リハニュース No.31
2006年10月15日
2006年10月15日
Chairperson, Organizing Committee, 4th World Congress of the ISPRM
Chang-il Park, M.D., Ph.D.
日本リハビリテーション医学会会員の皆様に第4回ISPRM世界会議へご招待できることを大変光栄に存じます。
この会議は来年6月10~14日に、“West Meets East in Rehabilitation Medicine ; New Challenge for Better World”のテーマで、ソウルにて開催されます。このテーマは、各国間の円滑な協力がリハビリテーション分野の技術的・科学的発展を促すというISPRMの精神を強調したものであります。第4回ISPRM世界会議では協力と挑戦を歌い上げるとともに、よりよい未来へ向けての発展を意図しております。
150名以上のご高名な先生方が最新の知見を交換しあい、解決困難な課題を議論し、リハビリテーションの認識をさらに深めるために集います。素晴らしいプログラムが用意され、すべての参加者が知識を吸収できるように企画されています。さらに、躍動的な韓国を経験できるツアープログラムも準備されています。詳細は是非、インターネットで www.isprm2007.org のサイトをご覧ください。
第4回ISPRM世界会議は実り多いプログラムを多数用意しております。多くの日本の先生方にご参加いただき、さらに友好の絆を強め、有益な情報をお持ち帰りいただければと切に願います。
是非、第4回ISPRM世界会議にご参加いただき、リハビリテーション医学の最新の知見に触れてください。
(訳:田島文博)
社会保険等委員会 委員長 田中宏太佳
平成18年度診療報酬改定は、リハビリテーション(以下、リハ)医療における診療報酬体系に大きな変更をもたらしました。社会保険等委員会では、学会員の皆様や社会保険モニター専門医の先生方のご意見を参考にしながら、重要であると思われる項目を4月から5月にかけて取りまとめました。日本リハ医学会の役員会で更に検討が行われ、「平成18年度診療報酬改定に係わる本医学会の対応について」と題したリハニュース30号6ページ(本医学会ホームページより参照可能)の記事に示されましたように、(1)疾患別診療報酬体系の見直し、(2)総合リハ施設の復活、(3)代替医療者の参入緩和に慎重な対応、(4)算定日数の上限設定には十分配慮し必要なリハ医療が提供できる仕組みを設けるべき、(5)理学療法・作業療法・言語聴覚療法の削除は見直すべき、などの項目は重要で、これらの点を中心に関係機関に働きかけてゆくことが決められました。
本医学会は、今年度以降の社会保険等委員会の活動を非常に重要であると位置付け、担当理事として里宇明元理事と水間正澄理事の2名の理事が就任し、委員会委員の定員を12名としました。以下に当委員会が今回の改定に対して既に行ったこと、また今後計画していることを列挙いたします。
1)厚生労働省に対する働きかけ:常任理事および社保担当理事らは、8月7日に担当課の課長と会談し、今回の改定に関する現時点での本医学会の見解の資料を手渡し、引き続き学会として建設的な意見書を提出する予定であることを伝えました。中央社会保険医療協議会では、表1 のような診療報酬改定に係る特別調査の実施を計画しており、その結果も参考にしながら今後の対応を検討する予定です。
2)内保連・外保連に対する働きかけ:前社保担当理事であった石田 暉理事は内保連の副代表に選出され、またリハ関連委員会委員長の任務を継続することになっており、平成20年の診療報酬改定に向けて適切な連携を当委員会と持つ予定です。また外保連においては、従来の試案にリハ領域の項目として運動療法や牽引および物理療法などがあるのみであったので、理学療法・作業療法・言語聴覚療法・リハ処方・リハカンファレンス・摂食嚥下機能療法などの項目を盛り込み、外保連を通じてのリハ関連の希望書を申請し易くする改定の審議を継続中です。昨年採用されなかった項目については、平成19年度に向けて外保連を通じて希望書を提出いたしました。また当医学会が官報告示されることを希望し診療報酬表に収載された項目(動作分析検査など)で、正しい解釈が周知されていない内容に関しては、課長通達が出されるように要望していきます。
3)リハ関連5団体との連携:わが国においてリハ医療に関わる代表的な団体である日本リハ医学会・日本リハ病院施設協会・日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会は、リハ医療関連5団体協議会(仮称)を組織し、その役員は定期的に会合を持ち医療保険や介護保険を含むさまざまな政策提言をまとめ、積極的に関係機関に働きかけることを申し合わせています。既に国に疑義解釈を求める項目を確認し、今後は診療報酬改定の影響について各団体が調査した結果の情報を共有し問題点と行動計画を検討する予定です。
4)診療報酬改定に関するアンケート調査:評議員およびリハ科専門医を対象に調査を行い、9月11日現在で57%の回収率でした。回答者の勤務する医療機関の昨年度の理学療法施設基準毎に、平成18年8月現在の各疾患別リハ基準の取得状況を 表2-1 に示しました。また厚生労働省施設基準届出医療機関数調べを参考に 表2-1 から推計した実数値を 表2-2 に示しました。昨年度総合リハ施設基準を取得していた一部の医療機関で、脳血管疾患等リハ(Ⅰ)が取得できていないことがわかります。また昨年度理学療法Ⅱの基準を取得していた医療機関の約9割で運動器リハ(Ⅰ)の施設基準を取得できているようです。また心大血管リハの施設基準は他の疾患別基準に比べて普及していないことが伺えます。アンケート結果の詳細な内容は、後日の学会誌「リハ医学」の委員会報告でお知らせする予定です。
5)リハ医学会の他委員会との連携:診療ガイドライン委員会と共同で、2つの策定委員会を設立いたしました。1つは臨床研究・調査のためのガイドライン策定委員会です。次回のリハ医学会学術集会に発表される研究においてガイドラインに沿って作成されることが望ましいとする内容をこの委員会で検討する予定です。これに沿ってデータ収集ができれば、リハ医学会として多数例のデータを使用してエビデンスを示し、厚生労働省が各学会に対して行う診療報酬に関するヒアリングで提示いたします。もう1つはリハ連携パス策定委員会です。今回の診療報酬改定において診療連携パスの対象疾患として大腿骨頸部骨折が採用されました。まず「脳卒中リハ診療連携パス」を作成し、連携パスにおいて今後予想される他疾患の診療報酬算定化に備える予定です。また、診療報酬改定のような会員の先生方にとって重要な事柄に関するアンケート調査や情報提供を円滑に行えるように、広報委員会と連携し、ホームページを適切に活用する方法を検討する予定です。
