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リハニュース No.30

2006年7月15日

  1. 特集:新医師臨床研修制度・後期臨床 研修への対応

    日本リハビリテーション医学会の対応―教育委員会として

    大学病院の立場から―兵庫医科大学の場合

    市中病院の立場から―聖隷三方原病院の場合

  2. 第43回学術集会

    印象記・・・染矢富士子

    報告・・・猪飼哲夫

  3. INFORMATION

    診療報酬改正への学会の対応

    社会保険等委員会

    編集委員会

    認定委員会

    国際委員会

    会則検討委員会

    診療ガイドライン委員会

    東北地方会

    北海道地方会

    中国・四国地方会

  4. 専門委員会のコラム

    リハビリテーション科専門医会設立について

    専門医会総会《基調講演》・・・中村隆一

  5. 障害者自立支援法= 医師意見書はこう書こう=

  6. 医局だより:森之宮病院神経リハビリテーション研究部

  7. 質問箱

  8. 2005年度論文賞受賞者紹介

  9. 2005年度海外研修:印象記

  10. 2005年度海外リハ医:印象記

  11. 会員の声

  12. 福祉機器展募集

  13. 事務局だより

  14. 広報委員会より

特集:新医師臨床研修制度・後期臨床 研修への対応

日本リハビリテーション医学会の対応―教育委員会として

日本リハビリテーション医学会 教育委員会 委員長 出江 紳一

教育委員会の役割

 教育委員会は、教育大綱(研修手帳6ページ目を参照)に謳われたリハビリテーション(以下、リハ)医学教育の理念・目標を実現するための活動をしています。教育は社会情勢の影響を受けるとしても近視眼的に制度や体制を変えるべきではなく、一定期間の成果を評価した上で改訂を進めるものだと思います。本稿では新医師臨床研修制度・後期臨床研修への教育委員会の対応について述べますが、それは本研修制度への臨時的な対応ではなく、5年以上前からの一貫した活動であり、表現型として外的要請に合わせたものであるということをまずお断りしておきます。

外的要請への対応

 外部からの要請には、専門医認定制機構からの要請、つまり国民からみて専門性が分かりやすく、質の維持・向上を担保する仕組みがあること(#1)、そして今回の臨床研修制度の改革(#2)、さらに卒前教育の枠組みであるモデル・コアカリキュラム(#3)などがあります。これらの要請に柔軟に対応しながらも、リハ医学は、原因疾患の種類を問わず活動に影響する障害を扱う学問であり、診断と治療の体系であるという立場を通してきました。

 まず、#3については、モデル・コアカリキュラムの改訂に向けての提言文を作成しました(表1)。疾患各論に、専門医制度卒後研修カリキュラム(以下、研修カリキュラム)と整合性を取る形でリハを追加することも主張していますが、リハの総括項を重視した提言内容となっています。

表1 モデル・コアカリキュラム改訂に向けての提言(要旨のみを引用) 

  • リハ医学は多くの疾患・外傷に関連し、プライマリーケアとして必須の領域であるとともに、高齢化社会にあって介護保険サービスとも関連し、すべての医師が知らなければならない内容を多く含むことから、医学教育の中では重視すべき領域である。
  • リハ医学は臓器別縦割りに医学が再編される中にあって、数少ない横断的な医学領域であり、その意味で「基本的診療知識」の「リハ」の総括項を重視して、廃用症候群、障害評価・リハの具体的内容、運動療法のリスク管理などを追加したい。
  • 従来、脳血管障害、頭部外傷、脳性麻痺、脊髄損傷、骨・関節疾患、関節リウマチの各論の中にリハ概説が取り上げられているが、筋ジストロフィー、慢性閉塞性肺疾患、末梢神経損傷、心筋梗塞、老年症候群の各論の中でも取り上げたい。

 #1と#2に対して専門医を育成するための研修カリキュラムの作成と手帳の発行を既に行いましたが、現在はカリキュラム運用方法の検討、指導医マニュアルの作成を進めています。研修カリキュラムはホームページ上に公開され、ダウンロード可能ですので、お役立ていただきたいと思います。表2に後期研修の指導方略(案)を示します。あくまで暫定案であり、今後他学会の動向をみながら専門医会などの意見も取り入れて改訂していく予定です。

表2 後期研修の指導方略(案) 

  1. リハ科専門医試験受験資格に照らして、当該研修施設においてリハ指導医が指導する期間と内容を研修者とともに確認する。

  2. 当該施設における週間・月間スケジュールを提示し、研修者の義務を明確化する。その際、可能な限り、以下の内容が含まれるように配慮する。

    (1) 入院患者の診察と療法現場の視察

    (2) 指導医との回診

    (3) リハカンファレンス

    (4) 検査(神経伝導・筋電図、嚥下、尿路画像、膀胱機能)

    (5) 補装具適合チェック

    (6) 訪問家屋評価

    (7) 抄読会・勉強会

  3. 当該施設における研修者の行動目標を提示する。以下はその例である。指導医は各行動目標について、定期的に達成度をチェックし、研修者にそれを確認する。

    (1) 主要な疾患・病態における障害の構造を理解し、診察を通して、機能障害・能力低下・社会的不利を評価し、機能予後を判定することができ、リハ計画と処方ができる。

    (2) 主要な疾患の病態・特性、リハに際しての医学的リスク、廃用症候群の重大性を理解し、これらをリハ処方に反映できる。

    (3) 診察の場面において、障害者への配慮ができるとともに、患者・家族に対して、障害受容のレベルに応じた医療面接をするとともに、またリハについてのイン フォームドコンセントをとることができる。

    (4) 急性期-回復期-維持期の病床役割分担を理解して、各病床群におけるリハ目標の違いをリハ計画・処方に反映できる。また、維持期に対しては介護保険サービス導入のためのアレンジができる。

    (5) 補装具支給のための医療保険や公費による助成制度を理解し、また適切な補装具処方と適合判定ができる。

    (6) リハカンファレンスの司会を行い、コメディカルの意見をまとめ、治療方針を修正することができる。

    (7) リハ室における医療事故の特徴を理解し、事故防止のための行動がとれる。また、リハ室を院内感染源にしないための配慮ができる。

    (8) 社会福祉の一環としての身体障害者認定、難病認定、介護保険要介護度認定、障害年金受給のための手順を理解し、患者・家族に対して適切な助言ができる。

    (9) 日本リハ医学会関連の学術集会において、症例報告などを最低、2回行い、何れかについて筆頭著者として論文を執筆する。

  4. 当該施設における研修者の経験目標を設定する。指導医は経験した症例のサマリーをチェックし、それを研修者にフィードバックする。以下は3年間の経験目標の1例である。

    (1) 脳血管障害50例:高次脳機能障害(失語症、半側空間無視、身体失認)、嚥下障害、神経因性膀胱、肩手症候群、視床痛

    (2) 外傷性脳損傷5例:遂行機能障害、注意障害、記憶障害

    (3) 脊髄損傷5例:自律神経過反射、異所性骨化、神経因性膀胱、重度痙縮

    (4) 二分脊椎2例:脊柱・下肢変形、水頭症

    (5) 関節リウマチ10例:発症早期例、若年性関節リウマチ、その他の膠原病

    (6) 骨関節疾患10例:肩関節周囲炎・腱板断裂、腰痛・脊椎疾患、変形性股関節症、変形性膝関節症、骨折・骨粗鬆症(大腿骨頸部骨折・脊椎圧迫骨折など)

    (7) 脳性麻痺5例:痙性両麻痺、四肢麻痺

    (8) 神経筋疾患10例:パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、多発性神経炎、ポストポリオ症候群、末梢神経損傷、筋ジストロフィー

    (9) 切断5例:義足、義手、幻肢痛

    (10) 慢性肺疾患2例:慢性閉塞性肺疾患、誤嚥性肺炎

    (11) 循環器疾患4例:心筋梗塞、慢性心不全、末梢循環障害

    (12) その他4例:悪性腫瘍、熱傷など

  5. 研修目標に関連する内容についてリハ医学の参考書を提示するとともに、文献検索などEBMに基づく医療の実践を習慣化させる。

リハ科医の育成

 教育委員会ではこのような外的要請への対応を進めていますが、最初に述べましたように、障害の原因となる全ての疾患に横断的に対応できる医師の育成を目指すことが本務と考えています。そのようなリハ科医の専門性をより高め、そして国民に広く理解して戴くためには、疾患ごとのサブスペシャリティを深めていくことと、それぞれの疾患を診療するリハ科以外の医師との連携を拡げていくことが大切であると思います。実習研修会ならびに一般医家向けの研修会はその重要な方略と位置づけられます。

 表3に、平成18年度総会で承認された実習研修ガイドラインを示します。このガイドラインに基づいて、既に各大学や病院で開催されている勉強会が実習研修会に発展していくようになれば、学会員にとって大きな利益となることでしょう。

表3 日本リハ医学会実習研修ガイドライン 

  1. 目的
    日本リハ医学会認定臨床医(以下認定臨床医)、リハ科専門医(以下専門医)には、多岐にわたる疾患・障害に関する臨床経験と種々の医療技術の習得が必要である。しかし、指定施設における研修のみで幅広い領域の全てにわたり十分な経験をすることが困難な場合も少なくはない。そこで、臨床知識のみならず技能の修得ならびに向上を図るために実習研修を設ける。このガイドラインは、教育委員会が、教育大綱に基づいた卒後研修の一環としての実習研修を、企画・実施するための指針について定める。

  2. 内容(領域)
    実習研修は、リハ医学に関係する疾患・分野やリハに関する技能のうち、実習研修としての企画が有用であると考えられる領域 について行なう。企画は、本医学会が定める専門医卒後研修カリキュラムに基づき、教育委員会がこれにあたる。

