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リハニュース No.35

2007年10月15日

  1. 特集:伊藤常任理事に聞く評議員制度改革

  2. 第45回日本リハビリテーション医学会学術集会

  3. INFORMATION

    認定委員会

    広報委員会

    社会保険等委員会

    教育委員会

    北陸地方会

    北陸地方会

  4. 障害があるからこそスポーツを(2)

  5. 専門医会コラム:第2回リハビリテーション科専門医会学術集会のご案内

  6. 2007年日本リハ医学会 夏期医学生リハセミナーに参加して

  7. 医局だより:宮崎県立こども療育センター

  8. REPORT:第18 回日本末梢神経学会

  9. 広報委員会より

特集:伊藤常任理事に聞く評議員制度改革

話し手:日本リハビリテーション医学会 常任理事 伊藤利之
聞き手:大高洋平 広報委員
司 会:鴨下 博 広報委員長

鴨下:今日は、お忙しいところをありがとうございます。伊藤先生に、自由に言いたいことをおっしゃっていただ きます。
伊藤:よろしくお願いいたします。
鴨下:聞き手の大高先生、お願いします。
大高:今日は、評議員制度改革を中心にお聞きしたいと企画させていただききました。また、それに伴って学会のあり方や地方会活動が変化することが予想されますので、評議員制度改革の話がどうしていま出てきたのか、背景の部分をお聞かせください。

評議員制度改革の背景

伊藤:今年6月の評議員会および総会で評議員の選挙制度を導入するという方針を掲げました。その背景についてですが、3つほどポイントがあります。
 第1は、評議員会および理事会の透明性を上げるということです。昨年度の評議員会および総会で、評議委員の選任方法について透明性が十分ではないというご意見をいただきましたが、このご意見は真摯に受け止める必要があるのではないか、ということです。
 第2は、2006年の6月に法人関連三法が成立をしました。施行が、2008年の12月1日ということになっています。リハ医学会は、社団法人 として市民公開講座も含めて事業をオープンにしているわけです。リハ医学会はこの法人の対象になるということですから、この法人法の改正に基づいて体制を変える必要があるわけです。今までの法律では理事会が評議員を、評議員会が理事を選任するということで、お互いに相互監視の関係にあったわけです。今回の改正では理事会を業務執行機能として位置づけていて、評議員会は監督機能、理事会の執行機能に対して評議員会はそれをチェックするような位置づけになります。評議員会の権限強化が、明らかになっているわけです。
 第3は、この制度改革の中心的存在となる地方会の存在です。少し歴史を振り返りますと、わたしの記憶では1996年にいわゆる医療保険制度の中でリハビリテーション科が標榜科として認められました。その前後からリハ医学会も地方会を基本的な組織として位置付けようという方針をかためたわけです。それぞれの地方で開かれていた懇談会、座談会、研究会とか、ばらばらな集まりの大枠を整えようということで、2000年に地方会等検討委員会が発足しました。規定等を整理し、2002年だったと思いますが、地方会が基本的な学会組織として正式に位置付けられた。体制を整えてきたのです。
 リハ医学会の目的は、定款に書いてあるように、リハビリに関する医学の進展と技術の普及、促進ということです。専門医を養成する、人材育成です。同時に全体の技術のクオリティを上げる。その最終的なゴールといいますのは、リハビリのサービスが必要な人たちに、できるだけ高いレベルの適切なリハ医療を提供しようということです。どこの地域にいてもそれが受けられるようにしたいというのが、わたしたちの願いです。その実現のためには、基礎となる地方会が重要になります。地方会をベースに学会全体がニーズに即した適切な方向へと進んでいく。地方の時代と言われながら、現実には地域格差がある。これをどうやって是正していくのか。これが大きな課題だというふうに思います。地方会をより活発に、重視する流れ、それが第3の背景です。

制度改革の具体的な形

大高:1996 年に標榜科となり、ほぼ同時期に地方会が学会の基礎組織として育ってきた過程があって、さらに透 明性の問題、新しい法人関連三法への対応が出てきたことが、評議員の選挙制度の改革案につながっているということですね。具体的には、今の時点では、どのような形になりそうですか? 

伊藤:先程申し上げたように地方会を重視して、それをベースにしたいということです。評議員のアンケートを取った結果でも、選挙制度の導入そのものには74%の賛成がありました。選挙に関する規則や内規に関しても、70%以上の支持がありました。この前お示しした選挙規則とその内規に従って選挙を実施したいと思っています。北海道、東北、関東、北陸、中部・東海、近畿、中国・四国、九州の8つの ブロックに分けて、地方会をベースにその会員数で評議員数を割り振りし、地方会ごとに立候補していただく。選挙事務は中央の事務局が取り仕切りますが、地方会の会員がその地方の評議員を選出する形を取ります。導入時期について2008年か、2010年以後の実施か、アンケートをした結果は圧倒的に2010 年からにしたいということでした。したがって2008年に関しては、選挙ではなく選任でやらせていた だくことになります。ただし、透明性を高める必要があることから、内規以外にも、どういう基準で選んだのか、その方法が評議員や会員の方々に分かるように、できるだけオープンにしてやりたいと思っています。 

制度改革における地方会の役割

大高:背景やどんな内容の改正かなどについてはよくわかりました。制度改革の中心的存在は、地方会組織になるということのようですが、地方会に、どのようなことを期待されているのでしょうか。
伊藤:この制度改革に向けては、評議員選挙について会員が今以上に関心を高めていただいて、しっかりとした活動の中から本当に意欲のある活動性の高い人に立候補していただき、規則に則り選ばれる。そして、評議員は学会の活動の質を高めていく、そういう意気込みをもって日常活動に取り組んでもらいたいということです。その結果、リハ医学会が発展していくと希望しています。
大高:地方会組織の中で、評議員の方たちが中核になって活動していくと。
伊藤:そうです。当然、評議員の方々は地方会の中核にいる人たちが中心になっていくわけです。それが王道なわけです。その人たちが中心になれば、より活動性は高まるだろう。全国には、大学とは直接関係せず一人でリハ医療に取り組んでいる方々がいます。講座 のある大学は必ずしも全国にあるわけではありません。地方会に集まって、自分たちの悩みや、これは学術的なことだけではなくて病院の中で働く医師としての悩みだとか、そういうことも含めて話し合い、症例についてサジェスチョンをもらえるような、そういう場を積極的に作ってもらえないかなと思っています。そういう活動を通して、立候補していただき、評議員として活動をより活発にする。こういうふうになると、大変良いのではないかと思います。  

