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リハニュース No.3

  1. 専門医コーナー:専門医の声

  2. REPORT:介護保険はリハビリ保険 開業医の立場から

  3. INFORMATION

    評価・用語委員会

    関連専門職委員会

    会則検討委員会

    企画調整委員会

  4. 第37回日本リハビリテーション医学会学術集会のご案内

  5. 医局だより

    東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野

    心身障害児総合医療療育センター

  6. 日本リハビリテーション医学会ホームページ開設について

  7. 国際委員会より:海外研修助成のお知らせ

  8. 展望・専門医会:専門医会について

  9. 専門医コーナー:専門医の声

専門医コーナー:専門医の声

高橋 博達(国立療養所宮城病院リハ科)

 私の素性を一言で表現すると,『3年前にリハ医師に転向した元脳外科医師』となる.約10年間の脳外科医生活からの転身ではあるが,いまさら前科に未練はなく脳外科医のアイデンティティを引きずる気もさらさらない.それだけリハ医学・医療が今の私にとって魅力的でエキサイティングで楽しくて仕様がないのである.脳卒中等で甚大な後遺症を有する個人に対して,自分の得意分野・能力・キャラクター・誠意・興味を総動員して取り掛かることを許されている現状は,私には地上の楽園と言えそうである.そんな夢心地の中で最近感じ始めていることがある.

■駆け出しの私は1998年の1年間,所沢の国立身障者リハセンターに身をおいて,リハ医療研修と全国約20カ所のリハ施設・団体を見学し体感する機会を得た.訪問先での素晴らしいリハ医・スタッフ・医療システムとの出会いが,まさに私の地上の楽園への扉を開けてくれた.急性期から訪問までの一貫したリハシステムを確立したA病院,身障者スポーツを有機的にリハに生かすB施設,摂食嚥下障害への卓越したアプローチ内容とシステムを持つC病院,脳損傷後の認知障害にチームで取り組むD病院…?.こんなに立派なことをサラリとやっている,強力なリーダーシップを持つトップランナーたちに触れられたことは,私にとってこの上ない財産である. 

■しかしその一方でこんな考えが起こってきた.個々のトップランナーたちはこんなにも素晴らしいのに,なぜその活動が全国に広まっていかないのだろう.例えば日本脳神経外科学会で発表された合理的な治療法・術式・道具は急速に全国の脳外科施設に広がって行き,数年後には全国のスタンダードになってしまう.脳外科という分野には,そんなピラニアのような貪欲さを持つ医者がゴマンと居るのである.自分の得意技を増やす機会を逃すまいとする緊張した空気が漲っているのである.残念ながらリハ医学会は,ピラニアの数と貪欲さにおいて脳外科学会の後塵を拝していると言わざるを得ない.将来,リハ医学会が獰猛なピラニアの巣窟となり,圧倒的なアクティビティーが障害者医療を発展させていく姿を,夢見心地の意識の中でイメージしている次第である.

REPORT:介護保険はリハビリ保険 開業医の立場から

畑野 栄治(はたのリハビリ整形外科)

 介護保険がらみの事業を展開している民間医療機関にあっては,福祉・企業・NPOなどとの顧客争奪戦において介護支援専門員をいくら持っているかは法人の死活問題である.当法人からは私を含めて9人の介護支援専門員が誕生し,実務研修会に参加したのでその印象を述べる. 

 「歩けない,食事が自分でとれない」ということで介護保険利用申請者があれば,何のためらいもなく「自分でできなければ,ヘルパーを派遣して支援しましょう.日中は通所介護でケアしてあげましょう」と,あたかも何もできない弱い立場の人に福祉系介護サービスを提供してあげるという感じであった.利用者本人の「残存機能の有効利用」や「自立支援」などの介護保険での基本的理念がどこかに忘れ去られている.このような福祉系サービスばかりに囲まれた利用者はどのようになるであろうか? 

 例えば,家事型ホームヘルパーが家族や利用者から調理や掃除などを依頼されれば業務の性格上,きき手を後ろに組んだ支援が困難となり,過剰に手を出さざるをえない.「できることでもできなくする」可能性があり,それがやがて残存機能までも殺してしまい,寝たきりを作るための介護保険になりかねない. 

