国際委員会 担当理事 平澤 泰介
一昨年9月,京都の国際会議場で第8回国際リハビリテーション医学会(IRMA)が上田会長の下で成功裡に終了いたしました.この学会の開催により日本のリハビリテーション医学会は世界から注目を浴びましたが,小生らは京都に居るものとして学会運営に喜んで参加させていただきました.
そのときのエピソードの一つです.学会初日の深夜,大学病院の救急室にある外人参加者が,嘔吐などをくり返してかなり重篤な状態で運ばれてきました.小生の家に呼び出しがかかり,さっそく行ってみると,小錦のような大きな方が,多くの医師と看護婦におさえられていました.実は,彼は顔見知りのゲストスピーカーであり,さっそく学会の"VIP"であることをスタッフに告げ,緊急体制をとって集中治療を開始しました.翌日の夜には前日のことがうそであったかのように元気になられ,特別講演も無事終了して喜んで帰国されました.このとき,この大先生にCorresponding Memberなどの呼称が与えられていれば,大学病院に大義名分が立ったものにと考えました.
話は変わりますが,小生は日本整形外科学会の英文誌のChief Editorとして,その発展に微力を尽くさせていただきました.そのときImpact Factorをとることの難しさを痛感いたしました.やっとIndex Medicusへの収載にまでこぎつけて担当理事を退任しました.このとき編集業務にあたって一つ問題が生じたのは,日常我々が使用している疾患のfollow upの"評価法"が国際的に承認されていないものが多いということでした.各国の代表と緊密な連絡をとり,種々の評価法の国際化を図る必要性を感じました.これもCorresponding Memberなどと共に行っていく仕事の一つとなるでしょう.
もう一つ,Oxford大学のある著名な学会誌の編集委員が"日本語は一つの島国でしか通用しないということを学会の指導者は認識すべきだ"ということを話されました.日本にうずもれている優秀な論文を海外の雑誌にも掲載できるように指導し,その体制作りを固めることも大切です.Corresponding & Honorary Memberなどの制度を作って,本学会への積極的な貢献を図ることは日本リハビリテーション医学会の国際化に向けて必要なことでしょう.
さらに,若い医師達の国際交流はもっと大切です.学会は派遣のTravelling Fellowとして海外で意見交換の機会を大いに持ってもらいたいものです.しかし,数年前ある学会の会長をしていたときに,ヨーロッパの先生から,英語も十分に話せなく社交性も身につけないフェローを学会から送ってもらっては困るとの苦情がきました.このようなシステムは,会員と役員の協力で慎重に推し進められなければ,軌道に乗せることがむずかしいことも知りました.
会員皆様のご理解と努力のもとに,21世紀に向けて国際活動をいっそう活発にし,日本のリハビリテーション医学会を世界にもはばたかせようではありませんか.