リハニュース No.11
2001年10月15日
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特集:国際学会の動向
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REPORT
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INFORMATION
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医局だより
2001年10月15日
特集:国際学会の動向
REPORT
INFORMATION
医局だより
日本リハビリテーション医学会 理事長 千野 直一
2001年はニューミレニアム,つまり,21世紀の幕開けの年であり,日本リハビリテーション(以下,リハ)医学会にとっても国際化へ向けて大きな飛躍の記念すべき年となった.それは,本医学会主催による,2001年2月17日から2日間のA New Millennium Asian Symposium on Rehabilitation Medicine(東京)に始まる.アジア近隣の14カ国・地域からの23名の招待者と日本から約200名の参加者をえて,盛会裏に催すことができた.一方,世界レベルでの新たな国際リハ医学会ISPRM(International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)の第1回学術集会が2001年7月7~13日にオランダにて開催された.ここで,新しく組織されたISPRMについて,その誕生の経緯を説明しておきたい.
ISPRMは1999年に,今までの2つの国際学会,つまり,IFPMR(Int. Feder Phys. Med. & Rehabil.)とIRMA(Int. Rehabil. Med. Assoc.)を統合し,米国のJ. Melvin教授が初代会長として発足した.2つの国際医学会のうち,前者のIFPMRはリハ医学に関係する学術団体を国単位で構成してきた比較的古い団体であり,我が国では日本温泉気候物理医学会が代表として参加していた.一方,後者のIRMAは米国のSidney Licht教授により,リハ医学に関心のある医師が個人の資格で加入する国際学会であった.この2つの国際リハ医学会は会員構成の重複,リハ医学の国別による発展度の違い,統括事務局のあり方,さらには,学術会議開催期日や開催場所などで競合するような事態も生じてきた.その結果,先に述べたように,1999年の米国リハ医学アカデミーと同時期に,IFPMRとIRMAがワシントンDC で開催され,この2つの国際医学会を併合してISPRMの発足となった.
ISPRM組織委員会活動は,2001年7月のオランダでの第1回理事会と総会に向けて,定款の作成から始まった.筆者は定款委員会の責務の一端を担った関係で,ISPRMと過去の2つの学会との違いや,今後のISPRMに期待するところを以下に述べる.
まず,第1は,ISPRMでは国際学術集会とは別に,理事会組織をもち,恒常的な事務局(ベルギー)をおいたことである(実施されるのは2007年の第4回国際会議から).過去の国際学会では学術集会会長が学会組織,事務局,会計管理などすべての責任を負っていた.しかし,会員数が増加する程に会議体としての機能が十分に果たせなくなってしまったことなどの苦い経験を踏まえての理事会設置である.
第2として,ISPRM会員として各国にあるリハ医学会を団体会員(Society member)とし,また,個人としても加入できる個人会員(Individual member)との2通りの会員構成にした.これは,IFPMRとIRMAとを併合したために会員構成を団体と個人の両者を構成メンバーとすること,また,リハ医学の発展途上国・地域ではリハ専門医が多くないために,学術団体を構成できず,個人の資格で加入せざるを得ないなどの理由による.
今回のオランダでの理事会と総会において,ISPRMの定款が承認され,これから本格的な学会活動が開始されることとなる.日本リハ医学会は団体会員として参画しており,今後,ISPRMの活動状況,学会開催などの情報は日本リハ医学会事務局に寄せられ,学会誌やリハニュース等で報告される.また,日本から個人会員としてISPRMに加入することも歓迎される.その際,恩典として,個人会員として直接ISPRM事務局に意見を述べることや,ISPRMのニュース “News and Views” が直接事務局より送付されること,さらに,学術雑誌 “Disability and Rehabilitation” が低価格で購入できることなどである.
団体会員として,日本リハ医学会は9,500余名と,米国リハ医学アカデミーの6,000余名をはるかに凌いで一番大きな参加団体となった.そのため,これからISPRMでの日本リハ医学会に期待されることはますます増えるであろう.
今回の理事会と総会で日本からの役員(敬称略)には,上田 敏,石神重信,宮野佐年,千野直一が就任している(ISPRM役員表).
また,第2回ISPRM学術集会は2003年にイスラエルで,2005年はブラジル,2007年に韓国での開催が決まっている.
このような国際化のなかで,日本リハ医学会はアジア太平洋諸国をまとめる要と期待されており,先に述べたA New Millennium Asian Symposium on Rehabilitation Medicineに続いて,Korean-Japanese Joint Conference on Rehabilitation Medicine 2002が2002年4月19~20日に韓国のGyeongju市で開催される.この日韓合同会議は2年ごとに,日本と韓国で交互に開催され,近隣諸国との交流がさらに高まるであろう.
本医学会でも外国人会員の推薦,海外学術交流派遣への奨励金制度が発足し,まさに国際化の波は加速度を増して来ている.このような時期に,日本リハ医学会の,一人ひとりの会員,殊に若手会員諸氏が大きく世界に飛躍することを期待したい.国際会議では英語が公用語となる場合が多いが,ジャパニーズ・イングリッシュでも十分通用する.
日本のみならず,世界の趨勢をみても,今後,5,6年のうちリハ医学会の世代交代が必要であろうし,リハ医学の進歩とともに世界をリードするリハ専門医が日本リハ医学会の若手会員の中から続々と輩出することを願ってやまない.
ISPRM役員表(日本代表者には下線)
▼July 2001-June 2002▼
President: J. Melvin
IFPMR Past President: R. Oakeshott
IRMA Past President: S. Ueda
Executive Vice President: W. Peek
President Elect: H. Ring
Vice President: L. Battistella
▼July 2002-June 2004▼
President: H. Ring
Past President: J. Melvin
President Elect: L. Battistella
▼July 2001-June 2003▼
Secretary: M. Grabois
Treasurer: M. Lissens
■Members at Large
Society: N. Chino
Individual: T. Strax
Regional Vice Presidents
Africa/Middle East: A.A.M. Eyadeh
Asia/Pacific: S. Chun
North America: G. Tardif
Europe: D. Wever
Caribbean, Latin, Central&South America: V. Rodriguez
■Individual Members at Large:
M. Jadid, T. Bochandansky, I. Ziv-Ner, C. Park, S. Ishigami, K. Under, M. Terburg, J. Li, P. Marano, B. Mi-hai, M. Imamura, W. Micheo
■Nominating Committee:
W. Peek, M. Grabois, V. Rodriguez, S. Miyano, M. Sposito and S. Aksarana-traha.
Chair: S. Ueda, ex-officio as Past-President.
■Audit Committee:
Chair:S. Ishigami
■Central Office:
Werner Van Cleemputte, Executive Director, the MediCongress, Belgium.
e-mail: werner@medicongress. com
理事 宮野 佐年
1. 第1回ISPRM理事会報告
1) 第1回International Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM)学会がオランダのアムステルダムにおいて本年7月7~13日の1週間開催されました.学会の参加者は約1,200人で日本からは77題の演題発表がありました.