地方会のこれから

大高:一方で問題もあるわけです。例えば先程、先生がおっしゃった地域格差の問題についてなにか提案などありますか?
伊藤:地域格差の問題は、究極のところ会員数が少ない県があるということです。それは、その地方のリハ医療の充実度とも関係して、会員が活躍できる場が少ないことにも繋がっています。
大高:これに対して、解決の糸口は?
伊藤:これは会員がいくら頑張ってもなかなか難しいのですが、例えば、年に1度開催される学会が行われるような場所というのは、それなりの風土もあるし、それなりの人もいることは明らかだと思います。3000人近い人が集まる学会が地方で行われると、それなりにその地域のリハビリテーションに対する関心が高まるわけです。私の考えではこれを重視したいと思っています。ですから、市民公開講座もできるだけ広く市民に向けて、医学的なリハビリテーションだけではない、リハビリテーション全体の啓発活動をしようということで計画しました。できれば行政機関も巻き込んで企画していただいて、講演会だけではなくて、いろんな相談だとか展示だとか、そういうイベントにしてほしいということで始めたのです。それをきっかけに、その地域の核になっている施設や組織が継続的に活躍できるように支援しようと。学会が主催できないような都市でも開催したい。必ずしもこれが特効薬ではないのですが、そういう活動も、地方や地域の活性化に役立つだろうと思います。
大高:なるほど。
伊藤:今回、評議員の選挙制度が導入されますと、地方会として確実にやらなくてはならない活動ができることになります。これも活性化につながる力になると思うのです。
鴨下:地方会は、一般的には年1回の学会に出すほどではない症例発表、第一段階の研究発表など、若い研修医の発表の場です。色々な位置づけがあると思うのですが、そういう勉強をする機会が地方にいるとなかなかない。

伊藤:そういうことを地方会で積極的に計画してほしいのです。地方会は、学会の基礎組織だと思っています。選挙制度が導入されると、余計その感が強くなる。地域の特性に合わせてさまざまな企画をしてほしい。それが学術活動のベースになるのだろうと思います。
 学術集会だけでなく、先程申し上げたように、市民公開講座は、今年度から地方会にお願いしていますが、将来的には、自主的に必要な活動ができればいいなと思っています。基本は会員のクオリティをどう高めるか、どう人材を育成するかです。大学などの組織には属していない方々のための活動を積極的にやっていただきたい。地方はそれぞれに大変で、「分かっているけれど、簡単にはできない」ことも事実です。難しいとは思います。馬力のある人たちが組んでやらないと進まないことは確かです。活動している若手が、今後の地方会のありかたというものを考え、語り合っていただきたいですね。広報委員会が若手を集め、将来の地方会のあるべき姿を語ってもらうような企画を是非やってもらえたらと思います。よろしくお願いします。 

鴨下:今日は、歴史的なことも含めて評議員の改革、選挙制度のことから始まり、いかにリハ医学会の自力を付けていくか、そのための地方会の活性化ということを、わかりやすくお話を伺えました。
伊藤:とにかく、地方会が、学術集会を開催する以外に、今回新しく選挙というやるべき仕事ができた。これをきっかけに、皆さんが集まって、いろいろと知恵を出し合いながら話し合う機会を必ずもっていただきたいのです。これはいろんな意味でプラスになるかなと期待しています。やるのは若手ですから、その人たちが中心になっていかに育っていくか、未来像を描いていただかないと本当の意味での活動性は上がっていかないのではないのでしょうか。
大高:大変勉強になりました。お忙しいところありがとうございました。 

この記事は、2007年9月1日に行われた2時間のインタビューをまとめたものです。 

第45 回日本リハビリテーション医学会学術集会 2008.6.4-6 横浜
― リハビリテーション医学の進歩“評価から治療介入へ” ―

第45回日本リハビリテーション医学会 学術集会  会長 江藤文夫

 第45回日本リハビリテーション医学会学術集会を平成20年6月4日(水)より6日(金)までの日程で横浜市のパシフィコ横浜にて開催いたします。本学術集会のメインテーマは「リハビリテーション医学の進歩“評価から治療介入へ”」であります。学術集会は社団法人である本医学会の年間事業として最大にしてもっとも重要な活動であります。従いましてその実行には多大な努力とエネルギーを必要とすることから、その運営に当たる会長は3年前に推薦承認を受け、準備を開始します。ご承知の如く、本学術集会の会長は第42回の金沢における本医学会総会において東海大学リハビリテーション科の石田暉教授が承認され、第43回の東京における総会においては準備状況として会期日程と会場の予定などが報告されました。そして、メインテーマを定め、海外からの講演者の招請交渉をはじめ、東海大学リハビリテーション科の医局員により着実に準備が行われていました。しかし、本年1月に石田暉教授の突然の訃報に接することとなりました。 本医学会では学術集会の会長が準備期間中に急逝した前例はなく、先の総会におきまして理事長である私が会長を務めることをご承認いただきました。つきましては、故石田教授のご遺志を実現すべく、東海大学リハビリテーション科のスタッフにより実行委員会を立ち上げ、顧問として村上惠一前教授にご尽力いただくことをお願いいたしました。 リハビリテーション医学においては評価に始まり、目標を設定し治療介入がなされ、その結果の評価により次のステップが計画されます。今回の主題はきわめてオーソドックスなものです。医療や福祉の新しい時代に向けて、基本に立ち返り検証するとともに明るい未来に向けた多数の手がかりが生まれることを願っております。東海大学リハビリテーション科の総力を挙げて準備に努めておりますので、是非、多くの会員の皆様のご参加とご協力をお願い申し上げます。

