平成21年医学生セミナー感想文
※統一を図るため、文意に影響しない範囲で修正を加えている場合があります。
春期
【医療法人野並会 高知病院】
先日、夜行バスに乗って高知に訪れた。高知病院でリハビリセミナーを受けるためだ。高知に訪れるのは初めて、夜行バスに乗るのも初めて、病院でセミナーを受けるのも初めてと初めてづくしだったので、内心非常に緊張していた。
高知病院は主に回復期のリハビリテーションを行う病院だそうで、施設もそれに対応したものだったように思えた。「思えた」と漠然に表現しているのは、リハビリについてよく分かっていなかったからだ。今現在もリハビリについての授業を受けていないから、この先勉強が始まってから「あぁ、あの時のあれはこういう事だったのかぁ」と思えることを期待したい。
とはいえ、回復期リハビリテーションというものは、看護と理学療法(PT)・作業療法(OT)・言語療法(ST)がそれぞれ連携しあってADL(日常生活動作)を改善し、在宅復帰を目標にしているというのがよく分かった。
実際、PT・OTさんが患者さんにリハビリを行っている現場を見せてもらい感じたのは、患者さんが目標を持って取り組んでいるだけでなく、PT・OT さんも一緒に目指しているように思えた。決して、上から目線で「やってやるか」みたいな感じではなく、二人三脚で取り組んでいるようだった。
リハビリセミナー参加してみて、これまで全く知らなかった治療以外の世界が見えたような気がした。とともに、なんでチーム医療が大事なのか、その片鱗に少し触れたような気がし、本来の目的以上に大きな収穫を得たような気がした。
GW
【藤田保健衛生大学】
今回、参加人数が1人だと聞いたときは、正直どうしようかと思いました。しかし七栗サナトリウムの先生方が熱心に教えていただき、参加して本当に良かったと思いました。ポリクリでできなかった体験ができ、よりリハビリに興味を持つことができたと思います。また次回、機会があれば参加してみたいと思います。次は、リハ医の先生が実際の患者の診察を行い、訓練や入院の計画を立てる現場を見学してみたいです。
夏期
【医学生とリハビリテーションを語る会】
将来リハ医を目指す私にとって、一種の情報収集をしてこようという軽い気持ち で参加させて頂いた今回の研修は、ふたを開けてみれば、「晩御飯の伊豆の海の幸フルコース」「宿泊部屋の広さ」「受講生4名に対して、講師陣が20名前後 も揃われる」という三重にも贅沢なセミナーで恐縮しきりの二泊三日でした。今回のセミナーで印象的に感じた部分を書いていきたいと思います。
1日目のVFの見学では、ちょうどシェーグレン症候群の患者さんの検査でした。一見リハビリに関係なさそうな症例だと思ったのですが、唾液が出にく いことから嚥下機能に不都合が出ている可能性があるかもとのことでした。その後の嚥下障害レクチャーでは、嚥下障害を来す様々な症例・治療方法を教えてい ただき、奥の深い嚥下障害についての意識がよりいっそう高まりました。
2日目の午前中は装具・車椅子・杖実習を行いました。日ごろよく目にする車椅子の使い方さえ知らない、また乗ったこともなかった私に対して、注意点 を交えながら、どうやって操作するのか一から教えていただきました。杖の使い分け、突き方、また短下肢装具や長下肢装具の使い分けなど、基礎から応用まで 濃密な指導をしていただきました。
2日目の午後から3日目の午前中はバラエティに富んだ15ものミニレクチャー・講義を受けました。終末期リハビリテーションの評価法について、老人 保健施設の現状について、障害者スポーツについて、などなどエキサイティングな知見を得ることが出来、また各先生方の現在にいたるキャリア形成について紹 介していただいたことで、今後の自分にとって十分なロールモデルを獲得できたように思いました。
こんなに密度が濃く楽しいリハセミナーがあることを、多くの学生たちに知られていないのは双方にとって少しもったいないと思います。このイベントについて周囲に知らせていくことが、まず私にできる一つの恩返しだと思っております。
【鹿児島大学(1)】