6)社会保険モニター専門医の継続的な協力依頼:昨年度から全国の中核的な病院で活躍しておられる専門医の先生にモニター専門医として登録していただくことをお願いし、重要な情報提供をしていただきました。紙面をお借りして厚くお礼申し上げます。今後数年間は特にリハに関する診療報酬関連のことについて重要な局面となることが予想されるために、今年度も引き続き御協力いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
第44回日本リハビリテーション医学会学術集会会長 住田 幹男
(関西労災病院リハビリテーション診療科)
21世紀に入り、政治、経済をはじめ世界中で大きな混乱と変革、さらに価値観の多様化と相克が起こっています。これは日本の保健・福祉・医療においても例外でなく、医療システム、医学教育、専門医制度、各種関連専門職との連携、リスクマネージメント、医療倫理、介護保険、障害者医療など、さまざまな領域で大きな変革期を迎えています。
この混乱と変革の時代において私は、福沢諭吉が明治維新という時代背景のなか、『学問のすすめ』の中で「実学の用」を説いていることを思い起こします。これは、現在においても決して意義を失っていません。
私は、リハビリテーション医学の本質が「実学」にあると強く信じています。激しく変化している医療のなかで、原点である「実学」に立ち返り、基礎を踏固め、リハビリテーション医学のさらなる飛躍に向けての準備と方向性を見出していくことが、私たちの緊要の課題であると考えています。
第44 回学術集会の基調は、
の3点です。
故 水野祥太郎先生が近畿の地で開催され産声を上げた日本リハビリテーション医学会を再び近畿で、とりわけ阪神・淡路大震災後の復興した神戸で開催できることは私たちにとって大きな喜びです。また、大阪で開催される日本医学会総会の一環として日本の医学・医療の発展に寄与していきたいと思います。
何卒、日本リハビリテーション医学会会員の皆様のご厚情とご支援をお願い申し上げます。
第44 回日本リハビリテーション医学会学術集会
テーマ:実学としてのリハビリテーションの継承と発展―医療変革とリハビリテーション―
会期:2007 年(平成19 年)6 月 6 日(水)~ 8 日(金)
場所:神戸国際会議場・国際展示場
本年6月1日の通常総会で選任された6名の新任理事を紹介いたします。自己紹介、理事としての抱負のほか健康のために心がけていることをお聞きしました。
【編集委員会担当】
(鹿児島大学大学院運動機能修復学講座機能再建医学)
理事に選出いただき有り難うございました。私は鹿児島大学医学部卒業後、約3年の内科の研修後、鹿児島大学医学部霧島分院で脳卒中患者のリハと研究に従事し、1988(昭和63)年のリハ医学講座開設以降は助教授ならびに教授として医学生の教育にも携わってきました。学生にはリハ医学の理念に加えて、先端科学を取り込んだリハ医療の将来性を強調しています。診療と研究のテーマは片麻痺など機能障害自体を回復させる治療法の開発です。現在の医療・福祉政策は国民皆保険制度や高い医療水準の崩壊に繋がるものと感じており、今後ともリハ医学・医療が国民の福祉に貢献できる体制の維持に努力したいと考えています。
健康維持と研究のアイデアを得るために、毎日1時間は患者の運動療法で汗を流すことを心がけています。
【関連専門職委員会担当】
(東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野)
このたび、日本リハ医学会の新理事に選出いただきましたことを心より御礼申し上げます。
私は現在、東北地方会代表幹事で、10月まで編集委員長を務めておりました。また、国立大学理学療法・リハ部門代表者会議会長、東北大学病院リハ部長なども拝命しております。運動器、呼吸、循環などの分野で「リハ」の名のつく学会が増加し、診療報酬も改定され本医学会の今後の対応が問われております。診療・教育・研究のすべての面で関係団体・学会と協力関係を保ちつつ、本医学会の存在意義を今まで以上にアピールしていく必要があると思います。私は関係団体・学会との架け橋の役割を担えればと考えております。今期、私が担当する委員会は関連専門職委員会です。前田真治委員長はじめ委員の皆さんと協力して、関連専門職育成への提言などを積極的に行います。本医学会の発展のため精一杯努力する所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
生活に緩急をつける(タイムシフティング)、家族との団欒、すきまの時間に国内外の見知らぬ場所に行って散歩(徘徊)することでリフレッシュしています。
【広報委員会担当】
(和歌山県立医科大学リハビリテーション科)
このたび、新理事にご選出いただいたことを深く感謝いたします。
私は産業医科大学卒業と同時に故緒方甫先生に師事し、一貫してリハ医の道を歩んでまいりました。浜松医科大学リハ部を経て、現在和歌山県立医科大学リハ医学教授を務めております。
現在のリハ医学会は難問山積で大変難しい局面にあると考えます。この難局でこそ、医学の基本に基づいた王道を歩みつつ、各方面へはきめ細かに対応することが重要であると考えます。
そのために、リハ医学会として、適切な情報の収集と発信が欠かせません。広報委員会担当といたしましては、皆様のお考えを的確に把握し、そして質の高い情報を先生方と市民の皆様にお届けする双方向システム作りに取り組みたいと考えます。
なにとぞ、皆様のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
【社会保険等委員会担当】
(昭和大学医学部リハビリテーション医学診療科)
このたび本医学会理事に選出され社会保険等委員会を担当するよう命ぜられ責任の重さを痛切に感じております。
私は1977年に昭和大学を卒業し整形外科に入局、その後リハの担当をさせていただいておりました。1991年リハ科開設と同時に同科配属となり、1997年からの3年間昭和大学医療短期大学で理学療法士、作業療法士、看護の教育に携わった後、2000年大学に戻り現在に至っております。本医学会では編集委員会、教育委員会等で活動させていただき、現在は関東地方会代表幹事を務めております。諸先輩方が築き上げられてこられた本医学会のさらなる発展のために微力を注ぐ所存でございますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
健康のためには、バランスのよい食事をとること、できるだけ車などを使わずに歩くことを心がけております。
【認定委員会、試験問題作成委員会担当】
(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
理事に選出していただきどうも有り難うございました。
