、より多くの皆様に参加をお勧めします。

医学生リハビリテーションセミナー

2006年医学生リハセミナーにご協力いただける施設

●北海道大学病院 ●札幌医科大学 ●渓仁会西円山病院 ●東北大学病院●宮城厚生協会坂総合病院・長町病院●獨協医科大学リハ科 ●慶應義塾大学 ●昭和大学リハ科 ●帝京大学医学部リハ科 ●東京慈恵会医科大学第三病院リハ科 ●杏林大学病院 ●順天堂大学順天堂医院 ●東海大学●横浜市立大学附属病院・附属市民総合医療センター ●茅ヶ崎市立病院●済生会横浜市南部病院 ●横浜旭中央総合病院 ●千葉大学医学部附属病院・千葉県千葉リハビリテーションセンター ●日本医科大学付属千葉北総病院 ●亀田メディカルセンター・国立国際医療センター  ●「医学生とリハビリテーションを語る会」●埼玉医大リハ科 ●群馬大学医学部附属病院 ●財団法人脳血管研究所美原記念病院 ●新潟県立六日町病院 ●金沢大学病院 ●金沢医科大学リハ科 ●やわたメディカルセンター ●恵寿総合病院 ●相澤病院 ●慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター ●聖隷三方原病院 ●浜松市リハビリテーション病院 ●静岡市立清水病院 ●藤田保健衛生大学 ●医療法人(社団)大和会日下病院 ●大阪医科大学付属病院リハ科●特定医療法人大道会森ノ宮病院(4月1日よりボバース記念病院から移行予定) ●東大阪生協病院 ●和歌山県立医科大学リハ医学 ●和歌山生協病院リハ科 ●兵庫医科大学リハ医学教室・関西リハビリテーション病院ジョイントセミナー ●労働者健康福祉機構関西労災病院 ●川崎医科大学●岡山大学附属病院リハ部 ●吉備高原医療リハビリテーションセンター  ●倉敷中央病院リハ科 ●広島大学病院リハ部 ●西広島リハビリテーション病院 ●山口労災病院 ●おさか脳神経外科病院 ●国立病院機構徳島病院 ●高知大学医学部附属病院リハ部●医療法人仁泉会朝倉病院 ●産業医科大学リハ医学講座 ●久留米大学リハビリテーションセンター ●鹿児島大学医歯学総合研究科機能再建医学(旧リハ医学講座) ●クオラリハビリテーション病院 ●医療法人中心会野村病院 ●ちゅうざん病院

訂正
リハニュース28 号(1 月15 日発行) (8 頁目左段) に誤りがありましたのでお詫びして訂正します。 ( 誤) 兵庫県医科大学→ ( 正) 兵庫医科大学  

2006年医学生リハビリテーションセミナー開催の準備状況

 2006年も例年と同様に、医学生の春期・GW・夏期休暇を利用した医学生リハビリテーションセミナーが開催されます。研修施設における医学生を対象としたリハセミナー開催につき研修施設指導責任者の先生方にご協力を依頼したところ、65施設から開催予定のご連絡をいただきました。多くの施設にご協力をいただくことができ、この場を借りてお礼を申し上げます。現在、ポスター作成および学会ホームページでの案内を準備しておりますので、ご利用いただければ幸いです。

(教育委員会 セミナー担当)

2005年セミナー参加者の感想

横浜市立大学慶應義塾大学医学部2年 小川 亮

 病気を治すだけでなく、患者さんができる限り今まで通りの生活をとり戻すことを目的としたリハ医学には以前から興味がありました。しかし、実際に治療を行っているのは理学療法士や作業療法士というイメージが強く、リハ科医がどのような役割を果たしているのかがよくわかりませんでした。リハ科の一日を体験したいと思い、セミナーに参加させてもらいました。