第45回日本リハビリテーション医学会 学術集会  顧問 村上恵一

 江藤文夫会長が述べられた経緯の中で、思いがけず第45回日本リハビリテーション医学会学術集会顧問役をお受けすることとなりました。
石田暉教授が遺されたメインテーマ「リハビリテーション医学の進歩“評価から介入へ”」はオーソドックスながら、医療面のみならず介護保険制度もすすむ現今のわが国にとって極めて重要なところと考えます。
想えばわが国に「リハビリテーション」の単語を含め、現在に至るシステム導入の当初にお力をいただいた、東大三木威勇治教授、大島良雄教授、九大 天児民和教授、阪大水野祥太郎教授、慶大 岩原寅猪教授、相沢豊三教授、また、後の東大 津山直一教授ほか、幾多の先生がおいででしたが、少なからぬ方々が既に去られました。
老骨の私としては次世代、次々世代の諸氏のパワーに期待するのみです。
東海大学には十余年前、私が本医学会をお世話させていただいた時のメンバーも多くが残っており、その他、一同結束し努力しています。東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科学関係者全員の努力は当然のこととし、非力ながら私も可能な限りの力を傾注する心算でおります。
しかしながら、来るべき本医学会の成功あるいはリハビリテーション医学の益々の発展のためには、日本リハビリテーション医学会役員ならびに全学会員各位および関連領域の皆様の絶大なご協力、ご助力を仰がねばなりません。
学問、学術レベルの向上のみならず、あるべきリハビリテーション実践の更なる普及のためにも各位の一層のお力添えをひとえにお願い申し上げ、また、ご参加をお待ちいたす次第です。

第45回日本リハビリテーション医学会学術集会

会長:江藤 文夫  顧問:村上 惠一
運営幹事:豊倉 穣、花山 耕三
東海大学医学部リハビリテーション科学
〒259-1193 神奈川県伊勢原市下糟屋143
TEL:0463-93-1121(内線2485)
FAX:0463-95-8248
E-mail:jarm45@m.med.u-tokai.ac.jp
HP: http://www2.convention.jp/reha2008

INFORMATION

認定委員会

1.リハビリテーション科専門医への移行に関する経過措置について
認定臨床医のリハビリテーション科専門医移行の経過措置期間は平成21年3月31日までとなっています。資格審査における学術業績の必須項目は以下の通りです。
・日本リハビリテーション医学会年次学術集会での学会抄録2編以上(主演者、共同演者の別は問いません)
・リハビリテーション医学に関する論文1編以上(筆頭著者か否かは問いません)
経過措置期間中の年次学術集会は次回第45回日本リハビリテーション医学会学術集会(平成20年6月4~6日、横浜)が最終となりますので、専門医移行をご検討の先生で学会抄録に関する学術業績が不足している方は発表に向けてご準備ください。

2.専門医および認定臨床医の更新必須条件
平成19年4月から生涯教育基準および細則が改訂されました。更新必須条件は以下の通りです。(学会誌第43巻12 号または学会ホームページ参照)
専門医:年次学術集会および専門医会学術集会への参加と専門医活動報告書の作成
認定臨床医:年次学術集会あるいは地方会学術集会への参加
なお、更新必須条件については平成24 年4月1日の更新から適用されます。(学会誌第44巻3号または学会ホームページ参照)  

(委員長 菊地尚久)

広報委員会

 広報委員会は、年4 回発刊しているリハニュースの編集、ホームページの運営、年一回開催される国際福祉機器展の 参加など多彩な活動を行っております。それだけに広報活動はリハ医学会活動の情報公開に止まらず、ともすると学会の意見を代表する立場に立つこともあります。そのため、リハニュースの編集にあたっては、常に広く会員の意見を聴き、公平性を心がけ、リハ医療の向上に寄与することを編集方針としてまいりました。その使命を果たしてきたかの判断は会員に委ねるとして、これまで、会員に有益な、 そしてタイムリーな情報を特集記事としてお送りしてまいりました。これからも医療現場からの意見に基づいた記事を掲載してまいります。会員からのご意見をお待ちしております。
 現在、リハ医学会に限らず広報はインターネットの利用が不可欠であり、ホームページの運営は年々事務量が増加しております。インターネットの特性を活かしたホームページの運営をこれからも行ってまいります。
 国際福祉機器展は参加人数が多く、様々な職種の方々と接するチャンスでもあります。福祉機器にとらわれず、リハ医学会の活動を理解してもらえる好機であると考えて会員のお手伝いをお願いしております。ご協力お願い申し上げます。

(委員長 鴨下 博)

社会保険等委員会

 平成18 年のリハビリテーション(以下リハと略す)料の改定内容に関して、各方面より制度上の問題が指摘されたために、平成19年4月には異例のリハ料の再改定が行われました。その概略については学会誌5月号で報告しました。また評議員やリハ科専門医を対象に再改定の影響に ついてのアンケートを7月に行ったので、ホームページおよび学会誌でその結果を報告する予定です。
平成20年診療報酬改定のための提案書に関して、内保連を通じて30項目・外保連を通じて4項目を提出しました。項目の選択に関しては関連する他学会ともよく連携をとり作業を進めました。
リハ医学会からの提案項目については日本医師会にも報告し理解を求めました。また次期改定においてマイナス改定に甘んじるつもりはないという医師会の考えも確認できました。8月31日には、学会からの改定に対する提案項目について厚生労働省からリハ医学会に対するヒアリングが行われました。総合リハ施設の創設や脳血管疾患等リハ料の施設基準の緩和の必要性などについて具体的な質疑応答を行いました。
リハ医療関連5 団体協議会は定期的に開催され、「高齢者リハ医療の現状と今後の展望2007年暫定版」が5団体合意の提案書として作成されました。今後継続的に検討を行い、「リハ医療のグランドデザイン」策定に向けた議論に繋げてゆきます。