私は1980年千葉大学卒業後、整形外科の初期研修ののち同大学でリハに従事し、国内外リハ病院での研修のほか、リハ医学会主催の研修会や他大学での勉強会を通じて全国の諸先生方にリハ医として育てていただきました。昨年秋に大学を離れ千葉県千葉リハセンターに再々就職しセンター長を務めています。当方は成人から小児までの各種医療・福祉機関をもつ複合施設であり、地域リハ支援センターや高次脳支援普及事業なども担っています。学会では認定委員会が長く、引き続き同委員会と問題作成委員会の担当を拝命しました。会員にとってわかりやすい学会にすること、リハ医や医学会の存在意義を上手に外部へ発信することなどが、理事会の重要な仕事と考えます。医療・福祉・教育など広い視点に立った提案や発言を心がけてまいります。
健康のために1時間以上のジョギングを週1回は必ずやっています。
【社会保険等委員会、診療ガイドライン委員会担当】
(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
伝統ある本医学会の理事に就任し、身の引き締まる思いです。リハ医学・医療の将来を見据え、診療ガイドラインおよび社会保険等委員会の担当理事として、全力で取り組んでまいりますので、皆様のご指導、ご支援をお願いいたします。
1979年に卒業後、すぐに出張病院に派遣され、これまで4つの施設でリハ科の立ち上げに関わるという貴重な経験をさせていただきました。20年以上に渡り、地域の医療機関で臨床の現場に身をおいてまいりましたが、2002年に大学に戻り、医学・医療があらゆる面で大きな変革期にあることを実感しながら、教育、診療、研究に取り組んでいます。
忙しい毎日ですが、1時間強の通勤途上には好きな音楽を聞くことを楽しみにしています。教室の若手や医学生との語らいも貴重なエネルギー源です。時間を見つけては自然の中に身を置き、心ゆくまで歩いたり写真を撮ったりしながらリフレッシュしています。
第4回ISPRM 世界会議に関するお知らせ
(開催期間:平成19 年6 月10 日~ 14 日、開催場所:ソウル)
1. 参加者に対する特別海外研修助成の募集を行います
40 歳以下の本医学会員の第4 回ISPRM 世界会議(4th World Congressof the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)への演題発表に対して助成をいたします(30 歳以上の方は条件付)。助成額は5 万円です(20 名以内)。応募期間は平成19 年2 月14 日~ 3 月31 日です。
助成希望者は本医学会ホームページに掲載予定の募集要領に従って奮ってご応募ください。助成の可否は海外研修助成制度に関する内規に従って審査いたします。
2. 第4回ISPRM 世界会議はリハ関連職種の演題発表も可能です
第4 回ISPRM 世界会議では日本からの多くの演題参加が期待されております。本学医学会員はもとより、リハ関連職種の演題参加も望まれており、国際委員会では各療法士協会や関連学会などの関連職種団体へ演題参加の協力要請を行っております。皆様におかれましては、関連職種による演題の共同演者としても積極的に薦められ、多くの日本人研究者が第4 回ISPRM 世界会議へ演題参加できますようご協力お願い申し上げます。
公式ホームページ:http://www.isprm2007.org/
演題締切:2006 年12 月10 日
(前委員長 上月 正博)
認定臨床医制度の改正について
平成18年度本医学会総会におきまして、認定臨床医制度は、「リハビリテーション医療の適切な臨床経験・技術・知識を有する医師」を認定する資格制度として改正され、その資格要件を平成19年度から一部変更することが承認されました。これによって認定臨床医制度は、リハ医学に基づいた医療を提供する医師を資格審査・試験および生涯教育によって認定し、リハ医療の質の向上とその普及を担う認定制度としての位置づけが明確になりました。
資格要件の主な改正点は、 1.初期研修制度を鑑みて、専門医制度と同様に、医師免許取得後5年、本医学会入会3年以上とすること(従来は両者ともに4年以上)、 2.「学会の認定した研修施設において1 年以上の研修を行ったもの」に加えて、「指定の教育研修会を受講の上、指導責任者推薦書を得たもの」にも受験資格を付与すること、 3.資格審査に必要な報告書は、「症例報告10例」のみとし、「50症例のリスト」ならびに「学会抄録1篇もしくは論文1 篇」の要件を削除すること、です。
この改正によって、回復期病棟等のリハ医療の現場で活躍されているにもかかわらず、学会が認定する研修施設での1 年間の臨床研修が困難であるが故に受験資格を得られなかった先生も、認定臨床医試験を受けることが可能になります。尚、 2.の資格要件で加えられた教育研修会の具体的な指定や数については、別途ご報告申し上げます。
(委員長 長谷 公隆)
リハビリテーション医学用語集改訂に向けて意見募集の予告
評価・用語委員会、用語小委員会ではリハ医学用語集2007 年度の改訂に向けて作業を進めており、今年11 月にはリハ医学会HP に改訂用語案を掲載し、会員の皆様からの意見募集を予定しております。ご要望ご意見をお寄せください。
(委員長 朝貝 芳美)
リハビリテーション医療に甚大な影響を与えることが予想される診療報酬問題への対応の一貫として、「臨床研究・調査のためのガイドライン策定委員会」と「リハビリテーション連携パス策定委員会」の2つの委員会を設置することが診療ガイドライン委員会、社会保険等委員会により共同提案され、7 月の役員会で承認されました。8月に委員会が立ち上がり、それぞれ急ピッチで作業が進められています。ここでは両委員会の活動内容の概要を紹介させていただきます。
1) 臨床研究・調査のためのガイドライン策定委員会: 診療報酬をめぐる諸問題への対応およびこれからのあるべきリハビリテーション医療の姿の提言のために、学会としてしっかりとしたエビデンスを構築していくことが不可欠です。本委員会では、そのようなエビデンスを恒常的かつ現実的に集積するための手段として、毎年の学術集会で発表される多数の演題に着目し、学会発表をもとにマスデータを収集できるシステムを構築することを目指しています。具体的には主要疾患・障害ごとに最低限盛り込むべき共通項目・尺度、データ統合を可能にするためのデータ形式などについてのガイドラインを策定していく予定です。学会発表をこれに準じて行うことを推奨することにより、可能であれば脳卒中だけでも2007年の学術集会で発表される演題はこのガイドラインに準じて最低限の必要項目を網羅していただくように呼びかけ、必要があればすぐにマスデータの収集が可能になるようにしておきたいと考えております
2) リハビリテーション連携パス策定委員会: 今回の診療報酬改定で診療連携パスの対象疾患として大腿骨頸部骨折が採用され、脳卒中についても連携パスが取り上げられるのは時間の問題と思われます。事実、内保連においても平成18 年7 月12日の代表・副代表会議において、「日本の社会保険医療にとって何が必要かを学術集団として提言していく方向で、加盟学会を横断的に組織していく」ことが謳われ、今後組織されるワーキンググループのひとつとして、「シームレスな地域医療連携・地域連携クリティカルパス」があげられています。