  3. 概要

    1) ここでいう実習研修とは、講義および実習、試験より成る、2-3日程度の研修会を指す。

    2) 充分な症例数の実習または時間数の技能の実習を行なうものとする。

    3) 実習研修には、次の2種が含まれる。
    ア. リハ医学に関係する教育機関、施設、各種団体が企画する研修会のうち、共催の申し込みのあったものについて、リハに関する技能の修得を目指すに相応しい内容を包含するものを教育委員会で検討し、共催としての企画とする。
    イ. 必要と思われる分野については、教育委員会が企画から協力して、相応しい内容・指導者による新規の研修会を実現させる。

  4. 実施
    実習研修は、別に定める「日本リハ医学会実習研修実施要領」に基づいて実施する。

  5. 資格・単位との関連
    本医学会の認定臨床医ならびに専門医受験資格としての位置づけ、及び、生涯教育単位としての認定などについては、認定委員会など関連部門と検討の上、一定の単位を付与する。

 また平成18年度から始まった「一般医家に役立つ骨・関節疾患のリハビリテーション研修会」、「一般医家に役立つ呼吸・循環疾患リハビリテーション研修会」(「一般医家に役立つ脳血管疾患リハビリテーション研修会も開催予定)はそれぞれの疾患領域の専門家医師との連携を深めるとともに、専門領域を超えて横断的にリハ医学を学ぶ機会を提供すると期待されます。

 以上、教育大綱を軸に教育委員会の役割と外的要請への対応、今後の展望、とくに実習研修の発展・充実への期待を述べました。これからも教育委員会として学会員の皆様の提案・要望を歓迎いたします。

研修手帳について:全会員に配布しております研修手帳(第1版第1刷)のカリキュラムに印刷上の誤りがございました。詳細につきましては学会ホームページ教育委員会のコーナーをご参照ください。 

大学病院の立場から―兵庫医科大学の場合

兵庫医科大学リハビリテーション医学 道免 和久

はじめに 

 私は大学病院で人材育成にかかわっているため、「大学病院の立場から」の意見を期待されていることと思う。しかし、常に10年先を読んだシステム作りをめざしているため、現状の大学病院の対応としては、マイノリティである点を、最初にお断りしておく。

大学病院でリハ科医を育てること 

 私は数年前から、旧来の大学医局制度のままでは、大学病院におけるリハ科医の育成は行き詰まる、と主張してきた。理由を以下に列挙する。

  1. リハ医療の真髄は、大学病院ではなく、地域医療の中にこそある。
  2. もともとリハ科医を志向する医師は、臨床指向の人が多く、基礎研究や学位取得に関心が高いとは言えない。
  3. 障害者や高齢者医療に対する使命感が強く、目的意識が高い人が多いため、医局員が教授の命令に追従する時代は終焉を迎えた。
  4. 優良な民間研修病院の台頭で、大学を飛び出す医師が増え、大学に残るのが当たり前の風潮はなくなった。
  5. 大学病院の臨床だけでは、リハ医療全体のごく一部しか知らない半人前のリハ科医にしかなれない。
  6. いわゆる大学医局の関連病院という考えには、優良な病院経営者ほど抵抗がある。地域の病院と大学が同じ目線で医療を構築するパートナーとしての協力が必要な時代が来る。

大学の枠組みを超えたシステム 

 一方で私は、新医師臨床研修制度は、医師の人材が流動化するチャンスであり、大学の枠組みを超えたシステムを作れば、これまで以上に多くの人材がリハ医療に流入するチャンスがあると言ってきた。理由は以下の通りである。

  1. リハ医療のニーズの増加は、医学部学生や他科の医師にも敏感に受け止められている。
  2. 逆にニーズが減少している科の医師は、やりがいのある仕事を求めて、リハ科に興味をもっている。
  3. したがって、大学医局の悪習(ピラミッド形の組織、徒弟制度、学位研究、お礼奉公、寿退局など)を廃止し、リハ科医になる目的に合致した臨床的受け皿を整えれば、大学の垣根に関係なく人材が集まる。
  4. そこに、大学でしかできない研究や教育のシステムを加える、という方針で臨床を基盤に据えたシステムを整備すれば、これまで以上に幅広い人材がリハ科に集まる。

人材育成プロジェクトの設立 

 以上のような観点から、大学医局の悪習を捨て、良好なシステムのみを残し、大学の枠組みを超えた人材育成プロジェクトとして、昨年7月「NPO法人リハビリテーション医療推進機構CRASEED」を設立した。CRASEEDは大学医局とNPO法人両者のメリットを統合したハイブリッド医局とも言うべきシステムである。会員には、全国の医師、療法士、看護師、市民、病院経営者が参加している。

 民間企業による「医局」も存在するが、やはり、大学の学問的基盤や人材育成と結びついた人事システムでなければ、幅広い医師の支持は得られない。臨床、教育、研究全てを1人の医者が行う大学医師をめざすのではなく、臨床重視の医師、研究重視の医師、教育熱心な医師、それぞれの多様な価値観を認める組織作りをしている。

 臨床重視といっても、臨床研究は必ず行い、「臨床力」を高めるための研究を指導している。さらに、女性医師の休職や再就職問題にも、積極的に新たな試みを実施しており、「全か無か」という医局員像を捨て、各人のライフスタイルに応じた組織への関与をしながら、全てのメンバーが最終的には一人前のリハ科臨床医になれるようにプロジェクトが進行中である。地域も、関西にとどまらず、全国各地それぞれの地域で発展するように基盤を整えている。

 果たして平成18年度には、13名がCRASEEDプロジェクトに参加(いわゆる入局)した。内訳は、後期研修医3名(他大学より)、転科者10名(内科3名、脳外科2名、麻酔科2名、地域医療1名、整形外科1名、産婦人科1名)となっている。転科者に対する基礎知識を類型化し(本年度学術集会で発表)、それぞれに応じたカリキュラムの作成なども検討している。

 発想の転換次第で、新しい制度の逆風も、強力な順風として発展的に利用できている。

大学病院の存在意義:独自の価値 

 以上私見を述べたが、誤解を防ぐために以下の論点を追加しておく。大学病院のリハ医療はリハの真髄ではない、と冒頭に申し上げたが、逆に地域医療だけが全てだとは考えていない。私は、大学医局制度の改革をしながら、大学病院の存在意義を真剣に考えている。

 たとえば、リハ打切り問題のように最近のリハ医療に関する議論を聞いていると、リハ医療を時期だけで区分けし、それぞれの時期の「立場」を代表する意見が独善的に語られることがあるが、一人の人間を時期で区分けする考えは、全人的医療を担う医師としてはいかがなものか、と思う。また、若いリハ科医の中には、脳卒中だけがリハ医療の対象だと勘違いしている者もいる。このような問題点を踏まえると、大学病院独自の価値が明らかになる。

 すなわち、リハ医療を必要としている患者さんには、実に幅広い疾患があることを認識できるのは、やはり大学病院である。また、大学病院は急性期病院であるとともに、外来には数多くの維持期の患者さんが多いことも重要である。維持期の患者さんが10年後も今と同じように元気でいられるためには、どうすれば良いかを、多くの先輩医師の指導を受けながら考えることができるメリットは大きい。

 さらに、最近の先端のリハ研究の発展はめざましい。私たちが取り組んでいるCI療法の効果をいまだに信じない専門医が多いが、今、脳の可塑性を利用した治療を推進しなければ、基本的に50年前のリハ治療から何も進歩していないことになる。先端の脳科学などの基礎研究がリハへの応用をめざしている中で、大学病院が何を見据えて何をなすべきかを真摯に考え、実践するとき、臨床だけでなく大学で研究したいというリハ科医が増加すると信じている。

 

 大学病院の立場としては相矛盾する論点を述べたようであるが、患者さんのQOLの向上をめざすのがリハ医療であるという原点に帰ったとき、どこにも矛盾がないことに気付いていただけると思う。どんな立場であれ、指導医諸氏が患者さんと共に歩む医師を育てる熱意をもつべきことに変わりはない。

市中病院の立場から―聖隷三方原病院の場合

聖隷三方原病院リハビリテーション科 藤島 一郎,片桐 伯真

聖隷浜松病院リハビリテーション科 高橋 博達

はじめに

 当院は急性期から慢性期の患者を扱う重装備の総合病院である。日常的にドクターヘリを稼動させ1次から3次救急に対応する急性期病院であるが、その一方でリハ科やホスピス科・精神科・結核性疾患の専門病棟を持ち、慢性期医療にも力を入れている点が特徴として挙げられる。リハ科は昭和62年に専用ベッドを所有して以来、超急性期から回復期・維持期のリハを展開しスタッフも年々充実してきている。新臨床研修システムの単独型研修病院である当院における現状と、後期臨床研修への対応を述べる。

1. 施設の全体像と特徴

764床(一般613床、精神104床、ホスピス 27床、結核20床)http://www.seirei.or.jp/mikatahara/

 当科では、総病床数の5%を越えるリハ科専用の病床を持ち、急性期のベッドサイドリハから回復期・維持期・在宅に至るまでの一貫したリハ・アプローチを行うための、ハード面とスタッフの両面を備えている。これらによって、いわゆるリハセンターとしての機能を発揮し、院内他科から週30例以上の症例の紹介を受け、リハ医療を展開している。また、摂食・嚥下障害に対するリハアプローチに関しては特に積極的に取り組んでおり、国内外におけるトップクラスのレベルであると自負している。リハ科43床のうち8床は摂食・嚥下障害患者を扱う嚥下センターとして活用している。なお、歯科医師、歯科衛生士は嚥下障害を中心とした診療(嚥下歯科)を行っているため組織上はリハ科に属している。施設基準、スタッフ構成などは表4に示した。ほとんどすべての診療科を有し救急科はドクターヘリと連動した救命救急センターの認定を受けている。病院評価機構の認定も受け、平成16年6月には新たに地域支援病院の指定も受けている。

