障害者自立支援法 | 障害保健福祉委員会 |
障害者自立支援法
= 医師意見書はこう書こう=
障害保健福祉委員会 樫本 修
障害のある方がホームヘルプサービス、重度訪問介護、ショートステイなどの居宅サービス(介護給付)を希望する場合に障害者自立支援法では障害程度区分の認定を受ける必要があります。申請には医師意見書が必要となり、リハ医として認定調査の内容、医師意見書作成のポイントを理解しておくことが重要です。
【1】障害程度区分認定調査と医師意見書の位置付け
認定調査は、市町村職員、指定相談支援事業者等で都道府県の行う研修を終了した「認定調査員」により行われ、それを基にコンピューターによる一次判定がなされます。次に医師、福祉関係者、学識経験者等で構成される「市町村審査会」において、一次判定結果、特記事項、医師意見書などに基づいた二次判定が行われます。障害のある方に現在、かかりつけの主治医がいる場合には、主治医が意見書を書くことになります。
市町村審査会では、(1)支援の必要性がどの程度になるかの確認、(2)認定調査による調査結果の確認・修正、(3)サービス利用計画作成時の利用などに医師意見書が使われます。意見書に記入された医学的観点からの意見等を加味して、必要に応じて一次判定結果は変更され、支援の必要性に応じて区分1〜6の6段階の障害程度区分が決定します。
【2】医師意見書作成のポイント
様式は介護保険医師意見書と類似していますが各所に文言の変更があること以外に、精神・神経症状の有無のチェック項目にせん妄、傾眠傾向、幻視・幻聴など精神症状が具体的に明記されたこと、失認、失行、認知障害、記憶障害、注意障害、遂行機能障害など高次脳機能障害のチェック項目が追加されたことが大きな変更点です。
さらに、特記事項の記載欄には精神障害の機能評価として精神症状・能力障害の二軸評価、生活障害評価が加わっています。この特記すべき事項記載欄には、障害程度区分認定の審査やサービス利用計画作成に必要な医学的な意見を書きます。
調査員が行う調査(一次判定)に精神障害者や知的障害者の特性を捉えるために新しく行動関連、精神関連、手段的日常生活能力などの認定調査27項目が加えられ、これらに関連する医師の意見は二次判定で区分変更の理由となります。医学の専門家でない調査員が把握できないこれらの項目に関して、医師の見地から区分変更に資するように記載することがポイントです。例えば、「歩行」や「移動」など認定調査の項目で「できる」と判断されても実際には実用的ではなく、移動の介護や社会参加の機会が必要な場合も多く、障害の変動性、実際の生活上の障害など具体的にできないこと、生活を捉えた障害状況を書くことが大切で、リハ医としては腕の見せ所です。
詳しくは各都道府県で医師意見書作成の研修会が行われますので会員の皆様は是非とも参加することが望まれます。