 午前中は病棟回診と外来の患者さんの診察を見学しましたが、2つのことに驚きました。1つ目は、障害は交通事故、脳卒中、関節リウマチ、精神疾患など、様々な要因によって引き起こされていることです。もう1つはリハ科には幅広い年代層の患者さんが訪れることでした。午後は治療・施設の見学をして、チーム医療の中でのリハ医の役割について先生に教わりました。リハ医は診断と治療の処方をするだけでなく、カンファレンスで患者さんの治療終了後の生活・仕事の制限や自宅の改造などについてほかの医療スタッフと相談して、それを患者さんと患者さんの家族に説明するとのことでした。当たり前のことですが、治療終了後の患者さんの生活は患者さんにとってはとても大切なことであり、医者はそこまで考えてあげる義務があると感じました。

 特に印象に残ったのが、脳卒中の手術直後の意識レベルがまだ低い患者さんの診察に同行したときのことです。手術は成功しても障害が残ってしまっては、患者さんはもとの生活に戻れない、と先生に言われました。だから障害が残らないように、患者さんの意識レベルが低くても関節を動かしてあげて、早い時期からリハを開始することが大切であると教わりました。

 素直な感想として、患者さん一人ひとりとじっくり接し、徐々に回復へと導くというリハ医の仕事はやりがいがあるものだと感じました。一日という短い時間でしたが、リハ医がどのように患者さんや医療スタッフと関わるかを見ることができ、充実した一日を過ごせました。実際の医療の現場で得たこの貴重な体験を忘れず、今後の勉学に励みたいと思います。

聖隷三方原病院 

 今回3月31日、4月1日の2日間、聖隷三方原病院での春期リハセミナーに参加しようと思ったのにはいくつかの理由があります。まず、今日の医療において急性医療の相対的な減少と共に慢性的な疾患が重きを占めてきたことがあります。このような医療情勢の中、リハが医療全体に占める働きもこれからますます重要になってくると思われます。また、患者さんのQOLがその患者さんにとってばかりか、その医療の意義に関わってくる傾向にあります。このことも、リハの大きな目的である患者さんのQOLの向上と一致します。
 また、三方原病院でのセミナーを希望したのにも理由があります。まず第一の理由は、三方原病院は全国で初めてのホスピスを創設したということです。ホスピスの精神はリハに通じるところがあり、根本は同じような精神があると考えます。また、第二の理由として市中病院ではないことが挙げられます。普段名古屋市立大学に学び、体験実習も市中病院が主である私にとって、異なった環境にある病院を見学することに意味があると考えました。
 以上のような理由でセミナーに参加し、その結果としていろいろなことを体験し、また知ることができました。とくに印象深かったのは、聖隷三方原病院で出会ったリハ科にかかっている患者さん達は、他の病院で見ることのできる患者さんに比べてとても生き生きとしているように見えたことです。このように患者さんが生き生きとしているのはその担当の先生のリハに対する深い理解はもちろん、その病院が患者さんのQOLに対して誠実に、真摯に考えていることの表れだと考えます。リハ科の皆さんには大変お世話になりました。先端のリハの技術はもちろん、その精神に触れることができたと思います。

 

 3/31、4/1のセミナーは私にとって初めての病院見学で、何も知らないまま参加してしまいましたが、得るものが沢山あったように感じています。3年生の学習内容ではわからないことなどしばしばありましたが、臨床の医療を目の当たりにしてより一層勉学に励みたいと思いました。X線撮影室を見学したとき、患者さんの家族にはX線撮影室の中をすべて公開していたことに少し驚きました。患者さんと医師との信頼関係が築かれていく上で、当たり前のことなのかもしれませんが、このことは私にとってとても新鮮でした。X線撮影室で嚥下のテストをされた3人の患者さんにお会いしましたが、最後の男性の嚥下のテストを先生がされていたとき、患者さんにとって術後初めての固形食になることを教えていただきつつ患者さんが苦労しながら頑張って飲みこんだのを私も拝見しました。それと同時に涙を流されているところに、私もなんだか人ごとではなく涙が出ました。自分で物を食べて、そして飲み込む。普段何も意識せずにしてきたことは実はすごく大事なことで、そしてすごく必要なことなのだということを切実に感じました。お恥ずかしい話ですが、私は時々異常にモチベーションが低くなるときがあり、今考えるととても情けなく思います。今回のセミナーでそんな自分を今後少しずつでも見直していきたいと思いました。また次の機会があれば参加したいと思います。