表4 聖隷三方原病院リハ科の概要 

施設基準

脳血管疾患等リハ料(Ⅰ),運動器リハ料(Ⅰ),呼吸器リハ料(Ⅰ)
病床43床(内 嚥下センター8床)
日本リハ医学会認定研修指定病院

スタッフ構成 (平成18年7月1日現在)

リハ専従医師6名(内 専門医2名)、理学療法士(PT) 27名(+ 無資格者1名)、作業療法士(OT)17名(内 精神科2名)、言語聴覚士(ST)5名、鍼灸士2名、臨床心理士3名、歯科医師2名、歯科衛生士3名

 

2. 新臨床研修システム

 平成15年度から始まったこのシステムはリハ科にとって追い風になると我々は考えている。医学部の学生が研修病院選定のために一般病院を見学し、その際に初めてリハ科の存在に気づいて、見学を申し出てくれてさらには将来の後期研修を希望してくるという現象が見られている。これはリハ医学を専攻したいと思う医師や医学部学生の現状に比して、その受け皿となる大学(特に国立大学)のリハ科医局が少ないことが一因と考えられる。そんなニーズを持つ多くの医学生や若い医師が一般病院のリハ現場にふれて、そのニーズを再認識し、興味を深め、進路として選択してもらう絶好のチャンスと考えている。これまでのところ初期研修採用の際に後期研修でリハ科を希望する医師を採用し、そのまま後期研修につなげるシステムを実施している。また、将来他科を希望する医師に対しても選択科としてリハ科をローテイトしてくれるように働きかけると共に、内科で脳卒中や嚥下障害、廃用症候群の患者を担当し、リハ依頼する過程で当科の仕事内容を知ってもらうように努めている。これらが若い医師たちへのアピールとなり、後期研修を希望する研修医の獲得に好影響となっている。

3. リハ科の研修システム

 表5にその研修システム内容を示す。

表5 当院のリハ科研修システム

  1. 新卒者は6年間でほぼ全ての疾患に対する急性期から慢性期にいたるまでの全身管理とリハ臨床をマスターし、日本リハ医学会の認定臨床医、専門医取得、学位取得を目標とする。卒後数年を経た他科の医師でもリハ医療に興味のある医師を受け入れる(期間は短縮)。

  2. カンファレンス:毎週医師のカンファレンスで症例の検討会を行う。毎週コメディカルとのカンファレンスも行う。このカンファレンスを通じて医師の指導力を培い診療方針、ゴールなどを適切に設定することを学び、PT、OT、ST、看護師、ソーシャルワーカーなどの役割と視点を身につける。抄読会、勉強会は医師間だけでなく、コメディカルとも共同で行う。

  3. 研修病院:主に聖隷三方原病院で研修を行うが、聖隷浜松病院とも連携して研修を行う。その他希望により、他大学病院での研修、小児疾患の研修、リハ専門病院(脳卒中、リウマチ疾患、脊髄損傷、神経筋疾患など)での研修、スポーツ医学の研修なども可能なように配慮する。

  4. 当院でのリハ研修の特徴

    ・ 医療と保健・福祉の総合施設であり、三方原地区の多くの施設での研修が可能。

    ・ 患者の経過を長期にわたって把握できる。

    ・ 急性期脳血管障害、高次脳機能障害、特に嚥下障害に関してはトップクラスの診療レベルをもち他では経験できないような臨床例を多数経験することが可能。

    ・ 脳血管障害と頭部外傷に関しては発症当日から在宅に到るまでの管理、指導が可能。神経救急当番医として、救急搬送時点からの診断・治療対応が習得できる。

    ・ ホスピスにおいてもターミナルケアの一環としてリハを行っている。

  5. 研修終了後:リハ医療をリードできる専門医として当院関連施設以外でも全国各地で活躍する場を紹介する.

 

4. リハ科研修医師の受け入れ実績

 過去に2カ月から4年にわたり25名の研修を受け入れている。そのうち当院在籍中に4名は日本リハ医学会認定臨床医を取得し、2名は専門医を取得している。専門医コース別(1:脳卒中、その他脳疾患、脳外傷、2:脊髄損傷、その他脊髄疾患、3:リウマチを含む骨関節疾患、4:脳性麻痺を含む小児疾患、5:神経筋疾患、6:切断、7:呼吸器疾患、8:循環器疾患、9:その他)では全ての疾患を研修できる。特に1、2、5、7は症例が多い。また嚥下障害に関しては病院全体から依頼があり、専門の嚥下チームを有していて有意義な研修が可能である。

 平成13年度より研修医の全国公募を開始し、平成15年度3名(現在後期研修中)、平成16年度1名(現在後期研修中)平成17年度2名、平成18年度1名の研修医を初期研修から採用している。

 以上、当院リハ科における新医師臨床研修制度・後期臨床研修への対応を簡単に解説した。若い医師にとって魅力あるプログラムを提案し、それを実践することが次の医師を獲得する最良の方法と考えている。

第43回学術集会

第43回日本リハビリテーション医学会学術集会:印象記 6.1-3 in 東京

金沢大学大学院医学系研究科リハビリテーション科学領域 染矢 富士子 

 第43回学術集会は東京プリンスホテルパークタワー地下2階のワンフロアーにて、宮野佐年会長(東京慈恵会医科大学リハ医学講座)の目指した「リハビリテーション医学の進歩と実践」をテーマに開催され、アクセスの良さもあり盛況であった。このような東京ならではの素晴らしい会場での学術集会は初めてであり、ワンフロアーの特徴として、会場間の移動の利便性と時間の節約、フロアーのコンパクトさから会いたい先生に容易に遭遇できる、どの会場にも人が入りやすい雰囲気があるなどが挙げられた。また、会場表示が液晶パネルでリアルタイムに変わるシステムについても初めての体験であった。

 天候にも恵まれ、6月1日の初日の開会式から大勢の人が集まり、会長講演では、「温故知新」の副題のもと、運動療法の歴史的変遷の紹介、症例の成功例ばかりでなく失敗例の検証の重要性を強調され、最後に東京慈恵会医科大学リハ医学講座での数々の研究成果が紹介された。その内容として画像研究からコスト調査に至るまで、幅広い研究が行われていることを改めて知り、大学としての意気込みを感じることができた。

 続いての日立製作所/科学技術振興機構の小泉英明先生による特別講演は、光トポグラフィーを機能評価に利用するに至った経緯とその応用についての興味深いお話であり、今後の発展が期待できるものであることを実感した。特に、乳幼児のワーキングメモリーの発達評価や障害を受けた後の第2臨界期への応用については早期リハを科学的に立証する立場から有用な知見であると確認できた。

 シンポジウムなどの特別企画、ランチョンセミナーの数も多く、760題もの一般演題のセッションとどちらを聞きに行こうか迷うほどであった。一部には立ち見がでるほどの講演もあり、参加された先生方の熱気が伝わってきた。このような充実した企画、運営された先生方の努力に多々感じ入る点があった。東京での学術集会は隔年で開催されているため、その特徴や魅力を押し出すことは難しいと考えられる中、非常に印象に残る集会であったと思う。

 学術的な快い刺激を十分に受けたあとで目に映る東京タワーは、ライトアップされるとその美しさが一段と増し、改めて今回の学術集会への感慨にふけることができた。

第43回学術集会を終えて

運営委員長 猪飼 哲夫 

 第43回日本リハ医学会学術集会におきまして、多くの方々のご協力とご参加により大きなトラブルもなく盛会裏に終わることができました。この場をかりて運営にご尽力いただいた運営委員・医局の先生方、プログラム委員の先生方、お手伝いの療法士・学生の方々、ご講演いただいた講師の方々、遠方から参加いただいた方々に御礼申し上げます。

 昨年にオープンした新しいホテルでの開催に当初少し心配がありました。しかし、天候にも恵まれ会員・医師2,404名、医師以外の非会員424名の有料参加者があり、医師スタッフ・招待者を含めると約3,000名となり、学術集会の記録となりました。全ての口演会場、ポスター会場、展示会場がワンフロアーにあり移動が容易であったこと、近代的な設備と講演会場に適した部屋の構造であったため大変好評でした。座長の先生のご努力により、たくさんの演題や講演、シンポジウムなどを時間通りに進めることができました。また、商業展示やランチョンセミナーにも力を注ぎましたが、多くの方々が参加されたことに感謝申し上げます。シンポジウム・パネルディスカッション、一般講演では活発な質疑・討論も見られ、学会員のリハビリテーションに対する熱意が感じ取れました。

 ご迷惑をおかけしたこともあったと存じますが、お許しいただきたく今後の学術集会運営の参考になればと思います。年々増加する学術集会運営費についても今後の課題と考えます。

 最後に、会員の皆様、学術集会関係各位に感謝申し上げると共に、今後のリハ医学会の発展と次回学術集会の成功をお祈り申し上げます。

次回の第44回日本リハ医学会学術集会は2007年6月6-8日、神戸にて開催予定◎会長:住田 幹男(関西労災病院リハ科) 

INFORMATION

平成18年度診療報酬改定に係わる本医学会の対応について

日本リハ医学会は、平成18年度診療報酬改定がリハ医療に及ぼす影響をきわめて重大と考え、現在、以下のような基本的な認識のもとに、問題点の詳細な検討作業を進めています。今後、日本リハビリテーション病院施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会などとも連携しながら、「意見書」にまとめて関係機関に働きかけていく予定です。