実習内容もとても充実していて、「脳卒中リハ」の世界への入り口に足を踏み入れることができ、これからのリハ医のキャリアの大きな前進となりました。促通反復療法を教授自らが手とり足とり指導して下さり、初めてPTの仕事の一端に触れられたとともに、流れるような動きと論理的でムダのないその「促通」を知ることが出来たことは目からウロコが落ちる思いでした。これらの教えを実践される優秀なPT、OT、Nurseの皆様のお姿は、「あるべきリハビリテーション医療チームの理想像だ」と強く感銘を受けました。この4日間で得られた濃密なご指導、体験は、私の5年ばかりの医学生生活の中で一番刺激的でした。
【鹿児島大学(2)】
振り返ってみて、参加してよかったと心から思います。
特に印象に残っているのは、最終日のカンファレンスと回診です。カンファレンスでは、「どういうことを問題にして何をゴールにリハを進めていくのか」という流れが分かり、とても勉強になりました。リハ医の先生が多くおられるためか、先生同士のディスカッションも盛んで、そこが他の大学にはなかなかないところであり、鹿児島大学の強みだと思います。回診では、教授が一人一人の患者さんを時間をかけて診察されていて、驚きました。また、実際に患者さんに接することができたおかげで、片麻痺がどういう状態かをしっかりとイメージすることができるようになりました。ただ、私が勉強不足なせいで、患者さん一人一人の疾患と、どうして麻痺がおこるのかがうまくつながらず、今の教科書的な勉強をもっとしっかりしようと改めて思いました。
他のセミナー参加者と知り合えたことも、刺激になりました。特にリハ医を目指しているという他大学の学生さんとの出会いは、私にとっては、とても大きな財産になったと感じています。彼女は、自分の意見がはっきりしていて、リハ医になるために今できることをしっかりやっていて、とても尊敬しています。私も彼女に追いつけるよう、がんばりたいと思います。
セミナーを通して、教授をはじめとして、多くの先生方には大変お世話になりました。セミナーの勉強だけでなく、温泉や食事、”そうめん流し”に連れて行っていただいたりと、楽しい思い出もたくさんできました。また、そのような勉強以外の時間に、先生方とお話をすることで、リハに対する思いも強まったと思います。
【多摩北部医療センター】
2日間という大変短い時間でしたが、1週間くらいお邪魔させて頂いていたかなと錯覚を起こしそうになるくらい、貴重な体験をたくさんさせて頂き、ありがとうございました。
初めはリハビリ科の院内での位置付け(担当患者や他科との連携等)すらよくわからなかったのですが、実際に見学をさせて頂いたことで、リハビリ科という科が大変良くわかった気が致します。他科との関係という点では、少し精神科のコンサルテーション・リエゾンと似ているなと思ったり。ただ先生もおっしゃっていた通り、医学生の時代にあまり横割りの科に接する機会が無いため、他科の医師の認識が不十分であり、紹介が遅くなるのは残念なことです。
リハビリはどうしても我々素人の医学生にとって、コメディカルの印象が強いため、特にストレートで入学している学生にとっては、医師の仕事としてイメージが湧きづらい気は致します。でも、実際に現場では、本当に専門性が高く、所々に“技”が見え隠れする。
普通にしていると見過ごしてしまうようなことでも、そういうことってすごく大切ですよね。例えば、立てないと言われていた患者さんも先生のちょっとした声かけで自ら立ったわけですが、その工夫がなければ、「もう無理だから」で寝たきりになってしまう・・・能力を引き出せるコツを知っているか知らないかで、その方の今後の人生が全く異なるものになるというのは、常に意識しなければならないと思いました。リハビリって本当にその人の、顕在にしろ潜在にしろ、残された能力を如何に維持し、引き出すかなのだなと、身をもって実感致しました。
また、先生の人脈のお陰で、会議やセミナー、NSTなど、普段中々参加できないところにお邪魔させて頂き、色々な職種の方と話をさせて頂くことができ、本当に楽しかったです。
この度は本当に貴重な機会をありがとうございました!