 

 筑波大学にはリハ科がないこともあって、リハ科に触れること自体初めてといってもよい経験でした。
 聖隷三方原は、嚥下リハが有名ということは以前から聞いていたのですが、スタッフが多いことにまず驚かされました。嚥下カンファではPT・OT・ST・栄養士・看護師の方々が、プレゼンテーションを手際よく行って、積極的に発言していたのが印象的でした。チーム医療ということを、少し実感できました。
 先生にいただいた「口から食べる」を読ませていただいています。Q&A方式で読みやすく、患者さんでも理解できそうな内容です。嚥下障害の患者さんというのは潜在的には多数存在していると想像します。大学の実習で、チューブを入れていた高齢の患者さんに対して、経過が良好であったためチューブを抜いて食事に切り替えたところ、数日で誤嚥性肺炎になってしまったのを思い出しました。自分は、小児喘息を引きずっていることから、専門を持つなら呼吸器内科を考えています。一方サークルでアカペラをやっていて、営業で老人ホームに行くことがあります。そんなうまいわけではないけれど、昔の歌を用意していくととても元気な顔をしてくださる。そんな経験もあってか、老人医療にも興味があります。先生の外来に、「口から食べる」という書?が置いてありましたよね。身体機能の低下がやむをえない高齢者にとって、口から食べられることの喜びとか、それだけに限らず、笑ったり、歌ったり、歩いたり、入浴したり、排便したりそういう部分に目が行く医療をやらなくちゃだめだよなと思いました。現実は、とてもご苦労の多いことだろうと想像しますが。

 

 富山医科薬科大学医学科5年 弓野 綾

 私は去る5月2日に聖隷三方原病院リハ科で行われたセミナーに参加いたしました。病院実習に申し込んだ日取りがセミナーの日と重なっていたため受講させていただいたのですが、外来・検査・各種リハの見学・カンファレンス・さらには親睦会と盛りだくさんの充実した日を過ごすことができました。
 特に印象に残っているのが嚥下カンファレンスで見せていただいた嚥下造影と、バルーンカテーテルを用いた基礎訓練です。どちらも嚥下障害の状態が眼で見られるので、知識の薄い私にも比較的分かりやすく、興味深く見ることができました。嚥下障害のリハは慎重な基礎訓練や嚥下訓練の上に成り立っているのだなと感じました。
 リハ科全体で印象に残っているのは、ST、PT、OTの方が医師や看護師の方と活発に議論しながらリハの方針を決めていく様子です。リハ科であれば当然のことなのかもしれませんが、今までは病院で医師・看護師しかみていなかったため、医療は各方面のプロが集まって行われているという実感が新鮮でした。職種間の垣根が低く、学生に対しても親切にしていただき、皆さんが冗談を言ったりしながら楽しそうに仕事をしている雰囲気が魅力的でした。
 一日を通して、藤島先生をはじめ1年目2年目の研修医の先生方と一緒に行動し、リハに関する疑問や卒後研修の様子について気軽に質問できたことが私にとって大きな収穫でした。親睦会でもいろいろなことを話すことができ、とても参考になりました。ぜひ今後も、このようなセミナーを続けていっていただければと思います。