  1. 疾患別診療報酬体系は、基本的にリハビリテーション医療に馴染まず、見直すべきである。
  2. 「総合リハビリテーション施設」は、質の高いリハビリテーション医療に必須であり、復活すべきである。
  3. 代替医療者の参入緩和は、リハビリテーション医療の質の低下を招くので、慎重に対応すべきである。
  4. 算定日数の上限設定には、対象者の不利益を招かないように十分配慮し、発症後経過時期にかかわらず、主治医の適応判断に基づき、必要なリハビリテーション医療が提供できる仕組みを設けるべきである。
  5. 理学療法・作業療法・言語聴覚療法の削除は、専門性に係わる重要な課題であり、見直すべきである。
社会保険等委員会

診療報酬改定への対応

委員長 田中 宏太佳 

 当委員会では、平成18年度診療報酬改定を極めて重要な課題と位置づけています。その内容については本年3月末送付のリハニュース29号で概要を解説し、4月中旬までに通知で修正された項目や疑義解釈の内容も含めリハ医学43巻5号で詳細な解説を行いました。また、具体的項目としては、内保連を通じて回復期リハ病棟の対象疾患についての見直しの意見を述べました。外保連を通じて今回診療報酬改定において認められなかった項目を平成19年度の要望項目として再提出する予定です。 第43回学術集会会期中に開催された評議員会や総会で、担当理事から今回の改定についての経過や内容の概要が説明されました。

 当委員会は、平成20年度診療報酬改定等への適切な対応を行う必要性から、今年度より12人体制とし、医療保険、介護保険、リハ診療報酬体系についての検討をグループで分担します。早速平成18年度の診療報酬改定における影響調査を予定しておりますので、モニター施設の先生方ならびにリハ医学会会員の皆様方にはご協力の程をよろしくお願い申し上げます。

編集委員会

誌名変更・委員の交代等について

委員長 上月 正博

  1. 学会誌の誌名変更:6月1日の日本リハ医学会総会にて、学会誌「リハビリテーション医学」の知名度と評価をさらに高めるために、科学技術振興機構が運営する電子ジャーナル「J-STAGE」での公開に伴い、海外の主要なデータベースへの収録・引用増加を期待し、学会誌の正式名称を「リハビリテーション医学」から「The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine」に変更することを決定しました。変更は2007年1月発行の44巻1号からの予定です。

  2. 論文賞選考結果:平成17年度日本リハ医学会論文賞選考を行い,総会にて表彰を行いました。結果についてはリハ医学43巻7号および本号12ページをご覧ください。

  3. 論文投稿の際の著者数に関して:最近は複数の施設での共同研究がなされる趨勢にあり、「筆頭著者・共著者あわせて原則として6名以内とする」という現行の規定に不都合が生じる場合もでてきております。委員会で検討した結果、「7名以上になる」論文の場合には、筆頭著者・共著者それぞれの論文における役割を別紙に明記していただくことにいたしました。リハ医学43巻7号の投稿・執筆規定をご確認ください。

  4. 積極的な論文投稿のお願い:第43回学術集会の一般演題のなかから、優れた演題を座長の先生からご推薦いただいた結果、112題について学会誌への投稿論文の勧誘を行いました。宮野会長、猪飼運営委員長、座長の先生方はじめご協力いただきました各位に深く御礼申し上げます。ご投稿された論文につきましては、編集委員会として通常の査読を行わせていただきますことをご了承ください。投稿論文数の伸びがやや鈍化しておりますので、一般の積極的なご投稿もぜひお願いいたします。

  5. 委員長・編集委員の交代:本年3月末で正門由久委員長、志波直人委員、前島伸一郎委員が任期満了で退任され、後任として本年4月より上月正博委員が委員長に就任し、河村顕治委員、長屋政博委員、宮井一郎委員が新たに着任されました。

認定委員会

専門医・認定臨床医更新制度の改正について

委員長 長谷 公隆

 平成19年度より、専門医・認定臨床医の資格更新に要する5年間の取得単位数は、20単位から200単位に変更されます。現行の単位付与項目につきましては、原則的に単位数が10倍化されますが、リハ医学会のシンポジストや研修会の講演者・実習担当者等には、その能動的な自己研修を評価して15単位が付与されるなど、リハ医学・医療の生涯研修評価の重み付けがなされます。単位付与項目は、その研修内容に応じて、学会参加・教育研修講演受講・論文・学会発表の4大項目に整理され、新たな研修機会として、「関連学会」で行われる教育研修講演受講等が追加されます。結果として、リハ関連領域で活躍されておられる先生におきましても、資格更新に必要な研修機会が現在より得やすくなると思います。改正された生涯教育制度への移行に際しましては、平成19年3月末日の時点における取得単位を10倍して、これに新たに取得した単位を加えていくこととなります。なお、専門医につきましては、専門医としての具体的な診療活動を認定する必要がございますことから、更新時に活動報告書を作成して提出していただく予定です。具体的な単位付与項目と単位数の内容に関する詳細は、追ってリハ医学誌に掲示されますので、ご参照いただきたく存じます。

国際委員会

The 4th World Congress of ISPRM 演題募集のお知らせ

委員長 田島 文博

 すでに ISPRM (International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)からの1st Announcementでご承知の通り、2007年6月10~14日に第4回ISPRM国際会議がソウルで開催されます。その演題募集がこの6月より開始され、締切は2006年12月10日となっております。演題募集に関する詳細はホームページ《http://www.isprm2007.org》をご参照ください。本国際会議参加により10単位(現1単位)、筆頭演題発表者にはさらに10単位(現1単位)がそれぞれ取得可能となる見込みです。

連絡先
INTERCOM Convention Services, Inc.
10th FL., Samick Lavied’or Bldg., 720-2 Yeoksam 2-dong, Gangnam-gu, Seoul 135-920, Korea.
Tel: +82-2-568-3208 Fax: +82-2-565-2434, 3452-7292 

 なお、日韓合同リハビリテーションカンファレンス開催などを通じて日本リハ医学会と密接な関係を持つ韓国での開催のため、本国際会議会長であるDr. Chang-il Parkから日本リハ医学会会員の皆様方に、是非多数ご参加いただききたいというメッセージが届いております。コメディカルでも医師が共同演者であれば演題応募が可能であるとDr. Parkがおっしゃっていました。よろしくご参加をご検討いただけますようお願い申し上げます。

会則検討委員会

諸会則の体系化

委員長 佐直 信彦

 会則検討委員会の役割は新たに会則が作られる場合,これまでの会則に照合して整合性が保たれているかをチェックする委員会です。ところで,これまでの諸会則を見直してみますと,その会則が作られた根拠となる上位の会則が記述されることなく,不明確なものが数多くあることに気づかされました。

 これまでの会則を見直すためには,会則の分類と基準を明確にする必要がでてきましたので,「定款」を基本規程とし,定款を施行するための「施行細則」,それに基づいた事業・活動を実施するための「内規」,さらに,各委員会等の「申し合わせ」とし,「定款」「施行細則」に記載のない事項(特に創設当時には想定外で,定款にない専門医制度に係わる会則等)を「規則」と定め,5分類としました。定款,施行細則は総会の決議を要し,規則は理事会の議を経て必要に応じ総会に報告し,内規は理事会の承認,申し合わせは委員会等の審議機関において申し合わせるものと定めました。

 昨年1年かけ,この分類と基準に照らして,全ての会則の根拠となる上位の会則の条・項を明らかにして,体系化しました。今年度は,会則の本文に至るまで新旧対照表を作成し,理事会に提出したいと考えております。

 このことが,今後の学会運営の透明化と円滑化に資するものと考えております。

診療ガイドライン委員会

「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン」発刊のお知らせ

委員長 里宇 明元

 人口の高齢化、医療技術の急速な進歩に伴い、リハ医療においても急性期状態不安定例、呼吸循環器疾患併存例、嚥下障害合併例などのハイリスク例が増加し、医療事故のリスクが高まっている。従来、病院全体としての安全管理への取り組みは多く報告され、リハ部門に関しても転倒など個別の問題に関する報告は散見されるが、リハ医療に特有の問題を踏まえたチームとしての安全対策に関する報告はほとんどみられなかった。そこで、リハ医療が安全かつ効果的に行われるために必要なシステムを関連職種の連携により構築することを目的に、平成15年度から平成17年度までの3年間、厚生労働科学研究費用補助金「医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究?医療事故を防止するための対策の効果的な実施および評価に関する研究」において研究事業が展開されてきた(主任研究者:千野直一慶應義塾大学名誉教授)。

 ちょうど、機を一にして、2004年に日本リハ医学会に、学会が主体的、先導的にリハ医学・医療に関するガイドラインを策定・公表・普及することを目的として、診療ガイドライン委員会が設置され、この中に、上記の厚生労働科学研究事業と連動する形で、「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン策定委員会」が設けられた(委員長:前田真治 国際医療福祉大学教授)。さらに日本リハ医学会関連専門職委員会の参画も得て、リハ医療に携わるおもな専門職学協会との共同作業として、1)リハ領域における安全管理およびリスク評価に関するこれまでの知見と今後の課題の整理、2)全国のリハ医療施設を対象とした安全管理に関する実態調査、3)リハ領域の特殊性を踏まえたインシデント・アクシデントデータベースの作成とモニタリングが取り組まれてきた。

 以上の成果を踏まえて、「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン(素案)」が作成され、リハ医学会および関連専門職学協会ホームページでの公開とパブリックコメントの募集を経て、必要な改訂が行われた後、2006年3月に医歯薬出版(株)より晴れて出版を迎えることができた。この場をお借りして、多大なる協力を寄せられた多くの方々に心からお礼申し上げるとともに、本ガイドラインが毎日のリハ臨床の現場で安全管理の実践を推進する一助となることを期待したい。今後は、現場からのフィードバックに基づいて定期的な改訂を行い、より実践的な役立つガイドラインに育てていくことが重要な課題であり、是非、関係者諸氏からの忌憚のないご意見、ご批判をお寄せいただきたい。