 したがって,例えば通所サービスを選択する際には「要援護者が受け身的になり易い介護主体の通所介護(デイサービス)」よりも,「リハビリにより少しでも介護量の減少を期待できる通所リハビリ(デイケア)」の方を優先させるべきであり,この方が介護保険の理念に合致している.

 福祉系サービス主体のケアプランを全く否定するものではないが,ホームヘルパー派遣や通所介護などで構成される『福祉系の介護サービス主体からなるケアプランは,リハビリによる効果がこれ以上期待できないと思われるケースに限るべき』である.その際,主治医には要援護者が「リハビリの効果を期待できない真の要介護状態であるのか?」あるいは「リハビリを行えば機能が改善して介護量が減少するかあるいは介護予防が可能な仮の要介護状態であるのか?」を見極める能力,すなわちリハ専門医が得意とするリハ効果とゴールを予測できる能力が求められる.また,判定された要介護度によりサービス給付の金額がランク分けされている点が利用者の権利と微妙に関わってくるので,「故意の要介護状態」を見抜く能力も必要となる.

 このように介護保険ではリハ医のアイデンティティを発揮できる場面はいくらもあるが,地域にはリハマインドのある医師があまりにも少ないのが悩みの種である.介護保険はリハ開業医にとっては追い風であるので,リハ医は夢を持って業務に専心して欲しいものである.

INRORMATION

評価・用語委員会

住田 幹男(委員長)

 当委員会は,学術部の組織再編の下,学術用語委員会と評価基準委員会との統合で新たな委員会として発足した.主たる業務は,「リハ医学の評価体系の検討と基準化をはかるとともに,リハ医学の研究・臨床活動に必要な学術用語を選定,会員及び関連諸学会員に周知する」としている.旧委員会ではすでに介護保険かかりつけ医意見書マニュアル(リハ医学1999;36:7-19),1997年リハ医学用語集の作成などの活動をしてきた.

 現在進行中の課題は,大きく2つある.第一は国内および国外の主要雑誌において使用されている評価法についてdatabase作りを目指した評価基準基本活動であり,その詳細は学会誌(リハ医学1999;36:553-555)にその成果が発表されており,詳しい検索法等については,委員長宛にお問い合わせ願いたい.会員各位のご利用を切に期待している.また第二はリハ医学用語集がなお残部が多くあり,関連施設等でのご利用をお願いしたい.なお,用語については日本医学会では所属の分科会からの意見を調整して用語集の発行を予定されている.さらに2002年にリハ医学用語集が再編集される予定であり,準備を開始しつつある.また新しい用語が氾濫しているが,当委員会では学術的な観点から会員からの要請があれば,できるかぎりQ&A方式で学会誌やニュースレター等評価・用語委員会質問箱で公表することとしているので,是非委員長宛に活発に質問や提起をお願いしたい.

関連専門職委員会

齋藤  宏(委員長)

 従来の関係職委員会が平成11年4月より名称変更して関連専門職委員会となりました.リハ医学会の組織では社会保障部に属します.業務はリハに関連する保健・医療・福祉・その他の分野に属する専門職の諸問題について検討しその連携を図るものであります.関連専門職の最近の動きとしては,言語聴覚士法の制定(平成9年),介護保険制度の整備などがあり,また,21世紀医学・医療懇談会からは医療人や介護関係人材の育成のあり方についての報告書が出されております.

 言語聴覚士,ケア・マネージャーなどの法制化に伴い,リハ医学と密接に関係する関連専門職の枠組みも大きく変化しつつあります.この新たな時代に対応するために,委員会では従来とは異なった,各専門職が対等に問題を提起し,議論できる協議会形式の会議の設立を新たに企画しております.会議の目的は,リハに関連する分野に属する専門職の連携と共生を図り,リハの発展に寄与することにあります.名称や内規については,目下検討を進めている段階です.

 本委員会の業務の1つである理学療法士作業療法士養成施設等教員講習会(第26回,東京・大阪)と在宅訪問リハ講習会(第8回,東京・名古屋)の運営も例年通り実施いたします.