本学会においても、これまで策定・改訂作業に取り組んできた「脳卒中治療ガイドライン」の実践版として、わが国の医療の実情、診療報酬体系も踏まえたリハビリテーション診療連携パスを関連学会とも連携しながら本学会が先導的に作成し、公表しておくことは重要と考えられます。当面は脳卒中に焦点をあてて作業を進める予定ですが、今後、他の疾患・障害にも拡げていくことを視野に入れています。
以上2 つの新たな委員会に加えて、脳卒中、脳性麻痺関係のガイドライン策定委員会も活発な活動を展開しています。引き続き会員諸氏のご支援をお願いいたします。
(委員長 里宇 明元)
東北地方会では、年に2回の学術集会を開催しております。今後の開催予定は以下の通りです。奮ってご参加ください。
●第20回東北地方会学術集会:2006年10月28日(土) 13時~17時30分、会場:岩手県医師会館 4F 大ホール、学会会長:及川忠人先生(東八幡平病院)、1.岩手医科大学脳神経外科講師の井上敬先生「超高磁場MRI による錐体路評価:運動機能障害転帰予測は可能か?」、2.大阪府立身体障害者福祉センター所長兼付属病院長の鈴木恒彦先生「可塑性に基づく脳卒中の回復-リハビリテーションにおける機能的画像診断-」
●第21回東北地方会学術集会:2007年3月24日(土) 13 時から、場所:福島市、学会会長:小池知治先生(太田総合病院附属太田熱海病院リハ科)。第21回学術集会にて総会を開催いたします。
(代表幹事:上月正博)
中国・四国地方会では、次回の第18回学術集会を2006年12月10日(日)9時30分~17時30分に予定しています。会場は岡山国際交流センターで、大会長は吉備国際大学保健科学部理学療法学科教授の河村顕治先生です。特別講演(専門医・認定臨床医生涯教育研修会)は、労災リハビリテーション工学センター臨床応用研究部長の元田英一先生に「脊損患者の歩行再建への挑戦」を、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体栄養学分野助教授の二川健先生に「骨格筋のUnloadingストレス応答の分子機構」をお話し頂くこととなっています(1講演1単位)。
一般演題の発表も多数予定されており、年々その数は増加しています(参加1単位)。第23回中国・四国リハビリテーション医学研究会との同時開催を予定しておりますので、コメディカルの皆様のご出席も可能です。日本リハ医学会会員の先生方には、リハに関係する多くの方々にご出席を呼び掛けていただければ幸いに存じます。学会ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会への参加についての申込みは不要です。詳細はHPをご覧ください(http://www.kiui.ac.jp/~kawamura/)。
(代表幹事:椿原彰夫)
第20回九州地方会学術集会が、井手 睦幹事(聖マリア病院)の担当で本年9月3日、福岡市で開催され、一般口演ならびに生涯教育研修会に376名の参加者を集め盛会裏に終了いたしました。関係各位のご協力を感謝申し上げます。
九州地方会では、生涯教育研修会の企画を2名の幹事(川平幹事、浅見幹事)にお願いしております。9月より、川平幹事の代わりに下堂薗先生(鹿児島大学)が担当されます。
第21回地方会学術集会は山口和正幹事(宮崎県立こども療育センター)の担当で、2007年2月18日(日)、宮崎市・宮崎県総合保健センター(宮崎県医師会館前)で開催される予定です(会場が変更となりました)。また、第22回地方会学術集会は坂本公宣幹事(熊本県こども総合療育センター)の担当で2007年9月2日(日)、熊本市産業文化会館での開催予定です。ふるってご参加のほどお願いいたします。
九州地方会では、主催会長の負担軽減ならびに情報伝達の迅速化を目的に、第20回地方会より学術集会のプログラム抄録集を九州地方会HPで公開しております。学術集会抄録集のHPでの公開を続けますので、学術集会前には地方会HPを是非ご覧ください。
(事務局担当幹事:佐伯 覚)
1997年に発足した近畿地方会(http://www.kinkireh.com/)は、これまで学術集会や教育研修会の企画、運営、学術雑誌「リハビリテーション科診療」、情報誌「ニュースレター」の発刊などの事業を通じて、近畿地方のリハ医学の底上げに努めてきました。そして、2006年7月の地方会総会では組織改変を行い、初めて滋賀県から幹事を迎え、名実ともに近畿地方会となりました。さらに、代表幹事、副代表幹事および(学術、教育・編集、広報)委員会委員長から構成される常任幹事会を定期的に開催し、地方会活動の充実、強化を図っています。
また、学術集会会長にも指名された住田幹男代表幹事(関西労災病院リハ診療科)は、2007年6月6日~8日に神戸国際会議場・展示場で開催される第44回日本リハ医学会学術集会の企画、運営を地方会単位で行うという方針を掲げ、地方会幹事全員に組織委員を委嘱し準備を進めています。
疾患別リハやリハ算定日数上限、リハ医、リハ関連職の教育問題など地方会だけではとうてい解決できない問題が山積していますが、エビデンスの集積、臨床でのリハ実践の推進、施設を超えた横断的な卒後研修システムの試み、リハ関連職養成機関との合同シンポジウム開催など、地方会の存在を全国に発信すべく活動しています。
(佐浦隆一)
東北大学名誉教授 中村 隆一
学会認定医制協議会の設立及び厚生省の動き
この間の各医学会、日本医師会と日本医学会、厚生省の動きを紹介します。1981年11月、認定医(専門医)制度に関連した22学会によって学会認定医制協議会が発足し、「国民が進歩している医学・医療の恩恵を享受できるように、各領域の医療を担当する信頼される医師の育成を目指す専門医制度の社会的容認と健全な発展のための活動を行う」ことが申し合わされます。ここでいう「臨床的に幅広い領域」が何を指しているのか、あまりはっきりと示されてはいません。
1987年8月、日本医学会・日本医師会・学会認定医制協議会による三者懇談会が開催され、専門医(認定医)の公認が論じられますが、「わが国では個々の専門医制度の形態は多様で統一性がなく社会の人々の理解が困難であり、医療に取り込む論議の段階ではない」とされました。1988年2月、厚生省・日本医師会・日本歯科医師会から「診療科名等の表示に関する検討会」の報告書が発表され、そこに第I診療科群・第II診療科群・第III診療科群の区分が記されました。
1993年11月、第15回三者懇談会で、「認定医の公認に関する三者懇談会の見解」が協議され、各学会の認定医の承認に関する基本的合意事項が成立します。内科学会や外科学会などの基本的領域診療科13領域として、日本医師会長・日本医学会長・学会認定医制協議会議長との三者による承認を1994年4月から実施しました。ただし、その表示は病院や診療所の内部に掲示、名刺等に記す範囲でした。なお、現在では三者承認は廃止されています。
