<2008/March/20 updated>
Report 第31回日本高次脳機能障害学会(旧日本失語症学会)

第31 回日本高次脳機能障害学会
(旧日本失語症学会)

横須賀共済病院リハビリテーション科 野々垣 学


第31 回日本高次脳機能障害学会は、2007 年11 月22~23 日、和歌山県立医科大学脳神経外科 板倉徹会長のもと、和歌山市にて開催されました。
 テーマは「高次脳機能、局在を問う」であり、会長のご専門である脳腫瘍の術中覚醒下電気刺激での機能局在の探索について、術中の様子を動画を用いてわかりやすく解説いただきました。シンポジウム「高次脳機能の局在とネットワーク」で会長自らがシンポジストとして参加され、言語野周囲および頭頂葉での機能局在について講義されました。
 特別講演としてSydney 大学のRobyn L Tate 氏による“Neuropsychological and social rehabilitation after traumatic brain injury” についての講演がありました。オーストラリアでの脳外傷地域リハシステムの状況や、25 年にわたる脳外傷患者の追跡調査、脳障害の心理学的データベースのPsycBITE など多岐にわたる内容を紹介していただきました。
 今年度より本学会参加が、リハ医学会の生涯教育制度の認定単位に認められるようになりました。このため学会参加で10 単位、教育講演の種村純先
生による「遂行機能障害の臨床」、豊倉穣先生による「『注意』障害の臨床」で各10 単位、合計で30 単位取得可能な学会となりました。
 日本失語症学会より日本高次脳機能障害学会と名称変更して、4 年が経過しましたが、小児・発達のセッションができたり、視覚認知のセッションに
多数の聴衆が集まったりと、学会内での興味をもたれる分野の幅が広がっているようです。今回は一般演題171演題を集め、学会期間中、シンポジウム2 題(機能局在とネットワーク・高次脳機能リハ最前線)、教育講演7演題(前述の2 演題と記憶・半側空間無視・認知症他)、カレントスピーチ(高
次脳機能障害の摂食嚥下・感情と社会性の認知神経科学)など、幅広い知識を得られる学会という意味で、発表するだけでなく聴講に行くだけでも価値
ある学会という印象を受けました。
 今年は11 月19~20 日(水・木)愛媛の松山市で開催される予定です。