【東京大学】
東大リハ科では三日間お世話になりました。紙面には書ききれないほどの充実した実習でしたが、こちらでは特に印象に残った場面を中心に書いていきたいと思います。
1日目は急性期リハの仕事を理解することから始まりました。主科医師からリハオーダーを受け、実際に患者さんの状態を確認し、MMTや神経診察が可能な状態であれば行いました。リハの問診は独特で、家屋の様子や家族構成、社会的立場など時にはプライバシーに踏み込まざるを得ない質問をすることもあります。そういう時でも患者さんとリハ医との何気ない会話の一つ一つにユーモアがあり、患者さんの事情を慮った言葉が必ず入りました。午後には麻痺を持った患者さんの歩行解析をするためのVICON計測を見学しました。他科のCT・MRIなどの静的な評価と比較し、リハビリテーションの動的評価の面白さに改めて感銘を受けました。
2日目は朝のカンファから始まり、最新の治験の様子について説明を受けました。その後回診に同行し、丁寧な症例プレゼンテーションが行われました。その週は新患さん含め180件オーダーがあり、多くの診療科医師が急性期リハを当然のことと認識され、積極的にリハオーダーをされていました。午後の装具外来では、実に様々な症例の患者さんが実際に使用されている装具の不具合を調整したり、新規の患者さんがどうやってご自分の手足の代わりとなる装具を作られるかその過程を見学しました。夜には、私の進路相談に乗っていただく為に女性医師を交えて、交歓会も開いていただきました。自分の聞きかじった情報やつたない疑問点などをぶつけても、どの先生方もにこにこと対応してくださり、時には真剣な顔でお答えくださりました。ここには親身になって相談にのってくださる大先輩方たちが沢山いるんだ、と心強く思いました。
3日目は教授の小児外来に同席しました。東大でしか見ることが出来ないようなレアな症例を見ることも出来、大変勉強になりました。午後は小児神経に興味のある私のために心身障害児総合医療療育センターで実習を組んでくださいました。ギブスカットの様子や石膏の型どりを手伝わせてもらったり、装具意見書の書き方についてレクチャーしていただきました。
まだまだ書き足りない思いでいっぱいですが、これを御覧になっている皆さんに少しでも東大リハ科の魅力が伝われば幸いです。医局の先生方、セラピスト方、研修医の先生、研究生の皆様、本当にたくさんの希望をかなえていただき有難うございました。
【森之宮病院】
森之宮病院の実習では半日という短時間の中、脳性麻痺児のリハビリテーション見学と成人患者さんの病棟見学を中心に、実りの多い時間を得ることが出来ました。
リハカンファでは、神経変性疾患・脳卒中を中心に、患者さんの病歴、医学的所見、合併症、治療内容と予後を丁寧に報告していました。クリニカルクラークシップで日常的に見学している他科のカンファと違うところは、リハ医療が生活に即した日常的・社会的概念に基づく性格をもつので、職業復帰・在宅生活・施設ケアなどが議論の中心となり、治療目標は、屋内歩行の自立、車椅子でのADL自立などのレベルで表されることでした。それらがとても新鮮で、さらにリハビリテーション医療に興味を持ちました。小児リハビリテーションでは脳性麻痺児に初めて直接触れることが出来、実際のリハビリを見せていただきながら、中枢障害を持つ障害児の成長の過程と地域社会の中でどのような療育がなされるかについて平井先生に教わりました。アテトーゼ型や痙直型、また水頭症後脳出血など様々な症例の患児たちが一同に、明るい雰囲気でリハビリに励まれる姿をみて、逆にこちらの方が力をいただいたような気がしました。宮井先生、平井先生、秘書の奥田さん、大変お世話になり有難うございました。
【藤田保健衛生大学(1)】
現在、自分の中でリハビリ科に対し、かなり興味を持っていたので、ポリクリでは体験できないことをやれると聞いて参加しました。歩行分析、モーターポイントブロック、WPALの見学をしてみて、ただ歩行するだけと言う日常的に行っている動作が、実際には非常に高度なバランスの上で成り立っているものだと実感しました。そのメカニズムについてもっと知りたいと思いました。
今回はお忙しい中、私達学生の都合に合わせていただき本当にありがとうございました。先生方のおかげで、授業やポリクリでは学べないようなことをたくさん勉強させていただきました。これまで以上にリハビリへの興味がわきましたので、今後より一層勉学に励みたいと思います。(5年生)
【藤田保健衛生大学(2)】
このセミナーに参加した理由は、将来、運動器、主に整形外科やリハビリテーション等に進みたいと思ったため、またポリクリで既に廻ってはいたが、ポリクリと何が違うのか、興味があったためです。興味を持ったことは、モーターポイントブロックで具体的にポイントを見つけ、1つ1つ収縮を確認しながら薬剤を注入していったことです。目に見えて効果があったので楽しかったです。
ポリクリとは一味違ったリハビリテーションセミナーで楽しかったです。ポリクリの人数(5人)よりも少ない人数(2人)で、少し心細かったのですが、先生方が温かく迎えていただいたので、とても充実した気持ちでセミナーを受けられました。ありがとうございます。(5年生)