1996年の国民医療総合政策会議中間報告「21世紀初頭における医療提供態勢について」と1997年の厚生省・政府与党の「21世紀の医療の改革の提案」において、国民への適切な医療情報の提供として「かかりつけ医の専門分野の表示が必要で、実施されている学会の専門医が社会に理解されるよう認定基準の統一化、明確化を図るべきである」との趣旨が記されます。そのような経緯を経て、2002年3月に医業(歯科医業)または病院(診療所)に関して広告できる事項、厚生労働大臣告示「専門医の資格について」が出され、4月には専門医の「広告は医師の専門分野の情報提供であり、臨床知識や技能の習得レベルを表示するものではない」と記した公示も出されています。また、12月には認定医制協議会が有限責任中間法人日本専門医認定制機構となりました。
残された問題
専門医の広告に関する基準には、I・II・III群の区分はありません。専門医認定制機構の現在の対応は、「第I群(基本領域専門医)は医師の臨床基盤形成において、その基盤となる領域を担当する14の学会群による会議組織。それに、救急医学・リハ・形成外科を追加。第II群(サブスペシャルティ)基礎とする領域の認定(研修)に上積み研修方式の制度の学会。第III群(1及びII群以外の学会)複数の領域と関係があるもの、横断的に多くの領域に関係するもの、特定の狭い専門領域の制度・特定の診療方法(技能)の習得を目指したもの、一般の患者が直接受診しない領域のものなど、関連学会間で協議が必要とされるもの」です。専門医認定制機構のホームページには、日本リハ医学会を含めて、基礎領域18学会の研修(修練)施設が公開されています。これらの区分は専門医認定医制機構における取り決めであり、各学会の総意によって、また社会的要請の変化によっても、容易に変更できると思います。
いろいろな制度との関連で残っている問題の1つに「診療報酬と領域」との関係があります。本年4月、診療報酬の改定において、リハ料に疾患別リハの枠組みが導入されました。それらにかかわる診療施設と担当医師との問題です。担当医が専門医である必要はありません。また、厚生労働省の通達に従って行われる施設認定の基準は建物と人員です。専門医にできることは、専門医であることを広告することだけです。現状では、リハ科専門医が疾患別リハの全領域に主導権を得ているわけではありません。時代の趨勢からみると、リハ科専門医は基礎領域(I群)に属していますが、診療報酬との関連からは、専門医のうちから疾患別リハに対応するサブスペシャリティの出現が望まれる時代になったように思えます。たとえば、心臓大血管系リハは、循環器内科あるいは心臓血管外科学会に属してリハ医療を専門とする医師と、リハ科に属して心臓大血管系リハに特化した医師との、どちらが指導権を得るのかの問題です。現在、第II群のサブスペシャリティに属している26学会のうち、13学会、すなわち半数は内科学会の認定内科医(これは学会内部の制度です)となってから、第II群に属する学会(サブスペシャリティ)の専門医になります。2005年10月、リハ医学会は会員9,553名(専門医1,102名)です。一方、循環器学会は会員22,454名(専門医9,313名)です。私たちは新たな課題を投げかけられています。リハ科専門医・認定医制度を発足した時の専門医(specialist)と認定医(expert)の必要性が再現したように思えます。リハ医学会は、複数領域に横断的に関連する学会として第III領域にとどまるべきであったのでしょうか。むしろ、広大な医学的リハという分野を考えれば、専門医と臓器別のサブスペシャリティとしての認定医との必要性を再考するべきかもしれません。
診療報酬に関する《通則》には、「リハ医療は、基本的動作能力の回復等を目的とする理学療法や、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言語聴覚療法等の治療法により構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものである」と記されています。健康保険法におけるリハ医療が担当する領域は、医学的リハが掲げている領域よりも、かなり狭いのです。医学的リハは医療保険制度だけではなく、身体障害者福祉法第15条(身体障害者手帳)や第19条(自立支援医療)とも関連しています。ここには制度的なバリァが残存しています。さらに介護保険制度との関係も大きいのです。リハ医の課題のひとつに、障害者(高齢者を含む)の健康管理、二次的障害の予防と健康増進があります。私たちの提供できるヘルスケア・サービスは何か、社会がその価値を理解するか否かは、この領域を支えているリハ医学の理論と技術の発展にかかっています。同時に医学的リハについての国民の理解を深める努力が必要とされています。
リハ医学は、機能志向的アプローチを掲げて、病理志向的アプローチの医学とは異なる立場を主張しています。それが世界保健機関が掲げたICIDHあるいは現在のICFのような保健衛生統計のための分類表をなぞるものであっては、科学技術を支えるモデルとなりません。リハ科専門医にとっては、他領域の専門医と共通基盤に立って意見交換あるいは討論を闘わせることができるように、医学モデル(病理志向的アプローチ)に立脚した視点も熟知しておくべきでしょう。その上で、活動や参加も変数として取り込んだモデルを構築して、EBMを確立することが私たちの課題であると思います。
(第1回はリハニュース30号に掲載しました)
2006年11月19日(日)に東京慈恵会医科大学中央講堂にて、第1回専門医会学術集会を開催いたします。内容は石神重信先生、里宇明元先生の「専門医会のあり方」に関する講演、関東の若手リハ医による最近のトピックに関する教育研修3講演です。
また、会期中に臨時総会を招集し、今後の各事業について検討したいので全国のリハビリテーション科専門医の先生方の参加をお願いいたします。学術集会には専門医以外の医師の参加も歓迎しますので、奮ってご参加ください。
参加費: 5,000 円
認定単位: 計4単位(参加1単位、講演各1単位)
代表世話人: 安保雅博、菊地尚久
関東地方会世話人: 羽田康司、笠井史人
横浜市立大学リハ科は、1968 年わが国最初の独立した医学部附属病院診療科として、故大川嗣雄先生のもとに誕生しました。安藤教授退任後に佐鹿教授が着任され、同門会員数は前回紹介時の37 名から42 名に増えています。関連施設数も常勤、非常勤とも増加していますが、派遣の依頼数には応えきれていない現況です。市大同門会では一貫して「急性期から地域リハまで」「新生児から高齢者まで」すべての分野にわたって、連携をとりながらリハサービスを提供してきました。市大同門会の中心となる大学病院は、佐鹿教授をトップとする市大センター病院(写真)と、水落準教授をトップとする大学附属病院の2 病院です。関連施設では、大学病院をはじめとする公立病院、中核病院での救命救急センターを含めた急性期から回復期リハ、総合リハ機能を有するリハセンター、脳血管センターでの急性期から維持期および地域リハ、療育センターでの小児リハ、補装具巡回相談、養護学校検診、筋ジストロフィー検診など、幅広いリハサービスを提供しており、先輩方の指導のもと、若手も臨床や福祉の第一線に身をおきながら研修・研究に勤しんでいます。
