リハニュース No.12
2002年1月15日
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INFORMATION
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医局だより
2002年1月15日
INFORMATION
医局だより
日本リハビリテーション医学会 理事 竹内 孝仁
社会福祉基礎構造改革は,1990年代に入って少子高齢化という社会変動を基盤にしつつ,保健・医療・福祉(介護)・年金など21世紀の社会保障制度全体の再構築論議に端を発しているといってよい.この流れの中で1994年に「社会保障将来像委員会第2次報告」が公表され,特に介護問題では保健・医療・福祉を統合し,利用者の選択を重視すると共にサービス主体の多様性,競争原理による質の向上を図ること,社会保険方式の導入などが勧告され,今日の介護保険やここでの主題である社会福祉基礎構造改革(以下,改革)の骨格がつくられた.
この改革の基本理念としては「自立」および「自立支援」を根幹とし,これを実現するための「利用者の立場に立った社会福祉制度」および「福祉サービスの充実」を2本の柱としてさまざまな制度・施策が打ち出されている.
まず「利用者の立場に立った社会福祉制度」としては,①福祉サービスの利用制度化,②利用者の利益保護,③福祉サービスの質の向上を骨子としている.特に「利用制度化」はこれまでの措置(行政が行政処分としてサービスを決定する制度)からの一大転換で,利用者に「選択」と従って「主体性(利用者主体)」を可能とするものである.
「利用者の利益保護」は,高齢社会で介護問題が一般化していることや民間事業者の参入を背景とし,サービスの契約制を確立するためサービス事業者に「契約書の義務付け」を行った.またサービスに伴う苦情を解決するための制度を,具体的には事業者内部あるいは市町村,都道府県社協に委員会を設けるなどとした.これとは別に自己決定能力の低下している痴呆性高齢者などに適切な福祉サービスを保証する「地域福祉権利擁護事業」が設けられ,民法改正で設けられた成年後見制度と共に権利擁護の具体的活動が行われることとなった.
「福祉サービスの質の向上」としては,後述の社会福祉事業法によるサービス供給主体の拡大に伴い,そのサービスの質の向上を図るため,事業者自体の「サービスの自己評価」と共に「第三者評価」の施策が導入された.
もう1つの柱である「福祉サービスの充実」には,従来は厳格な規準・規定が設けられていた「社会福祉事業法」の改正により,①社会福祉事業の範囲の拡大,②社会福祉法人の設立要件の緩和,③社会福祉法人の運用の弾力化,④地域福祉の推進,が図られることとなった.
上記の「社会福祉事業の範囲の拡大」には先の権利擁護事業,手話通訳や盲導犬関連事業など従来は対象とされなかったものが含まれるようになった.また「社会福祉法人の設立要件の緩和」は,小規模事業や保有資産額の引き下げが行われ,「運用の弾力化」では経営の確立を図るため,法人会計の弾力化が容認されるようになった.これらの一連の制度改正は,民間営利企業やNPO法人等のサービスへの参入促進と共に,従来は行政サービスの委託機関として事業・運用・会計などが厳格に規定されていた社会福祉法人の規制緩和を行い,その主体性の尊重と共に他の多様なサービスと事業者の参入を促そうとするものである.
現在のところ,この改革の直接的な影響は介護保険制度,つまり高齢者ケアの領域だが,少し遅れたかたちで障害者の領域にも及んでおり,やがては障害児,精神障害者へと展開していくと考えられる.社会的リハビリテーションは一般にその時代の社会制度・施策と密接な関係があることから今後の推移を見守りつつ必要な提言を行っていく姿勢が必要だろう.
障害保健福祉委員会 担当理事 伊藤 利之
社会福祉基礎構造改革の概要
利用者とサービス提供者との対等な関係
1) 利用者の保護:情報提供,福祉サービスの利用援助,苦情解決システムetc.
2) 利用者本位の福祉サービスの提供
措置制度から利用契約制度へ:障害程度区分の創設→支援費の支給
福祉サービスの質的向上
1) 福祉サービスに関する評価の実施:福祉施設に評価システムを導入
2) 社会福祉従事者の専門性確保:障害者ケアマネジメントの普及と障害者ケアマネジャーの養成etc.
社会福祉事業の拡充・活性化
1) 障害者関係事業の拡充:福祉サービス利用援助事業,障害者(児)相談支援事業,情報伝達/意思伝達の支援事業(手話通訳),盲導犬育成事業,知的障害者デイサービス事業,知的障害者デイサービスセンター
2) 多様なサービス供給主体の参入:民間事業者,NPO,当事者組織etc.
地域福祉の推進
1) 地域福祉計画の策定:市民参加,障害者の自己決定による自立生活の実現etc.
2) 知的障害者福祉の市町村への委譲
リハ医学・医療に関わる問題
1. 障害程度区分
身体障害者福祉法や知的障害者福祉法が改定され,身体障害者手帳診断に基づく障害程度等級や療育手帳の区分とは別に,厚生労働省から,あらたに能力障害に介護負担度などを加味した「障害程度区分」が示される予定である.
障害程度区分の決定は市町村が行い,それにしたがって,これまでの措置費に代わって支援費(施設支援費&居宅支援費)が支給される.なお障害者更生相談所は,市町村からの要請によって,とくに医学的,心理学的,職能的判定を必要とする場合には意見を述べる立場にあるが,障害程度区分の決定はあくまでも市町村が責任をもって行うこととされている.
これにより手帳診断は,支援費支給の前提となる「障害者」であることの証明,支援費支給の基準となる「障害程度区分」を決定する参考資料,という役割に限定されることになろう.