ISPRMの理事会には,上田敏,千野直一,宮野佐年が出席しました.ISPRMの会長には,John Melvin(アメリカ)がもう1年務めることになり,その後はHaim Ring(イスラエル)が3年間会長を務めることになりました.日本人の役員としては,上田敏がIRMAのPast Presidentとしてもう1年,千野直一が理事として,石神重信が評議員として,宮野佐年がNominating Committeeの委員として選出されました.(以上敬称略)
7月12日には上田敏先生がSidney Licht Lectureship Awardを受け,講演を行い,Honorary Role(名誉会員)となりました.
また,2007年の第4回ISPRM学会の開催国に韓国が選出されました.
本年7月現在でNational Memberとして会費を支払った国は22カ国であり,個人会員は650人でありました.
2) 個人会員について:今年,本学会誌6号(リハ医学38(6)424)のISPRM個人会員についてのお知らせの中で,「会員制の変更もあり得る」とありましたが,ISPRMの理事会で,団体会員と個人会員はそのまま継続されることになりました.そして個人会員として継続する場合,年間20ドル(US)の支払いが必要となります.日本リハ医学会がISPRMの団体会員になっていますので,日本リハ医学会の会員は全員ISPRMの会員であります.
その上でISPRMの個人会員となることの目的は,唯一のリハ医学関係の国際学会となった新組織を強化し,個人会員として国際貢献することであります.さらに機関誌であるDisability and Rehabilitation購読の際の割引やISPRM学会参加費の割引などのメリットもあります.日本からも多数の先生方が個人会員となって国際貢献されることを期待いたします.
2. ISPRM個人会員の入会・継続・会費納入方法について
今までは,旧IRMAの継続でISPRMの個人会員の会費は,日本支部として徴収しまとめて本部に払っておりましたが,会費の納入がクレジットカードでできるようになりました関係から,個人会員の申し込み,会費の納入は各自で行っていただくようにしたいと思います.
2002年分のISPRM Individuals Memberの入会・継続・会費送金は
①ISPRM Webサイトへアクセスしてください.→http://www.isprm.org/
②ISPRMホームページが表示されたら Membershipのサイトをクリックすると次の頁が出ますので
http://www.isprm.org/membership_individual.html
Applyに個人情報や入金方法について記入後,送信してください.
ただし,クレジットカード番号を送信することが不安な方はプリントアウトし,それをFAXで送ってください.
飛松 好子(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻)
7月7日から13日にアムステルダムで第1回物理医学とリハビリテーション医学国際学会が開かれた.参加者は初日の発表でおよそ1,000人であった.日本からはご高名な先生方が多数参加しており,また演題も多数出されていた.直前にISPOがグラスゴーで開かれており,私のように両方に参加した者はきわめて少なく,またグラスゴーで会ったアメリカ人やイギリス人も両方に参加する人は少なく,時期も影響していたと思うが参加数としては今ひとつという感じであった.当日会場に行かないとわからない情報があったりして組織的にも十分な運営体制があったとはいえなかった.発表も4分の1から3分の1が欠演となる有様で,低調な感を免れなかった.会場がやや広すぎたこともある.さまざまな国の多くの人々から京都はすばらしかったと賞賛の言葉をいただいた.皆同じことを考えていたのだろう.しかしポスター発表では1つのポスターに対し20~30人の人が群がり,和やかな雰囲気で討論していた.
大会3日目に施設見学に行った.私の選んだのはアムステルダムリハビリテーションセンターであった.一つひとつの設備に日本との違いは感じられなかったが,生活空間としての病棟は日本に勝ると思った.病室の広さ,好きなことのできるさまざまな設備の整った集会室,一人になりたい人のための部屋等,障害を受けた人々の気持ちになって作られていた.センターは街中にあり,人々はいつでも街に出かけられる.
アムステルダムは日本人の常識からするとかなり開明的(?)な町である.博物館で何故に麻薬(soft drag)を解禁したかについて展示してあった.街角ではマリワナのにおいが漂い,売春街と歴史的建物とが隣り合う.一方でゴッホ美術館でその絵を見て立ちつくす.すべてが圧縮されたような町で学会以外にも学ぶべきものがたくさんあった.次回,次々回は,エルサレムとブラジルだそうである.学会の発展のためにも日本からの多くの参加が望まれる.
陳 隆 明(兵庫県立総合リハビリテーションセンター)
私はスコットランドのグラスゴーで開催された第10回ISPO世界会議(World Congress of the International Society for Prosthetics&Orthotics)に参加した.第8回オーストラリアのメルボルン大会,第9回オランダのアムステルダム大会に続き,今回で3回目の参加である.ISPO世界会議は,医師をはじめとし,義肢装具士,理学療法士,作業療法士,エンジニアなどさまざまな職種が一堂に会し,切断や補装具,リハビリテーション(以下,リハ),リハ工学など幅広いジャンルにおいて討論が繰り広げられるユニークな会議である.さらに本会議は,発展途上国に対する教育,支援を重要な課題として取り組んでおり,世界各地で実績を挙げていることが特筆すべき点である.本会議は,参加者は世界のすべての大陸から集い,国際的というより(私は国際的という言葉はどうも欧米主導型のような気がしてあまり好きではない),地球規模的な雰囲気を持っている.
スコットランドは,ご存知のようにイングランドとは全く異なる文化や伝統をもった国である.私は会議期間中に催された各種レセプションや晩餐会を通してその文化と伝統を垣間見ることができた.スコットランド人は公式な催しには必ずキルト(タータンで作った男性用の巻きスカート)を着用している.テレビなどでは何度か見たことがあり,男性がスカートを身に着けるなんて,と否定的に思っていたが,いざ実際に至近距離で見てみると何とも凛々しく,実にかっこいいものであった.タータンチェックはスコットランド人の勇気と誇りの証ということがうなずける.また,タータンを使った民族衣装を身にまとった人たちによるバグパイプ演奏を聞くことができた.非常に格調高く,スコットランド独自の文化に少し触れられたような気がした.演奏後に彼らと会場内のバーで歓談する機会があった(写真).演奏の時の矍鑠(かくしゃく)とした雰囲気とは違い,実にユーモアがありその落差が妙に楽しかった.