 なお、診療ガイドライン委員会では、現在、「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」の策定作業に全力で取り組んでおり(策定委員会委員長:岡川敏郎 青い鳥医療福祉センター長)、引き続き、会員諸氏の力強いご支援、ご協力をお願いする次第である。

東北地方会

 去る3月25日(土)に、第19回日本リハ医学会東北地方会、専門医・認定臨床医生涯教育研修会(主催責任者:山形大学整形外科教授 荻野利彦先生)が山形市、(財)山形県生涯学習センター、遊学館において開催されました。一般演題13題が発表され、活発な討議が行われました。同日に開催された幹事会では、上月正博代表幹事より、東北地方会ホームページの公開が発表されました。

次回の東北地方会・生涯教育研修会(主催責任者:(財)みちのく愛隣協会、東八幡平病院院長 及川忠人先生)は10月28日(土)に盛岡市、岩手県医師会館で開催されます。教育研修講演には、岩手医科大学脳神経外科講師 井上 敬先生「超高磁場MRIによる錐体路評価:運動機能障害転帰予測は可能か?」、大阪府立身体障害者福祉センター所長兼付属病院長 鈴木恒彦先生「可塑性に基づく脳卒中の回復―リハビリテーションにおける機能的画像検査―」を予定しています。

(事務局担当幹事 金澤 雅之)

北海道地方会

 北海道地方会では2006年3月4日に幹事会を開き、生駒一憲が正式に代表幹事に選出されました。幹事には、石合純夫、大島峻、岡本五十雄、中馬孝容、橋本茂樹、横串算敏、監事には多田武夫、土岐めぐみ(五十音順、敬称略)が就いており(写真)、この体制で地方会の活性化を図っていきたいと考えております。また、地方会のホームページ(http://www.med.hokudai.ac.jp/~reha-w/rehati.htm)では行事予定を掲載しています。すでに葉書でお知らせしておりますが、9月16日には第14回北海道地方会と教育研修会を開催いたしますので奮ってご参加ください。

(代表幹事 生駒 一憲)

中国・四国地方会

 中国・四国地方会では、専門医・認定臨床医生涯教育研修会を9月23日(土)午後1-5時に開催する予定です。会場は川崎医療福祉大学講義棟2601号室、講演は4題(4単位)で、大阪電気通信大学教授の森本正治先生に「最近の義肢装具と工学技術」、川崎医療福祉大学教授の古我知成先生に「リハ医の知っておくべき嚥下運動の生理学」、昭和大学リハ科教授の水間正澄先生に「リハ外来診療における骨・関節疾患への対応」、慶應義塾大学リハ医学教室講師の藤原俊之先生に「脳卒中の運動麻痺へのアプローチ」をご講演いただくこととなっております。事前申込は不要です。?第18回学術集会は12月10日(日) を予定しています。会場は岡山国際交流センターで、大会長は吉備国際大学理学療法学科教授の河村顕治先生です。特別講演も2題(2単位)予定しております。一般演題応募の締切は10月31日(火)です。奮ってご応募ください。第23回中国・四国リハ医学研究会との同時開催を予定していますので、コメディカルの皆様のご出席も可能です。詳細はホームページ(http://www.kawasaki-m.ac.jp/rehamed/chihoukai.htm)をご覧ください。

(代表幹事 椿原 彰夫)

専門委員会のコラム

リハビリテーション科専門医会設立について

専門医会幹事会

 第43回日本リハ医学会学術集会開催のなか、6月2日17時より「リハビリテーション科専門医会」設立総会が開催され、江藤文夫理事長から設立宣言および専門医会設立経緯説明が行われ、中村隆一先生が基調講演『専門医制度の変遷と今後の展望:医学的リハの特殊性』をされました。また専門医会幹事候補の信任投票が行われ、朝貝芳美、安保雅博、池田聡、生駒一憲、出江紳一、菊地尚久、佐伯覚、園田茂、染矢富士子、正門由久が幹事候補として信任され、6月3日理事会の議を経て理事長から委嘱されました。その後、第1回専門医会幹事会が行われ、幹事長として正門由久が選出され、副幹事長として安保雅博、生駒一憲が指名されました。

 専門医会の目的は、1)リハ科専門医制度の健全な運営と専門医の資質の向上を図る。2)関係する研究・研修活動に積極的に取り組み、リハ医学・医療の発展と普及に努める。ことであります。また専門医会の行う事業は、1)専門医学術集会の開催、2)専門医の生涯教育、3)研究・研修活動、4)専門医会の広報、5)その他、専門医にかかわる事項であります。

 2006年11月19日(日)、東京慈恵会医科大学中央講堂において、第1回専門医学術集会を開催、臨時総会を招集し、今後の各事業についての具体的プランについて、ご検討をお願いしたいと考えております。全国のリハ科専門医の先生方のご協力をよろしくお願い申し上げます。なお第1回専門医学術集会の詳細につきましては、追って学会誌、ホームページなどに掲載させていただきますのでよろしくお願いします。

専門医制度の変遷と今後の展望 (1):医学的リハビリテーションの特殊性

東北大学名誉教授 中村 隆一

 はじめに、言葉の使い分けを説明します。「医学的リハビリテーション」は、いろいろな医学的ケアによって患者や障害者の機能的状態の改善および維持を図ることです。それを支えている理論と技術体系が、「リハビリテーション医学」です。医療保険制度の診療報酬において取り上げられている内容が、「リハビリテーション医療」です。専門職として業務に携わるときには、「技術とそれを支える理論」および「実践にかかわる法制度」について知識が必要とされ、私たちの日常業務もその例外ではありません。専門医制度は、この両者と関連しています。私たちの専門性は、医学的リハにかかわる基礎理論と科学技術によって支えられています。他方、専門医制度は、主に「医業」を規制している医療法や医師法、すなわち「実践にかかわる法制度」に関連したものです。医師や医療機関は、医療法で認められている診療科名以外の広告ができなかったのです。専門医に関する情報を社会へ向かって提供できることにしようという複数の医学会が進めてきた活動が専門医制度と関連しているのです。ひとつの制度が確立するのにどのような経緯があって、どれだけの歳月が費やされたかを要約して説明することが、本日の主な課題です。

わが国の専門制度のはじまり

 1960年、医療法改正で広告のできる診療科名に麻酔科が加わり、麻酔科標榜医に資格基準が規定されました。それに対応するため、1962年、日本麻酔科学会が麻酔指導医制度(現在:麻酔科専門医)を発足させたのが、学会専門医制度のはじまりです。その後、1966年には医学放射線学会、皮膚科学会と脳神経外科学会、1967年に神経学会、1968年に内科学会と続きます。10年の間隔をおいて、1978年に病理学会、外科学会と形成外科学会、1979年に臨床検査医学会と小児外科学会、1980年に日本リハ医学会と消化器内視鏡学会というように、専門医制度を設ける学会が増えています。

日本リハ医学会の発足と専門医制度 

 日本リハ医学会は、1963年9月29日に発足しました。当時はいろいろな領域からの参加者がありましたが、次第に整形外科と温泉気候物理医学系の内科が中心になります。

 専門医制度は、1970年代中頃から医学教育委員会で検討され、1980年6月に発足します。1979年のリハ医学誌(16巻55頁)に報告されているリハ医学専門医・認定医制度(試案大綱)には、「日本リハ医学会の専門医・認定医制度は、必要にして十分な能力をもつリハ医を認定することにより、わが国におけるリハ医学の進歩発展とその水準の向上をはかり、国民の健康と福祉の増進に貢献することを目的とする。(中略)わが国におけるリハ医学の歴史的背景、特質を考慮し、専門医と認定医の2種類の資格を設ける。専門医(specialist)とはリハ医学を専門とし、その全般にわたる一定水準以上の知識と経験をもつものをいい、認定医(expert)とは他科を専門としていて、その科に関連をもつリハに関する深い知識と経験をもつものをいう。この2者は同格であり上下の関係にはない。(後略)」とあります。この時代には、専門医・認定医の資格として、臨床経験と並んで、研究歴と教育歴が重視されています。標榜科名の問題は取り上げられていません。

 その後、1987年の認定臨床医制度の発足、1996年には長年の懸案であった標榜科名「リハビリテーション科」の制定(医業について政令で定める診療科名)、2004年の「リハビリテーション科専門医」、医療法関連=広告可能資格の取得などの変遷があります。

(次号の第2回は「学会認定医制協議会の設立及び厚生省の動き」から掲載いたします) 

障害者自立支援法= 医師意見書はこう書こう=

障害保健福祉委員会 樫本 修 

 障害のある方がホームヘルプサービス、重度訪問介護、ショートステイなどの居宅サービス(介護給付)を希望する場合に障害者自立支援法では障害程度区分の認定を受ける必要があります。申請には医師意見書が必要となり、リハ医として認定調査の内容、医師意見書作成のポイントを理解しておくことが重要です。

【1】障害程度区分認定調査と医師意見書の位置付け 

 認定調査は、市町村職員、指定相談支援事業者等で都道府県の行う研修を終了した「認定調査員」により行われ、それを基にコンピューターによる一次判定がなされます。次に医師、福祉関係者、学識経験者等で構成される「市町村審査会」において、一次判定結果、特記事項、医師意見書などに基づいた二次判定が行われます。障害のある方に現在、かかりつけの主治医がいる場合には、主治医が意見書を書くことになります。

 市町村審査会では、(1)支援の必要性がどの程度になるかの確認、(2)認定調査による調査結果の確認・修正、(3)サービス利用計画作成時の利用などに医師意見書が使われます。意見書に記入された医学的観点からの意見等を加味して、必要に応じて一次判定結果は変更され、支援の必要性に応じて区分1~6の6段階の障害程度区分が決定します。