(委員長 田中宏太佳)

教育委員会

一般医家に役立つリハビリテーション研修会について

 本研修会は広くリハ医療に携わる一般医家を対象にして、平成18年4月の診療報酬改定に伴う疾患別リハの枠組み導入に対応してスタートしました。平成19年度も第2回として「脳血管障害等」「運動器(骨関節)」「呼吸器と心臓・大血管」の3つの研修会を予定し、教育委員会のもとに小委員会を設けて計画しました。「脳血管障害等」はお蔭様で盛況のうち終了しました。残る2つは12月15~16日、3月1~2日の予定です。
本来、疾患別リハはリハ医療にはそぐわない体系で、会員の先生方には問題視される方も多いと思います。しかし、すでに制度が導入されている現状では、これに対応することも本医学会の責務と考える次第です。診療報酬制度に絡む性格上、本研修会の対象者を本医学会会員に限ることはできません。また、他の関連学会とも共催などのかたちをとって協調することが求められています。幸い、趣旨にご 賛同いただいた日本医師会の後援を得ることができました。「脳血管障害等」では脳卒中学会と神経学会の共催もいただきました。
なお、すでに同様な研修会をされている他の学会とは講義数や修了試験の難易度などの整合性を検討する必要があるかと感じています。専門医認定制機構はその目標に専門医制度と診療報酬の連動を掲げていますが、実現されていない現状において、この一般医家研修会は過渡的な存在とはいうものの、意義あるものと考える次第です。会員の先生方にはご理解、ご支援いただきたく、宜しくお願いいたします。

(小委員会委員長 岡島康友)

北陸地方会

 2007 年9 月1 日に第22 回日本リハビリテーション医学会北陸地方会を開催し、多数の参加者があり、活発な質疑応答もみられました。一般演題を出された施設には今回初めての所が複数あり、今後の発展が期待できます。次回の第23回は2008年3月下旬の土曜日に、いつもと同じ会場の石川厚生年金会館を予定しています。また、多くの先生方の参加をお待ちしております。>最近の北陸地方会の傾向として、疾患そのものを扱った演題よりも、合併症に難渋した演題に対しての質問が盛んであり、単なる障害の機能回復のみではなく他科との連携が必要な症例に話題 が集まるようです。参加される先生も、出身の診療科が整形外科だけではなく、脳神経外科、神経内科、一般外科など幅が広くなり、それぞれの専門性の高い経験をリハビリテーション診療に活かそうとされているように見受けられます。そのため、合同カンファレンスのような発表になることもあり、様々な意見を聞くことによって得られるものが多いように思います。>今年より研修会の受講費を1 単 位1,000円に下げましたので、これまで参加されなかった先生が興味を持って発表、受講されることを願っています。また、取り上げてほしい話題がありましたら、是非地方会事務局までご連絡ください。

(事務局担当幹事 染矢富士子)

九州地方会

 第22 回九州地方会学術集会が、坂本公宣幹事(熊本県こども総合療育センター)の担当で本年9月2日、熊本城築城400 年に沸く熊本市で開催され盛会裏に終了致しました。>新幹事として、福岡県・服部文忠先生(長尾病院・院長)、鹿児島県・米 和徳先生(鹿児島大学・教授)が就任されました。>第23回地方会学術集会は金谷文則幹事(琉球大学医学部整形外科・教授)の担当で、2008年2月10日(日)、沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)で開催されます。10年ぶりの沖縄での開催です、ふるってご参加ください。また、第24回地方会学術集会は浜村明徳幹事(小倉リハ病院)の担当で2008年9月、福岡県での開催となります。>学術集会は、会員数や地理的条件を考慮して、九州各県をローテーションして開催しています。今後の開催予定としては、下記の順番を目安としています(正式には幹事会での決定となります)。第25回・鹿児島(2009.2)→熊本(2009.9)→福岡(2010.2)→佐賀(2010.9)→大分(2011.2)。>既にご案内済みですが、地方会抄録集は当地方会HPよりPDFファイルとしてダウンロードできます。逐次、情報も更新していきますので是非HP をご覧ください。

(代表幹事 佐伯 覚)

障害があるからこそスポーツを(2)

 障害保健福祉委員会 古澤一成、伊佐地隆

 「健常者はスポーツをしたほうがよいが、障害者はスポーツをしなければならない。」大分国際車いすマラソンで10連覇を含む12回の優勝を成し遂げ、現在も世界記録保持者であるHeinz Freiの言葉です。もちろん、これは競技性の高いものだけではなく、レクリエーショナルなものまで広い範囲のスポーツに当てはまります。障害者におけるスポーツには、運動不足になりがちな身体面のみならず、運動そのものや社会参加することで得られる心理面で多大な効果があります。これが障害者にスポーツが推奨される理由です。
障害者スポーツの効果は、彼らの生き生きとした動きや表情をその現場でみれば感じ取ることができます。一人でも多くのリハビリテーション(リハ)医の皆様に、障害者におけるスポーツの役割を理解いただき、多くの障害者がスポーツに取り組める環境が整備されることを切に望みます。前回のコラムに引き続き、リハ医の皆様に身近なものとして感じていただけるよう岡山県における事例を紹介します。