2. 支援費の支給システム(図1)
図に示したように,従来の措置制度(行政処分)による福祉サービスの提供システムが市町村による支援費の支給制度に移行する.新制度への改訂のポイントは,措置権者が市町村に代わったこと,利用者が指定事業者と直接契約を結ぶこと,このため,制度的には利用者が指定事業者を選択することができることである.
ちなみに支援費制度では,支援費基準や利用者負担および支給量などについて,介護保険と同様に,国として支援費支給に関する統一的なシステム開発などは考えておらず,それぞれの市町村が当該地域の実情などを踏まえて決定するものとされている.したがって,今後は全国の地域格差が今以上に拡大するものと思われる.
リハ医との関係で重要な点は,本制度では,これまで福祉施設を利用する場合に必須とされていた障害者更生相談所の入所判定が不要となり,形式的には,それに伴う医学的判定の役割がなくなることである(更生相談所は個別障害者に対して自ら入所判定を行うのではなく,市町村が行う支給決定に係る援助・指導の役割を担う).
もちろん,今後も施設や市町村からの要請により何らかの医学的意見書(診断書)を求められることになろうが,更生施設などの利用にあたって,障害者更生相談所の判定を受ける煩雑さが省略されることは大きな改善である.
3. 福祉施設などにおけるサービスの評価システム
福祉サービスの質的な向上を担保するため,施設などの事業者は適切なサービス提供に努めるとともに,自らのサービスを評価して自助努力することが求められている.これは旧制度下における施設評価が,年に一度,ある時期におけるベッドの占有率のみであったことを考えると大きな前進である.
しかし,現在試験的に提示されている評価内容は,施設サービスの内容を情報提供しているか,利用者に対する個別支援計画が策定されているか,それが利用者の合意を得ているか,計画に沿ってサービスが行われているか,家族に対して日常的に情報が提供されているかなど,サービス事業者の利用者に対する倫理的姿勢や態度を問うものに限られている.
そこで障害保健福祉委員会(日本リハ医学会)としては,身体障害者更生施設のサービス向上を計る指標として,リハの実施状況や効果に関する評価項目を追加すべきであると考え,現在,全国更生援護施設の実態調査を基に評価内容の具体化について検討しているところである.
いうまでもなく身体障害者更生施設は,医学的リハに加えて社会リハの実施拠点として大きな役割を果たしている.したがって,身体障害者更生施設においてリハの実施と効果に関する評価を導入することは意義深く,今年度中に評価試案を作成したうえで,平成15(2003)年度の本格実施に向けて厚生労働省に働きかける予定である.
障害保健福祉委員会 住居 広士
相談窓口の図(左)・支援制度の基本的な流れの図(右)
「障害者介護等サービス体制整備支援推進事業」は,厚生労働省が各県に事業の実施を促し,試行的な事業として実施している.内容は,①体制整備検討委員会の設置,②介護等支援専門員養成研修の実施,③推進事業の実施の3事業からなる.推進事業では,各県で実際に現場で障害者を訪問し,アセスメントからケアプラン作成・実施までケアマネジメント過程を実施する.通常は市町村に委託し,市町村はさらにどこかの施設に委託する.
障害者介護等サービス体制整備支援推進事業の目的は,①自立を自己決定とし,ADL的自立だけではなく,サービスを選択できる環境を目指す,②自立支援を重視し,社会生活力を自ら獲得していくことを目指す,③権利擁護やアドボカシーを,本人に代わり,障害者ケアマネジャーがすることなどを想定している.これらは幅広い対応力と深い知識が必要である点から,障害者ケアマネジメントの専門家の仕事として位置づけられる.
1. 障害者ケアマネジメントとは何か
ケアマネジメントは,ニーズと社会資源を結びつける手続きで.ニーズがきちんと把握され,それに見合った社会資源サービスを調整するプロセスである.
1) ニーズの発見
アセスメントにて,ニーズを見つけていく.本人の自立支援につながる要素を,主訴やアセスメント結果から見出すために,主訴を重要視しながらアセスメントから気になる点や気づいた点を挙げ,さらにその要因を考慮する.ニーズの発見時のプロセスに「本人が望んでいる尊厳のある生活」という視点を持つことが重要である.その目的のために,リハ医がサポートできるのある.
2) ケアプランの作成
利用者の複合的なニーズを明らかにするとともに,活用できる社会サービスを検討する.その結果に基づきケアプランを作成し,それを利用者に示し,利用者の同意を得る.
ケアマネジャーがコーディネーターとなり,利用者のニーズに関わる専門職種(医師,保健婦,看護婦,PT,OT,ST,MSW,PSW,CSW,介護福祉士,ピアカウンセラー等),市町村の担当者等が参加し,チームアプローチで行う.
ケアプランを作成する際には,公的サービス,民間サービス,インフォーマルサポートなど活用できるサービスすべてを検討する.これらについて十分に説明して,どの提供先からサービスを利用するかについては,利用者との相談によりサービス決定の範囲と程度を取り決めることが必要である.
2. 障害者ケアマネジメントの課題
介護保険により障害者ケアマネジメントが注目されるも,障害者分野でそれより以前から,高齢者より先に障害者の分野でケアマネジメントは発展していた.ケアマネジメントは対象となるニーズや社会資源の幅が広ければ広いほど,その効果が大きい.その他の分野のサービスを活用することで,より活性化する.平成15(2003)年度から実施される措置制度から契約制度への変革は,将来のわが国の障害者ケアマネジメントシステムに影響を与えるものである.特に,契約制度における基準としての従来の身体障害者手帳制度から,支援費制度があらたに構築される.しかしその障害者ケアマネジメントや支援費制度へのリハ医の関心と参加が非常に乏しい.障害者ケアマネジメントは,医学を含めてその他の分野も包括するシステムである.日本リハ医学会として,この障害者ケアマネジメントについての対応を検討しておくことは,極めて重要である.