会則検討委員会

鈴木 堅二(委員長)

 会則検討委員会は平成10年秋,千野理事長体制になり復活しました.通常諸学会に会則(あるいは定款)に関わる委員会は常設されていますが,役員や評議員の定年制の問題などを残したまま企画調整委員会の発足とともに,旧委員会は消滅した経緯がありました.

 新委員会は石神重信常任理事,緒方 甫担当理事,鈴木堅二委員長,上好昭孝,千田富義,才藤栄一の委員で構成されています.当委員会の再出発にあたり当委員会の役割や業務について検討がなされ,また新体制下における各種委員会の内規について再検討がなされました.旧会則検討委員会で行っていた「医師以外入会希望者の資格審査」は今後は企画調整委員会で行われることになりました. 

 総会での議決に関した定款第43条の改正および定款施行細則が旧企画調整委員会で調査・検討され,平成11年度総会で了承されました(リハ医学「報告」1999;36:558-579).

 今後の当面の大きな課題として役員・評議員の定年制の改正があり,会員諸氏のご意見をお待ちしております.

企画調整委員会

宮野佐年(委員長)

 企画調整委員会は平成9年5月17日に第1回の会議が開催された.当委員会の主な設立目的は,当時理事会で審議されてきたリハ医学会の組織機構改革をスムーズに実行するためと,事務局機構を強化するためであった.

 そのため,理事会からの諮問を受けて,新しい組織図の企画・検討,各種委員会の統廃合や新設,さらに業務分担などを提案し,理事会で検討されてきた.そして,理事会の決定を受けて,新組織への移行のための方策などを立案し,理事会で決定された.平成11年3月13日にリハ医学会の新組織および担当業務が決まり,現在新組織が活動を始めている. 

 新組織は,各種委員会が12あり,学術部,社会保障部,総務部の3部会に分けられ,各部会間の連絡が常任理事や理事,委員長を通してスムーズにできるように考慮された.また,既存の各種委員会は統廃合され,学会の広報を充実し,国際化に対応できるように広報委員会,国際委員会が新設され,活発に活動している.

 今後の当委員会の活動として,新しい組織での各種委員会が効率的に活動できるよう調整していくと共に,リハ医学会事務局機能の強化と効率化を目指したいと考えている.

第37回日本リハビリテーション医学会学術集会のご案内

石神 重信(第37回日本リハ医学会学術集会 会長・防衛医大リハ部) 

 久しぶりに東京で行われる学術集会は,来年6月22日から24日までビッグサイトで開催されます.2000年はミレニアムという記念の年だそうですので,充実したプログラムを作ってご期待に応えたいと思っています.

 リハ医学も発展して,治療方法とその効果を重視するEBM(Evidence-based Medicine)の時代に入ってきました.今回は,各施設で行われている治療,クリニカルパスと治療効果を徹底的にdiscussionしていただきたいと思い大幅な時間を割きます.また,介護保険が導入されて間もない時期ですので,リハと介護保険,在宅ケアでも,実際的な講義とともに,直面している問題をいかに解決するのか,多くの識者を中心に,率直な意見交換を期待しています.工学関連の学会からの展示や発表を期待しています.大きな展示場ですのでいろいろなアクティビティもご期待ください.

 リハ医学会も世代交代を迎えてきました.若手に期待するパネルディスカッションやシンポジウムといった企画ものの他に,updateの知識をレビューするミニレクチャー(10~15分),エキスパートに聴く(listen to expert)のようなくつろいだ講義,在宅リハの実技をまじえた実際的な市民公開講座,外国からは大勢の講師が参加を予定しており,英語が公用語のinternational sessionなど新機軸を考慮しています.聴く学会から話す(参加する)学会へをモットーに多くの演題の応募をお願いします.

 今回の学術集会から生涯教育の点数が,学会参加の2点のほかに,教育プログラムで4点(合計6点)が取得可能となりましたので,診療に多忙な認定臨床医の先生方も,是非ご参加ください.参加しやすい教育コースにも十分配慮したプログラムを用意します.

 ナウなお台場もごく近くのすばらしい立地条件ですので,ご家族もご一緒にいらしてください. 

 経済的にも厳しい折柄,お金をかけずに内容で勝負する学会をめざし,少ない教室員とともに頑張りますので,よろしくご協力ください.