【事例2】遊びの広場

 昨年の診療報酬の改定後、医療におけるリハ訓練を以前と同じように継続できなくなった方が多数出現しました。これは小児においても例外ではありませんでした。この訓練をリハ医療ですべきかどうかは別として、そのことで外出する機会が減ったり、体を動かす機会が減ったという親御さんの声を耳にしてきました。子供に何とか運動をさせたい、子供の遊び場を設けたいという親御さんの気持ちが結集し、2007年4月より始まったのが「遊びの広場」です。岡山県肢体不自由児の会の親御さんを中心に組織されており、それに賛同した者がボランティアとして参加しています。今のところは、月1回と頻度は多くはありませんが、岡山市の体育館を借りて順調に滑り出しました。以前から、岡山県が主催する障害者スポーツ教室の中に、「レクリエーションスポーツ」なるものがありましたが、13歳以上の年齢制限があり、身体機能の発達が期待される12歳以下の子供は参加できませんでした。また、年間6回と少ないために親御さんのニーズを満たすのに充分ではありませんでした。今回は、私が障害福祉課、障害者スポーツ担当者とも話し合い、県の「レクリエーションスポーツ」の年齢制限を撤廃していただくとともに、「遊びの広場」の一部を県の「レクリエーションスポーツ」の行事として組み込んでいただくようにもしました。「遊びの広場」は、県内の脳性麻痺や二分脊椎などによる障害を持ったお子さんに加え、ボランティアの方のお子さん(健常者)が参加されています。教育の場では、残念ながら分離されがちな障害を持った児とそうでない児とが、同じ空間で一緒に遊 ぶ、体を動かすその経験は、双方にとって大変貴重なものです。内容は、毎回、車いすの児や装具で歩行が可能な児、健常児のみんなができるゲームやスポーツを親御さんが企画します。日頃、見せることのない仕草や笑顔に親御さんが驚く場面もあります。

 岡山は、近県の広島や高知にあるような障害者のためのスポーツセンターはなく、障害者に対するスポーツへの取り組みという点では遅れを取っています。ただ、そのための運動器具などを設置した特別な施設がなくても、この度のように、障害者(児)に体を動かす場、社会との交流の場を提供することは可能です。スポーツを通じてしか得ることのできないその効果を、まずリハ医の皆様に実感していただき、是非それを患者さんに教えてください。今回はお子さんのことを書きましたが、これは大人の障害者も同じことです。リハ医の役割は重要です。

専門医会コラム:第2回リハビリテーション科専門医会学術集会のご案内

2007年12月8日(土)と9日(日)に第2回リハビリテーション科専門医会学術集会を北海道大学学術交流会館で開催いたします。ご存知のように、第1回の学術集会は昨年、東京慈恵会医科大学で催されました。このときは専門医会が発足したばかりで急遽開催となったため1日間のみでしたが、今回は会期を2日間とし、より充実した内容を心がけました。1日目には、「リハ科専門医の需給を考える」と題し、パネルディスカッションを企画いたしました。現在、専門医会ではワーキンググループを作りこの問題について検討を重ねています。ぜひ討論に参加していただき先生方のご意見をお聞かせください。2日目には「脳性麻痺の訓練治療のあり方-ガイドライン委員会の報告を踏まえて-」と題するシンポジウムを行います。脳性麻痺のガイドラインは出来あがったばかりのもので、最新の知見を提供できるものと自負しております。教育講演は3題で、講師の先生はいずれも最近国際誌に論文を発表されている若手専門医です。ご自身の最新のリハビリテーション研究の成果を含めて興味あるお話が伺えると思います。このように専門医会学術集会ではどこよりもup-to-dateな内容を心がけております。奮ってご参加ください。また、1日目夜には意見交換会も企画いたしました。お互いを知り、将来へ向けての抱負を語り合う場として活用していただければ幸いです。さらに2日目午後には、経頭蓋磁気刺激実技セミナーを北海道大学病院で行います。経頭蓋磁気刺激の未経験者向けの内容です。日頃使用している検査室で行うため定員を設けさせていただきましたが、より実践的な雰囲気の中で講習を受けていただけると思います。
なお、学会誌等にて公示されておりますとおり、本年4月から専門医の資格更新条件として認定期間中の専門医学術集会への参加が必須となっております。また、この学術集会はセミナーも含め、専門医でなくとも参加していただけます。多数の先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

開催概要

開催日:2007 年12 月8 日(土)、9 日(日)
会 場:北海道大学学術交流会館 講堂
〒060-0808 札幌市北区北8 条西5 丁目
Tel 011-706-2141
JR 札幌駅北口徒歩7 分(北大正門から入りすぐ左手)
参加費:10,000 円(2 日目午後のセミナー以外のプログラムすべてに参加可能)
1 日目~2 日目の講演や意見交換会に関しては、事前の登録は不要です。直接会場にお越しください。
※ 2 日目午後のセミナーに関しては、事前申込みと別途参加費が必要です。(下記参照)

プログラム:
1 日目:12 月8 日(土)
13:00~14:00 総会
14:10~15:45 パネルディスカッション「リハ科専門医の需給を考える」
医師偏在か医師不足か-医師の需給問題
 日本福祉大学社会福祉学部 近藤克則
関連専門職の動向から見たリハ科専門医の需給
 青森県立保健大学理学療法学科 渡部一郎
専門医会ワーキンググループ(WG)中間報告
 専門医会WG 委員
15:50~16:50 教育講演1「最新のリハビリテーション―痙縮のマネジメント」
 鹿児島大学大学院機能再建医学 松元秀次
16:50~17:50 教育講演2「最新のリハビリテーション―脳卒中と経頭蓋磁気刺激」
 北海道大学病院リハ科 竹内直行
18:20~20:00 意見交換会(於:北大構内エンレイソウ)
2 日目:12 月9 日(日)
9:15~11:05 シンポジウム「脳性麻痺の訓練治療のあり方-ガイドライン委員会の報告を踏まえて-」
脳性麻痺訓練のEBM と現状
 信濃医療福祉センターリハ科 朝貝芳美
ガイドライン委員会からの報告・提言
 愛知県青い鳥医療福祉センターリハ科 岡川敏郎
評価尺度の使用指針について
 輝山会記念病院リハ科 近藤和泉
脳性麻痺訓練治療の確立に向けて
 国立成育医療センターリハ科 高橋秀寿
11:10~12:10 教育講演3「最新のリハビリテーション―心血管疾患の電気刺激療法」
東北大学大学院内部障害学分野 長坂 誠
13:00~15:30 経頭蓋磁気刺激 実技セミナー(於:北大病院。定員制、下記参照)
認定単位:専門医会学術集会参加(10 単位), 教育講演受講(10 単位× 3 講演)
代表世話人:生駒一憲
問合せ先:北海道大学病院リハ科 生駒一憲 Tel 011-706-6066