3. 支援費制度とは何か
平成15(2003)年より行政が障害者サービスの受け手を特定し,サービス内容を決定していた「措置制度」から新たな支援費制度に移行する.市町村が,支援費の支給の要否を決定し,居宅は支給量と支給期間を,施設では障害程度区分と支給期間を定める.(身障法第17条,知障法第15条,児福法第21条)
その障害者区分と支給期間の決定のために,勘案すべき事項として,①障害の種類とその程度,②その他の心身の状況,③介護を行う者の状況,④居宅受給の状況,⑤施設受給の状況,⑥サービスの利用状況,⑦利用意向の具体的内容,⑧環境,⑨供給体制の整備の状況が提示されている.支給期間として,施設は3年間,居宅は1年間,グループホームは3年間で,再申請となる.
その障害程度区分については
などが検討されている.
決定事務機関としては,市区町村の聞き取り調査で決定する.決定のための新たな審査・判定機関は想定していない.必要に応じて,特に専門的な二次判定に更生相談所を絡ませる方向で検討されている.事業者はサービスの提供拒否は,空き定員がない場合・医療機関に入院が必要な場合が想定されている.従来の措置制度は介護者の急死・入院,家族からの虐待などあくまで例外的である.
4. 障害者ケアマネジメントと支援支給費との関係
平成15(2003)年より,社会福祉基礎構造改革である社会福祉法の制定により,いままでの措置制度が,契約制度に移行する.その利用者のサービスを選択する際の指標として,支援費制度が実施される.市町村において,一定期間内における複数のサービスの調整をする場合に重要となる.いままでの身体障害者手帳制度における障害程度等級から,障害程度区分に移行する.しかし障害者ケアマネジメントやケアマネジャーについては,その支援費支給制度においては,現時点では制度上に位置づけは未定である.医療保険制度以外での障害者への対応である支援費制度については,日本リハ医学会として注目しなければならない.
広報委員会 担当理事 竹内 孝仁委 員 長 木村 彰男担当委員 根本 明宜
日本リハビリテーション医学会では2000年よりホームページを開設し,アクセスも3万件を超えました.学術集会では演題登録,ホームページを利用しての迅速な情報提供が定着してきています.学会ホームページでも入会申込書のダウンロードを可能にしたり,学会誌抄録の検索を可能にする等,少しずつ機能を拡張しています.
現在は学会ホームページを文部科学省国立情報学研究所(NII)のサーバーに置いていますが,規定によりIDとパスワードでの会員専用ページは開設できません.そのため学会員以外の方にもオープンなホームページとなっております.一方で,ホームページの機能を拡張し,より便利なサービスを提供するためには会員専用のページが必要でないかとの議論をしています.民間サーバーでは自由な設定が可能ですが,会員数や財政状況を考慮しますと,公設サーバーの利用が望ましいと思われます.条件を満たす公的なサービスとして大学病院医療情報ネットワーク(UMIN: University Hospital Medical Information Network)があり,利用について広報委員会で検討中です.
UMINは東京大学に本部があり,全国42の国立大学病院のコンピュータを結ぶネットワークとして昭和63(1988)年に発足しました.医学・医療情報の提供,交流促進,共同作業による経営の効率化,共同研究の支援,医療データの標準化と各種統計の収集などを行っています.平成5(1993)年からインターネットのサービスを開始し,国立大学以外の医学・医療関係者も利用ができるようになりました.オンラインでの学会運用,学術情報の収集・電子化や医療・学術分野のための仮想専用回線や暗号技術などサービスを増やしています.本学会でも第37回学術集会から演題募集でUMINを利用しており,本年開催の第39回学術集会では演題登録がUMINを利用したインターネット登録に一本化されました.UMINは現在も文部科学省の予算で運用され,医療系の公的ネットワークとして機能しています.詳細はUMINのホームページ(http://www.umin.ac.jp/uminintoro.htm)をご参照ください.
さて,会員制ホームページの閲覧はIDとパスワードでホームページへのアクセスを制限しますので,利用に際しては学会員をUMINに登録する必要があります.個人情報の一部をUMINに登録することになりますので,登録に際して学会員の同意を得る方法についても検討する必要があります.
UMIN利用の利点と不安点を列挙いたします.
UMIN利用の利点
UMIN利用での懸念
若干の不安はありますが,経済的な負担がなく,学会員に対する情報提供を拡大する可能性のあるUMINの利用について,今後も広報委員会で検討し,理事会に諮って参りたいと存じます.それに先立ちまして,会員各位の忌憚無きご意見をいただきたく存じます.郵送またはFAX(03-5966-2033)にて学会事務局まで宜しくお願いいたします.
委員長 里宇明元
1年間の編集委員会関係の動きをまとめて報告いたします.
1) 投稿・査読状況:2001年の年間投稿論文数は57件で,1999年(52件)より増加,2000年(56件)とほぼ同数でした.査読システム改良後,受理までの期間が短縮し(中央値:1999年162日,2000年130.5日,2001年119.5日),効果がうかがわれます.