卒後教育では古くから初期研修のローテート制を採用しており、当科での初期研修後に入局を決める同門会員も多く、また他大学卒業の初期研修者が多いため大学閥然としたものがないのが特徴です。また、以前より北海道、東北、沖縄など遠隔地からの研修生を受け入れ、専門医研修を行ってきた実績があり、今後も後期研修には力を入れていきたいと考えています。初期研修でリハ医療に興味を持った方は勿論、専門医研修の環境に恵まれない方などにも広く門戸を開いており、現在も2名が地域でのリハ医療充実を目指して研鑽しております。
その他の同門会活動では、年5 回の全体集会にて専門医レクチャー、症例検討、研究計画・報告などを行うほか、3 地域に分かれての定例集会にて、抄読・輪読、学会予演会なども行っています。勿論、忘年会、歓送迎会など年中行事で各リハスタッフを含め楽しく交流を深めるほか、本学会学術集会の全体予演会では若手にとって本番よりも緊張した半日を過ごすようです。リハスタッフ教育としては、特に県内の幅広い関連スタッフが参加する神奈川リハ研究会を教育、研究発表の場として年2回主催しています。本学会の関連活動としては、今年度より実習研修としての地域リハ研修会を準備していますので、興味のある方は是非お問い合わせください。
(大西正徳)
横浜市立大学医学部リハビリテーション科
〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦
3-9、Tel 045-787-2713、Fax 045-783-5333
E-mail : ihatama3@fukuhp.yokohama-cu.ac.jp
HP : http://www.yokohama-cu.ac.jp/~rehabmed/index.html
現物支給から補装具費の支給へ
平成18年4月から障害者自立支援法が施行されましたが補装具関係の制度変更は10月1日から行われました(表1)。身体障害者福祉法、児童福祉法では「現物給付」という概念でしたが障害者自立支援法では「補装具費の支給」となります。義肢・装具、座位保持装置、電動車いすなどはこれまでと同様に身体障害者更生相談所での判定が必要です(表2)。また、厚生労働省の告示種目にあっても名称・型式・基本構造のない補装具で障害状況、生活環境等で真に必要なものは、特例補装具(旧基準外補装具)として扱われ、同じく更生相談所の判定が必要です。支給された補装具費の1割が自己負担となりますが、市町村民税所得割課税額が50万円未満の方は月額上限額が最高で37,200円です。それ以上の課税額の方(概ね年収2千万円以上)は支給対象外となりますので補装具費が全額自己負担となります。原則的には償還払い方式ですが、申請者の利便性を考慮して代理受領方式を選ぶことも可能です(表1)。
種目の変更
これまで補装具として取り扱われた頭部保護帽、歩行補助つえ(一本つえのみ)、ストマ用装具などが日常生活用具へ移行し、これまで日常生活用具だった重度障害者用意思伝達装置が補装具へ移行されました(表3)。国の取扱指針(案)では意思伝達装置の判定は医師意見書に基づき更生相談所が文書判定で扱っても差し支えないことになっていますが、都道府県によっては直接判定を行うところもあるようです。
意見書を作成する医師の要件
補装具費支給意見書を作成する医師の要件が具体的に示されました。身障法第15 条指定医または障害者自立支援医療指定機関において当該医療を主として担当する医師であって、所属医学会において認定されている専門医、あるいは国立身体障害者リハビリテーションセンター学院において実施している補装具関係の適合判定医研修会を修了している医師であることが必要です。また、身体障害児の場合は指定自立支援医療機関または保健所の医師が作成したものであることとなりました。いずれにしても補装具の必要性、処方の具体的な内容等について、しっかり意見を述べることが重要です。
詳しくは市町村の福祉担当窓口か各地域の身体障害者更生相談所にお尋ねください。
参考:平成18年8月24日厚生労働省障害保健福祉関係主管課長会議資料
(障害保健福祉委員会 樫本 修)
4年生
このたび、平成18年医学生リハセミナーに参加し、昭和大学リハ医学診療科を訪れる機会を得ました。旭川医科大学には単独でリハ科が設けられておらず、また、今後の高齢化に伴いますます重要性を増すリハの現場を知るよい機会と思い応募しました。
セミナーのプログラムは、カンファレンス、病棟回診、リハセンター見学、リハについての講義などでした。カンファレンスでは、医師のみならず理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、看護師などのさまざまな職種の方々が、積極的に参加されていました。このことから、リハにおいては、チーム医療、連携が特に重要であること、また、単にADL(日常生活動作)の回復といったこと以上にさまざまな配慮が必要であることを学びました。病棟回診では、リハ医学診療科の対象が予想以上に多くの部門にわたっていたのが印象的でした。患者さんに対しては、それぞれに応じてきめ細やかに声をかけられ、また、時には患者さんに納得のいくまで話をしてもらう様子を見学しました。リハセンターでは、理学療法、作業療法の様子を垣間見ることができました。また、自分は松葉杖の使い方ひとつにしても知らなかったことを知り、臨床の難しさを実感しました。嚥下外来、ビデオ嚥下造影検査の見学では、内視鏡や造影検査の実際を学びました。最後に、水間教授から、症例やリハにおけるチームと連携の考え方、医療が「治療・予防・リハ」の3つの柱から成り立っていることを説明していただきました。
当初、リハは整形外科の一分野というイメージをもっていました。実際に見学させていただくと、耳鼻科、循環器・呼吸器・消化器内科、神経内科、産婦人科、小児科、心臓外科、脳外科等多くの領域の患者さんに関わっていることがわかりました。特定の臓器、疾患ではなく全身を対象としていること、急性期、回復期などさまざまなステージで、長期にわたり患者さんと関わりをもつことは、難しさと同時にやりがいも感じられるものではないかと思います。昭和大学のリハ医学診療科では、臨床を重視しつつ、教育、研究にも配慮がされているようでした。
セミナー当日は、ちょうど春の異動の時期にあたり、科内の送別会にも参加させていただきました。参加者の方々の挨拶や交流などから、それぞれの職種を超えたアットホームな雰囲気や、これからのリハを開拓、支えていこうという意欲が感じられました。
今回、こうした機会を与えていただきました水間正澄教授をはじめ昭和大学リハ医学診療科の皆様には大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。
5年生
3月下旬の木・金曜日の2日間、広島大学病院リハ部で実習しました。主に、紹介された入院患者さんを訪室しリハ計画を立てることに同行したり、外来・カンファレンス・施設見学などをしました。