【2】医師意見書作成のポイント 

 様式は介護保険医師意見書と類似していますが各所に文言の変更があること以外に、精神・神経症状の有無のチェック項目にせん妄、傾眠傾向、幻視・幻聴など精神症状が具体的に明記されたこと、失認、失行、認知障害、記憶障害、注意障害、遂行機能障害など高次脳機能障害のチェック項目が追加されたことが大きな変更点です。

 さらに、特記事項の記載欄には精神障害の機能評価として精神症状・能力障害の二軸評価、生活障害評価が加わっています。この特記すべき事項記載欄には、障害程度区分認定の審査やサービス利用計画作成に必要な医学的な意見を書きます。

 調査員が行う調査(一次判定)に精神障害者や知的障害者の特性を捉えるために新しく行動関連、精神関連、手段的日常生活能力などの認定調査27項目が加えられ、これらに関連する医師の意見は二次判定で区分変更の理由となります。医学の専門家でない調査員が把握できないこれらの項目に関して、医師の見地から区分変更に資するように記載することがポイントです。例えば、「歩行」や「移動」など認定調査の項目で「できる」と判断されても実際には実用的ではなく、移動の介護や社会参加の機会が必要な場合も多く、障害の変動性、実際の生活上の障害など具体的にできないこと、生活を捉えた障害状況を書くことが大切で、リハ医としては腕の見せ所です。

 詳しくは各都道府県で医師意見書作成の研修会が行われますので会員の皆様は是非とも参加することが望まれます。

医局だより

森之宮病院神経リハビリテーション研究部

 森之宮病院は、同一法人の大道病院とボバース記念病院の機能を統合し、急性期医療とリハ機能を併せもつ病院として、2006年4月1日にオープンした。後者に関してはボバース記念病院で24年間培ってきた成人脳卒中を中心とした回復期リハと小児脳性麻痺を中心とした外来・入院リハを、質・量とも充実して提供するための体制を整えた。リハ効果を最大限に引き出すために、早期リハ開始、練習量の確保、チーム医療の推進に重きを置いている。

 構造的には、2病棟80床の一般病棟、4 病棟160 床の回復期リハ病棟、1 病棟49 床の小児リハ病棟(障害者病棟)、2病棟62床の個室病棟(一般と障害者病棟)、全9病棟351床すべてのフロア内にリハ室を配置した。また、電子カルテ、フルオーダリング、PACS導入により、リアルタイムの医学的情報の共有とデータベース化をペーパレス環境で実現した。

 神経リハ研究部は、脳損傷後の機能回復を促進するリハの方法論を神経科学的な立場から検証する目的で1999年に設立されたが、4月から森之宮病院に移行した。年間約800例のリハ転帰のデータベース化とその解析、リハ方法論の構築のための、脳機能画像研究やランダム化比較対照試験の計画・実施を行っている。機能回復の脳内機構を検証するため、光脳機能イメージング装置、機能的MRIやトラクトグラフィー、経頭蓋磁気刺激、刺激部位や測定部位の評価のためのデジタイザー、3次元動作解析装置、ワイヤレス筋電図、座圧足圧計、体重免荷装置、タッピング磁気計測装置、麻痺患者対応可能なストレングスエルゴなど、評価機器も充実してきた。スタッフとして、当院でリハ医療に携わる医師〔リハ医学会専門医3名、神経学会専門医6名、脳外科学会専門医1名、脳卒中学会専門医1名、小児神経学会専門医2名など(写真)〕やセラピストが研究に参画している。設立後に米国を中心とした欧文専門誌に掲載された原著論文は20を超え、海外のreviewや教科書への引用も増加している。脳損傷に起因する障害を持つ患者さんに対する治療経験の蓄積から出発して、エビデンスのあるリハの方法論を構築し、患者さんの現実的な機能予後改善として、研究成果をフィードバックしていくことを目指している。

  • リハ施設基準:脳血管疾患等I、運動器I、呼吸器I、心大血管I
  • 常勤医師 37人。PT 62、OT 50、ST 18 (計130)人。看護師142、MSW 6、神経心理士2、臨床心理士2人

(宮井 一郎)

森之宮病院神経リハビリテーション研究部
〒536-0025 大阪市城東区森之宮2-1-88
Tel 06-6969-0111、Fax 06-6969-8001
http://www.omichikai.or.jp/

質問箱

片麻痺のリハビリテーションの中で、しばしば、「筋再教育(muscle reeducation)」「促通手技(facilitation technique)」「神経生理学的アプローチ(neurophysiological approach)」「固有受容性神経筋促通法(PNF)」などの用語が出てきますが、これらの相違について教えてください。

A 1930年代にもっぱらポリオに対する訓練法として確立されたいわゆる末梢神経障害に対する古典的な運動療法理論に対抗して、脳血管障害や脳性麻痺などの中枢神経障害に対する訓練理論として神経生理学的な法則性を利用した独自の理論体系が1950年代に発達しました。これらの理論体系は、1950年代にFray、KabatとKnott、Bobath夫妻、Brunnstrom、Rood等によって別々の理論として体系化されましたが、この彼らによる中枢神経麻痺に対する治療手技の体系こそが一般に、促通手技(facilitation technique)といわれるものです。また同時にその手法が神経生理学的な法則性を利用している点から神経生理学的アプローチ(neurophysiological approach)とも総称されるようになりました。そしてこれらの手技の中でKabatとKnottによって体系化された手技が固有受容性神経筋促通法(PNF)といわれるものです。詳細な内容は成書に譲りますが、他に有名なものとしてBobath法、Rood法、Vojta法などがあります。しかしながらどの手技も古典的な手技との比較において明らかな違いは認められず、EBMを確立するには至っていないのが現状です。

 筋再教育(muscle reeducation)という言葉も臨床において頻繁に使われています。一般には中枢神経や末梢神経が傷害されたことによって筋活動の随意性が失われたとき、麻痺筋に対して活動性を促し、正しい運動を再獲得させることまたはさせる手技を総称して筋の再教育といいます。特に中枢性疾患などによる片麻痺に対する筋の再教育は、麻痺筋の活動性を促通する他に、痙性などの抑制を図り、筋の正常な運動の再獲得を目指します。

 以上から片麻痺の麻痺筋に対する筋の活動性を再獲得させる手技全般を筋再教育といい、その中で神経生理学的法則性を用いた手技を神経生理学的アプローチ(neurophysiological approach)、または促通手技(facilitation technique)といいます。そして多数あるそれらの手技の一つとして固有受容性神経筋促通法(PNF)があるということになります。

(評価・用語委員会 美津島 隆)

2005(平成17)年度 日本リハビリテーション医学会論文賞 受賞者紹介

最優秀賞

荏原実千代 氏 

 このたび、このような名誉ある賞をいただきましたことを大変光栄に思っております。共著者のみならず、千葉リハビリテーションセンター開設以来、脳性麻痺のお子さんの診療に従事されてきた小児神経科の先生方、臨床心理士の方々、作業療法士の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。また、編集委員の先生にも大変貴重なアドバイスをいただきこのような論文になりましたことを感謝しております。

 この論文を書くきっかけとなったのは、鳥取県立総合療育センターの北原佶先生から、平成14年度から16年度にかけて行われていた厚生労働省障害保健福祉総合研究事業へのお誘いがあったことです。すぐに参加させていただきますとお答えいたしましたが、統計的処理もさることながらその結果の解釈に四苦八苦いたしました。しかし、このような臨床研究をすることがリハ医学の進歩につながると信じておりますので、論文の完成は苦しいながらも楽しいひと時でした。今後もリハ医学の発展にお役に立てるよう、精進していきたいと思っております。

略歴:1978年千葉大学医学部卒業、同小児科学教室入局、1984年千葉リハビリテーションセンター小児神経科勤務、1987年日本小児科学会認定医(専門医)、1989年より同小児神経科部長(現職)、1992年日本小児神経学会認定医(専門医)、2004年日本リハビリテーション医学会専門医。 

最優秀賞受賞論文◎荏原実千代、太田令子、伊藤孝子、北原 佶:低出生体重児における視知覚の発達特性―Frostig視知覚発達検査とWechsler系知能検査の結果から.リハ医学 2005 ; 42 : 447-456

優秀賞

鈴木幹次郎 氏 

 このたびは、このような名誉ある賞をいただき、身に余る光栄なことと思っております。誠にありがとうございました。本研究は、「運動イメージ」が脳卒中片麻痺患者においても運動機能促通に影響を及ぼすことを、経頭蓋磁気刺激を用いて検討したものです。「運動イメージ」「イメージトレーニング」といった言葉は、日常的にはよく用いられますが、その生理学的なメカニズムや効果は、あまり詳細に検証されていませんでした。最近、fMRIやPETなどの機能画像検査の発達とともに研究が進みつつあり、また運動心理学の面からもさまざまな研究が行われています。リハビリテーションへの応用が期待されますが、しっかりとしたエビデンスを基に治療が行われるべきだと考えます。今後もさまざまな手法を用いて、リハビリテーション医学の基礎的研究を行っていきたいと思います。

 実験の計画から遂行、論文作成まで、細部にわたりアドバイスとご助力いただきました村岡慶裕先生、辻哲也先生、大田哲生先生、正門由久先生に深謝いたします。また、終始適切な指導を賜りました木村彰男教授、里宇明元教授,研究にご協力くださいました慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターのスタッフの皆様に心からお礼申し上げます。

略歴:1998年三重大学医学部卒業。国立療養所村山病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、慶應義塾大学病院リハビリテーション科、国立病院機構村山医療センターなどを経て2006年4月から永生病院リハビリテーション科(現職)。2004年3月日本リハビリテーション医学会専門医。 

優秀賞受賞論文◎鈴木幹次郎、辻 哲也、村岡慶裕、大田哲生、正門由久、木村彰男、里宇明元:脳卒中片麻痺患者における運動イメージ時の運動誘発電位変化について.リハ医学 2005 ; 42 : 457-462