2) 文献データベースへの登録:すでにリハニュース10号でお知らせしたようにリハ医学会は,国立情報学研究所電子図書館サービスに加盟し,会員であれば登録するだけで利用可能になっております(申請:user-request@nii.ac.jp,HP: http://www.nii.ac.jp/els/els-j.html).積極的な活用をお願いいたします.さらに民間の電子図書館であるメディカルオンラインへの加盟も理事会で承認され,契約を進めているところです(www.meteo-intergate.com).利用可能になり次第お知らせいたします.また,11号で報告したCIRRIE(The Center for International Rehabilitation Research Information and Exchange)には,すでに1997年以降の英文目次と英文抄録を送付し,収載を待つばかりになっております(http://cirrie.buffalo.edu).MEDLINEへの新規収載が極めて困難な現状の中で,少しでも掲載論文の国際的認知が高まることが期待されます.
3) 論文賞選考:昨年12月7日の委員会で今年度の論文賞選考委員会が発足しました.これから3か月間,委員は通常業務に加え,選考作業に追われますが,価値ある論文を公明正大に選考すべく,全力を尽くします.
4) 委員交代:10月より鴨下 博,川平和美両先生から上月正博,中西亮二両委員に交代されました.退任者のこれまでの編集委員会に対する貢献に感謝するとともに,新委員のご活躍を期待いたします.
委員長 間嶋 満
1. リハニュース11号でお知らせしましたが,認定臨床医の資格更新のための単位取得はまだ可能です.2002年1~3月までに予定されている生涯教育研修会をすべて受講しますと,まだ25単位取得可能です.これに地方会参加での1単位が加わりますと30単位が取れます(表).さらに,地方会で筆頭演者になりますと,さらに1単位が追加されます.あきらめている先生,もう一度現在まで取得している単位数を確認してください.まだまだ間に合うかもしれません!
2. 本委員会は生涯教育研修会や医師卒後研修会を主催する委員会と考えておられる会員が大部分でしょう.実際,そのような作業を主に行ってきたわけですが,昨年11月23日(金)に開催された委員会では,本委員会が「リハ医学教育はどうあるべきか」を基本テーマとし,それを具現化するための活動を積極的に行う委員会へと脱皮することが確認されました.この一環として,現在リハ医学卒前・卒後研修カリキュラムの大改訂作業が進行中ですが,本年中に委員会として最終案を取りまとめる予定です.
委員長 本田哲三
1. 医療保険に関して:昨年10月下旬に内科系学会社会保険連合(内保連)の平成14(2002)年度社会保険診療報酬改訂要望書が厚生労働省へ提出されました.他学会との共同提案を含めて本学会の新設要望項目は,リハビリテーションカンファレンス実施料,言語療法,早期作業療法,運動点ブロック,高齢者総合機能評価,改訂要望項目は,退院前訪問指導料,呼吸リハビリテーション,難病患者リハビリテーション料です.これで,先の外科系学会社会保険連合(外保連)の要望書とあわせて診療報酬改訂への要望書が出そろったことになります.連日マスコミを賑わせている小泉医療改革により改訂の先行きは不透明ですが,適正な診療報酬が決定されることを期待しています.
2. 報告関連:当委員会による「クリニカルパス実施状況報告書」が本学会誌12月号(リハ医学2001;38:950)に,「介護保険アンケート調査報告書」は1月号(リハ医学2002;39:8)に掲載されました.ご参照ください.
委員長 木村彰男
白書委員会が立ち上がり,白書作成に向けて活動を始めました.以前,学会より白書が出されましたが,その当時よりかなりの年月が経過したこと,また当時の白書は障害者などの状況を中心としたもので,学会の記録としては別の形の方が良いのではないかとの議論の下に,今回改めて白書を作成することになった訳です.即ち,本学会の歩みと現状,さらに今後の課題などを中心に構成しようと考えています.その意味では今回の白書は「リハビリテーション医学白書(仮題)」のような名称になると思います.また今後は3~4年毎に定期的に刊行したいとの意見も出ております.幸い,先日の理事会で今回白書が刊行された暁には,無償で学会員の皆様に配付することが決まりましたので,皆様にも役立つ内容にしようと,委員一同で企画を練っております.もちろん,関係各位に配付すると共に市販も行い,学会の広報活動にも役立てるつもりです.現時点では2002年12月を目標に刊行する予定です.何か白書についてご意見がありましたら,委員会ないし事務局宛に積極的にご意見をお寄せください.
日本リハビリテーション医学会 理事長 千野 直一
地方会等検討委員会 担当理事 土肥 信之
平成13(2001)年11月17日の理事会において,平成14(2002)年度の活動方針の一つとして,「地方会の充実」が掲げられました.
地方会のあり方については,地方会等検討委員会で検討し,理事会でも審議しているところでありますが,各地区の活発な学会活動を推進するために,学会から地方会への経済的補助を行うこと,そのためには,本医学会会員は何れかの地方会に属する組織作りをすること等下記の方針が提案されました.この方針については,平成14(2002)年5月の総会に諮り承認を得るべく進めておりますので,会員皆様のご賛同をいただきたくここにお知らせいたします.
日本リハビリテーション医学会会員は,本医学会の何れかの地方会に所属するものとみなす.
日本リハビリテーション医学会は,地方会事務局運営費の一部を補助する.
【解説】
日本リハビリテーション医学会会員は,全員自動的に地方会に属することになりますが,地方会としての年会費は徴収されません.
何かご意見がありましたら,事務局までFAX(03-5966-2033)にてお寄せ願います.
北海道は,今年もとうとう雪の季節となりました.夏のつもりでの運転による事故による若年者の頭部外傷や,つるつる路面では高齢者の転倒骨折が気がかりな昨今です.北海道地方会(代表世話人:眞野行生)に関連する最近の動きは以下のとおりです.