医局だより

東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野

 東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野は,1993年に同大学院医学系研究科障害科学専攻の1分野として誕生した.同じ障害科学専攻の内部障害学分野,高次脳機能障害学分野,機能再建学分野とともに,東北大学医学部付属病院におけるリハ科を構成している.分野の使命としては,大学院としての院生の教育と指導,医学部学生の臨床実習を含めた教育,病院における診療,若手医師の育成である.

 大学院の目的は障害科学専攻の名が示すようにリハに関わる幅広い人材の育成とリハ分野における研究である.院生としては,現在,教育学部,体育学部出身者,PT,OT,看護婦がいて,それぞれの職種や専門性に基づいたり,あるいはそれを離れて自由な立場からテーマに沿った研究を行っている.分野の目的は肢体不自由(運動機能障害)の障害構造の解明である.インペアメントレベル,ディスアビリティーレベル,社会参加レベルの各階層における研究と各階層間の関係に関する研究等,幅広い.また対象も障害を有する人のみならず,地域に在住する高齢者等もその対象である.1年に1回行われる近郊町村の実態調査は,その準備からまとめまで,新入院生のよい実習の場となっている.

 病院には,リハ科のベッドが44床ある.多くは院内各科からの転科患者である.転科元としては,脳外科,神経内科が多いが,様々な科からリハや関連するコンサルテーションの依頼がくる.リハ科がリハ部の窓口になっているので整形外科からの理学療法の依頼はくるが,基本的に後療法は整形外科が行うので整形外科からリハ科に転科する患者は脊髄損傷等限られている.リハ科の入院は運動障害が主であり,肢体不自由学分野の医師がベッドを持つことが多いが,研究テーマをさておき,患者さん自身の障害は当然多岐にわたるので,リハの臨床としては総合的である.一方,それぞれの分野が独自なことを行っており,相互に刺激となっている.リハカンファランス,勉強会等の行事は合同で行われる.

肢体不自由学分野には教授,助教授,講師,助手,医員として,現在学内に7人いる.新卒者で入局した1名は現在外の病院で内科系の研修を行っている.岩谷力教授の「楽しい医局」の方針によって,セミナー室には煮炊きの道具や冷蔵庫,炊飯器まであり,お米は何となく補充されて,貧乏学生はもとより,家事卒業の助教授までその恩恵に預かっている.学生,教官を問わず,また職能による序列に関わらず,自由にものを言い合う気風があり,仕事をするにはいい雰囲気だと思っている.

(飛松好子)

東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野
〒980-8575 仙台市青葉区星稜町 2-1
Tel022-717-7337 Fax022-717-7340

心身障害児総合医療療育センター

  心身障害児総合医療療育センターは肢体不自由児施設の整肢療護園と重症心身障害児施設のむらさき愛育園からなり,約220名の入院児と外来(年間新患は約1,000名),研修所などに306名の職員が勤務している.昭和17年5月に武蔵野の面影の濃い板橋の地に2万坪の敷地を求め,民立民営としてスタートし,昭和23年に児童福祉法の制定に伴い国立民営となり,現在に至っている.リハビリテーションという言葉をわが国に定着させたのは前センター長の小池文英先生であるときく.日本リハ医学会の事務局が当施設のなかにおかれたのも久しい.また,理学療法士の国家試験の受験資格を得るための講習を開催していたことも語り草となっている. 

 現在の医局は14名の常勤医と8科22名の非常勤医師の構成で,常勤医の殆どは日本リハ医学会の臨床認定医である.20年以上の勤務者が5名ほどであり,大学からのローテーションドクターが1~2名である.「時代の科学を総動員して」との療育の理念のもと,理学療法士18名,作業療法士14名,言語聴覚士5名を核にチームとして障害児のリハに当たっている.ボバース法を中心に発達を促進すべく種々のアプローチを行っている. 