さて,私は今回2つの課題をもって本会議に臨んだ.第1は小児に対する筋電義手のノウハウについての情報を得ることである.当センターでは,成人に対する筋電義手訓練のシステムは確立されている.しかし幼少児の上肢切断者の筋電義手に対する要求が最近増加してきており,早急に幼少児に対する筋電義手システムを立ち上げる必要性を感じていたからである.カナダのオンタリオ州のBloorview MacMillan Children's CenterとカナダのUniversity of New Brunswick, Institute of Biomedical Engineeringが小児に対する筋電義手訓練の素晴らしいシステムを有していた.早ければ生後3~6カ月で筋電義手訓練を開始するという.そして生後12カ月目には通常のハンド型筋電義手を使えるようになるとのことであった.これらの施設でのリハの成功率は78%である.日本の小児上肢切断者のほとんどが義手を装着しないか,あるいは装飾義手のみを使用している現状を考えると,ただ驚くばかりである.一刻も早く我々も欧米のレベルに追いつきたいとの焦燥にも近い感情に襲われた.私は上記両施設での研修のお願いを申し出た.できればスタッフを連れて早期に実現したいと思っている.
第2は骨直結型義肢の現状についての情報を得ることである.イギリスのクイーンズメリー病院から,興味深い発表があった.すでに20例以上の大腿切断者に対して本法を実施しているとのことであった.この病院では,骨直結型義肢装着者に対する特別なリハプログラムを確立しており,良い成績を収めているとのことであった.全体で85%の症例が依然として骨直結型義肢を使用している.気になる皮膚とインプラントのインターフェースでの感染の問題であるが,再切断にまで至った深部感染は1例のみであり,表層感染はほぼ半数以上に見られたものの,すべて鎮静可能であった.この臨床結果は,将来骨直結型義肢が実用的なものとして普及していく可能性を感じさせるものであると思われた.
次回の11回会議はお隣香港で開催される.今まで以上に多くのアジア各国からの人々が参加するであろう.アジアのパワーを世界に印象づけたいものである.そのためにも,ぜひ日本から多くの人々が参加し,アジアのリーダーシップをとっていただくことを切望している.
最後になりましたが,今回日本リハ医学会の平成13年度海外研修助成を受賞させていただき,大変名誉なことであると感じております.本賞を推薦し,選考,決定していただいた諸先生方にお礼を申し上げます.
委員長 里宇明元
リハビリテーション文献データベース(CIRRIE)について
CIRRIEとは,The Center for International Rehabilitation Research Information and Exchangeの略で,米国教育省が管轄するThe National Institute for Disability and Rehabilitation Researchの基金で運営されているリハ文献データベースです.MEDLINE等の既存のデータベースに収載されていない米国の国外で出版されたリハ関連論文をデータベース化し,広く研究者の便宜を図ることを目的として設立されたものです.データベースは,無料でインターネット上に公開されており(http://cirrie.buffalo.edu/search/),普段なかなか目にすることができない論文を自由に検索することが可能です.現在,編集委員会では,CIRRIE側からの要請を受け,このデータベースにリハ医学誌を登録することを検討中ですが,これが実現すれば,リハ医学誌収載論文が広く世界の研究者の目に触れるようになることが期待されます.最近,投稿論文数が少しずつ増え,編集委員一同うれしい悲鳴をあげておりますが,リハ医学誌が,日本から世界によい仕事を発信していく窓口になれればと心から願っております.さらなる会員諸氏からの投稿をお待ちしております.
委員長 大橋正洋
1. 評価法データベースについて
当委員会では,1998~2000年の3年間に発行されたリハ医学関連の7和・洋総合誌から,投稿論文に表れた各種評価法を抽出する作業を行ってきました.その結果は,リハ医学36(9)553-555,38(2)87-90に報告されています.また作成された最新のデータベースは,http://member.nifty.ne.jp/reha/file/からダウンロードできます.このデータベースを利用すると,特定の評価法が掲載されている文献名と書誌を知ることができます.また,脊髄損傷者のQOLに関する評価法を検索する,などのこともできます.このデータベースは,本学会員諸先生に有用なものと信じていますが,3年を1つの区切りとして作業の再検討を行うことになりました.つきましては,評価法の抽出とデータベース作成作業を継続すべきかどうかについて,ご意見を日本リハ医学会事務局(FAX03-5966-2033)までお寄せください.
2. リハニュースの「質問箱」をご存じですか?
「質問箱」では,会員の皆様から寄せられたリハ医学関連の用語あるいは評価法などに関するご質問に,評価・用語委員が分担して,参考文献を添え簡単な解説を行っています.いままでに4号「クリティカルパス」,5号「日常生活自立度のJ」,6号「EBM」と「Outcome」,8号「高次脳機能障害」,11号には「ICF」を掲載しました.今後,「質問箱」で取り上げて欲しい質問がありましたら,リハニュース編集部r-news@capj.or.jpまでお寄せください.
委員長 間嶋 満
1. 平成13年度中に開催予定の生涯教育研修会を一覧表にまとめました(詳細は今後の学会誌とHPでご確認ください). 取得単位数が不足の認定臨床医の先生方は,これを参考に規定の単位をお取りください.まだ,間に合います! 2. 教育委員会では,リハ医学に関する卒前,卒後教育の内容を再検討しています.1993年に当時の教育委員会が作成した「リハビリテーション医学卒前教育カリキュラム」「認定臨床医の資格取得に関するリハビリテーション医学卒後研修ガイドライン」「一般医のための卒後研修におけるリハビリテーション医学の研修ガイドライン」を大改訂し,今年度中に平成版を作成する予定です.
一覧表
ブロック | 開催日 | 単位数 | 開催場所 |
---|---|---|---|
北海道 | 2002年2月23日(土) | 4単位 | 北海道大学学術交流会館 |
東 北 | 2002年3月16日(土)* | 2単位 | 仙台市福祉プラザ |
北 陸 | 2002年3月下旬(土) | 2単位 | 未定 |
関 東 | 2001年11月17日(土)~18日(日) | 8単位 | 池上会館 |
2002年1月12日(土)* | 2単位 | 興和ホール | |
2002年3月10日(日) | 4単位 | エーザイホール | |
中部・東海 | 2002年2月2日(土)* | 2単位 | 大正製薬(株)名古屋支店 |
中国・四国 | 2001年12月9日(日)* | 2単位 | 川崎医大 |
2002年2月23日(土) | 2単位 | 高知市内 | |
近 畿 | 2001年11月10日(土) | 3単位 | 兵庫県民会館 |
2001年11月18日(日) | 2単位 | 京都府立医大 | |
2002年2月23日(土) | 4単位 | 和歌山県立医大 | |
九 州 | 2002年2月3日(日)* | 3単位 | 熊本産業文化会館 |
※地方会(参加1単位)も開催
委員長 出江紳一
去る9月9日に,第10回認定臨床医試験が行われました.85人が受験し,80人が合格しました.受験者へのアンケートの回答で,出題ガイドラインを希望する声がありました.これは非常に重要な問題と本委員会でも認識しています.現在,教育委員会を中心に卒後教育カリキュラムが再検討されており,それを受けて本委員会でも試験の内容をカリキュラムに合わせていく予定です.なお,これまでのリハ医学卒前・卒後教育カリキュラム(案)は,リハ医学30(6):368-375(1993)に掲載されていますのでご参照ください.