「北海道リハビリテーション看護研究会」の発会:去る2001年11月16日に北海道看護協会,日本リハ医学会北海道地方会などの後援により「北海道リハビリテーション看護研究会」が発足し,発足会・記念行事が施行されました.リハ医療で重要な役割を担う看護分野でのリハ研究の発展を期待したいと思います.
臨床認定医生涯教育研修会:2002年2月23日に東邦大学教授原田孝先生,心身障害児総合医療療育センター君塚葵先生,札幌市立病院松本昭久先生にご講演をお願いし準備中です.
リハビリテーション・ケア合同研究大会・札幌2002(9月6,7日予定)の準備中です.
第40回日本リハ医学会総会・札幌開催については,会期:2003年6月18~21日,会場:新しく建設される札幌コンベンションセンター(仮称)に決定しました.札幌は気候もよく,観光地も多く,美味しい物も多く,多数の皆様の参加を期待します.
(渡部一郎/北大リハ科)
東北地方会幹事会の討論から
日本リハ医学会には昨年地方会等検討委員会が設置され,地方会組織,代議員制について検討しております.8月31日の検討委員会では,地方会を活性化するためにはどのような組織がよろしいのか,各地方会の意見を集約することが宿題として課せられました.10月13日に第10回地方会開催時に幹事会がもたれました.
組織化の大きな課題の1つは,現在は地方会への入会は任意であるということです.東北地方会の場合,発足から1回でも地方会会会費を払ってくださった日本リハ医学会会員は400名ぐらいで,東北地区6県に在住の会員580余名の約70%です.しかし,年会費の納入は毎年250名程です.地方会の開催案内時に入会のご案内と会費納入のご依頼を同封致しますと,抗議のファックスなどが来ることがあります.それに対して,日本リハ医学会の会員はいずれかの地方会に自動的に入会となり,それを構成するという考えがあります(日本リハ医学会の年会費に地方会費を含めるということになります).会員,会費管理の仕事がなくなり,労力の軽減につながり極めて有り難いことです.
しかし,目的である地方会の活性化につながるかどうかは疑問です.東北地方会では毎回,内科,小児科,神経内科,整形外科,リハ関連職種等の先生方との共同発表がほとんどです.東北地方会の準会員,一時会員として対応しております.学問領域としての中央組織はいざ知らず,医学の臨床応用である医療の場では,医療機関・施設,地域の現場になるほど,各種専門職との共同作業となります.医療として機能するためにはリハ医学に限らず当然のことと思います.リハ医学はその定義,理念からその傾向は他の領域よりも強まらざるをえません.地方会の会員資格,共同発表等に対して,中央組織と地方組織の関係をどう調整するのか.そのことを考えると,今の東北地方会の組織形態を維持することが活性化のためには大切だというのが大方の意見でした.会員の皆様のご意見をお待ちしております.
(佐直信彦/東北文化学園大医療福祉学部リハ学科)
九州地方会は現在約700名の会員で構成され,年2回の学術集会(認定臨床医生涯教育研修会を同時開催)を行っています.平成13(2001)年は,2月に第9回地方会(久留米大学リハセンター・志波直人会長)を福岡県久留米市で,9月に第10回地方会(鹿児島大学・浜田博文会長)を鹿児島市で開催し,世話人の先生方のご尽力はもとより,会員の皆様の積極的なご参加により盛会裏に終えることができました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.
さて,第11回地方会は,平成14(2002)年2月3日(日),山永裕明会長(介護老人保健施設清雅苑施設長)のお世話で熊本市産業文化会館にて開催される予定です.午後の特別講演は橋本洋一郎先生(熊本市民病院神経内科部長)に「脳梗塞の診療体制:病院完結型から地域完結型へ」を,生涯教育研修会教育講演には菊地臣一先生(福島県立医科大学整形外科教授)に「腰痛をめぐる常識のウソ:EBMの視点からの再検討」,才藤栄一先生(藤田保健衛生大学リハ医学講座教授)に「対麻痺立位・歩行再建:装具を中心に」をお話いただく予定です.午前の学術集会と合わせ,ホットな話題を拝聴できるのではないかと楽しみです.会員の皆様の積極的なご参加をお願いします.
今後,九州地方会ホームページを開設し,学術集会や生涯教育研修会に関する案内,九州各県で開催される研究会の情報の提供を考えております.皆様からのご意見をお待ちしております.
(佐伯 覚/産業医大リハ医学講座)
中伊豆リハセンターは静岡県伊豆半島のほぼ中央に位置し,伊豆高原に隣接する「空に富士,天に星」と風光明媚な場所にあります.この中伊豆町に昭和48年JA共済の支援のもとに障害者の社会復帰を目的に設立され,現在は医療部門158床,身障施設部門160床,通所リハ施設を有し,近隣都市に2カ所の訪問看護ステーションを運営し,回復期リハから在宅リハまで一貫して行える,複合的リハ施設に変貌しています.
現在の医局メンバーは稲田晴生センター長以下5名(リハ専門医4名,リハ臨床認定医1名)と,内科,整形外科,泌尿器科の非常勤医師8名で構成されています.病棟は回復期リハ(病床50)と療養型(病床108)からなり,回復期リハ病棟は平成13年7月に認可を受けスタートしたばかりです.
センター内のリハスタッフはPT 20名,OT 17名,ST 6名,SW 3名,医療体育科1名を擁し,2カ所の訪問看護ステーションにPT 7名,OT 2名を配置しています.
