平成24年医学生セミナー感想文
※統一を図るため、文意に影響しない範囲で修正を加えている場合があります。
2012年医学生リハセミナーに参加して
2012年医学生リハセミナーには、9施設35名の参加がありました。今年も昨年とほぼ同じ参加者数となりました。開催施設に感謝申し上げます。ここに参加者から寄せられた感想文を掲載いたします(順不同)。
教育委員会 医学生リハセミナー担当 石井雅之
春期・GW
【産業医科大学】
産業医科大学での三日間のリハセミナーを終え、非常に充実した気持ちでいます。リハ医の日常を知ることで、多くのことを学ぶことができました。外来や回診、カンファレンスを見学させていただくことで、今までどうしてもイメージすることが難しかったリハ医という存在を身近に感じることができ、自分の将来を明確にイメージすることができました。以前は、リハビリを計画することがリハ医の主たる仕事だと考えていましたが、検査、診断、計画、対話、修正、連携など必要とされる仕事が多岐に渡り、その一つ一つが極めて重要であるということを知りました。また、多くのリハ医である先生方、コメディカルの先生方とお話させていただく機会に恵まれ、私の細かな質問にも丁寧に対応していただき、将来に活かすことのできる知識を得ることができたことにも大変満足しています。
私は、病気になった患者さんが「元気だったあの頃」に戻るまで、医療者は患者さんに寄り添い、全力で医療を提供していくべきだと考えています。そのような信念、そして、対話を重視するという自分自身のパーソナリティから、本当にリハ医になりたいと思っています。産業医科大学でのリハセミナーを通して、その思いをより一層強固なものにすることができました。このような機会を設けてくださり、貴重なお時間を割いてまで指導をしてくださったリハビリ講座の諸先生方に心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
【昭和大学】
医学部に入る頃からリハビリに興味があり、五年生の実習が始まる前に一度本格的に見学させてもらえる機会があれば、ということで今回二日間の見学をさせていただきました。
リハビリに抱いていた印象は漠然と「トレーニングを主に行なっている」であった。しかし、先生方の説明や実際の病院内の様子を見て、トレーニングはほんの一部のことでありくらしにどう戻すのかというところを含めて考えると、その仕事内容は非常に多岐に渡っていることに驚いた。そして、臓器や手段で分けられた科ではないため総合的な診察能力が必要とされる機会が多く、専門性と同時に他科よりもそういった部分を身につけなければならない必要が大きいように感じられた。退院したから自分たちの役割は終了するのではなく、その後のくらしにおいて不便を感じないようにするにはどうしたら良いかということも継続して一緒に考えていかなければならないという点においてリハ科の担う役割は非常に患者さんにとって退院後も一生涯重要なものになっていると思え、自分としては強く興味が湧いた。
見学では、主に外来、リハビリ、退院前訪問指導を見させていただいた。共通していることは前述の通りくらしを意識していたことである。ライフスタイルなどによってゴールは異なり、実現するためにどうするかを様々な職種の人たちが協力しあうということは講義や本で想像していたものよりも生き生きと行われていた。リハビリは、スタッフ全員の努力によって成立していると実感した。
最後ではありますが、お忙しい中私のために時間を取っていただき本当にありがとうございました。私自身不勉強で先生方にご迷惑をお掛けしたかと思いますが、一つ一つ丁寧に説明してくださり、温かく迎え入れてくださったことを心から感謝しております。今後も勉強を重ね、先生方とまた会える日のため努力していきたいと思います。
【東京大学】