委員長 本田哲三
1. 保険診療関係 外保連への申請は終わり,12月初旬の内保連総会へむけて要望をとりまとめの追い込み中です.リハカンファレンス実施料,言語療法料(従来もありましたが,国家資格整備にともない,大幅アップをめざしてリニューアル)および早期作業療法料の新設と退院前訪問指導料の改定を軸に検討中です. 2. 介護保険アンケートについて 研修施設へのアンケートの集計が終わりました.会員諸氏のご協力に感謝します.結果の一部をご紹介しますと,90%の先生方が介護保険とのかかわりをもたれており,「介護認定結果と予想のずれあり」が70%,ケアプランの内容に満足との回答は22%程度で,リハ医としてかなり問題視されているのがうかがわれました.介護認定については特に痴呆や高次脳障害者の認定に問題があり,施設もまだまだ不十分である,との指摘が多数ありました.結果の全容は朝貝委員を中心にまとめて本学会誌に投稿する予定です.
委員長 赤居正美
去る8月11日に本年度第1回の委員会を開催し,新委員の選出のもと,審議を行いました.
長尾竜郎委員,松本茂男委員の任期満了につき,横串算敏委員を選任,さらに新委員の選任手続き中.
平成13年度活動計画について岩谷 力担当理事から経過報告を受けたのち,
リハ福祉機器に関する用語の整理:前回まで「要採用」と判断した用語を確認の上,一部追加項目また削除項目について議論継続.ストーマ用品,入浴・排泄を中心にしたパーソナルケア用品などを加える予定.年内に評価・用語委員会に対し用語採用の申し入れを行いますが,新しいリハ用語集は2002年12月までに印刷と配布を行う予定とのことです.
運動療法機器の分類:運動療法分類の定義付け素案に関する議論継続.6大分類の内,motor coordination and skill exercise, speed trainingを中心にさらに追加をはかります.
委員会の日程:上記の活動計画のもと,年3回程度の委員会開催を計画.引き続き,11月,来年2月を予定しています.
委員長 岡島康友
先ごろ,海外研修助成制度について助成を受けられた先生にアンケート調査をいたしましたところ,「海外のリハ関連学会日程および訪問研修先のリストをホームページなどで会員に示してほしい」「予算が許す範囲で助成対象者を増やしてほしい」などの意見をいただきました.国際委員会では「若手のリハ医学会員が海外のリハ専門医と親交を深めるには学会発表よりリハ施設を訪問して,その場で自らの研究発表や議論をする方が効果的」「渡航先によって助成額を変えてもいいのではないか」といったことが議論されました.また理事会から「海外の若手リハ医が日本で研修することも促進すべき」という意見もいただきました.
これらを踏まえて,(1)海外研修助成の学会発表と施設訪問を単独に扱って,助成対象者上限を合計1名増員する,(2)助成額を一定にしないで,多少の幅をもたせる,(3)本年度試行の海外若手リハ医の日本国内短期研修助成を平成14年度から正式に別枠で設けることを内規に掲げ,理事会に提案しております.また,本学会のHonorary/Corresponding Memberの施設を中心に日本人リハ医の短期訪問受入れを打診し,現時点で下記の施設から快諾を得ました.
Jefferson Medical College and Moss Rehab, Philadelphia. Chairman: Prof. John L. Melvin, MD, Jefferson Medical College [All rehabil. areas are covered including gait and motor control lab. 1-2 days or 5-180 days].
Rehabilitation Hospital of the Pacific, Hawaii. Chairman: Sungyul Kim, MD, Vice President of Medical Affairs/Medical Director. Recommended by Gary Okamoto, MD [All rehabil. areas are covered].
Dept. of PM&R, Baylor College of Medicine. Chairman: Prof. Martin Grabois, MD, Dept. of PM&R, Baylor College of Medicine [Pain, stroke, SCI, TBI, and amputee programs are major areas of concern].
なお,海外のリハ関連学会の最新情報については下記のURLをご覧になるようお勧めいたします.
American Academy of PM&R, http://www.aapmr.org/
American Congress of RM, http://www.acrm.org/
Association of Academic Physiatrists, http://www.physiatry.org/
Korean-Japanese Joint Conference on RM 2002, http://www.kjrmconf.or.kr/
American Academy of Electrodiagnostic Medicine, http://www.aaem.net/meetings.htm
World Congress in Neurological Rehabilitation, E-mail: neurorehab2002@aristea.com
ASIA and International Medical Society of Paraplegia, http://www.asia-spinalinjury.org/ annual meeting/Program2002/2002intro.html
ISEK, http://www.bmtp.akh-wien.ac.at/bmt/ISEK2002
これらをご参考に多くの会員の先生方が来年度の研修助成に応募されることを期待いたします.
委員長 木村彰男
リハビリテーション医学白書作成のための委員会を発足し,現在活動中です.詳しくは次号でご報告いたします.
渡部一郎(北大リハ科)
日本リハ医学会北海道地方会は,北海道在住の日本リハ医学会会員約330人を対象に,年1回の地方会と年2~3回の生涯教育研修会を行っています.第5回日本リハ医学会北海道地方会は,今年7月28日に第46回北海道リハビリテーション学会と共同開催し,参加者数194人があり,特別講演2題と一般演題69題について活発な討論が行われました.リハ医(認定医・専門医)の増加によりリハ医学基礎研究報告などの内容・討論も充実したものになってきています.回復期リハについては医師・看護婦・PT・OTなどさまざまな立場での有意義な討論が行われました.来年2002年9月6~7日には,北海道地方会世話人代表である北大の眞野行生教授が大会長となり「リハビリテーション合同大会・札幌2002」を日本リハ病院・施設協会,全国リハ研究会と共同して開催予定です.また2003年の第40回日本リハ医学会総会・札幌開催の準備も進めています.札幌は気候もよく,観光地も多く,美味しい物も多く,多数の皆様の参加を期待します.
猪田邦雄(名古屋大保健学科)
平成3年に日本リハ医学会会員のみからなる中部リハビリテーション医学会を発足させました.東海地区(愛知,静岡,岐阜,三重県),北陸地区(富山,石川,福井県)に加え,長野県,滋賀県,山梨県の一部の日本リハ医学会会員に呼びかけ,会則も作り当初312名の会員でスタートしたのが現在の地方会の始まりです.日本リハ医学会の地方会の充実などの動きに呼応して,平成9年10月から日本リハ医学会中部・東海地方会となり,2月と9月の年2回の学術集会に加え,特別講演として単位取得の機会を作っています.愛知,岐阜,三重県と長野,静岡県が主な会員構成となり,会員数は約550名となっています.現在の当地方会の会員数は,当地区における日本リハ医学会会員の約50%であります.現在は出費を抑えるためにも名古屋で開催しておりますが,今後は機会均等という立場からは長野や静岡での学会開催を検討しています.広く多くの先生方に当地方会にご入会・ご参加いただくことで,より充実した活発な学会となり,また各地域での開催運営も現実のものとなることと考えております.近く導入が検討されている代議員制においても,各地域のご意見を反映する可能性を高くするために地方会へご入会をいただきたく,この紙面をおかりしてご案内申し上げます.