臨床的な特色としては,稲田センター長を中心に脳卒中の摂食・嚥下評価にVFや嚥下内視鏡を利用し適切な嚥下食や摂食方法の検討や,歩行分析は大型床反力計と3次元動作解析機器を用いて脳卒中をはじめとする歩行障害の評価・リハ的アプローチ方法を研究し,臨床へのフィードバックを試みています.また片麻痺の足部内反尖足変形に対する足部機能再建術も特色のひとつです.病棟訓練では,PTによる病室・病棟での基本動作訓練,昼食時に食堂でのST・OTによる摂食,嚥下訓練を行っており,家屋の増築,改修のアドバイスは家族,リハスタッフと共にハウスメーカーの積水化学の専門スタッフによる建築相談会を月2回実施するなど,機能回復と在宅復帰を主眼に臨床に励んでいます.
地域への活動としては,訪問診療,市町村の機能訓練事業,更生相談所の委託による身障巡回相談,静岡県東部地域リハ広域支援センターとしての業務など,リハ医にとっては多岐にわたるフィールドでの研修・研鑚が可能です.平成12年には施設内にLANが整備され,IT化が促進されつつあり,患者情報のデータベース化とリハ報告書や情報提供書作成におおいなる力を発揮しています.硬い紹介内容となりましたが,当センターは隣にゴルフ場,温泉・釣り・ダイビングスポットが多々あり,夜空を眺めれば流星群(獅子座・双子座流星群は良く見えました)と余暇を楽しむには絶好の勤務地です.研修プログラムもあります.在宅にも興味のある先生方が医局メンバーに加わっていただければ幸いです.
(鄭 健錫)
農協共済 中伊豆リハビリテーションセンター
〒410-2507 静岡県田方郡中伊豆町冷川1523-108
Tel0558-83-2111,Fax0558-83-2370
HP: http://www.janrc.or.jp/
東大リハ部は1963年にリハ医学の展開を目指すため,整形外科の理学療法室や内科の物理療法室とは独立して,院内措置として運動療法室を中央診療部に開設されたことに始まる.1969年から公式に理学療法部となり,1984年には専任部長(教授)が設置された.そして,2001年になってリハ医学分野(旧医学部講座に該当)の設置が文部科学省により認められ,前世紀から持ち越されてきたリハ科がようやく開かれ,昨年2人大学院生が誕生した.今年も2名が入学予定である.このリハ科の設置と同時にリハ部における関連する医療職の統合整備も行われた.分院を含む組織統合により,PT 14名(リハ部7名,内1名は非常勤職員,本院整形外科5名,分院整形外科2名),鍼灸マッサージ師5名(アレルギーリウマチ内科),OT 5名となった.しかし,統合後のリハ診療形態は当面従来通りとし,整形外科医師による処方・指示→整形外科PTによる評価・治療,精神神経科医師による指示→OTによる評価・治療,アレルギー内科医師による処方・指示→鍼灸マッサージ師による治療が各部所で行われている.
専用病棟を保有していないことから,院内各科の入院患者を主な対象としている.対象患者は,整形外科を除き,本院にあるほとんどすべての診療科より依頼を受けている.ただし,整形外科や精神神経科の患者でも障害によってはリハ医師の診察によりリハ治療を開始することもある.最近の診療件数を見ると,入院患者の症例数は平成10年度から漸増し,約2倍に増加している.中央診療部としての年間治療件数は理学療法で約16,000件,整形外科理学療法で約7,000件,身体障害作業療法(中央診療部)で約3,300件,精神科作業療法で約6,000件となっている.
医師診療は,1名の講師を中心に1名の助手と3名の医員(他:研修医1名は院内内科ローテーション)がリハ部主治医として対処している.水曜午前中に1週間の新入院患者の部長回診を実施し,問題症例についての検討会も行っている.補装具,義肢,特殊杖および車椅子等の処方と適合判定は,木曜午後1時から装具診(特殊外来)で実施し,午後3時から現在診療中の患者についての評価会議を医師およびセラピスト全員で行っている.その他,呼吸教室を老年科呼吸器担当医師とPT等により週1回半日外来患者に実施.新たに昨年9月の新病棟開設時に循環器内科病棟の一部に心臓リハの施設認定を受け,始動し始めたところである.
新病棟と中央診療棟が遠くなったことで少々問題が生じてきた.当部では急性期よりリハを開始することが多く,病棟(bed side)での理学・作業療法が施行される比率が高い.さらに,中央診療部で治療を施行する際にも患者の送迎を必要とすることが多い.検査や他科受診等では病棟で送迎を担当するが,リハに関しては送迎をPTやOTが行っているため,タイムロスが生じている.
以上のように一昨年来,新たな設置・統合および新病棟開設が行われ目まぐるしく変化し,それによる問題も生じてきているが,スタッフ一同一丸となって忙しいながらも楽しく働いている.今後は早急に設備,研究施設(今まで存在しない)を整えて,臨床・研究・教育の最先端の発信基地として活動できるよう準備中である.
(広瀬 健)
東京大学医学部附属病院リハビリテーション科
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
Tel03-5800-8680,Fax03-5684-2094
和歌山県立医科大学リハビリテーション科 前島伸一郎
日本リハビリテーション医学会のTraveling Fellowとして,2001年7月7~14日までオランダ・アムステルダムのRAIで開催された第1回国際リハビリテーション会議(ISPRM)に参加させていただきました.本学会は1997年に日本でも開催された,あのInternational Rehabilitation Medicine Association(IRMA)とInternational Federation of Physical Medicine&Rehabilitation(IFPMR)が合体して第1回学術集会が行われたものです.