 脳性麻痺・二分脊椎などの手術は年間170件ほどであり,もっとも多い脳性麻痺では重度化を反映して股関節軟部組織の解離手術が多くなっている.麻痺足の再建手術や異常な肢位に拘縮したパターンの再構築手術が多く,麻酔はリスクを伴っている場合が多いが,この35年間の6,500に登る手術で事故は皆無である.母子入園・緊急一時保護(重度例のレスパイトケアが多い)・医療急患・家庭の崩壊などによる重度例の養護入院などを含めて年間600~700名が入院していて,養護の社会的入院を除くと入院期間の短縮がみられる.入院では筑波大学付属の養護学校が隣接していて,1カ月以上の入院では転校して治療とともに教育を中断しないようにしている.また,就学前の児童については保育士による幼児保育が行われている.これらのスタッフをまじえた考察会議と呼んでいるカンファランスや術前回診では家族との連携を密にしている.外来は月~金曜日の毎日と一部土曜日に開いている.ブレースクリニックは週2回あり,座位保持装置や外国製の種々の新規のものが増大してきている(小児科は予約制).重度・重複の障害の進む中,エアーウエイやポジショニングさらには気管切開(いままでに約65例)などの呼吸管理・各種の摂食指導の必要な例が増大している.ビデオフルオログラフィーの結果に沿っての指導外来での点滴をうける障害児の延べ数は年間700名を超えてきている.外来訓練とは別に訓練・心理・看護・医師のスタッフによる通園にも在籍数約40名が通ってきている. 

 在宅・地域療育への支援として,保健所での発達・療育相談(5カ所),肢体不自由児養護学校の校医(8カ所),通園施設での診察・指導(9カ所),作業所への定期診察(1カ所),保育園指導など専門性を必要とするところとのネットワークを形作っている.また,在宅健診に小児科医師を中心に地域へ出かけている.このように社会のニーズに応じて多様な役割を医局も担っている昨今である.

(君塚 葵)

心身障害児総合医療療育センター
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-1-10
Tel03-3974-2146 Fax03-3554-6176

日本リハビリテーション医学会ホームページ開設について

田中 信行(広報委員会担当理事)、木村 彰男(委員長)、道免 和久・根本 明宜(ホームページ担当特別委員)

 このたび,日本リハビリテーション医学会のホームページを開設することになりました.現在,2000年早々の運用開始をめどに,広報委員会を中心に準備を進めているところです.最近のインターネットの技術を駆使すれば,ホームページにきわめて多様な機能をもたせることができることは十分に承知していますが,とりあえず現段階では以下のような機能に限定して開始することを予定しています. 

 当ホームページの主たる目的は,学会員の皆様への情報提供および学会誌の抄録の掲載の2点です.第1の学会員向けの情報提供といいますのは,具体的には,リハ医学誌の色付きのページ(『お知らせ』と『報告』)の内容をインターネット上でも見ることができるようにすることです.これらの内容は学会誌と重複することになりますが,手許に学会誌がなくてもコンピュータ上で見ることができますので,情報のキャリアが1つ増えるという意味で,より多くの方に情報を周知することができるようになると期待しています.また,デジタルデータとしても利用しやすくなると思われます.第2の学会誌の抄録につきましては,やはりデジタルデータとして学会誌がより学術的に利用しやすくなることのほかに,リハ医学誌がIndex Medicusに掲載されるための条件が整うというメリットもあります.そのため,試作段階でもまず最初に,英文抄録の掲載から作業を進めております.最終的には,抄録のメニューに検索機能も追加したいと考えています.その他に,定款,入会方法,専門医制度,学術集会,各委員会,理事会,研修会などのメニューも用意する予定です.今お読み頂いています『リハニュース』の内容も画像データを除いて,ホームページに掲載したいと考えております. 

 当ホームページのメニューのうち学術集会につきましては,リハ医学誌の『お知らせ』の内容を掲載するとともに,もしその年の学会長が学術集会用のホームページをすでに準備されている場合には,そのページへリンクさせることを考えております.例えば,大学のサーバーに学術集会のページがある場合,当ホームページの学術集会の中に設けるボタンをクリックすると,大学のサーバーにつながることになります.将来的には,学術集会の演題受付も検討すべき課題と思いますが,現状では,上記のような内容で運用を開始させて頂きます.

