土肥 信之
日本リハビリテーション医学会理事
地方会の現状
リハビリテーション(以下,リハ)の学術研究交流は各地域で活発に行われており,その形態も様々である.日本リハ医学会としても地方会の整備はリハ医学の普及と交流,さらによりよいリハ医療サービス提供のために重要な課題として地方会を位置付けている.幸い既に活動している地域の学会や研究会を母体として,平成8年度に全国を8つのブロックに分け地方会が設置された.
地方会の条件としては各ブロックの現状や特色,リハ発展の歴史的経過なども異なるので日本リハ医学会の会員で構成することと規約を整備すること以外は特に制約は設けられなかった.
当時の各ブロックの現状はその活動度や会員数において格差があり,また既に多職種合同での研究会などが定着している地域もあった.しかし日本リハ医学会地方会を立ち上げる一方で,研究会などの合同開催という形で地域の現状にマッチした運営を工夫されたり,準会員,特別会員などという形で一体的な運営が行われたりということで地域の特性を生かした地方会が誕生している.このことは大変重要なことであり,リハが多職種のチームワークを基盤として行われることを考えると,包括的な研究会等は今後も重要であり,いい形での解決がなされてきたと思う.
このように全国横並びに地方会と呼称するにふさわしい組織は時期尚早ではないかという危惧を乗り越え,日本リハ医学会地方会が急速に整備されてきたことは喜ばしい.むしろ早めに行ったことがよかったという結果になった.これはひとえに会員諸氏の熱意の賜であろう.
地方会の会員所属
さて,便宜上地方会はブロックごとに所属する県が指定されている.しかし交通の利便性や文化的つながりから言えば必ずしも適当ではない.例えば,静岡県は中部東海ブロックであるが三島や箱根は関東,豊橋は中部東海のほうが自然である.この点は随分議論されたが,現状では会員はどの県に住んでいようが,どの地方会に属してもかまわない.
地方会の役割
地方会は日本リハ医学会が公認したものであり,当然それなりの役割が期待されている.第一に地域の学術およびリハ医療の発展とレベルアップである.第二に地域の保健医療関係者および行政とのチームワーク作りである.この点では県単位またはさらに小域にある自然発生的な活力ある研究会・勉強会などとの連携も必要である.医療改革や介護保険の展開のなかで,正しいリハ医療の実践が望まれるが,地方会を軸とした現場に密着した活動が行われる必要がある.さらに地域の実情が日本リハ医学会にフィードバックされ,その事業方針決定に生かされることを期待したい.
地方会とリハ医学会の関係
社団法人日本リハ医学会との今後の関係はどうあるべきであろうか.
1つは,地方会を社団法人日本リハ医学会と組織的にも予算上も組み込んで一体とするという考え方である.社団法人は社員(会員)の意向をどう反映させるかが重要な課題であることを考えると各ブロックから代表役員を送るなどのメカニズムは必要かもしれない.
一方,行政組織ですら地方分権の時代である.まして学術団体であり,その守備範囲の医療も地域に密着した活動こそが日本リハ医学会の基盤であると考えると,地方会の自由な特徴ある活動こそがエネルギー源であり,組織化により起こりやすい硬直化は避けたい.地方会と日本リハ医学会がまったく対等な立場で連携し合うことこそがリハ医学・医療の発展に寄与するのではないかという思いもある.
これからの地方会の発展に向け,これから議論していきたいと思う.会員諸氏の多数のご意見をいただきたい.