参加者は1,000人以上あり,ヨーロッパ諸国をはじめ,米国,オーストラリア,韓国,中国またブラジルなどからも多数の出席がありました.厳かな開会式の後には手品師によるマジックショー等があり,会場を湧かせてくれました.演題数も600題ほどあり,いくつもの会場に別れて並列的に行われました.日本からの演題も数多くみられました.私は口演発表(Unilateral spatial neglect in patients with cerebral hemorrhage)とポスター発表(Early Rehabilitation Program for Hemiplegic Stroke Patients: Useful Training Conducted by Patient Families)の2題を発表させていただきました.口演発表では座長兼演者の1人が欠席するというアクシデントに見舞われながらも,熱心な議論が行われました.そのセッションが終わった後には,他の演者の先生達が回りに集まって,“Good job! Nice presentation!”など,お互いの健闘を誉めたたえ合うという異様な(?)光景…少なくとも私には初めての体験をしました.これとは逆にポスターセッションではかなりキャンセルされた方も多かったようで,ボードの空白が多くみられました.また,人の気配のしない所に設置されたボードもあり,せっかく作ってきたポスターが注目してもらえない場面も見受けられました.
学会の合間には,アムステルダムから車で約1時間の所にあるウレヒトという町にある公立のリハセンターを訪問させていただきました.ここは約100床の地域のリハ専門病院です.設備や内容をみる限りでは日本の標準的なリハビリテーション病院とほぼ同じ程度ではないかと思いました.ただ,装具や車椅子の製作を施設内で行えることに驚きました.また,日中は病室内で臥床している患者がおらず,デイルームで楽しそうにゲームやTVを楽しんでいる姿に感心しました.
今回,参加させていただいて感じたことは,日本のリハ医療が他国と較べて決して見劣りはしていないということと,学術面からも日本人は質的に高い研究をしている(すべてではないが)ということでした.米国からの発表が少なかったのが残念でしたが,今後,我が国のリハ医が世界のリハビリテーション医学界をリードしていけるよう共に精進していきたいと思いました.次回のISPRMは2年後にイスラエルで,次々回は4年後にブラジルで予定されています.
最後に,小生をTraveling Fellowとして派遣させてくださった日本リハ医学会の先生方に深謝いたします.
教育委員会 担当理事 田中 信行
文部科学省の科学研究費補助金(科研費)の獲得は今後の大学や研究機関にとって最重要であるが,リハビリテーション医学は申請細目がないため,なかなか採択されなかった.
日本リハ医学会では,一昨年より「リハビリテーション科学」の細目新設の要望書を文部科学省学術審議会に日本PT協会,OT協会,ST協会とともに提出し,関係方面に強く働きかけてきた.その結果,昨年9月21日文部科学省ホームページに下表の如く,「リハビリテーション科学」が細目として答申された.
研究費交付は平成15年(2003)年より(申請は平成14年)であるが,分科:人間医工学の他の細目に負けない,“独創的,かつ斬新なアイデア”の研究申請が多数なされるように期待したい.
平成15年度「系・分野・分科・細目表」付表キーワード一覧総合・新領域系
分野 | 分科 | 細目 | キーワード |
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総合領域 | 人間医工学 | 医用生体工学・生体材料学 | 〔医用生体工学〕 医用機器,医用画像工学,生体情報・計測,生体システム工学,バイオメカニックス,人工臓器工学,治療工学 |
〔生体材料学〕 医用材料,歯用材料,生体機能材料,生体物性工学,細胞・組織工学 |
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医用システム | 検査・診断システム工学,低侵襲治療システム,遠隔治療システム,臓器保存・治療システム,再生医療システム,医療情報システム,コンピュータ医科学,医用ロボット | ||
リハビリテーション科学 | 〔リハビリテーション科学〕 リハビリテーション医学,障害学,運動療法学,物理療法学,作業療法学,言語聴覚療法学,医療社会福祉学 |
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〔福祉工学〕 健康・福祉工学,生活支援技術,介護支援技術,社会参加,バリアフリー |
日本リハビリテーション医学専門医会 担当幹事 古市 照人
(獨協医科大学リハビリテーション科)
来る1月26日(土),27日(日)の両日,東京都大田区立池上会館で開催予定の学術集会は日本リハビリテーション医学専門医会と大学病院リハセンター連絡協議会との共催で行われる.
初日の1月26日には,学術集会のテーマの1つを「リハビリテーション臨床技能の教育と実践」として,わが国の卒前・卒後医学教育におけるリハの更なる発展を図るためにリハ医学を専門とされる方々に参集していただき,現状と今後の動向について討論されることを期待している.
1月26日の特別講演として,14時から「医学教育モデル・コア・カリキュラムと臨床実習開始前共用試験」というテーマで卒前医学教育におけるリハ科学の位置付けについて東京医科歯科大学上席学長特別補佐(副学長)である佐藤達夫教授(文部科学省:医学における教育プログラム研究・開発事業委員会委員長)から解説していただく.また,卒後医学教育については「医師卒後臨床研修プログラムにおけるリハビリテーション研修の意義」をテーマとして,日本赤十字武蔵野短期大学教授で日本医学教育学会副会長である畑尾正彦教授(厚生労働省:臨床研修必須化準備調査検討委員会委員長)から,わが国において平成16(2004)年から開始されることが決定した卒後臨床研修必修化についての検討課題などを紹介していただくことを予定している.
その後,大学病院リハセンター連絡協議会ワークショップとして,卒前・卒後リハ医学教育についてのリハ教育現場からの意見交換を企画している.