 

※「経頭蓋磁気刺激 実技セミナー」について 

日 時:2007年12月9日(日) 13:00~15:30
場 所:北海道大学病院リハビリテーション科検査室
対 象:日本リハビリテーション医学会会員で経頭蓋磁気刺激未経験者
内 容:経頭蓋磁気刺激の基礎知識の講義と実技
受講料:3,000円(学術集会の参加費とは別に必要です)
定 員:12名(先着順)
申込受付:2007年10月22日~11月14日
申込方法:氏名(よみがな)、所属、連絡先の郵便番号・住所、電話・FAX番号、e-mailアドレスを明記の上、下記アドレスへメールでお申し込みください。受信日を含めて3日以内(土・日曜日は日数のカウントから除く)にメールで受講の可否をお返事いたします。また、11月26日までに受講確認書・案内書を郵送します。メールおよび郵便の不着は電話でお問い合わせください。
申込先:北海道大学病院リハ科 生駒一憲
申込先メールアドレス:jarmhok@med.hokudai.ac.jp
メール・郵便不着の場合の問合せ電話番号:011-706-6066
なお、本セミナー参加による単位認定はありません。

2007年日本リハ医学会 夏期医学生リハセミナーに参加して

【北海道大学】

 北海道大学病院リハ科の夏期セミナーに参加し、特に印象に残ったのは、地域の現場で診療に励んでいらっしゃるドクターやセラピストの先生方の診療風景を見学し、生の声を聞かせていただいたことでした。実際に訪問診療・訪問リハに同行させていただき、想像以上に多くの人々が在宅での診療やリハを必要としており、地域のニーズに応えるべく日々診療を続けられている様子を見学して、これからの医療と医師のあり方を考える上での貴重なヒントをいただけたような気がします。さらに、そのような先生方との懇親会では、理想や診療上の問題点といった本音の部分を聞かせてもらえたことも良い勉強になりました。
また、大学病院内でも、リハ科ならではの、神経ブロックや磁気刺激といった治療について、見学しながら細かく解説していただけたため、より一層理解を深めることができました。時間の都合上、半分の日程しか参加できませんでしたが、正規の臨床実習では体験できなかったさまざまな現場を見学でき、先生方からより密度の濃い教えを賜り、有意義な時間を送らせていただけたと思います。

 今回、セミナーに参加させていただいた)のは、以前から興味があったものの、実際、リハって何をするのだろうか、医師の役割ってなんだろうか、という単純な動機からでした。つい先日も実習を受けさせていただきましたが、おぼろげながらわかってきたような気がしました。
 今回のセミナーでは、いろいろな講義を受けましたが、今まで受けた講義よりもさらに突っ込んだものだったので、興味深いものでした。特に、訪問診療、訪問リハが、印象に残りました。そのなかでも、訪問リハというものがあること自体知らなかったので、少し驚嘆しました。しかし、今後、訪問という分野は、在宅化が進められている現状を考えると、重要性を増してくると感じました。また、最近設置されたデイサービスを見ることができて、リハの主要な一形態を知ることができました。

 リハの往診を今まで一度も見たことがなかったので、この機会に是非見学したいと思い、セミナーに参加いたしました。往診見学は、小樽で開業されている先生の下で行われました。実際の往診を見学した後には、援助を必要とする高齢者の自立支援を行う賃貸マンションを経営する方とお話しする機会を得ました。
小樽市は都市札幌から比較的近く、他の地方市町村と比べて医療資源(人材・施設含め)はそれほど不足していないとの認識でしたが、それは事実とは違うとのことでした。実際には、札幌に住む医療従事者は片道1時間以上もかけて小樽まで働きには来ないし、小樽にはリハを専門として掲げる医院が少なく、リハの分野に関して医療資源は決して十分でない、にもかかわらず、小樽は高齢者比率28.6%(2007 年5 月末現在)であり、リハに対する需要は高いそうです。
リハの対象として高齢者は大きな部分を占め、高齢化は地方で深刻です。一方で、医師、理学療法士等の医療従事者たちは都市部に集中します。リハが高齢者を相手にすることが多いという性質上、現在すべての医療分野で問題となっている「都市・地方での医療の需要・供給バランスの崩れ」の影響を特に受けやすい分野であることを身をもって感じることができました。貴重な体験であったと思います。

 臨床実習でリハ科を回った時は、祝日を挟んだこともあり1日で終わってしまったため、今回参加致しました。大学に入学した時はリハ科という科があることすら知りませんでした。たまたま大学2年次に大学病院でボランティアを始めた際にリハ科を紹介され、科の内容は分からずとも週1回夕方にお茶配りや配膳等の手伝い、時には患者さんと院内や院外へ散歩に行くことを繰り返していました。今回の夏期セミナーにて3日間お世話になったのですが、何か分かったのかというとそういう訳でもなく、神経ブロックや磁気刺激など講義で教わっ たことはあるものの初めて見るものに対し、再び「教わる」という段階でした。また、臨床の場を経験して行くと次に見る時は見方も変わっていると思うのですが。
ただ、病や障害を抱えた患者さん―患者と言ってしまうと自身とはかけ離れた存在に感じられてしまうので、生活を営むにあたって何らかの不都合を抱える人―が治り切らない障害を伴いつつもその人らしい日々を再び過ごせるようにするにはどうしたらよいか。今後たどる医学的な経過を予想して、何を行っていけばいいのか。何が今必要となるのか。そして何がその人の支えとなるのか。と言った考えの下、疾病を治すだけではなくて、その人の生き方をサポートする医療を行うことに、なるほどと思うことが幾度もありました。臨床実習でレポートに追われ、慌しく毎日を過ごしていると疾患やその検査・治療のことに考えが行きがちになります。しかし、「その人の生活」を想うと、ふとボランティアの際に伺った方々のことが思い出され、手の動作や話すこと・聞くこと等に不自由がありながらもマイナスの気持ちや雰囲気を感じさせずにいらした様子が浮かぶのです。形あるものに頭が行きがちなのですが、自身が何気なく過ごして いる日々がその人にとっても同じようにその人の普段であり、基本であることを心に留めていたいと思います。