佐直信彦(東北文化学園大医療福祉学部リハ学科)
東北地方会会員の皆様がリハニュース11号を手にするのは丁度第10回地方会が終了して間もない頃になるかと思います.お気付きになったかと思いますが,今回から地方会のご案内は単なる「プログラム」ではなく,「プログラム・抄録集」と装いを新たにいたしました.一般演題の抄録は後に本学会誌に掲載されますが,これにはそれよりもやや詳しい抄録が載っております.同時開催の生涯研修講演の内容はこれまで何処にも記録されることはなかったのですが,これも全会員のお役に立つように抄録を掲載することにいたしました.地方会はこれまで宮城県は毎年春先,他5県は秋に持ち回りで担当しておりましたが,平成13年度より東北6県が平等に3年に1回の持ち回りとなり,第10回の青森を皮切りに,宮城,秋田,山形,岩手,福島の順で開催されます.また,地方会の開催日時の関係上,今年から会計年度を当年の1~12月までとし,翌春先の地方会の総会で,事業計画,予算,決算を審議していただくことになりました.今後とも会員に益する魅力ある有意義な地方会にしてゆくために,東北地方会の在り方や運営に関し,会員諸氏からの提案をお待ちしている次第です.
椿原彰夫(川崎医大リハ医学教室)
中国・四国地方会は中国四国リハビリテーション医学研究会を母体として平成8年12月に結成され,現在会員数は310名となりました.年に2回の学術集会を行っていますが,うち1回はコメディカルを中心とする中国四国リハビリテーション医学研究会と同時開催としています.学術集会の一般演題数は20~30題で,活発な質疑応答が行われています.発表の分野は多彩で,脳血管障害・脊髄損傷・脳性麻痺・関節障害・電気生理学・義肢装具・嚥下障害・高次脳機能などリハ医学のすべてを網羅しています.コメディカルの演題では運動学・治療手段・福祉関係も含まれ,興味深く勉強することが可能となっています.特別講演は常時2~3題が行われ,基礎的な教育講演から最新のリハ医学に関する内容までさまざまです.中国四国地方の先生以外にも国内外の高名な先生を講師としてお招きしています.次の第8回地方会は,平成13年12月9日(日)を予定しています.特別講演は,市川市リハビリテーション病院院長の永田雅章先生に「回復期リハ病棟の現状と課題」を,倉敷中央病院リハ科部長の伊勢眞樹先生に「機能代償とリハ」をお話しいただくこととなっています.中国四国地方以外の諸先生方にも,ぜひご参加くださいますことをお願い申し上げます.
染矢富士子(金沢大保健学科)
北陸地方にどの県が所属するのかは,全国レベルでは議論の残るところですが,この地に住んでいる者にとっては,富山,石川,福井の3県というのが通常の概念です.この理由の1つに交通事情があり,名古屋に行くより,京都,大阪のほうが近く,新潟はさらに遠いという現状があります.そこで,少人数の会が独立して存在することになります,これには長所も欠点もあります.会員数が少ないと財政面での運営が難しく,切りつめて赤字を出さないように努力する必要があります.その反面,専門医は毎回ほぼ全員参加し,指導的立場で会の進行にあたっています.また,認定臨床医でない先生の会員構成比率は20%で,その多くは専門とする診療科以外にリハ業務に関わらざるをえない第一線の医師です.つまり,認定臨床医の単位の必要のない先生も多数参加され,単なる単位取りの場となっていません.これも,小さな会であるがために手近な距離で開催され,出席しやすいことの現れではないかと思われます.逆に,北陸3県以外からのリピーターは少ない.現会員で新潟県所属の先生は3名で2度以上の参加は1名のみという状況です.その点やや閉鎖的感は否めませんが,「地方会」としてのアイデンティティーを,学術的な場に加え地域の情報交換の場として求めるなら,このようなあり方もよいかと思われます.地域の活性を図るためにも,この地方会を大いに利用していただきたいものです.
第39回日本リハビリテーション医学会学術集会 会長
三上 真弘
第39回日本リハ医学会学術集会を2002年5月9日(木),10日(金),11日(土)の3日間,東京国際フォーラム(東京都)で開催するにあたり,会員の皆様にご挨拶とご案内をさせていただきます.
例年は6月に学術集会が開催されていますが,皆様もご存知のようにサッカーワールドカップが6月1日より日本と韓国で開催されます.そのため東京は大変な混雑が予想されますので,通常より約1カ月早めることといたしました.したがって,演題募集の締め切りも例年より早め1月9日とさせていただきますのでご準備のほど宜しくお願いいたします.また今回より演題の応募はすべてUMINを通じたインターネットによる応募といたしました.応募につきましては学会誌リハ医学38巻10号または第39回学術集会ホームページ(http://www.med.teikyo-u.ac.jp/ ~jrma2002/)をご覧ください.
学術集会のテーマは「リハ医学の実証と発展」としました.第38回(横浜)のテーマが21世紀への船出ということでしたので,船出した船をどちらの方向に向かって舵を切ればよいのかということで一つの方向として実証にもとづいたリハということが示せればと思っています.
特別講演として21世紀は脳の時代ということで北里大学の養老孟司先生にお話をしていただきます.そのほかに特別講演としてIowa大学の木村淳先生に臨床電気生理学における波形分析について,帝京大学整形外科の松下隆先生に機能障害に対する手術による改善という観点から脚延長術についてお話していただくことになっています.
シンポジウムとして「脳性麻痺の機能予後」「21世紀における歩行解析の展望」「高齢切断者のリハ」,パネルディスカッションとして「痙縮の新しい治療法」「経頭蓋磁気刺激の臨床応用」「介護保険と介護及び地域リハへの提言」「脳卒中の装具療法:私のスタンダード」「リハにおけるロボット工学」などを企画しています.
教育研修講演は12題を予定しており,そのうちの一部は整形外科の研修単位も取得できるようにしたいと考えています.
そのほか,リハセミナーとして「脳卒中慢性期の体力づくり」「リハの実証と発展―理学療法(士)の役割は―」「リハと発展―作業療法(士)の役割は―」の3つの企画を考えています.また実際に装具に触れてもらえる継手付き下腿装具についてのワークショップも行う予定です.