特別講演でのテーマはいずれも,これまで棚上げにされてきていた医学教育改革の具体化の一環についてである.共用試験といわれる医師国家試験前の統一全国試験の導入や臨床研修の必修化など,前年度から今年度にかけて急激な変動がみられる.しかし,リハ医学教育がより充実することを期待する側からは,これらをチャンスとして活用する必要がある.ただし,現実にはリハ関連事項の多くが各器官系疾患の項に分散されることを受け入れなければならなくなる.これまでリハを統合されてきた方々からのご意見をうかがいたい.
2日目(1月27日)は,従来の集会と同様に専門医の研究内容を中心にして,各分野からの報告をもとに討論していただく.日本リハ医学会学術集会では時間的制約から不十分になりがちな意見交換が活発に行われることを期待する.
後半部分では,各病態のEBMに基づいたトピックスを中心とした講演も企画しているの期待していただきたい.
会場である「池上会館」はJR「大森」駅西口からタクシーでも至近距離であり,比較的都心からのアクセスも良好である.ただし,大学入試センター試験の翌週であるので都内は受験生で混雑することを覚悟していただきたい.また,例年通り,リハカレント参加にて日本リハ医学会認定臨床医の単位が1単位取得できることも確認していただきたい(詳細はリハ医学38巻12号947頁参照).
日本リハビリテーション医学会 理事長 千野 直一
認定委員会 担当理事 三上 真弘
委員長 出江 紳一
認定臨床医資格更新制度については,他学会の制度を参考にしながら,理事会,認定委員会で検討されてまいりました.平成13(2001)年9月29日の理事会において,『資格更新時満65歳以上の者は,更新審査を免除する.ただし,平成14年4月1日から平成18年4月1日までとする.』ということが決まりました.この暫定措置は平成14年の総会に諮り,会員皆様のご賛同を得て実施されることになりますので,ここにお知らせいたします
平成13(2001)年度の認定臨床医単位取得自己申請用紙を,リハ医学第39巻2号の巻頭に掲載します.従来の申請期間は4月1日~30日でしたが,今年から申請は4月30日まで,随時受け付けます.
国際委員会
海外研修助成制度の一部改正が昨年9月の理事会で承認され,助成対象枠が若干拡大しました.会員諸氏のふるってのご応募をお待ちしています.
詳しくは,リハ医学38巻11号会告(本制度内規),38巻12号(平成14年度海外研修助成募集のお知らせ),2001年10月発行のリハニュース11号(研修関連情報)を併せてお読みください.
『戦』が2001年の漢字に選ばれたそうだが,漢字二文字なら『不安』かなあ,と思っていたら案の定,国民の65%が日頃の生活で不安を感じているとの世論調査が内閣府から発表された.1958年以来最も高い数字だそうだ.
輝かしい21世紀の幕開けになるはずだった2001年は,残念ながら何ともやりきれない不安な一年になってしまった.医療・福祉制度の改革も急だが,いたずらに利用者の不安をかき立てるのではなく,利用者が安心して制度を利用できるように整備されなければならない.我々リハビリテーション医は障害者の日常をよく知る専門職として,利用者の立場に立って意見を主張すべきであろう.国民が誇りを持てるような新しい福祉制度誕生を期待したい.
ワールドカップで日本が優勝する『歓喜』の年になれば最高だが,そこまでは望むまい.
2002年が『安心』の一年になりますように.
(水落和也)
事務局の職務については,本学会定款第20条第1項に「本会の事務を処理するために,事務局を置く.」とのみ規定され,その任務については具体的に明示されていない.また,社団法人になる以前の医学会会則第17条でも「本会の事務を処理するため,幹事および書記等の職員をおくことができる.」との条項がある.
本医学会が公益法人であるため,国の「公益法人の設立許可および指導監督基準」により指導監督を受ける立場であるが,この基準の4. 機関(5)事務局及び職員の項において,当該法人の事務を処理するため,事業の規模,内容等を考慮して事務局を設置し,所要の職員(可能な限り常務職員)を置くこととされ,さらに同基準運用指針では,(1)公益法人の意思決定機関,または業務の執行機関として理事及び理事会が置かれているが,業務の遂行に伴う日常的な事務を処理するため,事務局を設置することが必要であると規定されている.
いずれにしても事務局の組織の設置要請であり任務,職務については,その団体,学会のそれこそ設置目的,規模によるものであろう.わがリハ医学会の職務の内容は,前号において職員の具体的職務として紹介したとおりです.
これらの業務を円滑に遂行することがわれわれ事務局の任務であるが,昨年度会員管理の新システムを導入し,今年度臨床認定医単位登録・認定更新プログラム及び教育施設管理プログラムも追加され,コンピューターシステム環境は整備されました.今後の効率的運用が期待されます.認定臨床医試験のOMRの導入,国立情報学研究所電子図書館の加入,学術集会のオンラインによる演題申し込みとの連携などコンピュータの操作,情報処理に関する知識が求められております.また,国際会議の開催,外国人の受け入れなど国際化に伴ってこれらの事務を処理するセンス,語学力も要求されると大変です.自己研鑚に努めねばと思いながらもつい日常の業務に追われることになりますが,これからは年度末,新年度に向かってさらに多忙な時期を迎えます.
総会・評議員会の案内,会費納入のお願い,認定臨床医更新の通知,研修施設の調査,会員名簿作成のための調査票等がお手元に届く筈です.われわれ事務局員はリハ医学会の一員として微力を尽くしているところでありますが,会員各位のご協力が是非必要でありますのでよろしくお願い申し上げます.会員各位にとって学会事務局は馴染みのないところとは存じますが,こうしたらどうかとか注文がありましたらお聞かせください.
(事務局次長 橋本勝眞)