大学4年の春休みに2日間、東京大学附属病院リハビリ科(以下リハ科)を見学させていただきました。リハ科の現場に関する話から、卒後どのような道の選択肢があるのかという一歩踏み込んだ話まで、担当の先生が1対1でしっかりと説明してくださいました。実習では、ICUや病棟での術後急性期リハビリを含めた、理学療法士さんによるリハビリ・リンパ浮腫外来・小児整形外科外来など、リハ科の多様な側面を見学することができました。特に小児整形外科外来では珍しい症例の患者さんが多かったですが、根治はできなくとも、少しでも過ごしやすい生活ができるよう患者さんと家族・リハ科が一体となって治療するということは、医師として非常に大切な心がけであると感じさせられました。
2日間という短い間でしたが、非常に多くの事を学ばせていただきました。ありがとうございました。
【大阪医科大学】
私は、医療の大学の講義がきっかけでリハビリ科にとても興味を持ちました。その後、実際に病院実習を経験して、様々な疾患を持つ患者さんを担当させていただきました。リハビリを必要とする患者さんもおられましたが、実習期間の都合もあり、実際にリハビリされているところに関わることがほとんどできませんでした。リハビリについて、またリハ科医について、もっと知りたいと思ってセミナーに参加させていただきました。
大阪医科大学では、先生の数が多く、それぞれの先生方が嚥下機能評価やボツリヌス療法など多彩な分野のリハビリに携わられている事が印象的でした。リハビリがとても幅広いものであると感じ、学ぶことが多く興味深いと思いました。カンファレンスでは、スタッフの多さにも驚きました。リハ科では多くのスタッフが関わって、チーム医療を実践しているところも、とても魅力的だと思いました。
今回のセミナーでは、大学の実習では経験することができない事をたくさん経験させていただきました。播磨の回復期リハビリテーションセンターでは、初めて、音楽療法、園芸療法を見学しました。開放的な空間で生き生きとリハビリに励む患者さんの姿がとても印象的でした。リハビリは患者さんにとってはとてもエネルギーがいる事だと思います。患者さんが積極的に取り組める環境を考えるのもリハ科医の役割なのだという事を知ることができました。また、嚥下機能評価を、身をもって体験することができました。患者さんの気持ちを少しでも知ることができた気がして、貴重な体験でした。
お忙しい中、このような機会を設けて頂いて本当に感謝しています。今後、様々な物事に出会う中で自分の医師像を作り上げていくことになりますが、私は患者さんのリハビリまで考える医師になりたいと思っています。本当にありがとうございました。
【藤田保健衛生大学】
1)やはりリハビリ医学はおもしろいなと思いました。社会的にもとても重要な医療だと再認識しました。患者さんの治療経過(内服や処置など含め)何をしてどのような変化があって、その後どうなったかなど、みてみたいと興味がわきました。
2)歩行用ロボットの話は非常に新鮮だった。細部にまで工夫、気配りされていて素晴らしいと思った。本当にさらなる発展が期待できる分野なのだと実感した。リハビリは臓器別の医療とは異なった患者さんに対する視点が沢山あるのだなと、とても新鮮に感じました。
3)リハビリ医学にとても興味が湧きました。今回は自分でリハビリを体験するプログラムであったのですが、次回は患者さんともっと接することができたらなと思いました。
4)患者さんが召し上がっている食事(とろみ、きざみ、全粥など)の違いがよく分かっていなかったので、教えて頂けてありがたかったです。また試食できたのが良かったです。内視鏡では様々な形態の食物の嚥下動態の違いを観察でき、興味深かったです。
5)装具体験では実際にどう動かすのがよいのか、よくわかりました。半側空間無視の方が課題をしていらっしゃる様子を見たことが今までありませんでしたので、今回、初めて拝見し、どのように空間を認知し、注意を払っていらっしゃるのか分かりました。訓練体験も楽しかったです、「楽しみつつ良くなるにはどうしたらよいか」その視点、アプローチが素敵だと思います。
6)内視鏡を実際に使ってみたのは初めてでした。嚥下障害のための手術があるのは興味深かったです。嚥下食がおいしいという他の参加者の感想は印象深かったです。