 当ホームページの更新は,できれば月1回のペースで行うことを検討中です.インターネットの情報は即時性が特長ではありますが,学会の公式ホームページという性格上,最新情報を毎日のように更新することは難しいと思われます.ホームページ完成まで担当者(道免と根本)が作業を行いますが,完成後は,学会としてのホームページ管理者は置かず,毎月の更新作業は学会誌刊行センターに依頼して行われます.また,学会としてメール担当者を置くこともありませんので,ホームページ上にメールアドレスは掲載致しません.学会への連絡は従来通り電話あるいはファクスで行って頂くことになります. 

 一般の方々への情報提供,例えば,リハビリテーションを啓蒙するためのページ,あるいは,一般からの相談や質問コーナーなどを設けるといったご要望もあるかもしれませんが,やはり公式ページとしては困難ですので作成の予定はありません.あくまでも会員向けの広報のページということでご理解下さい.このような双方向の情報交換的な内容につきましては,むしろ,学会員の皆様個人や病院のホームページに期待したいと思います.

 ホームページのサーバーは,すでに多くの学会が利用し,定評がある学術情報センターに置くことになっています.サーバー利用の条件として,利用者制限をしないことになっておりますので,ホームページ上の情報は全て公開されることが原則になります.個人情報や非公式の情報をどこまでホームページ上に掲載すべきか,あるいは控えるべきかにつきまして,現在,情報毎に委員会で慎重に検討させて頂いております.

 試作段階のホームページは,wwwsoc.nacsis.ac.jp/capj/rehabil/で見ることができます.このページは最終的な学会のホームページのURLではありませんので,お間違いのないようにお願い致します.正式に決定しましたら,またお知らせ致します.この試作中のホームページでは,まだ多くのページが未完成ですが,ご覧になった感想,ご要望,ご意見などございましたら,是非,担当までお知らせ下さい.この記事ではいろいろと限界ばかり強調してしまいましたが,皆様の貴重なご意見を参考にしまして,より良いホームページを作成したいと思っております.どうぞよろしくお願い致します.

国際委員会より:海外研修助成のお知らせ

岡島康友(委員長)

  本学会の国際委員会において,国際学術交流のための海外研修助成制度(案)をつくり,理事会において承認されました.これは40歳以下の本学会員が海外の学会で口演し,かつリハ関連施設を見学することに対して30万円を助成するものです.対象は3名以内です.額は少ないですが,助成されることを名誉と思っていただければ幸いです.

■今回の助成対象は平成12年7月1日~平成13年3月31日の間に開催される学会と予定する施設見学です.いろいろなケースが考えられますが,通常は,先ず発表しようとする学会があって,その会期前後に施設見学を組み入れることになるかと思われます.学会によっては,発表の採用諾否あるいは投稿受付が平成12年4月以降になる場合もあります.そういった場合でも,投稿抄録(採否未決)と施設からの見学受け入れの手紙を用意していただき,判明次第,投稿の採否の連絡をしていただきます. 

応募資格は,40歳以下の本学会会員で,海外の学術誌に掲載論文があることと外国語での学会発表経験があることなどです.詳細はリハ医学第36巻11号に掲載予定の海外研修制度(Travelling Fellowship)に関する内規(案)およびリハ医学第37巻1号に掲載予定の海外研修助成応募要領をご覧ください. 

平成12年1月から応募受付を開始し平成12年3月31日を締切とする予定です.なお本助成制度は平成12年度の学会評議員会及び総会で承認されなければなりません.したがって承認されない場合には,延期あるいは中止の可能性があることをご了承下さい.

展望・専門医会:専門医会について

石神 重信(専門医会会長)

専門医会の沿革と活動

 専門医会は,第一期に合格した専門医が発起人となって昭和58年に発足した.当時は,学会時に集まって新しい専門医を紹介したり,日頃の鬱憤を発散するといった「親睦会」の色彩が強かった.回を重ねるうちに,お互いに専門医として技術や知識を高めようとする気運が高まり,第25回日本リハ医学会の故大川嗣雄会長(横浜市大)のご配慮で,学術集会時に半日間,専門医主催のセミナーを行った.部屋は小さかったが参加者が多く立ち見がでたほどで熱気溢れた論議が印象的であった.