以上,第39回学術集会の内容についてご案内しましたが,多少の変更があるかもしれません.その点はご容赦ください.多数のご参加をお待ちしています.
当センターは,秋田県の中央,秋田杉の美林と雄物川に囲まれた田園地帯,仙北郡協和町に位置しています.秋田市内から高速秋田道で20分,また県の空の玄関,雄和町飛行場からも至近距離にあります.当センターは平成3年に発足した秋田県の「痴呆・ねたきり予防委員会」の提言をもとに具体化された県立医療機関で,リハ科と精神科を主体に,平成9年に開設されました.病棟は,身体障害リハ病床100(2病棟),精神科病床100(3病棟),および痴呆病床100(2病棟)の7病棟,総病床数300床で構成されています.リハ科スタッフは現在,千田富義センター長を含めて8名.出身大学と経歴は様々ですが,その特性とキャリアを生かした意気の合った医療チームを構成しています.疾患は,脳血管障害を主に,痴呆を含む神経変性疾患,頭部外傷,脊損,などを扱っています.診療圏は秋田中央から県南,一部県北に拡がり,全県の身体障害・精神障害に関わるセンターを目指しています.当科の特徴の第一点は,センターの特性を生かして,身体障害と痴呆性疾患の診断と機能評価・リハ的対応に力点を置いていることです.身体リハ外来では紹介患者の診断と機能評価のほか,退院患者のフォローアップを行い,特にその維持期の指導管理を行っています.運動不足による肥満や糖尿病の悪化など,肢体不自由者の障害悪化を防ぐために発見後早期の再入院リハを勧めています.また“もの忘れ外来”を担当して早期痴呆の発見と診断・治療・リハ的対応・生活指導に取り組んでいます.脳卒中リハに関しての特徴の一つは,“脳卒中機能評価(RES)システム”を開設当初から導入し,機能予後予測と評価に役立てていることです.既に現在まで多くの独自データの集積も進みました.また,開設時にVF検査用の透視椅子を創案・設置し,嚥下障害の診断と機能評価・治療にも力を入れています.高次機能障害に関連した各種の認知障害,記憶障害に関するスタッフの関心は当初より高く,SPECTなどの機能画像検査や各種の評価測定器具を揃えています.痴呆病棟の一つは現在リハ科が主体に運営して,これらのノウハウを痴呆の早診断に役立てています.本年春より身体リハ病棟の一つを回復期リハ病棟として運用を開始しました.兄弟センターである秋田脳研からの脳卒中亜急性期患者の紹介が多く,若手ドクターが他のコメディカルスタッフとともに頑張っています.近隣町村の高齢者や障害者を対象とした“リハ健診”,リハ職種や看護婦を含む介護職種を対象とした技術講習会なども企画し,少ないスタッフながら目一杯頑張っております.
(佐山一郎)
秋田県立リハビリテーション・精神医療センターリハビリテーション科
〒019-2413 秋田県仙北郡協和町上淀川五百刈田352
Tel018-892-3751,Fax018-892-3779
HP: http://www.pref.akita.jp/rehacen/
帝京大学医学部は昭和46年に開設され,現在は東京都板橋区,千葉県市原市,神奈川県川崎市(溝口)の3カ所に付属病院を擁しています.今回は,板橋本院のリハビリテーション科について紹介いたします.当リハ科を創設され育ててこられた岩倉博光教授が急逝され,その後を三上真弘教授が引き継いだのが1990年のことです.それから早11年,医局員の人数と活動範囲は,徐々に拡大しています.リハ科の入院ベッドは19床で,脳卒中,切断,脊髄損傷,神経筋疾患等の幅広い疾患を有する患者さんの診療を行っています.外来は救命センター,脳外科,神経内科,形成外科,CCU,心臓外科,内科,外科等各科から,毎週20名を超える新患診察依頼があります.予め計画された四肢の切断に関しては,整形外科からの術前コンサルトが多いのも特徴的です.訓練部門は中央診療部門として総合リハ施設基準をもつリハ部を擁し,理学療法士15名,作業療法士5名,助手1名が頑張っています.現在の医局の実働スタッフは,三上教授,栢森助教授以下,助手2名(助手以上の4名はみなリハ専門医),大学院生1名,修練生2名.医局員の出身大学はみなバラバラであり,医局の雰囲気は極めて和やかです.大学病院ではありますが,土地柄,町医者的な要素も多分に持ち合わす病院でもあるので,発症直後の脳卒中などリハの基本である疾患を診る機会も多く,当院の研修だけでリハ専門医試験に必要なすべての疾患の診療ができるのも特徴の一つであるかもしれません.以前,他の医局の先生から「帝京といえば切断」と聞かされたことがあります.確かに,外傷や腫瘍,そして近年増加している動脈硬化性疾患に伴う切断患者はかなり多く,以前は当科医局に日本義肢装具学会(JSPO)事務局が,現在は国際義肢装具協会(ISPO)日本支部事務局が設置されています.三上教授は現在,ISPOの日本支部長を務めており,丸野助手とともに主に義肢・装具について,最近は機能的MRIや薬剤負荷心筋シンチ等を用いた研究も行っています.帝京は切断だけかと思いきや,栢森助教授は顔面神経麻痺などの末梢神経障害に造詣が深く,筆者が興味をもつ中枢神経障害に関する臨床電気生理学的研究にも貴重な助言をいただいています.教育に関してですが,帝京大学医学部,帝京看護学校,国立リハセンター学院義肢装具学科などで講議を行うとともに,北区や板橋区などの健康医療相談や脳卒中教室を通じて地域住民の教育・啓蒙活動も活発に行っています.どの医局でもそうでしょうが,少ない人数でいろいろなところを走り回っているような毎日です.そこにやってきたのが,来年度のリハ医学会学術集会の主催…….学会員の皆様にもいろいろとご協力いただくことになると思いますが,よろしくお願いいたします.
(羽田康司)
帝京大学医学部リハビリテーション科
〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1
Tel03-3964-1211,Fax03-3962-4087
鹿児島大学医学部リハビリテーション医学講座 池 田 聡
私はこのたび日本リハ医学会から国際交流の一環として海外研修助成をいただき,アムステルダムで開催された第1回ISPRMでの発表と,ベルリン自由大学のリハ科の施設訪問に行かせていただきました.ここで触れるまでもなくISPRMはこれまでのIRMAとIFPMRが統合され,2年に1回のリハ国際学術集会として再編成されたものです.73カ国からの参加があり,リハ医学における各分野の活発な討議が行われ,リハ医学の重要性が再確認されました.開会式典にはオランダの厚生大臣も来られ,私たちの分野の重要性を訴えられていました.アジアからも多数の発表があり,先ほどアジアミレニアムシンポジウムが開催されましたが,今後日本がアジア地区のリーダーシップをとってリハ医学を発展させていく責任があると痛感しました.