7)もともと今後の高齢化社会がもっと進行していくので、リハビリが重要だと理解していましたが、リハ医が何をしているのか知らなかったので、今回貴重な体験になりました。興味がもっと湧きました。
8)回復期病棟を担当するようになってからリハ医が介入することの重要性をひしひしと感じています。排泄機能検査や呼吸器リハビリ、心臓血管リハビリもなかなか研修する機会がないので、いつか勉強させて頂ければと思います。
夏期
【鶴岡協立リハビリテーション病院】
・午前の実習について、食事介助など貴重な経験をさせていただきました。現場の雰囲気も、その大変さもより深く分かった気がします。
・午後の実習について、10件の往診を見学できました。ミーティングでは、その説明なども詳しく教えて頂きました。一日を通し、福村先生より興味深いことを話して頂きありがたいと思いました。
・現場に受け入れて頂いて、雰囲気を肌で感じることができとてもありがたく思います。
・問診も多く見学させてもらい、また、お話を先生から直接聞くことができ、本当に見学に来てよかったと思います。
・先生の患者さんへの接し方(優しく、前向きな対応)を見て、落ち着いているし、信頼される態度・姿勢に影響を受けました。他、多くの考え方に感銘を受けました。
・病院や医局の雰囲気はとても温かい雰囲気でした。職員の方も私を優しく受け入れて下さいました。
・職員の患者さんへの対応について、前向きで、励ましの言葉をさりげなく掛けたり、すごい気遣いだと思いました。見習いたいと思います。
【藤田保健衛生大学】
1)小児リハの特に実習が面白かったです。体の動かし方や反射の利用法の基礎に触れることができました。4月の見学とは異なったものをまた見せていただき、とてもありがたかったです。患者さんを拝見した際に先生方が、時折気づいた点や注目点について語ってくださったのが特に勉強になりました。私が一人で漫然とみていただけではわからなかったポイントを知ることができました。先生方の医師としての、というよりもリハ医としての視点やまなざしに非常に感銘を受けました。「できることは何でもしよう」「なんとかしてより楽しく生活できるように」精力的にあらゆるものを利用し、試行錯誤を繰り返して取り組んでいらっしゃる姿が非常に印象的でした。リハビリに興味がわきました。先生方がどのように「リハ医としての着眼点」を身につけられたのか・・・元々お持ちだったのか、なども伺えばよかったな、と今は思っております。もしも、もう少し長期の見学が可能であるならば、患者さんの診察やゴール設定、処方などに関わり、変化を見ることができたらよいな、と思います。セミナーでいろいろな内容を見学させていただけたのはもちろんですが、何よりもありがたかったのは、先生方が懇親会にまで時間を割いてくださって、直にたくさんのお話を伺い、人生の先輩としてのアドバイスをいただけたことでした。今後リハビリに進むにせよ、他の道に行くにせよ、先生方から伺えた言葉が今後どこかできっとまた思い出されるだろうと思いました。本当にありがとうございました。
2)セミナーに参加する前は、リハ医=整形外科医というイメージで、外科ができなくなった整形外科医がなるものと思っていました。セミナーを参加して勉強させて頂いた後では、リハ医は全身管理、リハビリの方向性を決定する医師であり、また、患者の生活まで必要なら介入する総合診療医的な医師であると思うようになりました。急性期の治療も必要だが、回復期の治療もあり、また、そこに医師がいるということが勉強になりました。さらに、リハ医が能力獲得を目指すものであることは、目からウロコでした。リハ医・医療に興味を持ちました。またできれば、患者さんがリハをうけることでどれだけ回復するのかが見てみたいです。リハの効果を体験してみたいです。全体としては、概要がよく見え、楽しいセミナーになりました。セミナーに参加させて頂き、ありがとうございました。
3)摂食嚥下に興味があり参加したが、脳卒中患者さんへの様々なリハビリをみてすごく興味が湧いた。ベテランの先生から若手の先生までリハ医としてのお話を3日間じっくり伺う事ができ、楽しかった。神経内科をしっかり学んでまたリハビリにふれたい。
