<REPORT>

高知県立療育福祉センター


 肢体不自由児施設・子鹿園は,42年余りの歴史の幕を一旦下ろし,平成11年4月より多くの機構を付加して高知県立療育福祉センターと改名,再スタートしました.
 従来の肢体不自由児施設部門に加えて,身体障害者および知的障害者更生相談所・難聴幼児通園センター・児童相談所障害児部門といった5つの機関が統合され,肢体不自由児・者と知的障害児・者の医療と相談を同時に行う病院と福祉の双方の機能を持ちました.
 この背景には,従来の小児整形中心の医療ニーズが減少して,相対的に脳性麻痺等の中枢性の様々な障害が重複した子供への多角的で包括的な医療対応が必要とされることが多くなったこと,運動以外の知的障害を持った方々,なかでも言語・行動面での問題を持った自閉症などの発達障害児への医療や教育,福祉面での対応をより充実させることを求められるようになったことが挙げられます.一方で利用者側からも,障害の種別や行政機関の仕切りの壁を減らして,より利便性を向上してほしい,医療や福祉面の相談を充実してほしいという県民の声が多くあったこともこのセンター化の大きな推進力となりました.
 リハ医としての対応は,今までの肢体不自由児施設(入所児と外来)中心の小児リハから,在宅障害児・者への医療・福祉・教育への支援や地域の身体知的障害児・者福祉施設や学校・保育所に対する地域支援への比重が増し,児童相談所と更生相談所両方の手帳や障害児就学相談と各種施設入所,補装具の判定業務の依頼も必然的に増しています.
 現在,常勤医はわずかに整形外科医3名(内リハ専門医2名)と精神科医1名です.他に小児科非常勤医4名,歯科と耳鼻科非常勤1名の支援を仰ぎ外来をすべて予約制で行っていますが,諸先輩が培ってきた療育の伝統と信頼が高知県下に浸透しているためと,他に類似の小児の総合的なリハ専門施設がないことから,整形外科医や小児科医から,学閥や病院の枠を越えて多くの患者さんが紹介されてきます.
 今後,各種リハ処方を行うにあたって,事前の診察でそれぞれに適切なリハ評価を行った上でその問題点を捉え,行った治療による変化を検証することを入念に実施するためには,幅広い医学的知識と専門性の一層の研鑚が欠かせません.
 小児整形と幅広い障害児・者に対する地域リハを中心に据えて,利用者の側に立って,障害者に対するきめの細かい対応を第一にと心がけています.(高橋義仁)

高知県立療育福祉センター
〒780-8081 高知市若草町10-5
Tel088-844-1921,Fax088-844-1097
E-mail: yoshihito_takahashi@ken3.pref.kochi.jp