【聖隷三方原病院】

 私は今回聖隷三方原病院のリハセミナーに参加しました。参加したきっかけは学校のポリクリでリハ科に興味をもち、選択ポリクリの際、聖隷三方原病院リハ科で実習させていただいたからでした。もっとリハ科について知りたいという気持ちと、同じくリハ科に興味をもっている医学生と話しをしたいという気持ちもあり、今回のセミナーを楽しみにしていました。
今回のセミナーに参加していたのは他大学の4年生の子と私だけでしたが、彼女の大学でのリハ科の様子や講義の様子などを聞けて参考になることは多くありました。リハ科の様子は大学、病院ごとに異なることも多いのだなと感じました。 今回のセミナーでは、病院の案内、外来見学、病棟回診、嚥下造影、高次脳機能検査、チームカンファランスなどに参加させていただきました。セミナーに参加しての一番の感想はもっとリハ科のある病院が増えるといいなということでした。私の祖母もやはり脳出血で寝たきりです。発症時行った病院にリハ科はありませんでした。お見舞いに行くたびに自分の持つ知識で何ができるのだろうと毎度歯が ゆい思いをしていました。そんな自分にとってリハ科での実習はとても刺激的でした。
 今回のセミナーでも脳血管障害の患者さんを多く見たのですが、学生の目から見て車椅子や装具を使って元気に外来にいらっしゃる患者さんや、病棟で出会った患者さんで、入院するまで口から食べることができなかった人がもりもりご飯を食べている姿を見るのは思わず顔が緩んでしまう光景でした。
他にも糖尿病で足を切断した患者さん、交通外傷、心不全合併のリハ、他科から依頼される急性期リハ、ホスピス患者さんのリハなど多彩な患者さんを見てリハの懐の広さを感じました。また疾患に関してだけでなく、その家庭環境や経済状況、家屋環境に介入していくところもすごいと感じました。患者さん、何よりその家族にとってとても心強いことで、自分の祖母もこんなリハ科で診てもらえたらよいなと思いました。
今回のセミナーを通して、よりリハ科のイメージがはっきりとし、勉強しなくてはと思うことがたくさんありました。セミナーの期間中、熱心にさまざまなことを教えてくださった聖隷三方原病院リハ科の先生方にお礼申し上げます。

 今回初めてリハセミナーに参加して、リハのさまざまな面を知ることができました。これまでリハというと、一番に思い出すのが運動器でしたが、嚥下という私たちにとっては当たり前だから考えもしない機能の重要性を、聖隷三方原病院での検査等の見学を通して実感することができました。リハに関わる職種は、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など、実にさまざまですが、実際のところリハ医は、医師という資格を持ってどのように他職種とは異なるアプローチしていくのかという点をこれまで疑問に思っていたのですが、外来やカンファレンス、病棟の見学等を通して個々の診療科をつなぐような役割があること、リハ医といっても、リハの知識だけではなく幅広い知識を持って、方針の決定をしていくなど、他職種ではできない役割を果たしていることも知ることができました。今後、高齢化がますます進みリハの需要が高まる中で、リハ医として社会と関わっていくことの魅力を感じることができました。

【藤田保健衛生大学】

 リハ医の仕事についての理解があまりなく、何のためにリハ医が存在するのか確認したくて、今回のセミナーに参加させてもらいましたが、リハ医は、患者さんの人生のためにあり、その人がその人らしく生活するために欠かすことのできない存在であるということがわかりました。疾病を治すことが医師の役目であると考えていましたが、その先の人生も考えられる医師にならなければならないと思いました。今回、セミナーを通じて医師として必要な考え、方向性を見つけることができたように思います。3日間ありがとうございました。

 3 日間セミナーに参加させていただき、リハ医がどういうことをしているのか、何となくわかったような気がします。3日間連続で濃厚にいろいろなことを体験・学習させていただけたからでしょうか。授業やポリクリで何度もおききしたのに、どこか自分の中ではっきりとしなかったイメージが整理できました。さらにリハ医がとても重要な求められる医師であるということを感じました。
どの科の医者になるにしても、ケガをした後や病気をした後、具体的にどんなことをして、どうしたらどこまで治るかとか、どのような生活になるのかを知っておかなければいけないなと思いました。 以前、WPALの話を聞いて、ぜひ見てみたいと思ったので開発を見せていただけたのはとてもうれしかったです。脊損でもあんなふうに歩けるんだなっと、実際歩いた姿を見たときは本当にすごいなと思いました。自分でもこういう新しい開発をやってみたいなと思いました。
どこまで治るか、どうやって訓練したら効果的によくなっていくのかということが、すごく分析されたデータを基に考えられているのだなということがわかりとても興味を持ちました。

藤田保健衛生大学でのセミナーの様子

 今回、夏期セミナーに参加させていただき、多くのことを直接行うことができ、どれも印象に残る体験となりました。ポリクリで実習したとき以上にPT・OTさんとの交流もあり、他職種についても勉強になりました。七栗サナトリウムでは実際に患者さんの診察を行い、その後の指導により改善すべき点、考え方を改めて知ることができました。患者さんの退院後の生活を考えられる医師を目指したいと思います。ありがとうございました。

