<医局だより>

東京都リハビリテーション病院


 当院は平成2年5月に東京都東部の墨田区に開院した,165床のリハ専門病院である.平常時はリハ医療の中核として機能するが,災害時には災害医療センターとして医療救護活動の拠点に転換するという複合目的を有する病院である.病院の運営・管理は東京都医師会が委託されており,公設民営の病院である.当院の運営理念は,東京都におけるリハ医療供給の中核的施設として,広域を対象とした高度の専門リハ医療の提供,リハ医療にかかわる教育研修の推進,リハ医療における研究活動の展開の諸機能を果たすことである. 医師は19名勤務しており,そのうちリハ科医は鷹野院長,本田副院長,医長3名,医員5名,研修医2名の12名で,リハ医学会の専門医は8名である.リハ科以外の医師として,整形外科が4名,泌尿器科が1名,循環器内科が1名,歯科が1名勤務している. 当院には4つの病棟が存在し,そのうち1つの病棟は東京都で最初に認められた回復期リハ病棟である.平成11年度の入院患者の総数は782名で,疾患別では脳卒中462名,脳外傷40名,脊髄損傷64名,RA30名などであった.小児以外のリハ対象疾患はほぼ経験可能である.病床利用率は93.4%,平均在院日数は72.3日で,退院先は自宅が79.3%,転院が17.4%,施設が2.8%などであった. 在宅リハ科は平成7年4月に設置され,在宅リハ相談室,診療支援事業(患者宅を訪問し診療,評価,指導を行う),研修会事業を行っている.外来は研修医以外が行っており,毎日リハ科は2外来で,外来リハのみの患者や退院後の外来フォローを行っている.平成11年度の外来新患数は1,550名,実人員は15,442名であった. 毎週リハスタッフ担当者とのカンファレンスや,リハ科医師だけの症例検討会を行っている.また,嚥下,排泄,ADL,認知などの勉強会も開いている.研修医や専門医を目指す医師に対して,大学の枠を超えて指導している.研修会事業として,リハセミナー,医師研修会,公開講座などを開催している.研究は当院の運営理念の1つで,毎年臨床研究,機器開発研究が申請され,活発に行われている.リハ学会をはじめ多くの学会で成果を発表している. 設備や人材には恵まれているが,まだ知識や技術は十分とはいえない.東京都の中核的リハとしての責任を感じ,精進していかなければならないと考える.(猪飼哲夫)
東京都リハビリテーション病院/〒131-0034 東京都墨田区堤通2-14-1/Tel03-3616-8600,Fax03-3616-8705http://www.tokyo-reha.sumida.tokyo.jp/,E-mail: box@tokyo-reha.sumida.tokyo.jp