奨励賞

三石敬之 氏 

 今回の論文が第三者的に評価を受けるとは夢にも思っていなかった私にとって、論文賞受賞は喜びよりも驚きが大きいというところが正直な感想です。

 思えば8年前、とにかく臨床の最前線で患者さんの役に立ちたいという思いから、臨床を徹底的に学ぶことを決心しました。民間病院という臨床最前線に飛び出し、そこで目の前に現れたものが嚥下障害の臨床の悲惨な現状でした。誰も指導者がいない状態の中、手探りで臨床に立ち向かっていると、教科書に書いていない多くの疑問が降りかかり、その一つが球麻痺嚥下障害の代償法でした。何故か食塊が健側優位に通る症例が存在することに気づき、今まで記録してきた嚥下造影をすべて見直してみたところ教科書にない事実が分かり、まとめてみたものが今回の論文です。単純なケースシリーズで考察も憶測に過ぎないものですが、今後、嚥下障害の臨床や、障害の基礎的研究の一助になればと思う次第です。民間病院の臨床の最前線で仕事をしている現状では系統だった研究は困難ですが、今後も臨床の最前線であるからこそ気付く疑問をまとめることで、少しでも多くの臨床の場で役に立つ報告ができればと存じております。

略歴:1994年産業医科大学医学部卒業後、同学リハビリテーション医学講座に入局。各地労災病院などの派遣の後、1998年熊本機能病院リハビリテーション科に入職。2004年近森リハビリテーション病院リハビリテーション科に入職。専門分野:リハビリテーション一般、嚥下障害、痙縮コントロール、高次脳機能障害。日本リハビリテーション医学会認定医、専門医。日本摂食・嚥下リハビリテーション学会評議員。 

奨励賞受賞論文◎三石敬之、三石京子、中西亮二、山永裕明:Wallenberg 症候群における食塊の輪状咽頭部優位通過側.リハ医学 2005 ; 42 : 412-417

2005 (平成17) 年度海外研修印象記

横山 通夫

藤田保健衛生大学リハビリテーション医学講座 

 このたび幸運にも海外研修助成を受けて、米国Department of Physical Medicine and Rehabilitation、Johns Hopkins University(PM&R JHU)への訪問と、14th Annual Dysphagia Research Society(DRS)Meetingでの発表をすることができた。

 唱者である。Palmer教授にお世話いただき、昨年11月にオープンした研究用透視装置付の新研究室を見学した。そこは日本人歯科医師(松尾浩一郎氏)を中心に運営され、咀嚼嚥下と呼吸との連関、咀嚼嚥下時の軟口蓋動態に関する研究成果の紹介をしていただいた。同研究室のR German客員教授はブタを使用した嚥下の動物実験を計画中とのことであった。そして私の課題である脳卒中の咀嚼嚥下動態解析について助言をいただき幸運であった。

 その後、Arizona Scottsdaleで行われたDRS meetingに向かった。3月22日のPre-Conference Courseから参加し、呼吸と嚥下の関連に関する講演を拝聴した。学会は3日間で、一般口演25題、ポスター発表67題であった。単会場で豊富な教育講演等を交えながらの進行であった。発表は基礎研究が多く、臨床研究が多い日本と対照的であった。私は脳卒中症例と健常高齢者における咀嚼嚥下動態の比較研究を発表し貴重な意見を得た。さらに、我々の仲間(岡田澄子ら)の発表も表彰され、誠に有意義な研修となった。

黒澤 一

東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野 

 今回、海外研修助成金の交付を受け、2005年10月29日~11月3日にカナダのモントリオールのCHEST2005(第71回米国胸部医師会国際学術会議)に参加した。併せて、同地にある呼吸生理学のメッカともいうべきMcGill大学Meakins-Christie研究所を訪問し、研究者と議論する機会を得た。

 学会には私を含めて研究グループ4人で参加し、それぞれポスターで演題を発表した。私の演題は換気抵抗に関する生理学的な測定に関する演題、他の3人の演題は口すぼめ呼吸、用手的呼吸介助法の効果についての生理学的な解析、重症心身障害児の呼吸機能などに関するもので、いずれも興味のあるディスカッションができたと思う。我々のグループは、呼吸リハの特にコンディショニングと呼ばれる手技についての生理学的な裏づけをとる研究を目指しており、外国研究者らからの肯定的な意見から、決して方向性は間違っていないものと感じた。また、興味ある呼吸リハに関する演題や禁煙の問題について最新の情報に触れることができた。

 10月31日午後、Meakins-Christie研究所を訪問した。Jim Martin所長をはじめ主だった研究者が、研究所にゆかりのある重鎮たちを集めて研究所でセミナーを開催してくれ、20分ほどの短い講演を英語で行った。遠慮のない質問が飛び交い、つたない英語でしどろもどろになったが、これからの研究の方向性についていろいろ参考になる指摘があった。研究所内も見学でき、さらなる研究努力を誓って帰国した。

峠 康

和歌山県立医科大学リハビリテーション科 

 今回、海外研修助成を受け、2005年4月10~15日、ブラジルのサンパウロで開催された3rd World Congress of ISPRM に参加、その後ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニックに短期留学した。

 ISPRM 2005では日本から100題弱の演題発表があり、日本のリハ医のactivityの高さが証明された。Pain ManagementやBotulinum Toxinの治療でシンポジウムが開かれ、最新の知識と最先端の治療の現状を知ることができた。私は、“Problem in employees with disabilities”と“Thoracic weight-bearing long leg brace for iliac osteosarcoma: a case report”の2題のポスター発表を行い、聴衆と有意義な議論ができた。

 メイヨークリニックのリハ科ではProf. Basfordのお世話になり、メイヨー内のBrain injury、Sport、Hand、Spine、Spinal cord injury、Autonomic disorderなど各センターやSt. Mary Hospitalにおける入院患者のリハの現状を見学し、急性期からの積極的、集約的なリハの重要性を再確認した。また、Orthopedic Biomechanical LaboratoryのDr. Anの研究も見学できた。ここでは手根管症候群や腱修復の基礎研究などを行っており、現在メイヨーで行われている臨床の一端を見ることができた。

 最後に、ここのスタッフとMotion Analysis Laboratoryのスタッフに加え、メイヨーで手の外科を築いた1人であるDr. Dobinsの前で、1時間の講義“The effects of thumb and finger movement on the transverse motion and cross-sectional area of the median nerve”を行った。終了後多くの質問を受け、今後の研究に役立つ有意義な意見交換を行うことができた。

2005 (平成17) 年海外リハ医交流印象記*

Frank S. Pidcock, MD

Associate Director of Pediatric Rehabilitation, Kennedy Krieger Institute, Associate Professor, Department of Physical Medicine and Rehabilitation and Pediatrics, Johns Hopkins University, School of Medicine, Baltimore, USA
(2005年8月13日~21日) 

 私の日本訪問は鹿児島の国立病院機構南九州病院から始まった。同院小児科の佐野のぞみ医師夫妻には、講演のアレンジなどとても親切にしていただいた。最初に福永秀敏院長とお会いした。筋ジストロフィー患者の専門病棟では、親指だけでコンピュータのマウスを動かして絵を描く“芸術家”がいた。筋疾患患者のQOLを向上させる場面をみることができて、とても良かった。

 次に、京都を訪れた。ここでは、聖ヨゼフ整肢園小児神経科の神田豊子医師夫妻にお世話になった。最初の講演は聖ヨゼフ整肢園であった。講演の前にボイタ法を受けている3名の子供を観察させてもらった。実際の訓練を見たことはなかったので貴重な経験だった。ボイタ法の理論や行う理由について多くの質問をさせてもらった。

 次に京都大学医学部附属病院を訪問し、小児科の中畑龍俊教授とお会いした。研究室や医局の紹介など、とても親切にしていただいた。小児に対するPTの訓練を見学し、運動課題の促通手技を数種類みせてもらった。

 最後の訪問先は京都民医連中央病院であった。私立病院での見学はとても興味深かった。内科の神田千秋医師に案内していただいた。PT、OTなど多くの聴衆の前で講演することができて光栄であった。

 今回の日本訪問は私にとってすばらしい経験であった。鹿児島では桜島の火山を思い出す。京都ではすばらしい多くの風景や景色をみることができた。美しい日本において、講演や病院訪問をする機会を与えていただいたことに多大な感謝を申し上げる。

Hau Yan Kwok, MD

Clinical Assistant Professor, Department of Orthopaedics & Traumatology, The University of Hong Kong Medical Centre, Queen Mary Hospital, Hong Kong SAR
(2006年1月26日~2月4日) 

 1月26日に秋田へ到着し、秋田大学医学部附属病院リハ部の島田洋一助教授からとても温かいもてなしを受けた。翌朝、最初に訪問した施設は秋田県工業技術センターだった。その後、秋田大学病院を訪問し、リハ部のスタッフから紹介を受けた。スタッフは20名で、その中に4名の脊椎外科医がいて、同地域の中核的な役割を担っている。リハ部では多くの脊椎症例を扱っており、機能的電気刺激や脊髄損傷後の対麻痺患者の歩行用装具についても専門的に取り組んでいた。研究ミーティングで、私は高位頸髄損傷患者のリハや慢性腰痛患者に対する7年間のリハの経験について講演した。

 2月1日に次の訪問地である久留米に到着した。久留米大学病院リハ科の志波直人教授とお会いした後、筋への電気刺激に関する研究やその他の研究プロジェクトを紹介していただいた。私は香港における慢性腰痛患者の筋電図の特徴に関する研究を発表した。翌日は福岡県南部地域におけるトップクラスのリハ施設である久留米リハセンターを案内していただいた。