 このセミナーを発端として,別の時期に集会を持つべきということとなり,現在も行われているカレントトピックス&レクチャーが誕生した.ここでは,限定されたトピックスに対して充実かつ率直な討議や講義が行われる集会を持っている.もちろん参加はオープンで,専門医だけでなく多くの若手のリハ医の参加も多い.回を重ねて,第11回のカレントトピックス&レクチャー(水落先生担当幹事)が横浜で行われるのは発祥の地に帰ってきたといった意味でも感慨深い.

日本リハ医学会での位置づけ

 専門医会は長い歴史があるが,長年の要望であった日本リハ医学会の1つの組織となって担当理事がおかれるようになったのは,つい4~5年前である.脆弱な基盤を持っている日本リハ医学会で,専門医会活動が会員から浮き上がらないよう自制して,辛抱強い活動をしてきたが,初代会長の米本恭三先生,二代目の千野直一先生の先見性ある指導性によるところが大きい.最近では,大学リハセンター連絡協議会のワークショップが,カレントトピックス&レクチャーと同時期に,同じ場所で,開催されることが多くなっているので,秋の集会が,リハ医の教育や指導に携わる医師が一堂に会して論議できる重要な場となってきている.

専門医会の展望

 リハが標榜科となって,会員数も9,000名(認定臨床医は5,081名)と増加してきたのは明るいニュースである.しかし,介護保険の導入を含め,医療制度が大きく変化しているなかで,リハのなかで,リハ医の存在はむしろ希釈化されているのではなかろうか. 

 リハ医の増員と適正な配置が急務であるが,専門医は709名と少なく,また研修を受ける施設も308施設と少なく,全国的にみると偏在している(平成11年).認定臨床医や専門医の高年齢化もあり,将来的にはリハ医の需要に供給がついていけない状態になるのが必至である.専門医会は,今こそ,認定臨床医と専門医の育成に積極的な活動を行うべき時期と考える. 

 米国では主に教育機関で働く専門医が中心となり,AAP(Association of Academic Physiatrists)という組織を作り,専門医としての技術・知識の修得,リハ研究の促進,さらにリハ医師教育のあり方と連絡(現在の大学リハセンター連絡協議会と同様の機能)を三本立てとして,毎年2~3日の充実した学術集会をもっている.専門医会の目的も活動も類似するので,AAPを参考に活動指針を考えるべきであろう.

 専門医会も新しい活動に適した組織替えを検討中であり,近日中にその作業に入る.諸先生からの建設的なご意見を聞かせていただきたい.

専門医コーナー:専門医の声

田島 里佳 (昭和大学病院リハ科)

 私達の医局の特徴の1つとして,当科で手術を行っているという点が挙げられると思います.主に下肢切断や,アキレス腱延長,腱移行等を行っていますが,時にリウマチ患者さんに対する腱縫合や外反母指の手術等も行います.リハ医がメスを持つことに対しては賛否両論のあるところと思いますが,私自身はこんなふうに考えています.

■障害を持つ患者さん達とリハ医との関わりは,長きに渡ることが多くなります.その間障害もさまざまに変化していき,その時々で適切な対応と治療が要求されます.そんな時,より多くの知識や治療手段,言いかえれば医師としての「武器」を,なるべく多く持ち合わせていたいと思うのです.私にとって手術は,そんな武器の中の1つです.

■例えば脳卒中片麻痺患者さんの尖足変形等は,もちろん初めから作らないように管理・指導していくことが一番大切だと思います.しかしやむを得ない場合の手術は,やはりリハ医が行うのが一番良いのではないかと思っています.なぜならこのような手術は,障害を診ていく中での1つのプロセスであって,始まりでもなく,終わりでもないからです.尖足に限らず,近年増加しているASOによる下肢切断等も,まさに然りです.そんなスタンスで患者さんを診ていけるのは,やはりリハ医だけなのではないでしょうか. 

■少し話はそれますが,実際問題,片麻痺で失語症があるなどと言っただけで,まるで何か大事が起こってしまったかのように動揺してしまう医者が,まだまだ大勢いるように思えます.また患者さん自身も,そんな状況を敏感に感じ取っているのか,なかなか他の科に受診したがらないというのも事実です. 

■そんな訳で,私にとって手術は,患者さんを多方面からサポートしていくために必要な,リハ医としての有効な手段の1つです.そして,これからとても重要な武器になっていくのではないかと感じています.