日本リハ医学会教育委員会
医学生リハセミナー担当 中馬孝容

医局だより:宮崎県立こども療育センター

 療育の父といわれる故高木憲次東大名誉教授が全国の先駆けとなる肢体不自由児施設を創られた際、その施設の英語名に、"hospital, home and school " と入れておられました。日本の肢体不自由児施設はこの流れをくみ、その発足の当初から、こどもの全人的発達を目指す組織として 機能して参りました。当センターも宮崎県においてその一翼を担うべく1959 年に設立され、約20 年前に組織改編・移転し現在に及んでいます。初期のポリオを中心とした元気なこどもの時代から、今はほとんど全介助のこどもが入所児の7 割を占める重度脳性麻痺児中心の時代ですが、看板は今でも児童福祉法に基づく肢体不自由児施設です。

 施設としては一般65 床、母子棟5床の病棟を中心に通園保育(定員20名)、重症心身障がい児(者)通園事業B 型(定員5 名)を設置し、近隣の在宅の方々の支援にも努めています。最近はショートステイの利用が急増し、数年前には年間利用が2 桁 だったのが、今は延べ1,600 件を超え、長期入所児の減少に伴う空きベッドの有効利用につながっています。し かし在宅児の方が重度化が進んでい て病棟の設備・システムが追いつか ない、保護者の高い要望に十分応え られないなどトラブルも起きやすく 対応に苦慮しているところです。リ ハ関連スタッフは、常勤医師はリハ1 名、整形外科2 名、小児科1 名( 他 に泌尿器科・歯科の非常勤医師3 名)、 PT 8 名、OT 2 名、ST 1 名、看護師46 名、保育士15 名、臨床心理士2 名、 コーディネーター1 名等が主なとこ ろです(非常勤を含む)。

 小児リハを中心に整形外科手術等 も活発で、数年前に当センターも含 めて全国の肢体不自由児施設の整形 外科医の有志が集まり、脳性麻痺手 術評価表を完成させました。また歩 行分析装置も新しくなって脳性麻痺 児の手術前後の歩行の解析を行い、 よりEBM に基づく医療を実践しているところです。

 また、こどもは本来親と共にいるものであり、療育とはすなわち地域 療育であるとの信念の元、しかし、 ただ入所を拒否し入所児を地元に返 したのでは、施設から追い出したに過ぎない、地域・家庭の子育て機能 が不十分ならこちらから出かけて支 援していこうと随分以前からチーム を組んで積極的に地域巡回療育相談 を行い、北は延岡・高千穂、南は日南・ 小林と各地に出かけています(会場 は主に保健所や児童相談所を使用)。 その一環として養護学校にも出向き、 親も交え学校の先生方と連携して一 人ひとりの子供に関して情報交換を 行っています。また隣接する養護学 校の医療的ケアを必要とする通学児 には、当センターから看護師を派遣 しケアに当たるなど教育関係との連 携も密接です。

 まだ古い組織体系と建物・設備の ままで大変身の機会がありませんが、 「どがんかせんといかん」という話題 の東風が療育の場にも吹いてくるこ とを期待している今日この頃です。

(山口和正)

宮崎県立こども療育センター
〒889-1601 宮崎県宮崎郡清武町大字木原
Tel 0985-85-6500、Fax 0985-85-6501
E-mail:yamaguchi-kazumasa@pref.miyazaki.lg.jp

REPORT:第18 回日本末梢神経学会

帝京大学リハビリテーション科 栢森良二

 第18 回日本末梢神経学会学術集会 は2007 年8 月24、25 日、弘前大学大学院医学研究科分子病態病理学講座、八木橋操六会長のもと弘前市で開催された。

 特別企画は慶應義塾大学医学部生理 学教室の岡野栄之先生の「中枢神経系と末梢神経系の再生研究」であった。 急性脊髄損傷の脊髄再生、MRI を用い た拡散テンソルtractography を用いた 脊髄および末梢神経系軸索の可視化と その再生研究で、そのオリジナリティと広範な応用研究には聴衆一同感嘆した。記念講演は弘前大学名誉教授で麻 酔科の松木明知先生の「空白の二十七 時間―八甲田雪中行軍遭難事件の謎に 迫る―」である。明治35(1902)年 1 月23 日の遭難事件責任者であった 第五聯隊第二大隊長山口鋠少佐のピストル自決という巷間の流説に対する反論をした。児玉源太郎陸相からの命令 による、エーテル投与によって「突然呼吸困難に陥り心臓麻痺による死亡」 と医学的に検証したもので、手に汗を握る名講演であった。

 イブニングセミナーではWayne 州 立大学のAnders AF Sima 教授の「糖尿病性ニューロパチーの病理:最新情報」である。ランチョンセミナー2ではManchester 大学のRayaz Ahmed Malik 先生の「糖尿病性神経障害の早 期発見と治療方針」である。八木橋会 長の専門が糖尿病性ニューロパチーの病理であることから、この2つの講演は包括的で、先端内容であり今後の糖尿病医療の方向性を示すものであった。

 産業医学講座「職業性末梢神経障害」、シンポジウムは「末梢神経の傷 害と再生医学」、教育講座のテーマは 「末梢神経疾患の所見のとり方と臨床検査」であり、さらに一般演題は炎症 性や免疫性ニューロパチーから、手根管症候群や肘部管症候群など全39題 で、活発な討論が行われた。

広報委員会より

 厳しい暑さから一転、やや肌寒いくらいの今日この頃となりました。今回のニュースでは、評議員制度改革を特集に取り上げました。伊藤常任理事に インタビューという形で制度改革の背 景、そして今後の方向性を伺いました。 世の中の移り変わりが、大きくそして 速くなっていると感じる昨今ですが、 そのなかで今後どのように、リハ医学 そして学会が発展していけるのか、大 きな期待が膨らみます。広報委員会も、 広報という活動を通して少しでも貢献 できればと思います。また、当委員会 では、今後も引き続き会員の皆様から のさまざまな声をいただきながら、よりよいニュースを発行できればと考え ております。よろしくお願い申し上げます。

 大高洋平