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リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査-4-

リハ医学 41巻11号掲載

日本リハビリテーション医学会 評価・用語委員会
小竹 伴照,朝貝 芳美(委員長),豊倉  穣(前委員長),住田 幹男(担当理事),田中 信行(前担当理事),浅見 豊子,高橋 秀寿,塚本 芳久,森田 定雄,森本  茂

はじめに

日本リハビリテーション医学会では,1998年発行のリハビリテーション(以下,リハ)関連雑誌の原著論文でどのような評価法が使われているかを調査し,1999年の本会誌に「リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査」1)として発表した.引き続き1999年発行のリハ関連雑誌の情報を新たに加え,2001年の本会誌に「リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査―2―」2)として報告している.

今回は,2003年発行のリハ関連雑誌の原著論文でどのような評価法が使われているかを追跡調査したので報告する.

対象と方法

2003年発行のArch Phys Med Rehabil,Am J Phys Med Rehabil,Scand J Rehabil Med,Disabil Rehabil,リハ医学,総合リハ,臨床リハ,を選び,2003年の記事の中で原著論文を対象に評価法の抽出を行った.今回の調査対象とした論文は,合計378論文であった.

評価法の選択基準の概略を以下に示す.

  • 原著(査読のあるもの)のみとする.依頼原稿は採用しない.
  • 1評価法を1レコードとする(1論文にいくつも評価法があれば何レコードにもなる).
  • 頸部内側骨折の程度分類など疾患そのものの評価法も入れる.
  • 測定,計測は入れない.
  • Visual analogue scaleは,単にVisual analogueしているものは却下,両端の表現などに独自性あるなら採用.

他の類似事項の同様の観点で判断.

各評価・用語委員が分担して各論文から評価法を抽出し,前回の調査でも使用したデータベース(ファイルメーカーPro®にて作成)にその評価法を入力後,そのデータを元に一括して解析作業を行った.

結果

今回2003年分の調査で抽出された全評価法数は784レコードであった.

2001年の「リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査―2―の表1」2)に記載された評価法に関して,その後の出現度数や疾患別推移を比較検討するために,2003年分に関して前回同様の形式にて表1を作成した.

また,2003年分で表1に記載された評価法以外で,2回以上レコードされた評価法を出現度数および疾患別に表2に示した.

さらに,1998年,1999年,2003年の3年間のレコードを調査し,3年間で8件以上の論文で使用された評価法を表3に示した.

考察

3回目の評価法使用動向調査にあたる本調査を含め3年分のデータベースが蓄積され,3年間の使用頻度が比較的高い評価法が判明して来た.

また,単年度使用された評価法を単純な使用頻度だけから経年的に見ると,2001年の調査にみられた傾向と同様に,ASIAとFIMの伸びが大きかった.また,脳性麻痺,発達障害の分野では,GMFMの使用頻度が増加傾向であった.

今後もこのような調査を継続することで,評価法使用動向がより明確になると思われる.〔日本リハビリテーション医学会のリハビリテーション関連評価法データベース

EBMに基づく治療の流れの中で評価に関する課題は大きい.今後,日本リハ医学会評価・用語委員会では,この動向調査を継続する以外に,8つの疾患領域に担当委員を配置し,評価法データベースに加えてエビデンスレベルを分析していく予定である.日本リハ医学会の他委員会および他学会などとも連係し,評価に関する提言を今後も積極的に行っていく必要があると思われる.

文献

  1. 住田幹男, 園田 茂, 大橋正洋, 小林一成, 近藤和泉, 首藤 貴, 千田富義, 豊倉 穣, 正門由久, 大川弥生, 眞野行生: リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査. リハ医学1999; 36: 553-555

  2. 園田 茂, 住田幹男, 大橋正洋, 小林一成, 近藤和泉, 千田富義, 豊倉 穣, 眞野行生, 蜂須賀研二: リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査―2―. リハ医学2001; 38: 87-90

リハ医学2001;38(10):796-798掲載