学会の後,ベルリンにあるベルリン自由大学リハ科のDr. Mauritzを訪ねました.Mauritz先生は,日本リハ医学会の名誉会員で,Journal of Rehabilitation Medicineのeditorもされており,リハ医学会総会で特別講演もされています.大変気さくな先生で,訪問を打診した際もすぐに快いお返事をいただきました.リハ科の病院は,ベルリンの中心から約30分の湖に面した緑の多い環境のよいところにあります.広大な敷地にいろいろな科の建物があり,その1つにKlinik Berlinという150床のリハ専門病院があり,リハ科と整形外科が診ています.リハスタッフはPT,OT,ST,SWほか総勢50人ほどいて,充実したリハを行う環境が整っていました.研究体制もうらやましいもので,スポーツバイオメカニスト他研究専門のスタッフがおり,新しい治療法などを開発していました.もっとも印象的だったのは,入院している患者さんから病人という印象をあまり受けなかったことでした.病室,食堂,ラウンジなどがホテル並みなこともありますが,日本のように病人扱いというものがない印象を受けました.日本でもノーマライゼーションが叫ばれていますが,ドイツでは当たり前のように行われている感じがしました.見学の後,私がこれまで行ってきた研究発表をさせていただきました.脊髄切断後直ちに大脳運動皮質での遺伝子転写活性化が起こっていること,骨格筋にストレッチ刺激を加えると,筋組織の遺伝子転写活性により骨格筋肥大が起こることなどについて述べ,分子生物学的手法のリハ医学への応用の重要性について討議しました.
今回の研修訪問は,いろいろと勉強になり,今後の臨床,研究に役立つと思います.国際委員会ならびに理事の先生方,大変感謝申し上げます.
(研修報告はリハ医学38巻12号に掲載予定)
東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
江藤 文夫
東大病院では1963年,リハビリテーション医学の展開を目指し,院内措置として中央診療部に運動療法室を開設した.整形外科の理学療法室や内科の物理療法室とは独立して企図されたものである.次いで1966年には,運動療法室に加えて作業療法室,水治療法室等を設置開設し,院内名称として,「中央診療部リハビリテーションセンター」と称した.さらに1969年度に理学療法部設置の予算措置がなされ,1970年1月より院内名称「リハビリテーション部」として独立した.
1984年に専任部長(教授)新設,翌年には専任副部長(講師)新設の予算措置がなされたが,名称について病院理学療法部であった.同じ頃には形成外科,小児外科,神経内科など,あるいは輸血部,救急部,中央検査部,手術部などが不完全診療科(講座)あるいは診療部という呼び方をされ,それぞれ整備充実を求めており,リハ部もその1つに加えられていた.
当時から医学部の将来構想がさまざまに議論されていたわけであるが,東京大学の大学院重点化構想に沿って,1995年から97年にかけて医学部の旧講座を廃止して大学院講座制への移行がなされた.その結果,大学院医学系研究科には11の専攻とそれぞれに属する27の講座が誕生し,従来の診療科講座は分野としてそれぞれの講座に属することとなった.前述の部門はすべて分野として大学院化されたが,リハ医学分野のみは設置されなかった.
大学院講座制への移行が完了し,その中に多くの新しい臨床医学分野が生まれたことに伴い,1998年に病院診療科の再編成がなされた.その際に感覚運動機能医学診療部門の中に教官定員0のままリハ科の名称も加えられた.診療科名はそれぞれ大学院の分野に対応することが原則のようであり,感覚運動機能医学講座内にリハ医学分野が想定されていたわけである.このことは現医学部長が非常に案じてくれたことで,2001年(本年度)から東大病院において理学療法部よりリハ部への名称変更,ならびに大学院医学系研究科にリハ医学分野設置の予算措置がなされることとなった.見様によっては,病院理学療法部部長(教授)が東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能学講座リハ医学分野教授に振り替えられただけのことである.
名称を同じくする中央診療部門と診療科(リハ部とリハ科)の関係説明をはじめ,リハ関連コメディカル職種の統合,リハ科としての展開,研究室のない医学系研究科での活動など課題は山積している.
昨今の国立大学を巡る豊富な話題に関連して,東京大学でも組織改革の議論が活発化していて,医学部固有の問題も含めて近い将来大きな変化を生じる可能性は大である.東京大学の組織変更については別の機会か他者に譲るとして,その末端の東大病院リハ部で生じつつある変化について,沿革を含めて紹介させていただいた.この変化を意義のあるものにしたいと願っている.
日本リハビリテーション医学会認定臨床医の資格更新制度が平成4年4月に定められ,来年4月に学会として初めて資格更新手続きが行われます.昨年来認定臨床医資格を有する会員の皆様には単位取得状況などを事務局からお知らせしてきました.今年7月にも昨年度の取得状況をお知らせする通知をお送りし,同時に更新資格の40単位を超えた方にはその旨お伝えしました.表に今後の更新手続きを整理します.
◆2002年4月更新対象者◆
40単位を取得し,更新資格を得た方 | 2002年3月末に事務局から更新手続きに関する書類が届くので所定の手続きをする. |
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40単位未満の方 | 2002年4月30日締め切りの「取得単位自己申請」により40単位が必要です. (過年度の単位取得自己申請未提出分は,今年度はいつでも受け付けます.直ちに事務局にお送りください.) 更新資格を得た方には同様書類到着 |
◆事務局側予定◆
2002年2月中旬~ | 2001年度分「取得単位自己申請」を受付開始事務局でのデータ入力 |
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2002年3月末 | 40単位取得し,資格を得た方に更新手続書類発送(第1段) |
2002年5月下旬 | 40単位取得し,資格を得た方に更新手続書類発送(第2段) |
*以上の手続き完了次第,新たな認定証をお送りします.
*更新が認定された方は学会誌に公表されます.
*留学・入院などで単位取得が困難な場合は,認定委員会で更新猶予申請を受け付けます.審議の結果,希望の認定期間を延長します.
*単位自己申請は毎年4月に前年度分を受け付けていますが,今年度は2月から受け付けます.
*これらの通信は,事務局に登録されている送付先にいたします.変更がありましたら必ずお届けください.
*今後も認定更新に関するお知らせをリハニュース・学会誌に掲載しますのでご注意ください.
評価・用語委員会 小林一成
A 1980年にWHO国際障害分類(ICIDH: International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)が制定され,リハ医学の中でもよく用いられている3つのレベルの障害分類(機能障害(impairment),能力障害(disability),社会的不利(handicap))が広く認知されるようになりました.しかし,種々の問題点が指摘されたため,それに応えて1993年から改定作業が正式に開始され,アルファ案,ベータ1案を経てベータ2案ができあがり,1999年秋から2000年秋までの1年間,世界各地でその翻訳および実地試用試験(field trial)が行われました.日本もそれに参加し,その結果を受けて,最終案が2001年5月のWHO総会に上程されました.