4)実際にリハ医がどういうことをされているのかイメージできた。ロボットの仕組みは難しかったけど、それをリハビリに活かしてどう患者の回復の効果につなげるか、それも楽しんで継続してもらうかと言う考えはとてもシンプルで臨床的だと思った。
5)オリエンテーションはリハ科が何をしているかとかが具体的にわかって楽しかった。歩けない人が歩けるようになっているのをみていてすごいと思った。全体を通して新しいことばかりで楽しかった。
6)動作解析、嚥下3DCTなどの新技術は単純に凄いと感じたので面白かったです。リハビリカンファレンスは自分に知識がなかったので面白く感じられませんでしたが、病院の活動の雰囲気を感じることができて有意義でした(セミナーから外した方がよいという意味ではない、ということです)。信濃医療福祉センターという自分の大学にごく近い施設で全国から母子入院を受け入れておられることを知ることができました。また忍耐強いリハビリに頭が下がる思いを感じました。
以前からリハ医学に関心がありましたが、リハビリの主役は理学療法士・作業療法士であり、リハ医には大した役割はなく第一線を退いた整形外科医や脳外科医がなるものだ、という先入観がありましたので、リハ医学を専門とすることにはためらいがありました。しかし、今回のセミナーに参加して、リハビリを十分に理解した医師によるマネジメントはリハビリの成績が向上させるために重要であることがわかりました。また、家庭医や総合内科医となることにも関心があったのですが、そのような関心はリハ医となってリハビリ中の患者さんの健康管理を行うことを通して生かすことができる、という指摘も新鮮に感じました。このように今回のセミナーではリハ医となることの魅力を大いに感じ取ることができました。おかげでリハ医を目指すことを真剣に検討したいと考えるようになりました。どうもありがとうございました。
7)昨年、リハビリに興味を持ちましたが、学校の講義がまだで、ポリクリもまだ始まっていなかったので、いきなり病院見学をするのは迷惑かなと思っていました。そんな中で、このセミナーの存在を知り、今の自分に最適なセミナーなのではないかと期待をもって来ました。実際に来てみると、期待以上の内容で大変勉強になりました。また、それ以上に、どの先生方も優しく、どんな質問にもきさくに答えて頂けて、セミナーの内容以上に知れたことが多かったです。研究内容、仕事内容、手技の実習なども十分勉強になりました。もっと知りたかったのは、リハ医の1日、1週間、1ヶ月のスケジュール(もしくは10年単位のプランなど)などで、自分がリハ医に進むと決めた場合どんな働き方をするのか、どんなキャリアプランを形成するのかを考えたかったです。このセミナーをもとに、次は他の病院(関西、福井など)も見学したいなと思います。もちろん、このセミナーもまた参加したいです。
8)今回は1日しか参加できなかったが、実際に見て回ったり体験したりすることが多く、とてもよい経験になった。次は3日間参加させていただけたらと考えている。
9)PTの方との対話で、PTと在宅、医療のあり方が理解できたのは有意義でした。麻痺の患者さんの身体診察を実践させていただいたのは貴重な体験でした。PT以外の職種の方のお話も聞いてみたいと思いました。無視についての講義を聞けたのはよかったと思います。意識の高い上級生たちと現場の先生の話を聞けたのが特に有意義でした。基礎知識はありませんでしたが、それでも理解できるように話してくださるので助かりました。前回、一日だけの体験でしたが、今回三日学べたことで、リハ医についてより広くかつ深く学べることができました。
10)一度、研修病院の都合がつけば1か月程リハで研修して一人の患者さんを診てみたいと思いました。
11)全体を通して、大学でのリハビリ、急性期、回復期のリハビリを見学できました。3日目では診察の様子や実際に患者さんを診察させて頂き、勉強になりました。リハ処方の様子とかも見学したかったです。リハ効果を知るには長く患者さんを診る必要があると感じました。回復期で患者さんを担当することも大切だと思いました。