医局だより | 森之宮病院神経リハビリテーション研究部 |
森之宮病院神経リハビリテーション研究部
森之宮病院は、同一法人の大道病院とボバース記念病院の機能を統合し、急性期医療とリハ機能を併せもつ病院として、2006年4月1日にオープンした。後者に関してはボバース記念病院で24年間培ってきた成人脳卒中を中心とした回復期リハと小児脳性麻痺を中心とした外来・入院リハを、質・量とも充実して提供するための体制を整えた。リハ効果を最大限に引き出すために、早期リハ開始、練習量の確保、チーム医療の推進に重きを置いている。
構造的には、2病棟80床の一般病棟、4 病棟160 床の回復期リハ病棟、1 病棟49 床の小児リハ病棟(障害者病棟)、2病棟62床の個室病棟(一般と障害者病棟)、全9病棟351床すべてのフロア内にリハ室を配置した。また、電子カルテ、フルオーダリング、PACS導入により、リアルタイムの医学的情報の共有とデータベース化をペーパレス環境で実現した。
神経リハ研究部は、脳損傷後の機能回復を促進するリハの方法論を神経科学的な立場から検証する目的で1999年に設立されたが、4月から森之宮病院に移行した。年間約800例のリハ転帰のデータベース化とその解析、リハ方法論の構築のための、脳機能画像研究やランダム化比較対照試験の計画・実施を行っている。機能回復の脳内機構を検証するため、光脳機能イメージング装置、機能的MRIやトラクトグラフィー、経頭蓋磁気刺激、刺激部位や測定部位の評価のためのデジタイザー、3次元動作解析装置、ワイヤレス筋電図、座圧足圧計、体重免荷装置、タッピング磁気計測装置、麻痺患者対応可能なストレングスエルゴなど、評価機器も充実してきた。スタッフとして、当院でリハ医療に携わる医師〔リハ医学会専門医3名、神経学会専門医6名、脳外科学会専門医1名、脳卒中学会専門医1名、小児神経学会専門医2名など(写真)〕やセラピストが研究に参画している。設立後に米国を中心とした欧文専門誌に掲載された原著論文は20を超え、海外のreviewや教科書への引用も増加している。脳損傷に起因する障害を持つ患者さんに対する治療経験の蓄積から出発して、エビデンスのあるリハの方法論を構築し、患者さんの現実的な機能予後改善として、研究成果をフィードバックしていくことを目指している。
(宮井 一郎)
* | リハ施設基準:脳血管疾患等I、運動器I、呼吸器I、心大血管I |
森之宮病院神経リハビリテーション研究部
〒536-0025 大阪市城東区森之宮2-1-88 Tel 06-6969-0111、Fax 06-6969-8001 http://www.omichikai.or.jp/ |
* | 常勤医師 37人。PT 62、OT 50、ST 18 (計130)人。看護師142、MSW 6、神経心理士2、臨床心理士2人 |