新国際障害分類はICF: International Classification of Functioning, Disability and Healthと改められ,ICIDHでは障害というマイナス部分のみが対象とされた点を変更し,障害のみならず健康というプラス部分を含む人間の健康状態に関わるすべてのことが対象となるように改められています.すなわち,ICIDHが“疾病の結果(consequence of disease)”に対する分類だったのに対し,ICFでは“健康状態の構成要素(components of health)”に対する分類に変更されています.なお略称については,ICIDHでの3つのレベルの分類(impairment, disability, handicap)は有益であり,また広く浸透していたため,当初第2版に改定するにあたってもICIDHをそのまま残して,ICIDH-2としていましたが,最終的には疾患分類であるICDに合わせてICFになりました.
改定のポイントの第1は,背景因子が分類に加わり,大きく2つの部分,Part1: 生活機能と障害(Functioning and Disability),Part2:背景因子(Contextual Factors)から構成されていることです.また,Part1とPart2は,それぞれ2つの構成要素からなり,それがPart1では(a)心身機能と構造(Body Functions and Structures)と(b)活動と参加(Activities and Participation),Part2では(a)環境因子(Environmental Factors)と(b)個人因子(Personal Factors)となっています.
ポイントの第2は,ICIDHでは身体,個人,社会の3つの次元で障害というマイナス部分を機能障害(Impairment),能力障害(Disability),社会的不利(Handicap)に分類していたものを,ICFでは,身体(Body)と生活(Life areas)の2つの次元で,マイナス部分の障害(Disability)のみならず,生活機能(Functioning)というプラス部分に対しても分類されている点です.ここで身体は心身機能(Body functions)と身体構造(Body structures)からなり,そのプラス面は機能的・構造的統合性(Functional and structural integrity)と呼ばれ,一方マイナス面は機能障害(Impairment)と呼ばれます.また,生活のプラス部分は,活動(Activities)または参加(Participation)と呼ばれ,一方マイナス部分は,活動制限(Activity limitation)または参加制約(Participation restriction)と呼ばれます.
第3のポイントは,ICIDHで批判が多かった機能障害→能力障害→社会的不利という一方向的関係について再検討が加えられ,生活機能と障害が,健康状態と背景因子に影響される各構成要素間の相互作用として理解されています.
なお,ICIDH-2最終案(WHO総会決定後ICF)については現在までのところ正式な日本語訳はなく,原文はhttp://www.who.int/icidhで閲覧可能です.
参考文献
1) WHO発行・WHO国際障害分類日本協力センター訳,ICIDH-2:生活機能と障害の国際分類(International classification of functioning and disability)ベータ2案,WHO国際障害分類日本協力センター発行,2000
2) ICIDH-2: International classification of functioning, disability and health, final draft, WHO, 2001
事務局長 鈴木利次
日本リハ医学会事務局では現在職員6人在籍しております.非常にまとまりがよく,仕事は一応分担していますが,一致団結し前向きに,先生方の事務的な一端をお世話いたしており,職員全員頼りになる医学会事務局を目指しております.職員の勤務評定と現在の事務分担についてお知らせします.
●鈴木利次(事務局長):平成12年4月着任,血液O型,少々せっかち,積極的,理解力,行動力あり(自分が言っているから),通勤時間1時間40分,着任後パソコン習得,一太郎,エクセルおよびワード(少々),メールには仕事が貼りついてくるので,その対応に追われている.①常任理事会および理事会会議に関する事務,②総会,評議員会に関する事務,③主務官庁,学術団体等渉外に関する事務,④事務局の管理,連絡調整に関する事務,⑤広報委員会,業務推進担当役員,白書委員会
●橋本勝眞(次長):平成9年5月着任,血液A型,寡黙で冷静沈着,英文は事務局の翻訳担当.パソコンに強く事務局の指導医,自転車で通勤.①予算,決算,収入,支出に関する事務,②庶務に関する事務(事務局長が担当するものを除く),③事務局長補佐,④国際委員会,会則検討委員会,関連専門職委員会,地方会等検討委員会
●白土幸子(主任):平成3年6月着任,血液A型,仕事に積極的,記憶力抜群,回転が速い,快く引き受ける,いろいろなことによく気がつく,キーボードたたくのが速い,通勤1時間.①会員のデータ管理および入会,退会,変更届けに関する事務,②会費の請求,納入等のデータ管理,③研修データ入力事務,④社会保険等委員会,障害保健福祉委員会,関連機器委員会
●宇野知左子:平成12年12月着任,血液AB型,積極的,確実な仕事,仕事早い,常に工夫改善,パソコン少々強い,通勤1時間.①学会誌の編集に関する事務,②生涯教育研修に関する事務,③認定臨床医の認定および資格更新に関する事務,④専門医認定に関する事務,⑤研修単位データ入力事務,⑥編集委員会,評価・用語委員会,教育委員会,認定委員会
●山本美佐子:昭和63年5月着任,血液O型,慎重,堅実,パソコン速い,通勤30分,週3日勤務.①文書の授受および郵便物に関する事務(庶務一般)),②研修施設の認定および更新に関する事務,③研修データ入力事務
●桜井順子:平成8年10月着任,血液B型,注意力抜群,慎重,経験を生かした会計簿記については,公認会計士からお褒めの言葉あり,自転車通勤,週3日勤務.①現金の出納に関する事務,②給与,退職手当,謝金等の経理事務,③旅費等に関する事務
今回もあれよあれよという間にページは埋まり,編集後記を書くほどの働きもしていないのです.間にISPRMと学会があり,イベントが多かったことや,活発な委員会活動,時代の流れに応じた諸問題等学会として考えるべきことの多い証拠でもあり,また学会員が学会の行方に関心を持っているということの証拠でもありましょう.●ところで,このたびISPOとISPRMの両方の学会に参加して思ったことは,やはり英語力が必要だということです.10年ほど前に初めて国際パラプレジア学会で発表しましたが,そのときの公用語は英語とフランス語でした.フランス語の質問がヘッドホーンを通して英語に変換されそれに対して受け答えするというもので,英語初心者の私は大変苦戦いたしました.そのときに参加していたイタリアの先生はあまりに英語ができなくて失笑を買っておりましたが,少なくとも現在ではヨーロッパ人で英語力に欠けるという人は国際学会ではみられません.ISPOの会議に3~4年前から出席しておりますが,当時英語の下手だったフランス人はかなり上手になっており,このように英語以外を母国語とする人々もそれなりの努力をしています.今回も両学会であった日本人スピーカーズは皆英語ができて互角にやりとりをしておりました.英語ができて当たり前といわれると私のようなぐうたらは困ってしまいますが確実にそういう時代がきているようです.日本人だからといって許されない…日々是研鑽.
(飛松)