 私は訪問した施設のリハ医療や研究に取り組む姿勢や熱意に感銘を受けた。本交流助成プログラムによって国際的な交流が図れたことで、日本と香港のリハ医療の類似点や違いを理解することができた。私はリハ医療における国際交流を希望している同僚にも本プログラムへの応募を強く勧めたいと思っている。

Qiang Wang, MD

Chairman, Rehabilitation Department, Affiliated Hospital of Qingdao University Medical College, Qingdao, China
(2006年3月13日~17日) 

 3月14日、藤田保健衛生大学を訪問した。最初にリハ医学教室の才藤栄一教授とお会いし、その後、馬場尊教授や清水康裕医師と対麻痺患者の治療について議論した。才藤教授からは、新しい短下肢装具や歩行分析の新しい解析プログラムの紹介、衛生学部の村岡慶裕助教授から対麻痺患者のためのロボットの紹介をしていただき、私はそれらの最先端技術にとても興味をもった。夕方、半側空間無視の評価と治療について、リハ部門のスタッフと学生に対して講演を行った。

 15日に三重県の七栗サナトリウムへ行った。私は2年前にここでリハ医学の研修を1年間受けていたのでとても馴染みのある場所であった。私は病院長の園田茂教授に案内されて施設を見学し、友人である多くのスタッフと再会した。

 16日、馬場教授とともに東京の慶應大学病院を訪問した。リハ医学教室の里宇明元教授とお会いし、慢性期の脊髄損傷患者の移植治療などについて話をした。辻哲也講師に病院の施設を案内してもらった。その後、藤原俊之講師から片麻痺の上肢の機能回復のための治療的電気刺激、辻講師からはプリズム適応についての講義を受け、興味深かった。夕方、リハ部門のスタッフに対して、半側空間無視についての講演を行った。

 4日間という短い期間の日本滞在だったが、両国のリハ医交流の目的を果たせたと思う。今後両国がさらに交流を深めていくことを願うと同時に、私自身も再び、交流助成の機会が得られることを望んでいる。

*翻訳;辻 哲也 (平成17年度国際委員会海外交流医担当)

会員の声

医学におけるリハ医学の役割

 リハ医学の本質は機能医科学である。しかるに、19世紀末ウィルヒョー(1821-1902年)による細胞病理学の樹立とともに、医学モデル(病因-病理-発現)に基づく診断、治療の医療行為が本流となって現在に至っている。■20世紀40年代以降、病理が治癒したのちも残存する機能障害、慢性進行性の疾病における病理と機能障害の併存が医療の課題として浮上してきた。機能障害の回復と機能的制限(日常生活活動)の再建をめざすリハ医学が萌芽し、発展してきた。 ■リハ科専門医はリハ医療の第一人者を自認せんとしてきた。しかし、学問進歩の常として、歴史は専門分化と統合を繰り返してきた。医療の専門分化は避けられない。病理医科学と機能医科学の成果が一元的に提供される医療が、臓器別、疾病別の診療科において遂 行された時の成果は期待できる。臓器別、疾患別の診療科に機能医科学の不可分性を認識させたのはリハ医学の功績である。本年4月からの医科診療報酬における疾患別リハ料は病理医科学と機能医科学の一元的専門分化の延長線上にあると確信したい。今こそ、リハ医学の医学における役割は何であるのか、医学の原点に戻って認識する必要がある。リハ医学は機能医科学の学問体系を発展させることであり、臨床にあっては病理医科学と機能医科学の統合を理念とする医療体系を創ることであると考える。それが、健康を志向する21世紀の医療に貢献することになると確信している。

(東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科・医療福祉学部リハ学科 佐直信彦)

今回の診療報酬改定については、この他にも多数のご意見をお寄せいただいております。この問題に関する学会の対応については本紙6ページをご参照ください。個別のご投稿に対するお答えは割愛させていただきます。  (広報委員会)

リハビリテーション科医が関わる福祉機器開発紹介ならびに「若き専門医」の福祉機器展参加希望の募集について

日本リハビリテーション医学会 広報委員会 担当理事 田島 文博
委員長 鴨下  博
委員 猪飼 哲夫、大高 洋平、志波 直人
野々垣 学、平岡  崇、山田  深

福祉機器開発紹介の募集

 広報委員会では、例年どおり本年も第33回国際福祉機器展(2006年9月27日(水)~29日(金)、東京国際展示場「東京ビッグサイト」、http://www.hcr.or.jp/)に日本リハビリテーション医学会ブースを出展することにいたしました。31回より、本医学会活動内容の紹介に加え、会員の皆様からご応募いただいた「リハビリテーション科医が関わる福祉機器開発紹介」のコーナーを設けさせていただき、大変、好評を得ております。そこで本年も引き続き会員の皆様から情報を募集させていただきます。

 福祉機器に関わる企業、ユーザーが全国から集まる国内最大の福祉機器展ですので、会員の皆様が関わっている福祉機器(治療用具、義肢装具などを含む)開発を紹介する配布資料を作成し、リハビリテーション科医が福祉機器に深く関与していることを広報したいと思います。下記の要領で会員の皆様から情報を募集いたしますのでよろしくお願いいたします。なお、配布資料の紙面等の関係で実際の掲載内容については当委員会に一任させていただきます。また、実物の展示も行いたいと考えておりますが、会場の制約もありますので、出展の可否につきましても当委員会に一任することをご了承ください。

  1. 会員氏名
  2. 施設名*
  3. 連絡先住所
  4. 連絡先E-mail*(原則として会員の施設)
  5. 連絡先Fax*(原則として会員の施設)
  6. 課題名*(30字程度)
  7. 共同企業・施設名*(複数可)
  8. 開発時期*(製品化の有無を含む):(販売中、販売予定、開発終了、開発中、開発継続中)
  9. 製品の特徴、開発の独自性(60字程度)*
  10. 製品の写真*
  11. 製品の実物展示の希望の有無(担当者の参加が必要です)
    (*は掲載予定事項)

《掲載例》新しい短下肢装具(調節機能付き後方平板支柱型短下肢装具)の開発。会員施設:藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座(E-mail:rehabmed@fujita-hu.ac.jp、Fax:0562-95-2906),共同企業:株式会社○○○、株式会社○○○。開発時期:2000年7月~2005年7月現在(開発中),製品の特徴:自由度制約という視点から、効率的な内外反抑制機能、調整機能、コンパクトさを達成できる短下肢装具を開発中。 

若き専門医募集

 また、今回の福祉機器展におきまして、私達とともに国際福祉機器展に参加し、リハビリテーション科医の広報活動に取り組んでくださる意欲のある資格取得後5年目までの「若きリハビリテーション科専門医」を募集しております。原則として1日参加としますが、複数日もしくは半日のみの参加を希望される場合は、その旨明記してください。交通費、日当は日本リハビリテーション医学会から支給されます。下記の要領で募集いたしますが、応募多数の場合は当委員会で選定させていただきますのでご了承ください。多数の応募をお待ちしております。

  1. 会員氏名、年齢、専門医取得年度
  2. 参加希望日
  3. 所属施設名
  4. 連絡先住所
  5. 連絡先E-mail(原則として会員の施設)
  6. 連絡先Fax、Tel(原則として会員の施設)
  7. 応募にあたっての自己PR(200字程度)
応募先

いずれも日本リハビリテーション医学会事務局;fukushi6@dream.com 宛にE-mailでお願いいたします。 

締切

2006年8月31日まで 

事務局だより

小茂根の小径よ さようなら 

 この6月に事務局を退職いたしました。諸制度の改正により、揺れ動いた3年余りでしたが学術団体の舵取りに当たる役員に大変なご努力が求められている最中、小さな支えにもなれず申し訳なく思っております。また、拡大する医学会事業の裏には、事務局の負担も増す一方、人を育てる余裕が無くなっていることは報告せざるを得ません。電子化等の基盤整備や公益法人制度の改正に当たっては、今後さらに事務局の変革が必要になるでしょう。局長の入院不在中、事務局職員全員が支えてくれました。ここに深甚なる敬意と感謝を申し上げます。

 最後にリハ医学会および会員の皆様の益々のご発展を祈念いたします。

(前事務局長 丸山 進)

広報委員会だより

 学術集会が終わり一段落と思いきや、年度が変わり、学会の活動は新しい流れが急速に展開しつつあります。広報の仕事も加速度的に増加し、特にホームページは怒濤の更新依頼に喘ぐ日々ですが、迅速に情報を提供できるよう、紙面との相互補完を図りつつ内容の充実に努めております。様々な動きの中で、今号では後期臨床研修を特集し、教育委員会の取り組みと研修現場の様子をご紹介いただきました。リハ医学の将来は次代を担う人材を如何に育成するかにかかっています。今回取り上げさせていただいた各病院をはじめとし、二巡目を迎えた医局紹介も含め、優れた研修プログラムに関する情報を今後も発信していきたいと考えます。また、専門医会の発足に伴い、中村隆一先生に基調報告をご要約いただきました。わが国におけるリハ医学の黎明期からの道程は、大変興味深いものがあります。こうしたリハにまつわる医史学も、専門医として知っておかねばならない知識であり、これまでの歴史の上に立ち、自らがリハ医学の専門医たる所以を明確に自覚できることが、生涯にわたる教育目標の一つであると感じました。リハニュースは時代を証言するドキュメントでもあります。広報委員会も、常に新しい感性で刻まれる時間を紡ぎ、リハ医学の発展に貢献していきたいと思います。最後に末筆ながら、リハ医学の歴史を陰で支えてこられた丸山進前事務局長に、この場をお借りして感謝の意を表します。ありがとうございました。

(山田 深)

広報委員会は今回の後期研修特集記事に関して大学病院、市中病院それぞれ1カ所から原稿をいただきました。リハ研修施設においては各病院の工夫努力があるかと思いますので、是非後期研修に関してご意見をお聞かせください。 (広報委員会)