リハ計画を立てるために問診したり所見をとるとき、先生は職業や退院後のことに加え、趣味や好きなことも聞いていました。ただ単調な動作や作業をこなすのではなく、楽しみながらやれて今後の生活にいかせるように配慮しているそうです。その計画に基づいて、具体的にどんな動作をどれだけ行うのか決めるのはPT・OTの先生方です。標準的なリハ例もあるそうですが、患者さんの状態や興味などに応じて日々工夫して行っているそうです。リハは一人では行えず、さまざまな職種のスタッフが協力して行います。
全員が揃ったカンファレンスで患者さん一人ひとりについて話し合っていました。この実習で一番印象に残ったことは、スタッフ皆さんの仲がとても良く雰囲気がよかったということです。普段からお互い意見を交換しやすいこともリハにおいてとても重要だと感じました。
先生方には、今後の進路のことや研修でどの科を学んできたらよいかなど相談にのっていただき、また、先生方の行っている取り組みや広島の今後のリハ医療の展望を聞かせていただきました。今回私は就職先を決めるための病院見学を兼ねていたので、将来をイメージでき、リハの扱う範囲がますます広がっていくことに興味がわき、今後自分もリハに携わっていきたいという決意が固まりました。
お忙しい中を時間を割いてくださっていろんなお話を聞かせていただき、とてもお世話になりました。本当にありがとうございました。
4年生
私は元々リハの仕事がしたくて医学部を選んだのですが、大学ではいろいろな科の勉強をするため、最近ではリハに対する興味が薄れてきていました。しかし、今回見学させていただいて、やはり自分はこういう仕事がしたいのだとあらためて思いました。それと同時に、それぞれのスタッフの役割や仕事に対するイメージが変わりました。
医師がいろいろな科に入院している患者さんに対しても、詳しく問診しているのに驚きました。そういったことは既に終わってリハに関することだけを担当するのかと思っていました。糖尿病の患者さんに、神経症だけでなく目や腎臓のことも尋ね、丁寧に説明している場面や、脳梗塞のリハにこられた患者さんに、認知症のテストをしている場面が特に印象に残っています。
今考えると、医師ですから患者さんの全体を把握するのは当然のことで、私も分かっているつもりでしたが、実際は分かっているつもりになっていただけでした。今後はいろいろな病気や症状を勉強するとき、単独でなく互いに結びつけながら考えるようにしていこうと思います。またこのような機会があったらぜひ参加させてください。2日間ありがとうございました。
4年生
これまで付属病院のリハ部に入ったこともなく、リハの実際を知らないどころか文章ですらあまり読んだことはなかった私でしたが、リハの現場をみせていただけるとあって、強い好奇心を覚えて応募しました。
2日間の日程で、PT・OTや言語聴覚士(ST)の方に職務内容について教えていただいたり、医師の診察を見学させていただいたりしました。そして、リハという医療は、多くの専門家によって行われていることや、リハの対象となる疾患は整形外科のものだけではなく外科や内科など多岐にわたっていることを知りました。また、何人かの患者さんとお話しすることができたのですが、もっとも印象に残ったのは部屋の雰囲気が全体的に明るいことでした。部屋の採光やBGMの影響もあると思いますが、私が強く感じたのは患者さんたちの口調や表情の明るさでした。先生が「リハはまずゴールありきだ」とおっしゃっていましたが、定めた目標に向かって努力している充実感が患者さんたちから感じられました。今回医療の現場を見せていただいて、「リハ」という医療のあり方の一部を知ることができました。いろいろ教えてくださった先生やスタッフの皆様に感謝いたします。
5年生
自分の大学ではリハ科の講義や実習が全くありません。そのためリハに関しては以前から興味はあったのですが、接することができずに6年生になってしまい、ゆっくり見学できる最後のチャンスかと思い、参加しました。
リハは自分にとっては、PTやOTがやる整形外科的なイメージが強かったのですが、今回参加してイメージがかなり変わりました。神経内科の多系統萎縮症から、脳神経外科的な交通外傷後による高次脳機能障害などまで幅広く、治療方法に関しても磁気刺激やフェノールなどによるブロック療法など多種にわたっていました。また、医師だけでなく PT・OT・看護師などたくさんの職種による密接なチーム医療を行っていく科は 今までの病院実習では経験したことがなく、非常に新鮮でした。リハ医はこれからの高齢化社会、医療技術の進歩による患者の増加が予想され、より必要となってくると思います。その上、複雑な疾患の合併例も多く、医師の専門性も高くなっていくでしょう。需要も高く将来性もあり、やりがいのある科だと思うので、将来の選択肢の1つとして考えてみたいと思います。3日間ありがとうございました。
4年生
3日間大変興味深い実習をさせていただき、誠にありがとうございました。いろいろな疑問点に関しても質問ができ、リハの新たな一面が見られたことは本当に将来どのような進路を選択するかに関していろいろと考える所がありました。
すごくびっくりしたのは、リハの専門性の高さと行っているリハの分野が初めて見る神経内科の分野が中心という点でした。ほとんど運動器リハがありませんで、自分はリハというと脳血管障害か運動器疾患が半分以上を占めるという認識でしたので、非常に驚きました。
【頭部外傷】での『ほとんど機能する脳が少ない』症例において、『何の機能が残っているのか』という【慎重な検査の必要性】を感じました。本当に検査の種類が多く、その内容に関してもかなり高度だったので、どんどん進化していて、多様になっているのだと感じました。
北大のリハでハードの面でも本当に驚きました。今まで見て来たリハ施設のほとんどがそろっていて、宝の山に見えました。それが人不足でまわしきれていない感がありました。
リハ医がもっと増える、スタッフがもっと増えることにより、ここでいろいろな研究が可能であり、きっとこれからの成長が未知数ではないかと感じました。床反力計があり、歩行解析ができる点も感動しました。自分は足首に特に興味があって、こんなに広い面積で解析できて設備が立派であることに感動してしまいました。
今回時間は少なかったのですが、OT、PTの方からのお話を聞くことができたのも収穫だったと思います。ただ、実際に患者さんと接していてリハをしている場面を見ておきたかったという希望はありました。
それぞれの職種でできる限り多い時間をカンファレンスに使っていたため、患者さんにとってはさまざまな角度からの評価が得られ、医療スタッフでも疑問点を共有しやすいのではないかと感じました。
大変ご多忙の中、先生皆様には非常に有益なご教授をいただき、とても身になりました。いろいろな要望もさせていただき、ご迷惑もおかけしました。厚くお礼申し上げます。
リハセミナーの実習報告書が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。こちらは昨日から大学病院の実習が始まりました。最初の2週間は呼吸器・循環器・小児外科の配属で、明日は手術の現場を見学させてもらう予定です。
