<医局だより>
防衛医科大学校病院リハビリテーション部
当リハ部は1979(昭和54)年に開設されたが,実際の診療活動は翌1980年に石神重信が着任して開始された.医師ポストは一人だけであったが,石神の熱意と精力的な努力によって,入局希望者が増え,医局の形態ができてきた.組織的には病院中央診療部に属するが,外来診察を行い,リハの専有病床(5床,うち個室が3床)をもち,リハ医が主治医として治療に当たり,実質的には診療科の活動を行っている.スタッフは助教授1名,助手2名,研修医1名,PT 3名,OT 1名,ST 1名(耳鼻科所属),臨床心理士1名である.医局員は現在20名(うち専門医17名,認定臨床医18名)である.
リハの年間新患患者数は約650例である.脳卒中患者,外傷患者(頭部外傷,多発骨折,熱傷,切断,脊髄損傷)など急性期患者だが,リウマチ,神経筋疾患,循環器・呼吸器疾患,小児疾患など,あらゆる疾患の密度の濃い研修が可能である.
ベッドサイドから行う「早期集中リハ」が特徴であり,脳卒中などでは発症後2〜3日後からリハを開始する(最近は入院即日の依頼が多い).初回評価時に,入院期間・ゴールを決定し,他科主治医と連携してリスク管理を行いながら,クリティカルパスに沿って訓練を進める.急性期脳卒中患者では,初診時の座位能力から3週コースと6週コースの2種類のパスを用いており,ほぼ全例が自宅退院している.急性期の病状や障害の変化に対応するため処方は毎週行う.訓練室にリハ医が常駐し,緊急時に対応可能にしている.筋力,バランス能力,ADL,高次脳機能など毎週評価を実施し,データベース化している.
患者家族を積極的に訓練に参加させて,一日4〜5時間に及ぶ訓練を実施している.早期から外泊訓練を実施し,必要な家族には介助指導を行い,家屋評価も実施する.
フェノールブロック,トリガーポイントブロック,筋電図(年間約140例),シストメトリー検査も実施している.
毎週月曜に全症例を対象にフォローアップ・カンファレンスを行う.治療効果がでないのはリハ医療の責任と繰り返しいわれる気の抜けない時間帯である.義肢装具クリニック,小児クリニックも実施している.
研究プロジェクトは多岐にわたり,成果は全国学会や地方会などで積極的に発表している.他大学や医療機関との学際的交流も盛んである.
教育面では医局勉強会,スタッフ勉強会,専門医勉強会を実施しており,他大学からの出席者も多い.
同窓生が勤務する青梅市立病院,武蔵野赤十字病院,埼玉県循環器呼吸器病センター,土浦協同病院,美原記念病院など他病院・施設での研修も可能である.当大学への見学・研修をご希望の方はご連絡ください.(新舎規由)
防衛医科大学校病院リハビリテーション部/〒359 -8513 埼玉県所沢市並木3 -2/TEL042 -995 -1896,FAX042 -996 -5223,E-mail: ndmcreha@mtci.ne.jp
(リハニュース16号:2003年1月15日)