鹿児島大学島根大学医学部5年

 私は、今回3泊4日のリハセミナーで、リハとは何か?リハ科専門医がどのようなことを行い、患者様との関係を築いているのか、ということを知りたくて参加を希望しました。今回のセミナーで、私の希望以上のものが得られ、本当に感謝しています。大自然に囲まれた環境もさることながら、スタッフの方々の温かく、熱心な活動で、リハの醍醐味を感じられました。

 佐賀大学医学部医学科5年

 施設見学や装具の説明、実際の患者さんを介した症状の説明から、勉強不足な私の質問にも一つひとつ丁寧に答えてくださり、身に余るご好意、本当にありがとうございました。一日だけでしたが、七夕会や飲み会まで参加できたことで他の先生方や職員の方々にもいろいろなお話を聞かせていただくことができましたし、病院内の雰囲気にも魅力を感じました。自分の専門を決めるまでにはまだ時間がかかりそうですが、リハの視点や考え方はどの科を廻るときも視野に入れておきたいです。その視点や考え方もまだまだ勉強不足ですが・・・。今回の実習で得たことをこれからも忘れず、活かしていきたいと思います。

事務局だより

 昨夏のベテラン2 名同時退職の後を引継ぎ約半年、どうなることかと思いましたが、新人3 名(とは言ってもこれを書いている私は新人とは言い難い年齢ですが)お互い助け合い協力しながら何とか毎日頑張っています。事務局長も少しはホッとしてくれていると良いのですが・・・。医学会での仕事は初体験になりますが、医療を取り巻く問題の多岐にわたること、また先生方の超多忙な日常を知るなど日々新鮮な刺激を受けています。加えて、リハビリテーション医学はリハ科専門の先生ばかりでなく、他科の先生方にとっても大変重要な分野ではないかと感じ始めています。そう考えるともっと会員数が増えても良いのではないでしょうか? 会員数が倍増しても対応できる事務局でありたいと思っています。それから毎回のことになりますが「変更届を忘れずに!」お願いいたします。先生方のお忙しさは充分承知しておりますが、転勤転居の変更が速やかに処理できないことで様々な支障が生じています。届出用紙は毎月の学会誌・ホームページに用意されているものをご利用ください。最後に、本年が日本リハビリテーション医学会にとって良き発展の一年になりますように!

(事務局 川澄淑子)

広報委員会より

 新年あけましておめでとうございます 

 今冬は当初から全国的に厳しい寒さに見舞われており、大雪による被害も多発しているようです。被害にあわれた方々にお見舞い申し上げますとともに、厳寒のなか、地域医療に奔走されている多くの先生がたのご尽力に敬意の念を表したいと思います。

 さて、厳しい冬といえば、今年の医業界は、医療費の削減、診療報酬の大幅な改定にともない、非常に厳しい冬を迎えようとしています。日本リハビリテーション医学会広報委員会といたしましては、これらの重要な情報に関しましては、適時、的確な内容を皆様にお伝えできるように努力しております。今回の特集では、介護保険制度と障害者自立支援法について取り上げさせていただきました。医療現場に携わる者のひとりとしましては、これが何よりも患者さまやご家族、障害をもった方々の幸せを少しでも大きなものとする方向にむかってくれることを願うばかりです。

 さて皆様ご承知のことと存じますが、昨年12 月に「運動器リハ研修会へのリハ医学会の対応について」をリハニュース臨時号として発行させていただき、また、ホームページ上にも掲載させていただきましたところ、多くの先生方から貴重なご意見を頂戴いたしました。広報委員会ではこれらのご意見を十分検討させていただき、また、会員の先生方に有意義な情報として提供できるよう準備をすすめております。今後も引き続きご意見を募集しておりますのでよろしくお願いいたします。貴重なご意見をくださった先生方、まことにありがとうございました。本年もリハニュースをご支援のほどよろしくお願い申し上げます。 

(赤星和人)

訃報

 名誉会員 明石 謙先生(川崎医科大学名誉教授 享年70歳)が、2005年11月5日にご逝去されました。謹んでお知らせするとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。