今回の春季リハセミナーは2日間だけでしたが、リハ科の皆様方に暖かく迎え入れていただき、外来、嚥下リハ、理学療法などを中心に見学させていただきました。
外来ではどの患者さんも以前より症状が改善してきている様子に、また嚥下リハでは他の病院では嚥下が不可能とされた患者さんでもこの病院に来て嚥下が可能になった例を見ることができ、大変感銘を受けました。
普通の人々が当たり前のように行っている動作が、ある日突然事故や病気のために行えなくなるというのはとてもショックなことであり、リハを通して以前の動作あるいは体の別の部位や器具を使ってそれに相当する動作を獲得することの困難さ、そしてそれらを獲得するために日々進歩する患者さんの喜びを感じ取ることができました。
理学療法の現場では、患者さんの簡単なサポートをさせていただいたり、患者さんやスタッフの皆さんと会話することで楽しい時間を過ごさせていただきました。
また、片桐先生の講義では、将来医師となったときに必要な心構えについてご教授いただきました。実習が終わってからは藤島先生にテニスに誘っていただいたり、我々実習生のために親睦会を開いていただいたことについても大変感謝しております。
今回の実習は、今後医師を目指していく上で非常に貴重な体験をさせていただいたと思っておりますが、まだほかにも学ばせていただくべきことがたくさんあることと思いますので、機会がありましたらまたお邪魔させていただきたいと考えております。大変お世話になり本当にありがとうございました。
3年生
今回セミナーに参加して、装具をつけて少し足の不自由さがわかりました。また、今まで装具は安定させるためだけだと思っていたのですが、難易度を下げるためというのが意外でした。セミナーで行ったような咽頭内視鏡検査や筋電図などの実習はふだん授業でできないので勉強になりました。
全体的な感想として、実習で見た内視鏡の映像は、授業のスライドや教科書ではよくわからないところだったのでとてもよかったです。また、リハ医の存在は知っていましたが内容を知りませんでした。訓練のプログラムを計画したり、患者さんの状態を診て薬や食事を決める、PT、OTなどをまとめるという仕事があることがよくわかりました。ありがとうございました。
日本リハ医学会教育委員会
医学生リハセミナー担当 中馬孝容
平成18年4月から、介護保険制度および介護報酬においては大幅な改定が行われました。医療保険と同様に介護保険におけるリハビリテーションの果たす役割は重要で、日本リハビリテーション医学会では、現時点における介護保険でのリハビリテーションサービスの効果を検証することが早急に必要な課題であると認識しております。
日本リハビリテーション病院施設協会では、介護保険の認定を受けている方で、脳血管疾患等の発症から8カ月以上経過した人を対象に、「維持期リハビリテーション効果研究アンケート」を平成18年9月から3カ月ごとに平成19年3月上旬まで3回にわたって調査されることが企画されています。
日本リハビリテーション病院施設協会から上記の調査について協力依頼を受けておられる会員各位は、積極的にご協力くださいますようお願い申し上げます。
(日本リハビリテーション医学会社会保険等委員会)
社団法人日本リハビリテーション医学会
理事長 江藤文夫
この夏の8月12日に、丸山 進 元事務局長が忽然と他界されました。丸山氏が本医学会の事務局運営に寄せた責任感の大きさを感じ、果たされた多大なご尽力に感謝して、心より追悼の辞を述べさせていただきます。
丸山氏に初めてお会いしたのは、平成15年に千野前理事長の時代の鈴木利次 元事務局長が辞任の意向を示し、後任として千葉大学の総務課に適任者がいるとして紹介されたときでした。その年の4月に事務局に入職され、翌年4月より鈴木氏の後を継いで事務局長にご就任いただきました。学会活動の活性化に伴い事務作業の量も年毎に膨張し、さらに社団法人への所轄官庁からの監査も厳しくなってまいりましたが、長年国立大学関係で勤務され、経理課や研究協力課の業務に精通していて、多種の文書整理では経験を生かして優れた能力を発揮されました。ちょうど時代の変わり目にあるのでしょうか、事務局のスタッフも入れ替わり、増員を必要として、若返りが図られました。この間に、新人スタッフを的確に指導し、円滑に事務を遂行してくださいました。
昨年の春、黄疸に気づかれた丸山氏は、体調不良にもかかわらず、今年6月の年次学術集会及び総会の準備に奔走してくださいました。「大丈夫です」というご本人の言葉に、いささか甘えていたのではないかと悔やまれます。きっぱりとした口調には気迫がこもり、鬼気を感じさせるほどでした。山形県鶴岡のご出身と伺いましたが、作家藤沢周平の世界の登場人物が持つロマンを連想させるお人柄でした。
今年度の評議員会、通常総会の議事録をまとめ、6月30日付で退職されました。これからは養生に専念され、ご快復されることをお祈りしておりましたので、突然の悲報に言葉を失いました。ご遺族の皆様のご愁傷いかばかりかと拝察いたしますが、お慰めする言葉も見当たらぬほどに、事務局スタッフ一同ともに無念の思いでおります。
ここに謹んで哀悼の意を捧げ、丸山進氏のご冥福をお祈り申し上げます。
梅雨明けが遅れ大雨もあった夏でしたが、皆様、夏休みはいかがだったでしょうか。秋に入り、関連学会も数多く開かれています。学会というわけではないのですが、広報委員会が力を入れている活動の一つに、国際福祉機器展への出展があります。今回も9月27~29日に東京ビッグサイトで開催されました。参加されたことのない方は福祉機器の展示会のイメージを受けると思いますが、Homecare and Rehabilitation Exhibitionであり、昨年度は、600団体を越える出展と約13万人の医療福祉関係者・患者家族等の参加もあり、広報活動の場としての意義は大きいと考えております。
今回は、欲張って3つの特集を組ませていただきました。来年開催されるISPRMについては、演題応募締め切りまで残り2カ月を切ること、また、学術集会とも日程が近いため、今から日程調整が必要かと考え、アナウンスを企画しました。2番目の特集では、社会保険等委員会委員長の田中宏太佳先生には29・30号や学会誌など毎回のようにご報告いただいいておりますが、本文中にも書かれているとおり、ここ数年は診療報酬関連の重要な局面になると予想されるため、詳細な報告をいただきました。また、新理事からは、親しみやすい自己紹介と頼もしい抱負をいただきました。
新たに広報委員の末席に加えさせていただきましたが、不慣れなため、今回編集の不備はご容赦ください。今後ともよろしくお願いいたします。
(野々垣学)
転居先不明の郵便物が毎回のように事務局へ戻ってきます。そのまま住所不明者として連絡ができなくなる場合も多くとても困っています。転勤転居のお届けにつきましては、速やかに事務局までご連絡いただきますようお願いいたします。ホームページ・学会誌の届け出用紙をご利用ください。