<2008/March/12 updated>
● 報 告 ●社会保険等委員会

リハビリテーション医療に関係する平成20年診療報酬改定の概要

平成20年3月10日

日本リハビリテーション医学会 社会保険等委員会

中央社会保険医療協議会は、平成20年2月13日に答申書を厚生労働大臣に提出し,平成20年度診療報酬改定案が示されました。3月5日に改正省令・告示等が官報に収載され、同時に厚生労働省保険局長通知および医療課長通知が示されました。 以下にその概要を示します。


1.平成20年度リハビリテーション関連の診療報酬改定の主要項目

1)疾患別リハビリテーション(以下リハと略す)料の見直し
2)疾患別リハ料の逓減制の廃止
3)疾患別リハ医学管理料の廃止および慢性期リハ料の見直し
4)早期リハ加算の新設
5)ADL加算の廃止
6)集団コミュニケーション療法の新設
7)地域連携診療計画の評価の拡大と見直し
8)回復期リハ病棟入院料の見直し
9)障害児(者)リハ料の見直し
10)リハ総合計画評価料の見直し

2.疾患別リハ料の見直し

table1

3.平成20年疾患別リハ料の逓減制の廃止など

1)逓減制は今回の見直しにより廃止。
2)適正な評価の観点から、脳血管疾患等リハ料(V)を新設。
3)各疾患別リハの標準的算定日数を超えたものについては、1か月当たり13単位まで算定可能
(算定単位上限を超えたものについては、選定療養として実施可能)。
*選定療養とは:保険対象外のため患者が全額を支払うが、通常の保険診療と併用できる。

4.平成20年改正リハ施設基準の主な変更点

1)脳血管疾患等リハ料(U)の専従PT,OT、ST合計4名以上。
2)従来の脳血管疾患等リハ料(U)が(V)に変更。
3)呼吸器リハ(T)のセラピストの1名はOTでも可。
4)心大血管リハ(T)の担当医の条件が、従来の循環器科、心臓血管外科限定から「心大血管リハの経験を有する専任の常勤医師」に緩和。医師の直接監視が緩和。2名の医療職のうち1名は専任でも可。面積要件が病院30u、診療所20uに緩和。機器要件も緩和。

5.早期リハ加算の新設

1)1単位につき30点。
2)疾患別リハ料の算定日数上限の起算日から30日間に限り算定可能。
3)入院中の患者についてのみ算定可能。
4)入院中の患者に対し、訓練室以外の病棟等において行われたものについてのみ算定できたADL加算は廃止。

6.集団コミュニケーション療法の新設

1)算定要件は、1単位につき50点(1人につき1日3単位まで算定可)。
2)言語聴覚士1人当たり1日のべ54単位を限度。
3)施設基準は、現に脳血管リハ(T)又は障害児(者)リハ料を算定し、専用の集団療法室を備えていることが条件。
4)対象患者は、言語・聴覚機能を有する脳血管リハ料又は障害児リハ料の対象患者。

7.地域連携診療計画の評価の拡大と見直し

1)地域連携診療計画管理料:1,500点から900点に減点。
2)地域連携診療計画退院時指導料:1,500点から600点に減点。
3)対象疾患は、大腿骨頸部骨折に脳卒中を加える[脳卒中を対象にする場合、都道府県が作成する医療計画に記載されている病院又は有床診療所であること]。

8.回復期リハ病棟入院料の見直し

1)回復期リハ病棟入院料1を設置(従来の入院料に比べて10点多い、1,690点に設定)。
2)算定要件回復期リハを要する状態患者8割。
3)新規入院患者のうち1割5分以上が重症患者。
4)退院患者のうち、他の保険医療機関への転院した者等を除く者の割合が6割以上。
5)施設基準として4つのリハ料(T)の1つ又は脳血管疾患等リハ料(U)(V)のいずれか一つを算定していることが必要。
6)重症患者回復病棟加算50点(1日につき):重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善した場合。
7)専従ではなく、専任の医師1名以上に緩和。

9.障害児(者)リハ料の充実・拡大

1)脳性麻痺等の発達障害児・者及び肢体不自由児施設等の厚生労働大臣の指定するものに加えて、リハを実施される患者が主として脳性麻痺等の患者である施設が追加。
2)1日6単位まで、(1単位につき)6歳未満は220点、6―18歳未満は190点、18歳以上は150点が算定できるように引き上げ。
3)施設基準:病院60u、診療所45u以上に緩和。

10.リハ総合計画評価料

1)リハ総合計画評価料は480点から300点に減点。但し、1月に1回を限度として算定可能。

11.疾患別リハ料対象疾患の見直し

1)呼吸器リハ料の疾患を中心に、対象疾患名が適切に見直し。


(3月5日付け通知においてリハビリテーション医療に関連する項目の抜粋)

A308 回復期リハビリテーション病棟入院料

B005-2 地域連携診療計画管理料、B005-3 地域連携診療計画退院時指導料

C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料

リハビリテーション の通則

H000 心大血管疾患リハビリテーション料

H001 脳血管疾患等リハビリテーション料

H002 運動器リハビリテーション料

H003 呼吸器リハビリテーション料

H003-2 リハビリテーション総合計画評価料

H004 摂食機能療法

H005 視能訓練

H006 難病患者リハビリテーション料

H007 障害児(者)リハビリテーション料

H008 集団コミュニケーション療法料